ソウルヨガ

主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

トランプ氏の女性への態度

 

ようやく、トランプの限界を示せる時が来たようです。ジェンダーの問題は大きいです。「力のある個人が侵害行為をあからさまに悪びれずに語った」と捉えることができるかどうかは試金石です。

 

「「心底衝撃」とオバマ夫人、トランプ氏非難で異例の演説」@ブルームバーグ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-10-14/OF0FTR6JTSEM01

Sahil Kapur

2016年10月14日 10:29 JST更新日時 2016年10月14日 11:56 JST

 

米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏が2005年収録ビデオの中で女性の意に反して体に触ったりキスしたりするのを自慢げに語ったことについて、オバマ大統領の夫人であるミシェル・オバマ氏が13日、感情をあらわにトランプ氏非難の異例のスピーチを行った。

  ミシェル夫人民主党の大統領候補ヒラリー・クリントン陣営がニューハンプシャー州マンチェスターで開いた集会で演説。先週明らかになったトランプ氏のビデオに言及し、「米国の大統領候補が女性への性的暴力を自慢げに語ったのを、ここでお話しすることになるなんてとても信じられない」と発言した。

 

  「これはただの下劣な会話でもロッカールームでの軽口でもない。力のある個人が侵害行為をあからさまに悪びれずに語った上に、女性に触ったりキスしたりする行為をひわいな言葉を使って自慢した。テレビをつけると子供たちの耳に入るのではないかと、われわれの多くは心配したのではないか」とミシェル夫人は話した。

 

  ファーストレディーとしてのミシェル夫人がこのような発言をするのは異例。夫人は「この件について考えずにはいられない。自分でも予想できなかったほど心底衝撃を受けた」と、通常のスピーチで済ませることができなかった理由を説明した。

 

  ミシェル夫人はトランプ氏の女性への言動に関し、「6歳の児童でさえも、もっとよくわきまえている。6歳児はこれが大人、まともな人間の振る舞いではないと分かっている」と語った。

 

  クリントン氏は13日、サンフランシスコで選挙運動のスタッフにあいさつ。この中でミシェル夫人のスピーチは感情を揺さぶるメッセージだったと称賛した。

 

  一方のトランプ氏は同日、フロリダ州ウェストパームビーチで演説した。米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)などが今週伝えた同氏の過去の女性への身体接触をめぐる記事について、「私が不適切な行為を行ったとするこれらの卑劣な主張は全くの偽りであり、クリントン夫妻はこれを十分承知している。純然たる作り話であり、明白なうそだ」と発言。こうした報道は「ワシントンのエスタブリッシュメント(権力層)」とクリントン陣営、メディアによる陰謀の一環だと言い放った。

 

原題:Michelle Obama Rebukes ‘Predatory’ Trump, Saying She’s Shaken to Core(抜粋)
http://www.bloomberg.com/politics/articles/2016-10-13/michelle-obama-delivers-emotional-rebuke-to-trump-s-predatory-behavior

 


「トランプ氏は「恥知らず」 ミシェル夫人、女性蔑視発言を痛烈批判」@AFPBBnews
http://www.afpbb.com/articles/-/3104315

2016年10月14日 08:39 発信地:ワシントンD.C./米国

 

【10月14日 AFP】ミシェル・オバマ(Michelle Obama)米大統領夫人(52)は13日、大統領選の共和党候補ドナルド・トランプDonald Trump)氏による女性関係の過激な性的発言について、「恥知らず」で「容認しがたい」と痛烈に批判した。

 

 ミシェル夫人は米ハーバード大学(Harvard University)卒の弁護士だが、これまでは政治の分野で注目を集めることは避け、主に教育や健康問題に取り組んできた。しかし同日、民主党候補ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官ニューハンプシャー(New Hampshire)州で開いた選挙集会の応援に駆け付けると、「この狂気の沙汰に幕を引かなければ」と熱弁を振るった。

 

 トランプ氏をめぐっては、自分は有名人だから女性に触れてもとがめられないなどと豪語する動画が公開されたのに続き、過去に体を触られたり無理やりキスされたりしたなどとする女性2人の証言を米紙が報じた。トランプ氏側は事実関係を真っ向から否定している。

 

 ミシェル夫人は「これは更衣室の雑談などではありませんでした。権力者が性的搾取に当たる行為について、気ままにあからさまに語ったものでした。女性にキスした、体に触ったと吹聴しているんです」と強く非難した。

「どの党に属するかなど関係ありません。民主党だろうが共和党だろうが、無党派だろうが、このような扱いに値する女性などいません。この種の虐待を受けてしかるべき人などいないのです」と訴えた。(c)AFP

 

瀬戸内寂聴さんの死刑制度反対発言

 

 

 

以下の発言、戦争などをしたがる人々を批判したと受け止められますが、違うように受け止められました。本筋を見るべきと私は思います。それにしても、死刑制度自体への批判が少ない日本社会、多くの人の感覚こそ問題でしょう。

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瀬戸内寂聴さん(94)が死刑廃止を訴える中で、「人間が人間を殺すことは一番野蛮なこと。『殺さない』ってことを大きな声で唱えてください」と訴えた上で、「そして、殺したがるばかどもと戦ってください」と発言したとして、批判が起こり、寂聴さん本人が「誤解を招く言葉を94歳にもなった作家で出家者の身で、口にする大バカ者こそ、さっさと死ねばいい。お心を傷つけた方々には、心底お詫びします」と謝罪した。

 

 

瀬戸内さんは「徳島ラジオ商殺し事件」で冤罪を訴えるなど、死刑廃止は古くからの持論だった。1953年に徳島市で起きた「徳島ラジオ商殺し事件」では、容疑者として逮捕された女性は冤罪を訴えていたが、懲役13年の判決が確定し服役。再審請求中の1979年に死亡し、それから6年近くが経過した1985年7月、再審で無罪判決が出ている。

 


瀬戸内さんは、この女性の裁判について記事を雑誌に発表し、1971年には「恐怖の裁判 徳島ラジオ商殺し事件」(読売新聞社)が出版された。瀬戸内さんはその後も、連続ピストル射殺事件を起こした永山則夫元死刑囚=1997年死刑執行=や、連合赤軍元幹部の永田洋子死刑囚=2011年獄死=とも親交があったことで知られている。

