ソウルヨガ

主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

大相撲での「女人禁制」についての抗議声明

 


大峰山女人禁制」の開放を求める会の人たちが、
大相撲での「女人禁制」についての抗議声明を出しました。

 

私も知人達とともに、昔、大峰山に対して、性的マイノリティのひとたちの場合はどうなるのかも含めて考えてほしいという趣旨で、女人禁制への質問状を出し、その見直しを求める活動をしたことがあります。皆で現場にも行ってそこで話し合いをし、できれば山に登ろうというころまでいきましたが、無理やり登るのはやめたという経緯がありました。

 

 

大相撲でも過去いくつかの動きがありました。内館牧子氏などが伝統を守るべきというようなことも言ってきましたが、伝統といえば何でも残せばいいというわけではないので、屁理屈ヲいつまでもつけてこだわるのではなく、見直す時期にきているのは明らかです。

リベラルといってもこの問題では理解しない人もいます。フェミ嫌いという体質の人もいます。

 

 

ただ今回はメディアの状況は、大衆的なワイドショーの傾向も、あまり根拠のない伝統への個室への批判的な意見が多くなっています。

しかし安倍政権を支える右翼勢力がネトウヨなど新しい草の根的な保守勢力・ナショナリズム的見解の人たちを広げている現在、バックラッシュも根深く、今後、直に改革が進むのではなく、反動が大きく出るだろうとも思われる。

 

 

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日本相撲協会八角理事長 様

日本相撲協会「土俵の女人禁制」に抗議し要望します!

 

各メデイアの報道によると、4月4日午後2時過ぎ、京都府舞鶴市で開かれていた大相撲の春巡業「大相撲舞鶴場所」で、土俵上で挨拶をしていた多々見良三舞鶴市長が倒れた。そのとき、二人の女性が土俵に上がり、心臓マッサージをしていたところ、少なくとも3回にわたって「女性の方は土俵から降りてください」という場内アナウンスがあったという。
その後、救急隊員が土俵に上がり、女性に代わって救命措置を始めた。その間にも複数回、「女性は降りてください」と場内アナウンスがあったという。市長は救急車で病院に運ばれ、くも膜下出血の手術を受け、一命をとりとめた。

 

アナウンスをしたのが、行司だったことは、当日夜、日本相撲協会八角理事長が「行司が動転して呼びかけたものでしたが、人命にかかわる状況には不適切な対応でした。深くお詫び申し上げます」とのコメントを出したことでわかった。
人命より「女人禁制」を優先した行司の態度に多くの人が怒りをもったし、わたしたち「大峰山女人禁制」の開放を求める会も同様である。行司自身のなかに「女人禁制」が染み込んでいる体質の恐さを感じる。さらに、女性を含む救護にあたった人たちが土俵から降りた後、相撲協会関係者が大量の塩をまいていたと報道された。


大相撲では力士がけがをしたときなど、塩をまくことがよくあるが、「女性は降りてください」の発言のあとにまかれた塩は、女性に向けられたものであり、「女人禁制」の名のもと、救助にあたった女性をはじめ、すべての女性を貶める行為である。日本相撲協会の「土俵女人禁制」にわたしたちは強く抗議する。

 

大相撲の土俵上に女性が上がることができない問題は、「女人禁制」として、こ
れまでにも問題になった。
1978年5月、小学生の「わんぱく相撲」東京場所・荒川区予選で小学5年の女児が優勝したが、蔵前国技館で開かれる決勝出場を日本相撲協会が拒否した。1991年には徳島県美馬郡予選で小学5年の女児が優勝したが、決勝へ進んだのは予選2位の男児だった。1990年、官房長官森山真弓氏が初土俵の優勝力士に内閣総理大臣杯を手渡したいと申し出たが、日本相撲協会は遠慮してほしいと拒否した。

 

2000年から8年間、3月の大阪春場所で当時の太田房江大阪府知事が府知事賞を手渡そうとしたが、これも拒否された。また、直近では、大相撲地方巡業「宝塚場所」で中川智子市長が、日本相撲協会実行委員会に「土俵上であいさつしたい」と申し出たが、日本相撲協会は「土俵下でのあいさつをしてほしい」と断った。

いずれも日本相撲協会が「土俵上は女人禁制」という考えから、拒否したものである。土俵上の「女人禁制」は、そのときどき「伝統」か「差別」かとの物議を醸し出している。土俵上の「女人禁制」は、「女性は穢れた存在」という理由が大きい。しかし、日本相撲協会は、そのことを伏して、「伝統」「文化」として標榜している。

 

今回の「女性は降りてください」事件を、わたしたちはけっして見過ごすことができない。男女共同参画社会をめざす日本で、「女人禁制」が人命より大切といったことが許されていいはずがない。

日本相撲協会はこの事件を機に、科学的な根拠がない女性蔑視の「女人禁制」を根本から見直すことを抗議するとともに要望する。

 

 2018年4月6日   
                 「大峰山女人禁制」の開放を求める会
                        共同代表   畑 三千代
                               源  淳子
                      連絡先 TEL:0774-71-3590

 

「ユニオンぼちぼち」が立命館大学で、雇用継続を勝ち取る


私の仲間たちが頑張った結果以下の報告が来ました。ご紹介しておきます。


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この間ユニオンぼちぼちで取り組んできた立命館大学との交渉で、「授業担当講師」なるものに一方的にさせられ、昨年度(2017年度)末の雇い止めを通告された組合員の雇用継続が決まったので、ご報告いたします。

 

 

立命館関連のまとめ(2015年9月25日〜2018年2月16日)


 http://rootless.org/botiboti/blog/blog-entry-2557

 

ただ、通算5年で無期雇用に転換できる権利を行使させないために導入したとしか思えない「授業担当講師」制度について、法人は運用面で問題があったことを認め制度の見直しをすると言ったものの、制度の廃止までは認めませんでした。

 

 

このままでは、いずれ立命館大学の講師は全員、無期転換できず5年で雇い止めをされるという異常な事態を生み出してしまいます。
そのようなことは絶対許されないので、ユニオンぼちぼち立命館分会は、制度の廃止まで闘い続けたいと思います。

今後ともよろしくお願いします。
ユニオンぼちぼち

佐川証人喚問2

森議員――具体的なやりとりを確認しないで、なぜ昭恵夫人が関わっていないと断言できるのか。

「室長からの報告に安倍昭恵夫人の話はなかった」

 

→ →それなら「その程度の根拠で言っていた」から、「政治家の関与はない」という話は説得力がないものとわかった。自民党の丸山議員などが「首相や政治家の関与がないと明確になった」というのが間違いということが明らかになった。

森友 佐川証人喚問

 

 

●文書廃棄

「文書破棄した」といったのはルールをいったただけで誤解を受けるようなことで丁寧さを欠いていたというように説明していた。

ではなぜ質問に対して、ルールだけをいって、それ以外のところに答えなかったのかが問題。質問に適切に答えないのはおかしい。だから「ではルールでなく、資料はあったのにあるといわなかったのか」と聞くべき。答弁時点で資料を見ていたか、資料があるとしっていたかという話。だから資料は破棄したといったのは虚偽答弁だという話。

丁寧さを欠いていたという話で説明が終わる話ではない。もっと突っ込めるのに追及しなかった自民党丸山議員。

 

●役所が寝る間もなくてんやわんやだったというが、なぜてんやわんやなのか。正当に手続していたなら、答弁も簡単なはなしで徹夜で答弁準備しないといけない、答弁が整理できないような話ではない。

事実の隠蔽・でっちげがあるなら、どういうふうにに隠していくか、どう答えるかということで、んやわんやだったろう。

 

●「ひるおび」で、コメンテーター 八代弁護士が、無理やり佐川を擁護して小池共産党議員の質問を批判。笑えるほど、安倍寄りの姿勢ミエミエ。

 

財務省、政府、全体で、文書書き換えは佐川の答弁の後だとなっている。だから佐川の答弁は、書き換え前の決裁文書をもとにしているからそれを見たときの感想を小池が聞くと、答えられないといった。

佐川は事実を隠したわけだが、八代弁護士は、共産党の小池議員の質問が誤導だといって、ほかの人のの印象が間違いだ、悪いのは小池の質問のほうだと批判して佐川を擁護。

八代が間違っている。小池質問は誤導ではなく、大事な矛盾点を引き出す良い質問をしたということ。

 

●根拠も説明もなく、「政治家の関与はない」といった。それ以外は答えないというところに、自分が関与していたこと、政治家や日本会議などの影響があったこと、不正な取引だったことなどを間接的に語っている。

実は文書改ざんは2017年の早い段階(朝日報道があってすぐ)、あるいは2016年段階で行われていた可能性が高い。安倍首相発言の前の可能性がある。首相の「関与していたら辞める」発言を受けて改ざんとは限らない。

だから狭川の答弁があって、それに合わせてぞの後に改ざんしたという説明自体が嘘の可能性が高い。だから、答弁の根拠の文書は何か、いつどの文書を見たかも答えられない。

朝日報道があってすぐに、どうこの森友学園不正取引全体を隠ぺいするかが動き出して文書の書き換えは絶対に必要だった。そもそも佐川の答弁自体が、事実を隠ぺいする策動の一部だった。