10月7日に行われた日弁連の人権擁護大会では死刑廃止宣言が採択された。


内閣府が14年11月に行った調査によると、「死刑は廃止すべきである」と答えた人は9.7%だったのに対して、「死刑もやむを得ない」は80.3%にのぼった。「死刑もやむを得ない」と答えた人に対して、将来的にも死刑を続けるべきか聞いたところによると、「将来も死刑を廃止しない」が57.5%、「状況が変われば、将来的には、死刑を廃止してもよい」が40.5%だった。

 

いいかげんなことだらけ  配偶者控除問題

 

忙しいからいちいち書いてられないが、毎日愚かしいことだらけ。
この配偶者控除の見直しも先送りという情報、新聞記者も政治家も、ジェンダー観点に立つ、家族単位批判、シングル単位化の観点がないから右往左往。

私のなかでは27年前に解決して示した問題。若い人でシングル単位の観点でちゃんと論陣を張るような人が出てほしいものです。私はそういうのから降りているので。

 

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配偶者控除の見直しで、政府・与党は、代替案の夫婦控除(夫婦なら一定の控除を適用)導入を先送りし、配偶者控除の適用拡大を検討する方針に転換

 

●これは、夫婦合算での見直しもカップル単位であって全く不十分であるのに、あろうことか、限度を引き上げるという全く後退する案を出してきたということ。「年収制限引き上げにとどめる」とメディアは言っているが、「とどめる」ではなく、逆ベクトルの改悪ですよ。

 

mediaや学者や政治家には見る目がない人が多いようで、「これは少し改革が後退した」ととらえて、「いまよりはすこしは改善である」ととらえる人がいる。まったく間違いである。

 

●昔、90万円から103万円に課税限度を上昇させてきたのは、性分業を拡大させるもので後ろ向きのものだった。フェミニストも野党も見識がない人は、それはいいことと思っていたが。

だから根本的なシングル単位の改革ができないとしても、むしろ課税限度を下げて50万円にすれば、さすがに低すぎるから多くの人が課税を気にせず働いて税金も納めて、女性の社会進出は進むし、無理に労働量を抑えることもなくなり、そうすれば賃上げ要求も率直に出していける。従来は性分業=ジェンダー秩序維持だけでなく、労働運動抑制の意味まであったのだ。

当然企業の社会保障負担や賃金負担を低く維持するための政策で、企業の側にに立ったものだった。

 

●ところが今回、限度を150万円程度に上げる案が強くなっている。新たな年収上限を超えれば夫の税負担が増える状況は変わらないからそれが新たな壁になるだけ。企業も喜ぶわな。賃金も抑制できるし、社会保険料負担とか低いままでいいなら。


むかしの発想に戻って、性分業を維持するために、主婦の人の働き方を維持しつつ、すこし課税限度をあげてもう少し儲けられるようにして、選挙で票を得ましょうというわけ。

根深く日本社会はカップル単位制度を維持しようとしていることが露呈したということ。

 

●夫婦控除を導入するのがまるで男女平等のように思っている人がいるが、それは視野が狭い。ジェンダー秩序は、結婚している女性が働けばいいという話だけではない。妻がフルタイムで働く世帯との不公平感だけの問題ではない。
結婚しているカップルが優遇されて、独身者や離婚者、性的少数者が差別されている問題も含めてジェンダー秩序を見直していくことこそ、男女平等、ジェンダーフリーの意味である。

性についての生き方で中立的・平等に扱うべきなのだ。だからシングル単位。
この基礎さえ勉強していない人が多すぎる。20年以上遅れている。私が最初にシングル単位を言ったのは1989年だからもう27年前。

 

●背景には、保守派の家族の在り方への、日本の国体へのこだわりがある。保守勢力の家族単位の維持が根深くある。日本会議の運動にはそれが如実。

 

●メディアではただ、年明けの衆院解散説での解説があるだけ。まったく表層的。

●安倍政権の、女性の就労促進を含めた「働き方改革」を重要課題に掲げているのがいかに底が浅いかが露呈。「改革の加速」など口先だけ。いつまで「ヒトラーまがいの安倍」の出まかせに付き合うのか。

 

●夫の配偶者手当、夫の税控除、妻の税負担、社会保険料負担など多くに影響する問題。赤字財政が拡大する一方のなかでの、この長期展望のない愚かなことの繰り返し。タイタニック化が止まらない日本。
社会民主主義を基礎とした、大幅増税、シングル単位化をできないかぎり、展望はない。
配偶者控除の廃止はもちろん、「夫婦控除」も全くやるべきでない。個人単位の税制にしていけばいいだけのこと。

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「香川県弁護士会」のデッチ上げ「懲戒処分」

 

裁判もいいかげんなことが多いですが、弁護士会がこれですから困ったもんです。
主流秩序に加担している法曹界

やはり最後は個人が、どういう立場をとるかです。

 

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以下情報

香川県弁護士会」のデッチ上げ「懲戒処分」の「停止」などをもとめる日弁連への要請行動と記者会見について

【記者会見】
香川県弁護士会のデッチ上げによる
生田暉雄弁護士への懲戒処分撤回の訴え(日弁連に対して)161004
https://www.youtube.com/watch?v=MNvE56cLMYg

 

記者会見で説明に使用された資料の「懲戒処分の問題点」は下記
http://kyoukasyosaiban.web.fc2.com/sub6/2016/i13.pdf

 

生田弁護士の『懲戒処分異議申立・効力停止申立書』は下記
http://kyoukasyosaiban.web.fc2.com/sub6/2016/i17.pdf

 

これらを参考にして動画の記者会見を観て頂ければ、香川県弁護士会の生田暉雄弁護士への「懲戒処分」が、デッチ上げであることが、良く理解でると思います。

 

なお、
香川県弁護士会のデッチ上げによる生田暉雄弁護士への懲戒処分に関する資料は
http://kyoukasyosaiban.web.fc2.com/sub6/2016/ikuta.html


に掲載しています。

 

えひめ教科書裁判を支える会 奥村(文責)


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根の深い木

 


「宮廷女官~チャングムの誓い」「朱蒙(チュモン)」「善徳女王」「ソドンヨ」「馬医」「トンイ」などの韓国歴史ドラマでは、改めて権力者の在り方を考えることができた。いちばん記憶に強く残っているのが、ミシルだ。敵ながらあっぱれの深さがあった。
その他のドラマでも、「悪役」とされる側の、権力に執着する者にある、その深い覚悟や哲学には一理あるな、それが現実だろうなと思えるものがいくつもあった。権力とは握れば、離してはいけないものであり、離せないものであり、そのために多くを犠牲にするものであり、悪でも悪でなくなるものなのだ。権力を失った時、悪になる。