 

 

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「韓国と日本の差は、人権意識、という点で大きく大きく、差が開いた。」

 

 

北原さんが慰安婦問題でちゃんとしたことを書いておられます。日本ではあまりに慰安婦問題でトンチンカンなひとが多いので、ここに共有しておきます。フェミニストと言われる人の一部にもちゃんと苦言を呈しておられます。

 

なお1990年以前から慰安婦と名乗り出た人はいます。

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180309-00000032-sasahi-kr

 

北原みのり「『慰安婦』問題は人権問題」週刊朝日

3/13(火) 16:00配信

 

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表

 

 

 作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。今回は、「『慰安婦』問題」について。 *  *  *  今年の「3.1独立運動記念式典」で韓国の文在寅大統領は演説の中で「慰安婦」問題に触れ、「加害者である日本が『終わった』と言うべきではない」と話した。

これはお金で解決する問題ではない、永遠に考えなければいけない人権問題なのよ、というまともさが眩しかった。

 

 とはいえ案の定、この発言を受けた日本は荒れている。政府間の約束の意味がわかってんのか!? 終わらせるって約束しただろ?と非難する声は官房長官はじめ、ネットでも大きい。同じ調子でTPP反故にしたトランプ批判もどうぞと言いたいところだが、いったいなぜ、対韓国、こと「慰安婦」問題で日本は冷静になれないのだろう。

 

 その理由を私は、「慰安婦」問題に羞恥を持つ人が多いからだと考えていた。性暴力で告発されるなど(男として)恥ずかしい。早く忘れろ、声出すな、俺の名誉を守れ、という意識なのだろう、と。  ところが、“みんなが言えない本音を俺が率先して言ってやる”みたいな人がもてはやされるようなネット社会を生きていると、そんな羞恥すらないのだと感じる。むしろ「男ならば誰でもやること。なんで俺らだけ非難されなきゃいけないの?」という本気の被害者意識が見え隠れする。だからこそ声をあげる被害者を叩き、これは人権問題だと訴える声を「金払ったのに」と嘲笑う。もはや性暴力問題など、誰の頭にもない。そんな状況なのではないか。

 

 平昌オリンピックのセレモニーに元「慰安婦」被害者の女性が招かれたりなど、国家行事に「慰安婦」女性たちが招待されることは、近年の韓国では珍しいことではない。それは韓国社会が彼女たちの戦いに敬意を示しているからだという。

 最近は、若者たちの間で「慰安婦」女性たちを「かっこいい」と考える傾向もある。彼女たちの人生をモチーフにしたグッズ販売の会社を若者が起業し、大成功を収めるなど(収益は人権活動や「慰安婦」運動に還元される)、「慰安婦」問題に関心を持つ若者の層が広がっているのを、韓国にいると実感する。

 

 と、こんな話をすると「韓国はベトナムで、日本軍と同じことしたのを知っているか?」と得意げな顔で言いたがる人もいる。得意げになっている時点で人権感覚ゼロすぎるのだが、そういう人は知っているだろうか。ベトナム戦争時の韓国軍の性暴力加害を、韓国社会で告発したのは、「慰安婦」女性たちであり、その支援者だったことを。その声によって、タブーだった加害国としてのベトナム戦争の語りが、新たに韓国社会で生まれはじめていることを。

 

 そう。女たちにとって「慰安婦」問題は、日韓政治問題ではなく、最初からずっと人権問題だったのだ。そしてその一歩も動かないその強さが、韓国社会、国際社会を変えてきたのだ。  1991年、金学順さんが声をあげてから約30年。韓国と日本の差は、人権意識、という点で大きく大きく、差が開いた。週刊朝日 2018年3月16日号

 

関連記事】

 

最終更新:3/13(火) 18:27

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原みのり「『日韓合意』と『慰安婦』」

 

連載「ニッポン スッポンポンNEO

2018.1.18 11:30週刊朝日#北原みのり

 

 

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表

 

 

 作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。今回は、慰安婦問題にについて。

*  *  *

 

 韓国の文在寅大統領が「『日韓合意』は真実と正義の原則に反する」と、元「慰安婦」の女性たちに謝罪した。

 

 さっそく産経新聞は「新方針などありえない」と韓国批判をしてるけど、2015年の合意の時は、妥協すべきでない、と一番苛立っていたのに一貫性がないというものよ。一方、合意を「新しい日韓関係」と好意的に語っていた人は一様に沈黙していて、メディアも「国どうしの正式な合意は守られるべき」みたいな政府方針をそのまま伝えている。それを言うなら安保法だって、違憲だという専門家の声をねじ伏せ、大規模なデモを無視して強引に成立した「正式な法律」でしょ。

問題は、国の「正式」に対し、自浄作用があるかどうかだ。文在寅は大統領就任直後から慎重に日韓合意を精査してきた。この問題は、日韓関係どころか日米韓同盟に響く問題だなんて韓国政府が一番分かってる。

それでも「内容、手続き、いずれも間違った(合意)」という決断を出すしかなかったことの意味は重たい。  いつまで謝ればいいのか。そんなふうに「慰安婦」問題を煙たがる人がいる。

中には、将校と恋愛したり、お金を貯めたりと、逞しく生き抜いた「慰安婦」もいた、だいたい当時「日本人」だった朝鮮人慰安婦」は、他の国の「慰安婦」より高く値段がつけられ、「帝国の慰安婦」として誇りがあったと主張する人もいる。

 

産経新聞系だけでなく、フェミニストも言う。

産経系とフェミが違うのはその先で、「だから『慰安婦』はお商売だった、日本に責任なし」と言うのが産経系で、

「だから、多様な『慰安婦』像を認めるべきだ。

韓国の『支援団体』は被害だけを強調し、『慰安婦』を政治利用するナショナリストだ」と韓国の女性団体を批判するのが日本のフェミだ。

 

 

慰安婦」問題がここまでこじれたのは、決して安倍さんをはじめとする保守なオッサンたちのせいだけでなく、日本のフェミのダメさもある。

 

慰安婦」にも楽しい時間があった、笑いもあった、待ち遠しく感じる軍人もいただろう。だって、生きていたのだから。でも……。  ここでも何度も書いているけれど、1991年に金学順さんが声をあげた時、それは本当に小さな最初の一歩だった。

韓国国内でも「恥」「売春婦のくせに」という批判の声があがり、日本大使館前で行われるデモは本当に小さいものだった。その声を大きな声、性暴力を受けた女性たち全ての声にしていき、国際社会まで動かしてきたのが当事者の女性と支援者たちだ。

日韓合意は、そんな彼女たちの頭越しに交わされた。

正式な文書がない合意や、電話での謝罪を見直す力が日本社会にないのだとしたら、国際社会的に終わっているのは日本のほうだ。

 

 産経新聞によれば、安倍さんは「お金を払っておいてよかった」ともらしたそうだ。札束を投げつけた「合意」だったことを自ら暴露したことになる。性暴力問題にどう向き合うか、日本社会が問われている。

 

週刊朝日 2018年1月26日号

 

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朝鮮学校を「高校無償化」の適用外としていることに反対するの声明 への署名 

 

朝鮮学校を「高校無償化」の適用外としていることに反対するカナダ市民・住民の声明 

 

以下の動きがあります。まったくまともな主張です。

 

賛同の方は

name, occupation/affiliation, location

(名前、職業・所属、在住地)

をメールで 

article9canada@gmail.com 

に送ればいいそうです。

職業・所属はなくても可能だそうです。

 

 

【署名・賛同・拡散をお願いします】

 

朝鮮学校を「高校無償化」の適用外としていることに反対するカナダ市民・住民の声明

 

http://peacephilosophy.blogspot.ca/2018/03/canadians-statement-of-opposition-to.html

 

Please sign, support, and share! Canadians and non-Canadians, both welcome to sign on!