韓国ドラマ『根の深い木』で、王と対抗勢力「密本」の指導者が意見を闘わせるシーンがある。

王が民に字を与えることで貴族や官僚の特権を掘り崩していけるというと、密本指導者は、政治的リーダーには「民」(庶民)のために決断してよい結果を残す責任があるのであって、民に決める権利を与えていくのは、政治リーダーが自分の責任から逃れようとしているだけだ、卑怯で腰抜けだと批判する。


王がおまえたちは既存の支配階級の利権を維持しようとしているたけだというと、密本指導者は、「民」(庶民)は愚かで欲望に負けていくだけで、儒教にのっとった道徳的な決断などしない。きれいごとをいうな。科挙という試験を通ったエリートが支配することが結局民のためになるのだという。

 

この論争は、いまの社会の政治を、エリートが指導していくべきか、民衆が主体的に政治を行う道を追求するべきかという話につながる。

簡単に後者がいいといえないのは、大衆は時には欲望のためにひどいことをするし、ネットにあふれる悪意のように他者を攻撃する現実があるからだ。左翼だって前衛党による指導・誘導が現実的と考える長い歴史があった。

インテリや教師というものには、「教育=答えを教える、啓蒙」のように考える傾向があり、その背景には、エリートが指導すべきという意識が隠れている。そもそも勉強ができるほうがいい、頭が賢いほうがいいというのだって、危険な「同種のにおい」があるではないか。

今の政治家や官僚、経営者の多くは、意識するかしないかにかかわらず基本はパターナリズムだし、エリート主義だ。だからこそその裏返しで、口先で大衆をだますようなことを平気で言える。大衆など操作する対象と思うからこそ、選挙の時に、程度の低い言葉で操るし、メディア操作やCMで宣伝するのも大衆操作に過ぎない。


で、実際、そのような政治家やCM、メディアに操作される大衆がいるから困るのだ。
いちばんダメなのは、自分の中に、そうした主流秩序に基づくエリート主義がありながら、自分はそういう考えでなく、庶民と同じレベルの人間で、国民は偉い、民主主義はよい、エリートでなく国民がいいバランスで政治家を選んでいるし、消費者は賢いし、だから世の中はうまく回っていると思っている人だ。


大衆を馬鹿にし操作しながら「バカにしていない」と思える能天気な人が多い。今の日本は民主主義でいい社会だと思える人たち。
まあそれが、主流秩序に無批判的であるという状態なのだけど…。

 

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話を「根の深い木」に戻そう。
王が、庶民に字を与えることで自分で決めていける社会の主人公になれるという、今の民主主義をにおわす方向で発言すると、視聴者は一見、王が正論を言っているように思う。


だがドラマを見ていくと、実は王は、字を作るという自分の興味、歴史に名を残す名誉というようなものを求めていたのではないか、王は本当は庶民など信じておらず、愛してもいないのではないかと自問しないといけなくなる。
民のために本当に良い結果を残すのか。偽善者だという批判が当たっていないと言い切れるか。

少なくとも王という特権階級のものが言うことにどれだけのリアリティ、民主主義性があるというのか。効果がどうなるかわからないがやってみるというのでいいのか。

ドラマを見ていて、本当に考え出すと、悪役の側の意見にも耳を傾けるべき側面があると思えてくる。
結局庶民が苦しむことになる、というのは、本当によくあることではないか。

 

庶民の道徳レベルがあがるのではなく、欲望のふたを取り払って欲望の暴走をもたらすというのは、特にむつかしい問題だ。正しいリーダーが導いてこそ良い世の中になるというのは、今でも主流の考え方ではないか。そして今は欲望のふたが開いてむちゃくちゃな面があり、またそれが商業化され、人々は操作されている。Iphonの新製品やポケモンGOに群がる人々。米国大統領選トランプ候補に熱狂する人々。

 

だからドラマの中のこの論争には迫力があった。どちらも当時の現実のなかでの、真実の一面をついていた。だからこそ、自説を主張したほうも、相手方の主張に正しい面があるとおもい、悩み、動揺する。本気で考えようとする。
今の安倍首相(自民党)には全くない、真摯な政治家の姿勢である。


ドラマでも、「蜜本」指導者が、犬が言葉を理解すると、かえって犬を支配しやすくできるといっていた。字の普及はそのようなものになるだけだと王を批判する。犬に言葉を教えると、かえって支配しやすくなるというのは、今のメディア支配状況・ネット情報状況によく適合する。情報がいっぱいあって賢く選択しているようで、実は、支配層の考えを吹き込まれて信じ込んだ大衆が保守化し、集団的自衛権という名での戦争体制化や企業減税正当化のトリクルダウン論など支配層の考えを、自分の考えのように述べて、支配秩序を支持している。


今、メディア操作で簡単に大衆は、トランプや安倍や橋下などに喝さいを送るという状況があるので、「大事なのは民主主義だ!」というだけではことは解決しない。ヒラリークリントンをよく知りもしないで、人気がないといってけなす。昔は中国に親近感を持つ人が多かったが、今や中国が嫌いという人が8割を超す状況。大衆は簡単に操作される。

 

この「エリートが指導していくべきか、民衆主体でいくべきか」という問題は、長期的には王の言う路線が必然であった。しかしそれは長期的な話で、しかもそれは楽観的可能性である。繰り返すように、大衆が愚かな選択をする可能性はつねにある。


にもかかわらず、私が確立した自分の生き方のスタンスの観点から述べるならば、「大衆に権利、権力を渡したらろくなことにならないからエリートが統治すべき、という論」は、正しくない。なぜならエリートの支配階級は必ず腐敗するからであり、たとえタテマエでも理念、目標として社会の下層の人の権利を守るような社会ということを中心軸におかねばその腐敗をチェックできないからである。

マルクスはルンペン層はあまりに貧困であるがゆえに簡単に悪(支配層)に買収され操作されるとして批判したし、社会変革の主体として期待しなかった。
ただ、これはじつは労働者階級にもあてはまる。


しかしどの階級の人であろうと、悪に買収されない人もいる。高貴な生き方をするひとはいる。主流秩序に抵抗する人はいる。環境や立場や過去のせいにするのは逃げであり必然ではない。フランクルが言ったように、収容所でも人間らしい態度価値を生み出した人はいたし、ガス室でも祈る人がいたし、収容所のガス室に、代わりに入る人がいたのが人間だ。虐待する側に回ったユダヤ人がいた事実もあるけれど。


ガス室を作る人間と、ガス室で祈る人間がいる。支配側のドイツ人の中にも両方の人間がいる。被支配側のユダヤ人の中にも、両方の人間がいる。

そこから希望を見出すのが、私たちの立場だ。民はおろかで操作され、欲望の渦に巻き込まれもするけれど、それでも、素晴らしい人もいるし、それが増えることもある。
王でもなく、蜜本側でもない、次の時代の立場というものがまた出てくる希望がある。


今の時代からいえば、時代の制約がある中で、王の言い分には、正しい面があった。反対側の言い分にも正しい面があった。双方、足りない面があり、一面的であつた。権力が腐敗することを意識し、エリート主義を脱していこうとするなら、人民主権を中心理念に置きつつ、不断にその理想状態をめざして、教育―――自分の頭で考える人々を増やす教育、リテラシー教育、権利が侵害されたときに適切な対応ができる力を養う教育、ナショナリズムにならないような教育、闘う力をつける教育、エンパワメント教育、メディアによる権力チェックを支えるような人を増やす教育、一言でいえば主流秩序に巻き込まれない主体を作る教育―――を続けていかねばならない。それは学校だけでなく社会運動やメディアを通じてなされなくてはならないだろう。そして、様々な人によるメディア自体のチェック、多元的な相互チェック、それをくみこんたシステムにすることが必要だろう。

 

国民主権、人民の主権といっても、実際はエリートが支配しているようなことはいくらてもある。また、昨今の情報社会においての大衆の暴言、ヘイトスピーチ、俗物化、低俗化という現実もある。選挙のスペクタクル化、ポピュリズムの蔓延、ナチスをはじめとして歴史的に極右やナショナリズムが大衆を巻き込んだ事実はたくさんある。

「善人とは、悪人になる状況になっていない者のことである」「智慧を付けた民は、いいように、たやすく支配される。人の言葉を理解する犬のように。」
そうかもしれぬ。だがそうはならないという方向で闘い続ける人々も不断に生まれてくるであろう。そうして社会は変化していく。ある時は勝ち、ある時は負ける。それが歴史である。
そして、民衆側、民主主義側、反主流秩序の側は、また戦えば良いのだ。

 

蜜本リーダーは死ぬ前に言う。「今は王の主張が正しいと願うしかない」
彼が民によい世の中を願ったことに疑いはない。
で、今の政治家、学者、経営者。エリートたちに、蜜本リーダーの気概はあるだろうか。

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「根の深い木」で、主人公の男(カン・チュユン=トルボク、復讐だけを考えてきた下層階級奴婢の武士)は、もはや復讐ではないと分かった時点で、幼馴染(ソイ)と結婚し畑を耕し子供を育てる穏やかでささやかな生活を夢見る。だが、その幼馴染の彼女は、自分の苦難の半生を無駄にしないためにも、自分のトラウマに対処するためにも、死んだ親のためにも、庶民が幸せになる社会を願い、王の文字創設計画に自分の人生をかける。

 

愛が相手(彼女)の夢の実現を応援するものなら、彼女の願いの実現を支えようとして、その男(カン・チュユン)は「自分たちのささやかな生活」に直ちに入ることをあきらめ、権力闘争の駒となる。

 

そしてその彼女も、男も、その夢の途中で力尽き折れていく。
その人生は、その最期は、幸せだったのだろうか。
夢の達成が幸せなのか、夢を見て走っていくプロセスが幸せなのか。

革命などそもそもないかもしれぬが、革命が達成されることを目指すのか、永久に達成は来ないがそれでいいのか。永久革命・・・。アナーキズム。現実の生活。

 

そのことを合わせて、私なりの「答え」を書いたのが、主流秩序論。

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「善徳(そんどく)女王」とでも政敵ミシルは、尊敬すべき凄く深い思想を一部持っていた。「根の深い木」でも、善人とは悪人になる状況になっていないものだとか、権力とはそれ自体が目的だなどと、権力というものを考えさせる発言があった。
チッソを批判していた被害者・患者側の人が「もし自分がチッソ社員だったら」という問いを立てた。金もうけというものに取りつかれた悪夢を描く「マイダス」は、裏側から自分の生き方と主流秩序を考えさせる。人々がいかにおろかであるかをおもろおかしく描く韓国昼ドラ系「いとしのクムサウォル」の引っ張る強さ。

 

「根の深い木」で、ソイが死ぬシーンでは泣けた。
韓国ドラマは日本の浅薄なドラマよりずっと面白い。

 

 

 

苦海浄土と 主流秩序 2

 

苦海浄土と 主流秩序、その2.

石牟礼 道子『苦海浄土 わが水俣病』を扱ったNHK「100分de名著」の第4回は特によかった。

 

友人が、これのNHKテキストを買っていた。共振同調。
て見せてもらった。


今年、夏に鳥取大に行ったとき、その友人の研究室にあったのが「チッソは私だった」。共振同調。


で、「チッソは私だった」という緒方正人さんの話を、この第4回で聞けた。すごかった。
自分がチッソの社員だったらどうだったか。
金の交渉に矮小化される現実。
命がわずかに30万円。
ネコに、「この金でなかったことにしてくれ」といって通じるか。
死者に金で償えるのか。


チッソは私であったとは、主流秩序に加担する自分を見つめ、敵は秩序上位者だけではない、資本家や経営者や政治家だけではないという話、そのもの。


また、患者として苦しみにさらされながらも「私たちは許すことにした」と語る杉本栄子さんの話も紹介されていた。

 

敵と同じにならない、非暴力の存在になってこそ、最も憎むべきもの(主流秩序)と対峙できる。

 

「絶対に許さないから握手をするんだ」
「終わりはないけど一緒に終わりのない道を歩くから握手をするんだ」

 

憎悪の連鎖を断ち切ろうとすることは、911被害者の姿勢にもつながるが、日本では、多くは死刑にしろ、軍事費を拡大して、中国に対抗せよという声に消される時代。そんな自民党を支持する大衆。

いまの日本社会の最も対極にあるのが、
「苦海浄土」のスピリチュアルなレベルの感性と社会への臨み方。

 

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LENOVOでの電話サービスで・・・

 