 

Canadians’ Statement of Opposition to the Japanese Government’s Exclusion of Korean Schools from the High School Tuition Waiver Program http://peacephilosophy.blogspot.ca/2018/03/canadians-statement-of-opposition-to.html

 

> 朝鮮学校を「高校無償化」の適用外としていることに反対するカナダ市民・住民の声明

>

> 2018年3月25日

>

> 内閣総理大臣 安倍晋三殿

> 文部科学大臣 林芳正殿

>

>  2010年に施行された「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律(以下「高校無償化法」と言う)」により、私立高校はもとより、各種学校の認可を受けた外国人学校の高校生も就学支援金を支給されるようになった。

それは、その法の第一条に、高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り、もって教育の機会均等などに寄与することを目的とすると書かれているからである。

 

しかるに、外国人学校の中の朝鮮学校のみが、この制度の適用から外されたまま今日に至っている。この処分を違法として、朝鮮学校の卒業生や経営母体の学校法人が日本国を相手取って、全国5か所で裁判を起こしているが、今までのところ、大阪地裁が全面的に原告の訴えを認めて、日本国の処分を違法とし、処分取り消しを言い渡した一方で、広島地裁東京地裁では、同処分が文科相の裁量の範囲内として、適法としている。

>

>       朝鮮学校のみを「高校無償化」から外しているこの問題について、私たち、日本に多大の関心を抱くカナダ市民・住民(日系カナダ市民であったり、日本を研究対象とする研究者であったり、その他さまざまな理由による)は、憂慮し続けてきた。そして、カナダ市民・住民であるからこそ言える、この問題に関する意見があるのではないかと気付き、声明を出すことにした。

>

 

>  カナダは世界各地からの移民、難民を受け入れてきて、多民族、多文化、多言語などの多様性を国の豊かさと認めている国である。しかし、この国の歴史を見れば、始めからそうだった訳ではない。例えば、日系カナダ人は第二次世界大戦時に「敵性外国人」として強制収容され、終戦後まで収容所生活を余儀なくされた。カナダ先住民は1870年代から100年以上に亘って、子どもを家族から離して、寄宿学校に送られ、先住民の文化から切り離し、キリスト教系カナダの文化、言語を学ぶことを強制された。

 

このような、ある人種、民族グループに対する 国家による組織的差別がいかに被害者の尊厳を根底から傷つけ、その人生を後々にいたるまで、崩壊させ、家族やコミュニティーに修復不可能なほどの被害をもたらすかは、カナダの場合、公的な資料館が膨大な資料、証言を保存し、公開しているので、私たちはつぶさに知ることができる。

>

> また、このような差別が存在することで、その社会全体の道義が著しく歪められることも資料から読み取ることができる。学校でも、まだ不十分ではあるが、これらの負の歴史は教えられている。そして、遅すぎたとは言え、日系カナダ人の強制収容については、1988年に、カナダ先住民の寄宿学校については、2008年に、それぞれ当時の首相が、それぞれのコミュニティーの代表を前にして、正式な謝罪をし、象徴的なものとはいえ、個人とコミュニティーの両方に対する賠償も行った。カナダ先住民の場合、被害を受けた期間があまりに長かったために、その深く、大きな傷はまだ到底、癒えるところまでは行っていないし、社会の歪みが完全に消えたわけでもない。

 

しかし、カナダ人が先住民を見る目は、確実に変わりつつある。先住民出身の大臣、国会議員、州議会議員もいるし、先住民について学べる機会も増えている。日系カナダ人については、実際に収容所生活を経験した一世、二世世代には、その影響は今も残っているが、若い世代に、負の歴史の傷痕を見つけるのは難しい。人間の社会は、どこでも、克服すべき差別問題を抱えていると思う。 しかし、政府が間違いを認め、謝罪することで、社会全体が少しずつでも公正な方向に行くことを、私たちは見てきたと言える。

>

> カナダ市民・住民である私たちからは、朝鮮学校のみを無償化適用から外している今の日本は、政府自らが、民族差別を公然と行っているとしか見えない。2012年末に、発足直後の第二次安倍内閣下村博文文部科学相(当時)が、「拉致問題に進展がないことや、朝鮮総連との密接な関係があり、現時点で、無償化を適用することは国民の理解を得られない」と朝鮮学校を制度から除外する理由を記者会見で説明していることから、この処分が政治問題と関連付けて決定されたことは明らかである

 

阪地裁判決は教育の機会均等とは無関係な、外交的、政治的意見に基づき、朝鮮高級学校を無償化法の対象から外すために、、、、”と、政治的判断であることを認めた上で、処分を違法、無効としている。私たちは、この大阪地裁判決を全面的に支持する。

 

 

>  また、この一連の朝鮮学校無償化適用外しの問題の報道の中で、私たちが、一つ奇異に感じることは、在日朝鮮、韓国人の歴史的背景、朝鮮学校の成り立ちなどに関して、あまり触れられていないことだ。大阪地裁は、この点でも優れていて、歴史的なことと、朝鮮学校で言語教育、民族教育をする必要性について言及しているが、広島、東京地裁の判決は、その点について、全く触れていない1910年の韓国併合条約の強要で、朝鮮半島を植民地支配した日本は、朝鮮人から土地を奪い、同化政策で言語を奪い、創氏改名で、名前まで奪った。この政策は1945年の日本の敗戦まで続いた。この為、自国での生活手段を失ったりした人たちが、大量に日本に入った。1939年からは、朝鮮人の強制徴用が始まった。アジアへの侵略戦争に全面的にのり出した日本が、戦争に因る労働力不足を徴用で補うために連行したのだ。

>

 

> 敗戦までに徴用された人は100万人を超えるが、過酷な労働と待遇で、命を落とした人も多い。このようにして、敗戦時に、日本に暮らしていた朝鮮の人は230万人以上いた。日本の敗戦で、解放された祖国に怒涛のように帰国する人が続いたが、約50万人は日本に残った。その人たちとその子孫が、現在の在日韓国、朝鮮人である。その人たちが、失った言語や民族の尊厳や歴史を子どもたちに教えるために、寺子屋のような学校を各地で作ったのが、朝鮮学校の始まりである。この歴史を考えれば、外国人学校にも就学支援金支給が決まった段階で、真っ先に適用対象とすべきだったのは、各地の朝鮮学校だったはずだ。また、政府は朝鮮半島植民地支配の歴史資料全てを誰でもが読める場所に公開すべきである。それを知った上で、朝鮮学校のみ適用外を支持するほど、日本の人びとが愚かだとは思えない。

>

 

> 国連の社会権規約委員会、人種差別撤廃委員会等がこの朝鮮学校無償化適用外問題や、これに誘発されて始まった、地方自治体の朝鮮学校への助成金の停止などついて、繰り返し、是正勧告を発したり、日本政府の行為を懸念する所見を出している。これが世界の常識である。政府が数ある外国人学校の中から、朝鮮学校の生徒のみに就学支援金を支給しない、自治体が朝鮮学校のみ、教育助成金を停止する、一部のメディアが朝鮮学校に関する、虚偽に満ちたネガティブキャンペーンを堂々としている、街中で、朝鮮学校朝鮮人に対するヘイトデモが行われる、小学生の通う朝鮮学校への襲撃事件さえ起きる。これらは、世界の人権感覚からすれば、公権力による人種差別と、それによって道義を歪められた社会の姿以外の何ものでもない。日本の人は、この問題を他人事と思って傍観していてはいけない。自分達の社会の在り方自体を問われている問題なのだ。

>

> 朝鮮学校の生徒たちは、既に四世の世代で、朝鮮籍韓国籍、日本籍と様々だそうだ。籍がどこにあっても、この子たちは、紛う方ない日本社会の子どもで

> ある。この人たちが安心して暮らし、自分の望む教育を受けられるようにするのは、日本政府の義務であるが、この当然のことが当然として通る社会を作るのは、そこに住む全ての大人の責任である。公正で、世界に通用する人権感覚の社会に育つことができるかどうかは、日本に住む、全ての子どもに関わる問題であるのだから。

>

> 朝鮮高級学校にも、「高校無償化」制度を直ちに適用することを強く訴え、その為に日本で闘っている全ての人に連帯する。

 

Satoko Oka Norimatsu

Vancouver, BC, Canada/Tokyo, Japan

Director, Peace Philosophy Centre http://peacephilosophy.com Editor, Asia-Pacific Journal: Japan Focus http://apjjf.org/-Norimatsu-Satoko

Article 9 Canada/Vancouver Save Article 9 http://vsa9.org

Facebook: Peace Philosophy Centre/Satoko Oka Norimatsu

Twitter: @PeacePhilosophy

 

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簡単に語る「金のために働く」「組織人だから」

 

 

「人のため社会のためというのは偽善臭いが、金のために働くということはいい」、という感覚の人がいる。

 

 

其れへの違和感は、私の主流秩序論で展開しているが、急にいっても伝わらないだろうなとはおもう。

 

 

これは「会社は慈善事業じゃない」というような決まり文句を言う鈍感さと同じ。

思考停止していることに気づかない人が多い今の社会。

 

じぶんが主流秩序にからみ取られていることを自覚する人が増えてほしいなと思う。少しでも「どこかで聞いたようなこと」を躊躇して語るような深みがほしい。

 

ビットコインなど儲ける話に無批判な人がいて、財務省の役人の様に文書改ざんを、命令だからとする人が多いこの世において。

 

拙著の以下の文章を、載せておく。

 

 

 

テーゼ35

○資産運用(株や為替、土地・マンション売買)で儲けることを躊躇なく発言するような人にならない。基本的に、汗を流して働かずに大金を儲けることは恥であると知る。世の中に働いても働いても苦しい人や貧困で苦しんでいる人がいるときに、厚顔無恥にも金儲けで喜ぶなど恥ずかしいことである。

 

f:id:hiroponkun:20180315004912p:plain

 

 

財務省文書改ざんで消された内容

 

 

  • 10年間の貸し付け後に売り払う契約について、「特例的な内容となることから」、「理財局長の承認を得て処理を行う」といった、財務省本省の関与をうかがわせる部分があったが、削られた。

 

  • 5か所で昭恵夫人の名前があったが全て消された。

 

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平成26年4月に安倍総理大臣夫人の昭恵氏が森友学園を訪れ講演や視察を行ったとの記載が削除

「打合せの際、「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから前に進めてください』とのお言葉をいただいた」との発言あり(森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んで写っている写真を提示)」