LENOVOのPCをEDIONで買って、延長保守サービス「Lenovo Services」を同時に買ったので、有効化しようと思ったが、上手くいかなかった。HPのどこに番号を入れるかとか、領収書の写真がいるとか、色々ややこしかった。


それで電話で、やり方を聞こうとして、LENOVOのサービスセンターに電話したら、
「それについては、お答えできません。サービスを買われたお店(EDION)に行って聞いてください」という。
しかしこの延長保守サービス「Lenovo Services」は、LENOVOが売っているし、EDIONさんはその仲介しているだけだろうし、私が聞きたかったのは、手続きの基本の仕方なので、どのHPのどの画面のどこに何を入れればいいかとか教えてくれればいいだけだった。

ので、「このサービスはLENOVOさんのだからEDIONにいってもダメと思うんですが・・・」といったが、
電話口の女性は「そのお金を払ったのはお店ですよね。ですからお店で聞いてください」と強く言われた。おかしいなと思って少し再度確認したが同じことを強く言うので、仕方ないので電話を切り、わざわざ時間を見つけてEDIONに行って事情を話した。

 

お店の方は丁寧に対応してくださり、LENOVOにも電話してくれたが、押し問答になり、何もしてくれないという。
私は自分の携帯の番号を伝えるので、電話で指示を聞きながらPC操作をしたいと申し出てもらったがそれもしないという。お店でもそのやり取りで20分以上使った。

 

仕方ないので、もしうまくいかなければキャンセル・返金を申し込もうと思って帰った。

夜に再度試みて、PCのシリアルナンバーとかなんとかいろいろ入れて、領収書の写真の貼付で少し手間取ったが、うまくいった。
結果的には自分で何とかなったが、そのやり方を電話口で簡単に言ってくれればいいのに、とにかくLENOVOの電話窓口では何も教えてくれず、ただ「買った店に行け」という指示はおかしかったなと思う。
自分のLENOVOの会社のPCに着けている自社のサービスなんだから。


EDIONがつくっている保証サービスならEDIONに行けということもわかるが、LENOVOのサービスなのに不思議な対応だった。

 

わざわざ店に行くなどして2時間ほどが無駄になった。そのことがあーあという感じ。


きっと、何かマニュアルがあるのだろう。しかし、自分の頭で判断して対応するならばもう少し言い方もあるだろうし、きっと「買った店に行け」というケースではないだろう。
「・・というHPを開いて、。。。をクリックしてください」とか基本を言って、上手くいかなければまた聞いてくださいとか言うならわかるが、何一つ、そういうことは言わず、何一つ確認もせず、「PC買った時にそのLENOVOの保証延長サービスを買ったんですね。では店の問題です。」というのはきっと間違った対応だったとおもう。

あの電話口の人はそのことがわかっているんだろうか。

女性の貧困とDVと主流秩序

 

 


アジア女性資料センター「女たちの21世紀」No.87【特集】「女性に押し寄せる新しい貧困――『新・家制度』強化の中で」
というのが出て、その中で、
私も
「シングル単位男女平等運動と女性の貧困――DVを切り口に」
というものを書きました。

 

この間、時々、「女性の貧困」とか「女性の貧困とDV」というテーマでの講演依頼もあるので、そこで話しているようなことをまとめました。もちろん、私の主流秩序論を中心に。


1 貧困とDV
DVと貧困の絡み

 

2 貧困を拡大してとらえる


紙幅の関係で詳しくは説明できないが、本稿では主流秩序概念を使って貧困を拡大してとらえることを提起したい。・・・
かわいくないとだめという思いに縛られて自己肯定感が低くなっている女子も多く、ジェンダー秩序の上位に行けない自分や他者に対して攻撃的否定的になってしまっている。外へ向かう暴力と自分へ向かう暴力(自殺念慮摂食障害リスカ・ODなど)は表裏一体である。狭義の経済的貧困というだけでなく、ジェンダー秩序や権力や金(主流秩序)という力に振り回され、いい人間関係が作れず、様々な暴力被害に巻き込まれ、適切な性教育情報も持っていないような“貧困”が広がっているとみることが、貧困論の深化のためには必要である。

 

3 シングル単位(ジェンダー秩序からの離脱)の男女平等運動へ 


 とするなら、私の反貧困論は、主流秩序、ジェンダー秩序への従属から自らを解き放てるようになることを眼目とする。・・・
ひどい社会であるが、それに負けて自分がひどい人間になり、その意味での“貧困”になるのではなく、主流秩序・ジェンダー秩序が支配する社会においても、自分にできる選択を積み重ねて、主流秩序・ジェンダー秩序の諸価値に負けない自分らしい価値に沿って生きられた時、それは自由で豊かな生き方=脱貧困の生き方になるであろう。シングル単位感覚とはジェンダー秩序からの離脱ということである。私が主張してきたシングル単位型の男女平等運動とは、そのような展望に位置づいたものである。パートナーがいることを否定しているのではない。結婚・性分業に逃げ込むなということであり、主流秩序に加担することに敏感になれということであり、パートナーがいようといまいと、自立するしかないということである。人生からの問いかけに、自分の頭で考えて答えを出していかないところに、自由も解放も脱貧困もない。主流秩序が提供する低きものに流されて思考停止するのでなく、主流秩序・ジェンダー秩序を振り払って、ちゃんと生きる《自分独自の芯》をもって生きられるかどうかが、人生の分かれ目である。


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以下、雑誌自体の案内
(以下、転送・転載歓迎)
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最新号『女たちの21世紀』No.87
【特集】女性に押し寄せる新しい貧困――「新・家制度」強化の中で
http://ajwrc.org/jp/modules/myalbum/photo.php?lid=227&cid=1

2016年9月発行


単価 : ¥1,296 (税込・送料別)


アジア女性資料センター発行/夜光社発売

 

 第二次安倍政権が成長戦略として掲げた「女性活躍」政策は、その後、女性た
ちの暮らしにどのような変化を引き起こしただろうか。待機児童、長時間労働
非正規労働増加などの問題は解決の見通しがつかないなか、今度は外国人女性た
ちが「家事労働支援人材」として「活用」されようとしている。
 安倍政権下での女性活躍政策が大量の女性の貧困を生み出しつつある状況を明
らかにし、「一億総活躍」や自民党改憲草案(2012年)路線の「新・家制度」に
どう対抗するか考える一冊。

 

特集にあたって  竹信三恵子 

[対談]女性に押し寄せる新しい貧困  竹信三恵子 × 堅田香緒里

単身女性の老後――高齢女性の年金問題  大矢さよ子

[コラム]老後におびえる私たち40代、50代  渡辺照子

実家暮らしに潜む困難――若年シングル女性を事例として  飯島裕子

フクシマ原発事故で母子避難を余儀なくされた――女性たちの貧困スパイラル  吉田千亜

シングル単位男女平等運動と女性の貧困――DVを切り口に  伊田広行

 

[インタビュー]移住女性の貧困  山岸素子 

格差社会のなかの「レズビアン」――家族と市場をめぐって  堀江有里

★そのほか、国内女性ニュース、海外女性ニュース、連載など。

 


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【最新号と一緒に読みたい「女たちの21世紀」バックナンバー】
●「女たちの21世紀」No.86【特集】フェミニスト視点で見る選挙の争点
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●「女たちの21世紀」No.83【特集】新たな「移民政策」と女性
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●「女たちの21世紀」No.75【特集】女性を「活用」!? 誰のための成長戦略か
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(ここまで)

 

みなまた いしむれみちこ くがいじょうど と 主流秩序

 

石牟礼 道子(いしむれ みちこ)
『苦海浄土 わが水俣病
NHK100分de名著で扱われた。いい番組だった。スピリチュアルだった。
番組にかかわった人はいい仕事をした。

 

 

 

私が「たましい」という言葉をつかってきたことを、分からないとか、宗教とか、インチキ扱いする人もいたようですが、石牟礼さんが伝えるレベルのことは否定できないでしょう。触れればの話ですが。

 

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「みんながやったんです」「私の責任じゃないんです」といった責任回避

宇井純が、公害には第3者はいない、チッソという会社だけが悪いといって自分は関係ないというのではなく、プラスチックを使っている私たちは、第3者でなく加害者でもあるのだと指摘したという。主流秩序の視点そのもの。


チッソ会社には優秀なエリートが就職していた。自社の水銀が公害の原因とわかってもその事実を隠して金もうけを続けた。
主流秩序の問題。

 

むすめのたましいのにおい、というとらえかた。
にんげんをばんごうでとらえるもんだい。
孤・個でなくてはならないという問題。

スピリチュアリティで、主流秩序へのスタンスを問うことばかり。

 

 

患者家族の発言
「銭は一銭もいらん。その代わり、会社のえらか衆の、上から順々に、水銀母液ば、飲んでもらう。上から順々に、43人に死んでもらう。奥さん方にも飲んでもらう。胎児性の産まれるように。その後順々に、69人、水俣病になってもらう。あと100人くらい、潜在患者になってもらう。それでよか。」

もはやそれは死霊、生霊のことばというべきである。

 

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HP情報
NHK100分de名著
http://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/58_kukai/index.html

 

国などの救済対象となった被害者だけでもおよそ5万人にも及び、世界に例をみないほど大規模な公害問題を引き起こした水俣病。その被害者である漁民たちの運動や患者たちの苦悩・希望を克明に描ききった一冊の本があります。「苦海浄土」。1950~60年代の日本の公害問題を知る上での原点ともいうべき本であるとともに、そこに込められた深い問いやメッセージの普遍性から「20世紀の世界文学」という評価も受けている名著です。「100分de名著」では、水俣病公式確認から60年の節目を迎える今年、「苦海浄土」に新たな光を当て、現代の私たちに通じるメッセージを読み解いていきます。

 

著者の石牟礼道子(1927-)はもともと一介の主婦でした。しかし自らの故郷を襲った惨禍に出会い、やむにやまれない気持ちから水俣病患者からの聞き書きを開始、「苦海浄土」を書き始めます。以来、水俣病患者や彼らにかかわる人々に寄り添い続け、全三部完結まで足かけ四十年以上、原稿用紙にして二千二百枚を越える文章を書き継ぎました。

 

第一部が出版された1969年の日本は高度経済成長の只中。いわば経済発展の犠牲者ともいえる水俣病患者たちは、まだメディアで断片的にしか伝えられることはなく、その全貌はほとんど知られていませんでした。そんな中での「苦海浄土」出版は、経済成長に酔いしれる日本人たちに大きな衝撃を与えたのです。


この書は単に公害病である「水俣病」を告発するだけにとどまりません。「苦海浄土」に描かれた人々の生き方からは、「極限状況にあっても輝きを失わない人間の尊厳」「苦しみや悲しみの底にあってなお朽ちない希望」が浮かび上がってくます。

 

さらには、公害を生んだ近代文明の根底的な批判や、そうした近代の病を無意識裡に支えてきた私たち一人一人の「罪」についても鋭く抉り出します。この本は、単なる公害告発の書ではなく、文明論的な洞察がなされた著作でもあるのです。


 番組では、批評家・若松英輔さんを講師に招き、新しい視点から「苦海浄土」を解説。そこに込められた「人間の尊厳」「近代文明批判」「歴史観と生命観」「罪とゆるし」など現代に通じるテーマを読み解くとともに、想像を絶する惨禍に見舞われたとき、人はどう再生し、生きていくことができるかを学んでいきます。

第1回 小さきものに宿る魂の言葉
【放送時間】
2016年9月5日(月)午後10:25~10:50/Eテレ(教育)
【再放送】
2016年9月7日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2016年9月7日(水)午後0:00~0:25/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります


【指南役】
若松英輔
…「井筒俊彦―叡智の哲学」「生きる哲学」「悲しみの秘儀」等の著作で知られる批評家。 
【朗読】
夏川結衣(俳優)
…NHKドラマ「トップセールス」で主演。


水俣病」の真実の姿を世に知らしめようと書かれた名著「苦海浄土」。石牟礼道子がとりわけこだわったのは、言葉すら発することができなくなった患者たちの「声なき声」だった。「ものをいいきらんばってん、人一倍、魂の深か子でござす」。例えばそう語られる患者の一挙手一投足に目を凝らし、彼らが本当にいいたいことに耳をすます。その結果記録されたのは、魂の奥底から照らし出されるような力強い言葉だった。その言葉の数々は、苦しみや悲しみの底にあってもなお朽ちることのない何かがあることを私たちに教えてくれる。第一回は、石牟礼道子が「苦海浄土」に記録し続けた患者たちの「声なき声」の深い意味を読み解くことで、想像を絶する惨禍に見舞われたとき、人はどう再生し、生きぬいていくことができるかを学んでいく。