 

  • 「価格等について協議した結果、学園が買い受けることで合意した」という記述が削除された。
  • 土地取引の経緯が時系列でまとめられた「事案の経緯」という項目がほとんど消された。改ざん前は3ページだったものが、2ページ半分が削除されて、改ざん後は数十行になった。

 

  • 2014年4月28日に近畿財務局と森友側が打ち合わせした以下の部分が削除。

「打合せの際、「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください。』とのお言葉をいただいた。」との発言あり(森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んで写っている写真を提示)。」

 

  • 2015年1月8日の箇所も削除。

産経新聞社のインターネット記事(産経WEST産経オンライン【関西の議論】)に森友学園が小学校運営に乗り出している旨の記事が掲載。  記事の中で、安部首相夫人が森友学園に訪問した際に、学園の教育方針に感涙した旨が記載される。」

 

 

 

  • 「事案の経緯」という項目での政治家の関与なども消された。

近畿財務局に森友学園から寄せられた要請も削除。

近畿財務局と森友学園の交渉経緯も削除。

国会議員からの陳情などの具体的な事実も削除。

 

  • 籠池氏が日本会議日本会議大阪代表・運営委員であるということ。その日本会議が安倍首相、麻生財務相、などがトップとなっていること、などが書かれていたが削除された。

「国会においては、日本会議と連携する組織として、超党派による「日本会議国会議員懇談会」が平成9年5月に設立され、現在、役員には特別顧問として麻生太郎財務大臣、会長に平沼赳夫議員、副会長に安倍晋三総理らが就任」という部分が削除された。

 

 

  • 上記のような、首相夫人と首相を含む日本会議系右翼大物政治家の関与がある特別重要な首相マターであるということを示す「本件の特殊性」という言葉が消された。

 

  • 当初、10年間の貸し付け後に売り払う契約になっていたことについて「特例的な内容となることから」、「理財局長の承認を得て処理を行う」といった、財務省本省の関与をうかがわせる部分が削られた。
  • 近畿財務局などが「学園の提案に応じて鑑定評価を行い、売払価格の通知を行うこととした。学園から買い受ける意思表示がなされたため、売り払い手続きを進めることとした」という、森友学園と事前交渉を行っていたことを示す記述が消された。

 

 

  • かかわった国会議員などの名前が消された。

平成20年から25年にかけて学園を訪れた5人の議員の名前と、昭恵氏がも平成26年4月に講演や視察を行ったことが記されていたが、その部分が削除された。

 

中山成彬・元文部科学相平沼赳夫・元経済産業相北川イッセイ議員の記述も消された。

また日本維新の会女性局の衆院議員3人(2013年12月に森友学園の関係先を視察した杉田水脈衆院議員、三木圭恵衆院議員など)の名前があったがすべて消された。

 

  • 鴻池元防災担当大臣については「本件は、鴻池祥肇議員から近畿局への陳情案件」とも書かれていたが削除。

「本件は、平成25年8月、鴻池祥肇議員(参・自・兵庫)から近畿局への陳情案件」

か平成25年8月13日に「鴻池祥肇議員秘書から近畿局へ照会(受電)。籠池理事長が、本件土地について購入するまでの間、貸付けを受けることを希望しており、大阪航空局に直接相談したいとの相談を受ける」などの記載があったが削除。

「H27.1.29平沼赳夫衆議院議員秘書から財務省に『近畿財務局から森友学園に示された概算貸付料が高額であり、何とかならないか』と相談。財務省は『法律に基づき適正な時価を算出する必要があるため、価格についてはどうにもならないこと、本件については学校の設立趣旨を理解し、これまで出来るだけの支援をしていること』を説明」という記述が削除された。

 

「H27.2.17鳩山邦夫衆議院議員秘書が近畿財務局に来局し『近畿財務局から森友学園に示された概算貸付料が高額であり、何とかならないか』と相談。近畿財務局はH27.1.29の財務省対応と同様な説明を行う」と記載されていたが削除された。

 

  • 北川イッセイ元国土交通副大臣については「H27.1.15森友学園国土交通省北川イッセイ副大臣秘書官に『近畿財務局から示された概算貸付料が高額であり、副大臣に面会したい』と要請。国土交通省は『貸付料は近畿財務局において決定する内容であるため、面会しても意味はなさない』旨回答」という記述があったが削除された。
  • 8日後の8月21日に近畿財務局の担当者が同席する形で籠池前理事長が大阪航空局を訪れたことも書かれていたが、これも削除


国際的に慰安婦問題でのバックラッシュを行っている根っからの右翼。

みんなの党、維新、次世代の党など渡り歩き自民党へ。

日本会議系女性右翼団体なでしこアクション」や極右のテキサス親父日本事務局等と一緒に、女子差別撤廃委員会にいって、慰安婦問題での日本を擁護し、国際常識を批判するなどの活動。日本批判をすべては二千翔津dふぉうとみて、産経新聞。右翼が言う歴史戦を行う右翼政治家・右翼活動家。

2017年9月の衆議院選挙で自民党から出馬して当選。

 

今回の文書改ざん暴露で、維新系、杉田氏も籠池の右翼学校建設を財務省に強く押し込んでいたことが判明した。

 

*●事前交渉の記録も削除

近畿財務局などが「学園の提案に応じて鑑定評価を行い、売払価格の通知を行うこととした。学園から買い受ける意思表示がなされたため、売り払い手続きを進めることとした」という記述が削除された。

****

財務省が主導・独断で文書を改ざんしたのではない

2017年2月17日の衆院予算委員会の首相発言

「私や妻が関係していたということになれば、これは、まさに私は間違いなく、総理大臣も国会議員も辞めるということははっきりと申し上げておきたい」

 

これがあって、そうなっては困るから、そこから文書を改ざんして明恵夫人のかかわりや首相の関係を消したのだ。

 

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

首相よ、妻とお前の仲間の右翼が無茶をして、そのために官僚が犯罪をせざるを得なくなったんだよ

 

森友問題とは  右翼勢力が安倍政権を使って好き勝手しているという問題の一部とみるべき

 

文書改ざんで一層明白になったことが指摘されていない。

 

「文書改ざんで消したのは、総理明恵夫人の関与隠蔽と 右翼勢力への屈服隠蔽」 という本質が指摘されていない。

 

 

森友問題が「一部官僚の文書「書き換え」の問題」に矮小化されているが、文書管理や文書改ざん、嘘情報を流すという国民・メディア・国会軽視、会計検査院だまし、官僚と政権ぐるみの隠ぺい工作という大問題に加えて、そもそも日本会議など右翼の威力を受けて、官僚が国歌財産をタダ同然で売ったという右翼への屈服犯罪だから問題なのである。

 

そして事実を隠蔽してうそをつき続けている、その中心が安倍夫婦であるので、安倍は首相だけでなく国会議員も直ちにやめる責任があるという大事件ということ。戦後政治史の中でロッキード事件並みに記録に残る首相がかかわった大犯罪事件である。

 

それを見失ったような報道が多いことがこれまたおかしい。そして簡単に操作されて、安倍政権を批判しない国民の大多数、特にいまだ安倍自民党を支持するような人によって、この国はますます腐りつつある。安倍やめろと怒って当然なのに。

 

 

文書改ざんで隠されていた内容が大問題。そこに杉田水脈の名があることにほとんどのメディアも言及してないが、杉田のような極右を安倍政権は抱えているということ、森友問題はこうした右翼が総力を挙げて推進していたということが本質的問題である。そこにプラスして、首相の妻が右翼に異様に利用され加担したという首相の責任問題である(明恵夫人付きの谷査恵子氏が財務省に問い合わせしたり、講演して感涙したり、名誉校長になったり写真をとったりして、官僚が首相案件+右翼案件として処理)。安倍政権で、かけ学園、コンピューター補助金搾取、山口レイプ事件もみ消しなど、安倍首相に近い右翼勢力が好き勝手している、森友もその一部ということを本質的問題と見ないといけない。

 

安倍首相が「なぜこんなことが起きたのか」と他人事の発言。

お前の妻とお前の仲間の右翼が無茶をして、そのために官僚が十数億円の国家財産をタダ同然で売り渡すという犯罪を犯し、さらに文書改ざんという犯罪をせざるを得なくなったんだよ。

 

 

●つけたし

トンデモ学者になっている三浦瑠麗氏が、北朝鮮のスリーパー・セル発言に次いで、

「常識が壊れた」と言って自殺した近畿財務局職員事件についても暴言を吐いた。

て三浦氏は「この問題っていうのは人が死ぬほどの問題じゃない」「最初は、本当に小さな事件から始まったこと」などと述べて、森友問題を小さな事件に矮小化し、安倍政権を擁護したのだ。真実を見抜けず、権力に媚びてしまい、人が死んでも遺族に思いをはせない鈍感発言してしまう、この感性の鈍感さ。

 

 

経済評論家・三橋貴明氏のDV事件反論の問題点

経済評論家・三橋貴明氏のDV事件反論の問題点

 