第2回 近代の闇、彼方の光源
【放送時間】
2016年9月12日(月)午後10:25~10:50/Eテレ(教育)
【再放送】
2016年9月14日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2016年9月14日(水)午後0:00~0:25/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【指南役】
若松英輔
…「井筒俊彦―叡智の哲学」「生きる哲学」「悲しみの秘儀」等の著作で知られる批評家。 
【朗読】
夏川結衣(俳優)
…NHKドラマ「トップセールス」で主演。

 


「生命の根源に対してなお加えられつつある近代産業の所業とはどのような人格としてとらえなければならないか」。そう宣言し、石牟礼は「みんながやったんです」「私の責任じゃないんです」といった責任回避の論理を徹底して否定してみせる。そういう曖昧な捉え方をしていては、今起こっている出来事の正体を見過ごしてしまう。近代には、我々が普通に考えている人格とは違う、「化け物」のような人格があるということを見極めることが大事だと石牟礼はいう。第二回は、近代産業社会が解放してしまった人間の強欲、自然をことごとく破壊しても何かを成し遂げようとする人間の業といった、「近代の闇」と向き合うすべを学んでいく。



第3回 いのちと歴史
【放送時間】
2016年9月19日(月)午後10:25~10:50/Eテレ(教育)
【再放送】
2016年9月21日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2016年9月21日(水)午後0:00~0:25/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【指南役】
若松英輔
…「井筒俊彦―叡智の哲学」「生きる哲学」「悲しみの秘儀」等の著作で知られる批評家。 
【朗読】
夏川結衣(俳優)
…NHKドラマ「トップセールス」で主演。

 


「苦海浄土」に描かれているのは人間だけではない。魚や貝や鳥たち…最も弱き者たちから傷つけられていくのが「水俣病」なのである。この状況を見つめるとき、人間は、自分をはるかに超えた大きな生命の一部だという厳粛な事実に気づかされる。こうした生命観を回復しなければ人は再び同じ過ちを犯してしまうかもしれないということを「苦海浄土」は教えてくれる。一方で、水俣病患者や彼らにかかわる人たちは、大きな問題に直面したとき「足尾鉱毒事件」という公害問題の原点というもいうべき歴史に立ち帰っていく。そのときの情報や知識だけではなく、歴史の叡知に立ち戻ってもう一度問題を考え直してみるのだ。第三回は、自然や歴史という大いなるものを見つめぬいたからこそ得られる叡知の大切さを学んでいく。



第4回 終わりなき問い
【放送時間】
2016年9月26日(月)午後10:25~10:50/Eテレ(教育)
【再放送】
2016年9月28日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2016年9月28日(水)午後0:00~0:25/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【指南役】
若松英輔
…「井筒俊彦―叡智の哲学」「生きる哲学」「悲しみの秘儀」等の著作で知られる批評家。 
【朗読】
夏川結衣(俳優)
…NHKドラマ「トップセールス」で主演。

 


「苦海浄土」は魂のリレーのように今に受け継がれている。水俣病患者であるにもかかわらず「チッソは私だった」と自分自身の内なる罪をも同時に告発しようとする緒方正人さん。

言語を絶する苦しみにさらされながらも「私たちは許すことにした」と語る杉本栄子さん。「絶対に許さないから握手をするんだ」「終わりはないけど一緒に終わりのない道を歩くから握手をするんだ」といって原因企業であるチッソと対話をしようとする患者たち。

 

そこには、憎悪の連鎖を断ち切ろうとする水俣の叡知があり「苦海浄土」の残響がはっきりと読み取れる。

第四回は「苦海浄土」と今を生きる水俣病患者たちの声をつないで読み解くことで、「水俣病」という未曾有の出来事が、私たち現代人に何を遺したのか、そして、そこから何を受け継いでいくべきかを深く考えていく。


NHKテレビテキスト「100分 de 名著」
苦海浄土 2016年9月
2016年8月25日発売

 

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主流にまたがる裸の列島  ラブソング amazarashi、 高橋優「裸の王国」

 

主流秩序の授業をしていて、レポートで教えてもらった、主流秩序関連の歌が、
高橋優「裸の王国」
http://www.uta-net.com/movie/167761/
https://www.youtube.com/watch?v=5D1MYdDxKVA

 

という曲。前へならえ、流行の服を着ろ、あの人の話し方をまねろという社会を、童話の「裸の王様」のような状態だと批判する歌だ。
つくられる流行に洗脳される人々。
主流にまたがる裸の列島。
踊らされてることには触れずに、踊れ!

その紹介してくれた学生も、「「右へならえ」をするその右が本当に正しい方向なのか、なにが正しいのかを考えられる人になりたい」という。
いいのを紹介してもらった。

 

 

 

もう一つ、主流秩序の授業をしていて、学生さんに教えてもらったのが、
amazarashiの歌う「ラブソング」だ。
https://www.youtube.com/watch?v=0RGTxwV--C8

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「急いで買いに行かなきゃ 誰よりも多く買わなきゃ 奪ってでも手に入れなきゃ」「愛を買わなくちゃ」「お買い求めはお急ぎを」
恋愛というもの、恋愛の歌というものが消費主義の中でただただ消費される商品となり、またその恋愛の中で、お金、買う、プレゼントということが重要な要素になっている。デートのために服をかわなくっちゃ。貧困の中で消費にあおられる人たち。貧しいものも愛は求めなくっちゃ。その愛って、なにかというと・・・・
浅い、主流秩序に取り込まれる装置としての恋愛や結婚。
愛こそすべて。信じたまえ!