ネットでの「デイリー新潮」2/20(火)の記事「経済評論家・三橋貴明氏が自らの“夫婦喧嘩で逮捕”の顛末を語る」(以下、記事と略)で、三橋貴明氏が自分のDV事件について反論/言い訳を書いている(インタビューで語っている)。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180220-00538101-shincho-soci&pos=3

 

カウンセリングに行って少しDVについて学び始めているようだが、都合よく自分を正当化してDV理解の点で多くの誤りがあるので、ここでふれておきたい。

目的は、有名人の事件を通じて、DVについての正しい認識が広がる契機としたいと考えての、正しい情報提供である。

 

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  • 事件の概要

2018年1月、東京都港区で、経済評論家の三橋貴明(本名・中村貴司)(48)が妻を殴るなどしてけがをさせたため傷害の疑いで逮捕された。

 高輪署によると、逮捕容疑は2018年1月5日午後7~9時ごろ、自宅で10代の妻を転倒させて腕にかみついたり、顔を平手で殴ったりして約1週間のけがを負わせたというもの。口論が発端になったといい、妻が110番通報して発覚した。

警察沙汰は今回が初めてではなく、2017年、妻からの2度の通報を受け、警察は三橋氏に暴力をやめるよう警告していた。三橋貴明容疑者は離婚を2回しており、いまは3人目の妻。

元妻の女性作家は、2015年6月に「DV加害者の二枚舌と“共犯者の存在”」と題した記事を掲載し、「DV・虐待について勉強することを、私はライフワークのひとつとしている」「(DVは)家庭内のいざこざ」というよりも「殺人未遂」という方がより真実に近い、DVをする人の特徴を「少なからずのサディスト」などと書いていた。

三橋容疑者は釈放された8日にブログで、大々的に事件を報じたマスコミに対し「わたくし共の『夫婦喧嘩』が、それほど凄い事件なのでしょうか そんなに目くじら立てて追っかけるようなネタかよ!」などと書いていた。

逮捕後、三橋氏の妻が被害届を取り下げ、夫婦間で示談が成立した。東京地検は2月6日、三橋氏を不起訴とした。

 

参考 伊田の加害者の分類

 

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  • 2月20日のインタビュー記事での、三橋貴明氏の反論とその問題点

 

三橋氏は記事内で、「1月5日の夜、私は妻に一方的に暴力を振るっていたわけではありません。また、恒常的なDV(夫婦間暴力)でもなく、文字通りの夫婦喧嘩がエスカレートし、私と妻は取っ組み合う有様でした。非常に愚かで、馬鹿なことです。そのことを今では充分に理解しています」と述べている。

 

→ ここにつけられた「恒常的な」ものではないという言い分は、DV理解の間違いの第1点目である。DVは別に恒常的なものだけがダメというものではなく、恒常的でないものもあり、恒常的でなくともDVといえる場合があるし、人権侵害行為である。また昨年も2回も妻が警察に通報しており、十分、恒常的といえる。この記事の中でも「私が19歳の妻と喧嘩を繰り返し、警察に逮捕されるような馬鹿男」と自ら述べているように、ケンカは繰り返している。元妻がDVについて述べていることから、元妻との間でもDV的なことがあったと推測できる状況である。

 

 

次に「一方的に暴力をふるっていたわけではない」という言い分も、DV理解の不十分さを表しておりこれが第2の問題点である。よく加害者は。あいてもわるい、だから夫婦ケンカに過ぎないというが、そこにはDVは一方的に攻撃するときにのみいえるという考えがある。しかし、相手の言動に対して自分が身体暴力的なことや大声などDV 的な態度で対応すれば、それは誤った行動を選択したことを意味しており、その点で加害者の責任である。 DVではないという言い訳はできない。したがって、取っ組み合い的になっていて一方的に殴っていたわけではないとしても、十分DVといえる場合があるので、「一方的絵はない」ということをもってDVでないという理解は間違いである。

 

以上より、「DV(夫婦間暴力)でもなく、文字通りの夫婦喧嘩がエスカレート」したものだという三橋氏の決めつけには説得力がない。DVでないということが何ら証明されていない。一方的でないとか恒常的でないことはDVの否定説明要因にはならないということである。それなのにこのように言い切っているのは、DV理解がまだ全くできていないことの証左といえる。DVを真摯に学び。自分のしたDVを認めていくことが加害者が変化するうえでの第一歩だが、それさえクリアできていない段階であるということが分かる。これが第3の問題点である。

 

****

 

次に記事では、 1月17日に、YouTubeでも閲覧できる“保守系ニュース番組”「真相はこうだ! 桜便り」(日本文化チャンネル桜)に三橋氏の妻が出演したこと、そこで「110番した時は逮捕など考えていなかった」、「逮捕がマスメディアに載るとは思っていなかった」、「離婚を考えたことはない」などといったことを伝えて、「被害者である妻もDVとして逮捕されることを望んでいるのではない」という印象を出して、DV と報道したメディアが間違いであるという主張へとつなげている。

 

しかし被害者が、離婚を考えてないことや逮捕を考えていなかったことは何ら「DVではない」という説明にはならない。しかも、こうした妻の言い分がそのような趣旨で話すように説得されるなど、こうした番組で発言させられたという非自発性や誘導性の可能性も考えられる。加害者それを誘導(/強制)すればそれはまたまたDV行為といえる。少なくともそうした場で被害者にそのように語らせること自体が非常に危うい行為と思われる。そこに鈍感すぎる。

ここが第4の問題点である。

付け加えると、この日本文化チャンネル桜というメディアが、ネトウヨ系であり、フェミニスト攻撃、DVをでっち上げだなどと攻撃する傾向を持もったものであることにも注意を要する。三橋氏がDVに真摯に向き合うならば、こうしたメディアではないところで主張すべきであろう。ほかのところで通じる話かどうかも問われる。

 

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映画『リービング・ラスベガス』批判 

 

 

共依存との関係で、この映画を見た。この映画を評価する立場で、共依存関係でもいいものもあるという意見があるので、そうは思えないという立場で、この映画の感想を書いたので載せておきます。

 

映画『リービング・ラスベガス』批判 

 

弱きもの似た者同士が寄り添うという話はよくある。小西はこの映画のことを本書の各所で取り上げ、共依存関係の肯定性の一例としている。

 

この映画を見て、中島みゆきの歌「ふたりは」 を思い出した。私はこの歌が好きだが、共依存の美化としてこの歌や「リービング・ラスベガス」を見ることには反対。

 

 

「ふたりは」は、街のはみ出し者2人、ごろつきと遊び女のよりそいあいの歌

 

二人は凍えきって巡り会った/誰からも聞こえない胸の奥のため息が 互いには聞こえた

与えあう何物も二人には残ってないけれど/もう二度と傷つかないで

二人が出会ったこと他人は喜んでいた/「まとめて片付く 早く旅立つがいい」

 

************************

 

 

共依存と、映画「リービング・ラスベガス」について

 

 

ニコラス・ケイジの演技はうまいし、人生の悲哀、哀愁とか、吹き溜まり愛情を描くから映画としては成り立っている。サラは優しい人と思うし嫌いではない。

 

だが、映画として、大した内容はないと思う。恋愛とか関係性の在り方としてなんら評価できなかった。だましの構造があるから

 

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●もし余命1ヶ月のひとなら→何でもきいてあげたらいい。共依存ではない。

 

●もしとても孤独なひとがいたら→友人や恋人としてそばにいるのは悪くない

 

●もし目の前に病気で治療が必要な人がいれば→治療に持っていくべき。病気の悪化を促進しない

 

●出会う彼氏がもし健康で性格のいいひとなら→つきあったらいい。でも彼女はしばらくおちつかなかったり不安、過剰な気遣い、過剰な感謝、で、対等になりにくい。好きになってもらいにくい。自尊感情低いのでなんで私?と思いがち。だがいい人に出会うこともある。あんな男である必然はない。「弱いものどおし」が近づきやすいというのはあるが、そのほうがいい関係ということはない

 

●もしDV男で元気なら→離れるべき。加害者プログラムにいかせる、いかないなら離れるべき。離れないという選択も本人の自由だが、それを美化する必要はない。必要なのは共依存の工程ではなく、相談体制の充実、加害者プログラムや実際的な被害者の居場所つくりなどだろう。

 

 

つまりこの映画では、ベンが彼女を傷つける問題やまわりに迷惑をかける犯罪性、加害者性DV性があるのに、また治療を要する病気であるのに、死ぬ間近で孤独という要素で問題を隠蔽。

 

 

彼女が幸せになるには、この道しかないのではなく、別の道もあるのに、ほかの要素があって仕方ないように思わせる構造。傷つけられる環境から離れて、支援してくれる人、適切に愛してくれる人、エンパワーメントしてくれるひととかかわるべき。それが現実的には難しいということと、ベンのような人でしか幸せになれない、ということは別。

 


真の対等性、非暴力(安全、自由、自信、成長)が無理という前提(条件設定)がおかしい。偶然性や不幸性、同情を入れ込ませてごまかし。むつかしいことと方向性として正しいことを区別すべき。


目の前にすこしの安心、必要とされること、求められる感覚があってそこに行く話。
総合プラスマイナスでは、大きくマイナス。それを美化する意義はない。

 

 

*****

 