****
主流秩序へのこうした違和感は、これまでも部分的には語られてきた。

こうしたものからでもいいから、主流秩序的なものについて考え始めてほしいと思う。但し、すこしの批判で終わらないことが大切。深く考え、ほかとつなげ、対抗的な自分の生き方を具体的にするところまで持っていく人がほんとに少ないから。


*****************
参考情報

amazarashの「アノミー
https://www.youtube.com/watch?v=jL8UNArX9aA
冷凍睡眠
http://www.uta-net.com/movie/203097/
多数決
http://www.uta-net.com/movie/203097/

こういう人がいるから主流秩序論を言う

 


佐々木俊尚さんのツイートというのを偶然、目にした。


佐々木俊尚 ‏@sasakitoshinao 9月24日
科学的な合理性に基づき、リアリズムでさまざまなイシューに対応していこうという人たちと、反権力左派な人たちとの対立というのが、いまや日本社会の大きな対立軸になってるように思えますね。」

 

 

こうして、「反権力左派」とくくって低く見て、それでは社会は変わらないと見て、すむ人の多さを感じて、私は主流秩序論を言っています。


佐々木さんの話に乗れば、沖縄の運動も反安保の運動も、豊洲市場移転に疑問を持つ人も、オリンピックを批判する人も、ユニオンの運動もフェミの反暴力の活動も反原発も、その他いろいろの多くが「反権力左派」ということで切り捨てられると思います。

 

 

自分が主流秩序に乗っていることへの自覚もないので、困りものです。佐々木さんの年収はいくらなのでしょうかねえ。それを公表し、自分の加担性に悩む苦しむような姿勢こそ、信じられる姿勢ですが。

 

でもちろん、「科学的な合理性に基づき、リアリズムでさまざまなイシューに対応していこうという人たちと、反権力左派な人たちとの対立というのが、いまや日本社会の大きな対立軸」ではないです。

笑えますね。

安倍政権が安保法制を通して、憲法を変えようとしている時に、大きな対立軸が「安倍と反安倍」とは別のところにあるとは。

そして主流秩序に加担するか抵抗するかという対立軸が全く見えていないとは。

 

 

バスケ

 

バスケットボールBリーグが始まった。録画で少し試合を見た。
懐かしかった。
中学高校で、がんばった日々だった。


3ポイント、中距離、近距離、スポッと決まるときもあるのに、なかなか決まらなくて、昔を思い出した。
1試合で自分の得点として4点くらいしか取れない時もあれば、最高では30点を超すときもあった。

 

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村上たかし『アキオ・・・』

 

村上たかし『アキオ・・・』(小学館)を読んだ。
よかった。

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TVドラマで『重版出来』のなかに、「タンポポ鉄道」という作品が出てきたが、それを書いたというのが、この村上たかしだった。それが付録についていて、それから読んだ。

村上たかし、そういう感じの人か。

 

で、本編の『アキオ・・・』

いいねえ。「オナニーすんのか」とか、言ってくれる友人。号泣の連続。人生でのすごいラッキー。それを失うことへのオロロ感。テへへと戻ってしまう感じの、主人公、優しく、粘り強く、正直でまっすぐで、だめで、年取って、どうしても忘れられなくて、相手のことをおもってムリできなくて、だから引いてしまったり、でも逆転を夢見て…必死に考えて…・・・


そんなのが作者と重なって、又自分とも重なって、リアルで、親しみを感じた。


作者はラブコメというが、ラブな話だなとは思った。
トウコさんをみて、切なかった。

 

 

中国の行動派フェミニストの運動について

 

以下の意義深く興味深い企画があります。紹介しておきます。
中国でもフェミが拡大するのが希望のひとつですね。

 

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DV反対を訴える「血染めのウェディングドレス」のパフォーマンスアートなどで有名な、中国の行動派フェミニストの運動について、以下の要領で、日本女性学研究会10月例会をおこないます。


【日本女性学研究会10月例会】
テーマ:中国の行動派フェミニストの運動――2012年~2016年――


・日時:2016年10月29日(土)14:00~16:30


 (いつもと開始時間が異なります。ご注意ください)
・場所:ドーンセンター(大阪)5階 セミナー室2
・報告: 遠山日出也(立命館大学客員研究員)

 

・参加費:800円 (日本女性学研究会会員は無料)
 申込みご不要です。直接会場においでください。

 

中国では、2012年から「行動派フェミニスト」を名乗る、女子大学生などの若い女性たちが、就職や教育の男女差別、性暴力、DVなどさまざまな男女差別の問題に対して運動をおこなってきました。

彼女たちは、街頭パフォーマンスアート、署名運動、連名の書簡、行政機関への通報、情報開示申請といった手段を使って、多くの人々の力を結集して運動をすすめました。

 

社会的弱者層の女性(レズビアンセックスワーカーなど)と連帯する努力もおこないました。2014年、5人の活動家が一時刑事拘留されて以後、彼女たちは厳しい状況に置かれていますが、運動は続いています。

彼女たちの運動の具体的なあり方、その歴史的な展開、5人の刑事拘留後の変化などについて、ブログ「中国女性・ジェンダーニュース+」(http://genchi.blog52.fc2.com/)も執筆している会員の遠山日出也さんが画像や動画もまじえて報告します。

彼女たちの運動が私たちに示唆するものについても考えたいと思います。

 

*報告者による関連著作:「中国の若い行動派フェミニストの活動とその特徴――『ジェンダー平等唱導・アクションネットワーク』をめぐって――」(『女性学年報』34号[2013年])、

「近年の中国におけるLGBT運動とフェミニスト行動派」(『現代思想』2015年10月号)、

「行動派フェミニストの街頭パフォ―マンスアート――図像を中心に――」(中国女性史研究会編『中国のメディア・表象とジェンダー』研文出版 2016年)、

フェミニスト行動派の運動とその特徴――二〇一二年二月~二〇一六年四月――」(小浜正子・秋山洋子編『現代中国におけるジェンダー・ポリティクス: 格差・性売買・「慰安婦」』勉誠出版 2016年)。

また、大橋史恵「中国フェミ的見聞録」(『女たちの21世紀』に2012年から連載)もご参照ください。

 

問合せ Email:tooyama_renraku2015@yahoo.co.jp(遠山) 

 

ヘイト・スピーチ 大阪市条例の検討

 

以下、紹介しておきます。大阪市、「規制」や「禁止」ではなく「対処」となっていること、地域や内容が限定され、当初うたわれた訴訟費用援助もないとは、ひどいです。

 

前田ブログ
ヘイト・スピーチ研究文献(69)大阪市条例の検討
http://maeda-akira.blogspot.jp/2016/09/blog-post_21.html

 

藤井幸之助「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例』を読む」『書評』145号(関西大学生活協同組合、2016年)

条例制定過程を紹介し、条例全文を収録。「規制」や「禁止」ではなく「対処」となっていること、地域や内容が限定され、当初うたわれた訴訟費用援助もないことを指摘。本年3月13日に大阪市立会館で行われたヘイト集会の様子も紹介。在間秀和弁護士の「小さく産んで、大きく育てることが大切だ」という言葉で締めくくっている。
Posted by 前田朗 at 2:37 AM


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