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だめな男 それに付き合う女の良くある話。傷ついている人だから、ダメなところがある人だから、気を許せた 正直になれたというよくある構図 

よく似たもの通しというパターン

 

 

こういう天使が表れて、ベンにとっては都合がいい。理想を描いた勝手な男の物語

 

一人ぼっちの彼女。そりゃそばに誰かがいたらいいとおもうだろう。だが、このダメ男である必要はない。

 

最初に約束させる「酒はよせというな」の問題

 

彼女の家に来た時から酔払い。無責任。これも愛だが、そんなのはごろごろあって、美化できない。悲しい物語とはいえる。しかし称賛するな、共依存もいいというなと思う

金を預けられて喜ぶ彼女。今まで搾取されてきたから。信頼されてなかったから。でもそれも普通のこと。これまでのひどさとのギャップ。彼女は客観的には そういう普通の人ならだれでもよかった。共依存になる必要はない。

 

死ぬということを背景にしての特別な時間。普通の恋愛でも1,2か月など楽しくいられる安易な時期。だれでも盛り上がる。

 

 最初の楽しいカジノでのデートで、また酒を飲んであばれてしまう。彼女を大切にできてない。これで離れないのは弱い愛。離れないことを美化しても何ら積極的なものは出てこないのになぜ擁護するか。最初にカジノで暴れたときに、ここで離れるべきなのだ。どちらからも。

 

 その後、つらい状況が続く。ひどいアルコール依存の状況のそばにいるしんどさ。

こういうのは施設に行くしかない。なのにそばにいる彼女は不安不幸になるだけ。彼が彼女を大切にと思うなら離れるべき。愛に飢えた彼女を利用し迷惑をかけている暴力

その暴力に耐えて「愛にしがみついてしまう優しい彼女」

映画だからアルコール依存の苦しみの状況描写を30秒ほどにまとめるが現実は長く厳しい 何時間も異常な緊張にさらされる 離れるしかない。 

 

カジノで暴れたことを覚えていない彼 彼女は、ここへは二度とこない、私が連れて帰るということでその場をしのぐ。

 感謝する彼、彼を支える彼女 間違った道に入っていき始める

 

「貴方が必要であなたを利用している」という彼女  こういう人を世話するという道にはまっていく 

その心理はわかるが、それは美化できない 

 

彼は、こんな彼女をやさしいと思う 天使という 手放さない、愛してるという、感謝する でも酒をやめない 

客観的には都合よく甘えている

 

サラの傷つけられた体を見て、いとおしくなるベン。この不幸な彼女を幸せにしたい よくある感情

売春という仕事に行く彼女を認める彼 切なさの利用 

 

ベンは、酒を全く辞めず、バーに寄り道してそこの客とケンカ。彼女を心配させるが反省なし 

ピアスのプレゼント 嫉妬の気持ちを伝える それで内心感動する彼女

 

せっかくの旅行でも酒浸りでセックスしかけてもガラスをわってそのうえに倒れこんで怪我して台無し。ホテルからみじめに追い出される。傷つき続ける彼女。

 

だめな奴のそばにいる彼女 まともな男なら彼女を手放す。 だが彼は手放さない。それは暴力。

 

食欲もなくなって病人になっていくベン。びくびくして世話するサラ。

ついにサラは「医者に行って」という。 最初に結ばされた「酒はやめろを言わない約束」がある中でびくびくして。

でも彼は「医者は嫌だ、ホテルに帰る」という。

ここでも離れればいいのに、彼が離れるのが嫌なサラは彼をそのまま認める。脱出できない袋小路。

 

「たったひとつぐらい私の望みを聞いて、ここにいて 一人で死なないで」 

彼をかわいそうと思って離れられなくなっている。彼を愛している優しいサラ。

 

その後も破綻へ向けてまっしぐらの生活。酒を飲んでその時だけは生き生きとしてギャンブルをしてキスをして生きているベン。 それに同行する彼女。 

 

ある時、酒に酔ってほかの女性と部屋で寝ているところにサラが帰ってそれを目撃する。傷つくサラ。

そのあとサラは仕事中に3人組にレイプされる。住んでいた家からも追い出される。 ボロボロになるサラ。自暴自棄になり、もうろうとして ベンを探すサラ。

 

 

ついにベンから電話がかかってきて、飛んでいくサラ。

優しい音楽が流れている。 美化される再会。 カーテンを閉めた暗い部屋、そこには死ぬ直前のやつれた男。もう起き上がる力もない。終末の症状。

そんな彼に「愛している」というサラ

 

このシーン、人が孤独に死にそうな最期の時、誰かがそばにいて安心させるという普遍性はあるが、それはまた別の話。

 

最期、エレクとした彼の上にまたがって最初で最後のセックス 男の幸せな最期の願望のシーン。

 

いい感じの音楽でごまかす場面が多い映画。

 

「フェミを意識しない」古臭い、男のロマンを描くような作品

 

伊田の映画評としては評価は低い。

 

愛の現実は多様。それと、それが素晴らしいとか肯定性があるということは別。主観的瞬間的に思っていることですべてがOkではない。

 

以上

共依存概念の検討

 

 

今度次の本の合評会があり、私もシングル単位、主流秩序、DV加賀プログラム実践者、フェミニストとして発言します。

 

小西真理子『共依存の倫理―――必要とされることを渇望する人々』晃洋書房、2017年9月

 

映画「リービングラスベガス」の評価にもかかわるものです。

*****

 

共依存の倫理と支援の在り方

掲載日: 2018-01-23

 

日時: 2018年3月9日(金)14:00〜17:00(開場 13:30) 会場: 立命館大学 朱雀キャンパス 304教室 主催: 立命館大学生存学研究センター 参加: 参加費無料、申し込み不要

※駐車スペースがございませんので、ご来場の際は公共交通機関をご利用ください。

 

企画趣旨

 

生活に何等かの困難や問題を抱えている人々の生存を支える制度の体系として、福祉や医療が存在する。こうした制度やそれに基づく支援の枠組みは、多くの場合、まず当事者が生活に困難を感じ、しかる後に(ときには当事者による様々な運動を経て)そうした困難が「社会問題」として受けとめられるようになることによって、整備されてきた。しかるに「共依存」という問題に対する支援の枠組みは、そうした経緯とはいささか異なる形で展開してきたところがある。「共依存」は、当事者の生命も危険にさらす関係性として専門家や支援者から問題視されてきた。実際にこの視点は「共依存」に苦しむ多くの人を救ってきた。しかし他方でその当事者のなかには、そうした関係性に価値を置く人びとも少なからず存在してきた。

 

こうしたなかで小西真理子氏は、著書『共依存の倫理――必要とされることを渇望する人びと』において、共依存関係の危うさにも触れつつも、「共依存」の当事者の声にも耳を傾けながら、「共依存」における「倫理」を考察し、共依存関係にありながらも「分離」を望まない当事者に対する支援の在り方や、「支援」と距離をとって生きることを選ぶ人びとの「評価」に対して問題提起している。〈共依存という生き方〉や、そうした関係にいる当事者の〈価値観〉や〈愛〉を、われわれはどうとらえるべきなのか。小西氏の著書を手掛かりにし、倫理学・修復的司法・フェミニズム・DV被害者支援などという観点から議論を深め、参加者が、共依存関係に内在する「危うさ」と「倫理」について深く理解し、そして支援の在り方について考える契機としたい。

プログラム

1330

開場

1400

企画趣旨説明 角崎洋平(日本学術振興会特別研究員PD/生存学研究センター客員研究員)

1410

コメント1 奥田太郎(南山大学教授)

1430

コメント2 小松原織香(同志社大学嘱託講師他)

1450

コメント3 伊田広行(DV加害者プログラム・NOVO(ノボ)運営者、神戸大学立命館大学愛知淑徳大学大阪経済大学非常勤講師)

1510

休憩

1530

著者からのリプライ 小西真理子(日本学術振興会特別研究員RPD/生存学研究センター客員研究員)

1600

全体討論

1700

終了

お問い合わせ先

立命館大学生存学研究センター事務局 〒603-8577 京都市北区等持院北町56-1 TEL:075-465-8475 FAX:075-465-8245 E-mail:ars-vive@st.ritsumei.ac.jp

 

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日本政府が認定した日本軍「慰安婦」関係資料の範囲と境界 その4 

日本政府が認定した日本軍「慰安婦」関係資料の範囲と境界 その4 

 

8. 日本政府が、閣議決定で認めた 19簿冊182点の文書に存在する記述

 

 この度の紙智子議員の質問主意書での「記述の確認が」が原文と完全に一致するものではなかったにせよ「御指摘のような記述がされている」と閣議決定答弁書で確認した意義は大きい。以下に「完全に一致する記述」を紹介する。この記述が何を物語っているのか、真実は何かを広く国際社会が知る必要がある。

 

これらの記述に対して日本政府の副長官補室審議官は「個別の資料の評価はしていない。全体として見ると、強制連行を直接示すような記述は見当たらない」と述べている。[i]

 

 これらの記述を確認しながらも「強制連行を直接示すような記述は見当たらない」と日本政府が言い続けるならば、それは国際社会で恥をさらし続けるだけであろう。しかし、これらの文書入手した以降今日まで、日本政府は「強制連行を示す文書は無い」と公式に発言することをしていない。もしかしたら、きちんとした訂正をせずに口をつぐんだままでいることにしたのかも知れない。

 

 

(1)(政府の通し番号29の2)「桂林市民九名の(桂林市内に於ける日本軍残虐行為)宣誓供述書広西省」に「偽組織人員を利用し工場の設立を宣伝し四方より女工を招致し、麗澤門外に連れ行き強迫して妓女として獣の如き軍隊の淫楽に供した」との記述がある。これは誘拐罪の記述である。

 

 

(2) (政府の通し番号30の2)ブリラグ・フエルナンの宣誓供述書に「各地ではフランス人女子に対        する凌辱行為も若干行われました。ある婦人と十四歳になるその妹とは、強制的に数週間、約五十名の日本兵と雑居させられ、その虐待と暴行を受けました。その一人は発狂しました。彼女達は二人ともその後処刑されました。また別の例では(中略)更にまた数地方では原住民婦女子は売淫行為を強制されました」との記述がある。これは18歳と14歳のフランス人姉妹を全裸のまま兵舎に数週間置き奴隷状態にしていたことを示す記述である。

 

(3) (政府の通し番号31の12)「BC級(オランダ裁判関係)バタビア裁判・第25号事件(1名)」の法務省面接調査でバリ島海軍第三警備隊特別警察隊長からの聞き取りとして「私の一番恐れていた事件は、慰安所事件であった。これは慰安婦の中には、スラバヤから蘭軍下士官の妻君五人の外、現地人七十人位をバリ島に連れて来た件である。(中略)この外にも、戦中の前後約四カ年間に二百人位の婦女を慰安婦として奥山部隊の命により、バリ島に連れ込んだ。私は終戦後、軍需部、施設部に強硬談判して、約七十万円を本件の工作費として貰い受け各村長を介して住民の懐柔工作に使った。これが完全に効を奏したと見え、一番心配した慰安所の件は一件も訴えが出なかった」との記述がある。これは、部隊(軍)の命令により「慰安婦」を連行した記述である、

 

(4) (政府の通し番号33の1)「BC級(オランダ裁判関係)ポンチャナック裁判・第13号事件(13名)」の起訴状に「本被告は(中略)特警隊が強制売淫をなさしむる目的を以て彼女等の意志に基かずして少女婦人を拉致せるを黙認せり。(中略)又本被告は〇〇に対しカタバンの少女・婦人等をポンチャナックに連れ来り慰安所に入所せしむべく命じたり。其の命により二十名の少女・婦人等は自己の意志に基かずして(中略)慰安所に入所せしめられたる上強制的に淫売婦たらしめたり」との記述がある。と、女性たちを性奴隷状態に置いていたことの記述である。

 

  (政府の通し番号33の3の2)同事件の判決文に「第一被告は「ポンチャナック」警備隊長兼特警隊長としTKTに依り犯罪行為が行われたることを知りいたる上、多くの場合之に自ら命令を与 えたり(処刑、及慰安所用に婦女を探すこと)」との記述がある。

 

   同判決文に「斯る最大級の野蛮なる振舞いをしても住民を絶えず恐怖におののかしむるには未だ足りずとて、敵は婦女子を慰安所にいれて之に売淫を強制することに依り犯罪を重ねたり」との記述がある。

 

(5) (政府の通し番号35の2)「BC級(オランダ裁判関係)バタビア裁判・第69号事件(12名)」「婦女達は交互にこの手術台に乗せられ一番検査に都合の良いやうな恰好をした。之を眺めているものが見て、大声で笑ひたてた。恐れと痛みから台から降りやうとすると、手荒く取扱はれた(中略)此の時〇〇の行動も極めて唾棄すべきものがあった。即ち、彼は煙草の火で陰毛や大腿部を焼いたりして、皆で大笑ひの種にした。(中略)三名の娘が失神したが、名は憶へていない。此の三名は正気づかせる為に打ち殴られたり、大声で怒鳴られたりした。(中略)既に第一日目である日曜日の午前中に十八名~二十名の客がとられ、その上に夜間にも「仕事」があった。月曜日の朝には既に数名の娘は起き上れず、歩けもしなかった。(中略)B姉妹は逃げ出して終った。然し、彼女達は火曜日の朝には警察の手に依って捕った。送り帰されて来てから、彼女等は裸にされ、洗濯夾を乳首につけられて、便所の掃除をさせられ、通りがかりの日本人達から侮辱された。」との記述がある。読むに堪えない悲惨な実態で在り、まさに性奴隷の実態を記述している。

 

 

(6) (政府の通し番号35の36)前記第69号事件の判決に「被告は(中略)婦女子を抑留所より連行し之を慰安所に入れることが ―たとえそれが自由意志にて行はれたにせよ― 人道及び国 際条約の侵反行為なりと悟る程には本件を深く考えざりき。(中略)(日本人)自らが設けたる抑留所の非人道的な悪状況(食料、宿舎)を利用して抑留所より志望者を募集すること自体が既に道義と人道に反する行為なるも、本件の場合はそれと共に又戦争の法規慣習に対する違反行為なり。更に「兵站係将校」をも兼務しありたる被告は、斯かる計画を是認し、その計画作成に協力し、更に、本計画が如何に実行され、又その結果開設されたる慰安所が如何に経営せられたるやの監督を全く行はざりし事実に依り、犯罪行為に責任を負はざるべからず。(中略)被告は高級将校として和蘭人婦女子が一般的に、又、主義として日本人の慰安所慰安婦として働くために抑留所を離るることを欲さざること及び斯かることは偽瞞乃至暴力を用ひて始めて可能なることを当然知りいたる筈なり。(中略)被告〇〇を「強制売淫の為の婦女子の連行」、「売淫の強制」、「強姦」なる戦犯行為に依り懲役15年に判決す」との記述がある。部隊(軍)が組織的に実施していたことを示しており、それが国際法に違反した犯罪行為であるとの判決文書である。

 

 

(7)(政府の通し番号36の74)「BC級(オランダ裁判関係)バタビア裁判・第106号事件(1名)」の〇〇中将に対する「判決文」に「次の部下が下記の刑に処せられていることを考慮し、即ち

   1 強制売春の為の婦女子のら致、売春強制及び強姦罪で死刑

   2 強制売春の為の婦女子のら致、売春強制罪で懲役十年

   3 被逮捕者の悪待遇罪で懲役七年

   4 被逮捕者の悪待遇及び強姦罪で懲役十六年

   5 強制売春の為の婦女子のら致罪で懲役二年

   6 売春強制罪で懲役二十年

   7 売春強制罪で懲役十年

   8 売春強制罪で懲役十五年

   9 売春強制罪で懲役七年

   10 強制売春の為の婦女子のら致、売春強制、強姦罪で懲役十五年

(中略)この本人の自由意志に反してキャンプから連れてきた婦女子を遊女屋に入れることを容認したと言うことは、婦女及び娘達は、自己の意志に反してスマランの遊女屋に入れられたものであり、又、〇〇一味に対する事件の審理の際にも既に明らかにされた如く、彼女らは、如何なる条件の下にも遊女屋を出ることは許されず監禁され上記判決に証拠充分と認められ且つ本件においても右判決に基いて確実と見られている如く或は強姦或は悪待遇で売春を強制されたことが判明している故に、同時に彼の部下が犯した「売春強制」、「被逮捕者の悪待遇」及び「強姦」と言う戦争犯罪を容認したと言うことにもなることを考慮し(中略)本判決の頭初に掲げた被告人〇〇に対し、起訴事実のうち、証拠不充分のものについては無罪を、証拠充分のものについては「売春の強制」、「強姦」、「監禁した者の悪待遇」なる戦争犯罪に有罪を宣告し、よって懲役十二年の刑に処す」との記述がある。日本がサンフランシスコ条約で受け入れた裁判の判決であり、女性たちを強制連行し、性奴隷としていたことを認定している判決文である。

 

9. 韓国政府の新方針

 

 本年1月9日、韓国康京和(カンギョンファ)外交省長官が「2015年の日韓慰安婦合意に関する新方針」を発表した。報道によるとその内容は以下のものである。[ii]

 

 一、韓国政府は慰安婦被害者の方々の名誉と尊厳の回復と心の傷の癒やしに向けてあらゆる努力を尽くす

 

 二、この過程で、被害者や関係団体、国民の意見を幅広く反映しながら、被害者中心の措置を模索する。日本政府が拠出した「和解・癒やし財団」への基金10億円については韓国政府の予算で充当し、この基金の今後の処理方法は日本政府と協議する。財団の今後の運営に関しては、当該省庁で被害者や関連団体、国民の意見を幅広く反映しながら、後続措置を用意する

 

 三、被害当事者たちの意思をきちんと反映していない2015年の合意では、慰安婦問題を本当に解決することはできない

 

 四、2015年の合意が両国間の公式合意だったという事実は否定できない。韓国政府は合意に関して日本政府に再交渉は求めない。ただ、日本側が自ら、国際的な普遍基準によって真実をありのまま認め、被害者の名誉と尊厳の回復と心の傷の癒やしに向けた努力を続けてくれることを期待する。被害者の女性が一様に願うのは、自発的で心がこもった謝罪である

 

 五、韓国政府は、真実と原則に立脚して歴史問題を扱っていく。歴史問題を賢明に解決するための努力を傾けると同時に、両国間の未来志向的な協力のために努力していく

 本日述べた内容が被害者の皆さんの思いをすべて満たすとは考えていない。この点について深くおわびを申し上げる。今後も政府は真摯(しんし)に被害者の皆さんの意見に耳を傾け、追加的な後続措置をまとめていく。

 

 この韓国政府の新方針について「慰安婦」被害者支援団体の挺身隊問題対策協議会(挺対協)は「『合意は慰安婦問題の解決ではないことを政府が正式に宣言し、日本政府の拠出金10億円を(韓国の)政府予算で負担する方向は歓迎するが、日本政府の自発的な措置だけを期待することは矛盾』と指摘。

外交問題との理由で法的責任を問わず、政府にできる措置だけを取るという態度は受け入れられない」と強調した。その上で、合意に基づいて設立された慰安婦被害者支援財団「和解・癒やし財団」の解散を求めた』とされている。[iii]

 

 

日本政府はこの韓国の新方針に抗議している。「日韓慰安婦合意をめぐり韓国政府が新方針を打ち出したことを受け、外務省の金杉憲治アジア大洋州局長は9日午後、在日韓国大使館の李熙燮(イヒソプ)公使を同省に呼んで抗議した。

 

抗議に先立ち、河野太郎外相は『日韓合意で慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認したにもかかわらず、韓国側が日本側に対して更なる措置を求めることはまったく受け入れられない』と反論。韓国政府に合意の履行を改めて求めた。

 

 韓国の康京和(カンギョンファ)外相は9日、合意について日本側に再交渉を求めないとする一方、元慰安婦の名誉回復などのため努力するよう期待する考えを明らかにした。これについて、河野氏は『合意は国と国との約束であり、政権が変わっても責任を持って実施されなければならない。合意の着実な履行は国際社会に対する両国の責務だ』と強調した。

 

 また、日本政府が元慰安婦への支援事業のために拠出した10億円について、韓国側が政府予算で補塡(ほてん)すると発表したことについて、河野氏は『発表以上のことをまだ承知していない』としつつ、韓国側に説明を求める考えも示した。

 ただ、韓国側は『合意に関して日本政府に再交渉は求めない』としており、両政府の立場は平行線をたどっている。日本政府は韓国側の今後の対応を注視する構えだ。」[iv]

 

 

10.  日本軍「慰安婦」問題の早期解決は可能

 

 

 日本政府が日本軍「慰安婦」問題を解決する気になれば早期の解決は可能である。残されている壁は、日本政府がその気になるかどうかの政策選択の壁でしかない。

 

国際社会では、被害者が告発する「日本がやった」ことを証明する資料は山ほど発見され収集されている。日本政府は、それに目をつむり問題を解決しようとしていないだけである。

 

例えば「「新たに見つかった資料の中に『軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述』のある文書があることが判明した。また、日本軍が「慰安所」を設置し、管理、運営していたことも明らかになった。更に、そこでの生活は、まさに性奴隷的な状況であり、「慰安婦」問題は,多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり,かかる観点から,日本政府は責任を痛感している。

 

日本国の内閣総理大臣が改めて,慰安婦として数多の苦痛を経験され,心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し,心からおわびと反省の気持ちを表明する。」と発表することで解決に一歩近づくことが出来るのではないかと思われる。

この度、日本政府が閣議決定で「慰安婦」に対する強制の記述を認めた意義は大きい。

 

累次述べてきた通り、悲なしいかな我が日本政府はトリックを使い、有るものを無いと言うとんでもない政府である。私たちは、そのような政府を相手にしているのである。

 

より一層、日本政府に対し、しっかりとした加害事実の認定を求める国際社会の取組みを進めるとともに、その日本政府が、選挙で選ばれた人々によって構成されていることも指摘しておきたい。

 

そして、日本政府が解決する気になるための取組みを日本人の一人として行うことの重要性を改めてここに自覚していることを申し述べ、このレポートの終わりとする。

以上

 

 

 

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[i] 東京新聞 2017年04月17日(夕刊) 、共同通信配信、

[ii] 朝日新聞 2018年1月10日 https://www.asahi.com/articles/ASL194RPYL19UHBI00Y.html

[iii] 聯合ニュース 2018/01/09 16:39 http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2018/01/09/0400000000AJP20180109004700882.HTML

[iv] 朝日新聞 2018年1月9日18時48分https://www.asahi.com/articles/ASL195PXNL19UTFK01M.html 

 

                                     (2018年2月27日)

                                 ――――――――――――――

連絡先 小林 久公 (KOBAYASI HISATOMO)

 

日本政府が認定した日本軍「慰安婦」関係資料の範囲と境界 その3 

日本政府が認定した日本軍「慰安婦」関係資料の範囲と境界 その3 

 

 

4, 「強制連行はなかった論」の進行

 

 限りなく制限条件を付けたこの答弁書の「強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」という文言は、その後「強制連行を示す文書は無い」⇒「強制連行は無かった」⇒「『慰安婦』被害者は嘘つきだ」⇒「『慰安婦』はいなかった」へと次々とエスカレートし、ヘイトスピーチにつながっていくことになる。

 このエスカレートは日本政府によって支えられ、そして、日本政府自らがその道に落ち込んで行ったのである。

 

 第二次安倍政権は、河野談話を亡きものにしようとしたが、国際世論の反撃にあい安倍内閣河野談話村山談話の継承を表明するが、その骨抜きを図ることに方針転換をしたと思われる。[i]

2014年4月に内閣官房に「河野談話作成過程等に関する検討チーム」を発足させ、その報告を同年6月20日に公表した。[ii]

 

この報告書によると1991年10月ごろには既に「一部に強制性の要素もあったことは否定できない」との認識を日本政府が持っていたことが確認されている。しかし、報告書の結論は「(河野談話までに集めた)これら一連の調査を通じて得られた認識は、いわゆる『強制連行』は確認できなかったというものであった」と断定させるものであった。

 この報告書を受けて菅内閣官房長官は、2014年10月21日に、国会で「まさに強制連行を確認できない、示す資料がなかった」との答弁をした。[iii]

 そして、2015年12月の「日韓合意」後の2016年2月16日に、国連の女性差別撤廃委員会の席上、日本政府を代表して外務省の杉山外務審議官が、期間限定条件無しに「日本政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる『強制連行』を確認できるものはなかった」と発言をエスカレートさせている。

 

5. 「慰安所」での性奴隷状態こそ日本軍「慰安婦」問題の核心

 

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日本政府が認定した日本軍「慰安婦」関係資料の範囲と境界 その2 

日本政府が認定した日本軍「慰安婦」関係資料の範囲と境界 その2 

 

 

2.  河野談話の事実認定の背景

 

 日本軍「慰安婦」問題が、浮上してきた背景には1987年の韓国民主化闘争とその後の日韓市民の取組みがある。当時は、高度成長でアジアの大国に復活した日本から韓国へ「キーセン観光」が盛んであった。その売買春ツアーに対する取り組みが韓国では「韓国教会女性連合会」が、日本では「キリスト教矯風会」などが結成した「売買春問題と取り組む会」が行っていた。

 

 1990年1月、日本軍「慰安婦」問題を調査していた尹貞玉先生が「挺身隊、魂の足跡」を韓国の日刊紙に連載し大きな反響を呼んでいた。[i]

 同年5月30日に、日本の国会で社会党竹村泰子議員が「従軍慰安婦の調査もなさいますね、官房長官」と日本政府に調査を要求し、同じく6月1日には共産党の吉岡吉典議員が、同月6日には社会党本岡昭次議員が「慰安婦」問題を取り上げて質疑を行った。

 

この6日の本岡質疑で日本政府は「民間の業者がそうした方々を軍とともに連れて歩いている」と答弁し、この無責任な答弁に、韓国では猛烈な反発が起こった。

 そして、この年の10月17日に韓国女性団体連合会など39の団体が駐韓国日本大使館を通して日本政府宛に6項目要求の公開書簡を提出した。その内容は次のとおりである。[ii]

 

 ① 韓国女性を強制連行した事実を認めること。

 ② これについて公式謝罪をすること。

 ③ 蛮行の全貌を明らかにすること。

 ④ 犠牲者たちのために慰霊碑を建てること。

 ⑤ 生存者や遺族たちに賠償すること。

 ⑥ 同じ過ちを繰り返さないために、歴史教育でこの事実を教えること。

 

この6項目要求を提出した段階では、まだ「慰安婦」被害者の出現は無かったが、その後のアジア連帯会議などをとおして「慰安婦」被害者の同意を得て共通の要求になっていった。

 1990年の公開書簡に回答していない日本政府に対し、翌1991年4月1日に本岡議員が再度国会で取り上げた。その答弁で「厚生省勤労局も国民勤労動員署も朝鮮人従軍慰安婦』といった問題には全く関与していなかった」と答弁し「政府の関与」を否定した。

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