ソウルヨガ

主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

週刊ポストの安倍政権批判

 

 

週刊ポストの6月19日号に、「マスコミ特権は世界の恥だ」というマスメディア批判論がのっています。

安倍政権にビビッて、批判すると睨まれるから、皆がこぞってすり寄っている状況を批判しています。

 

例の、安倍が高級料亭などで高価な食事を食べて多くの人を巻き込みマスコミを取り込んでいる一覧表が使えます。

若いフェミの活動記録:『だれもがいきいきと生きられる社会のために』

 

在日本朝鮮人人権協会・性差別撤廃部会(編集・発行)『だれもがいきいきと生きられる社会のために』(2015年6月、800円)というものができました。

 

在日本朝鮮人人権協会・性差別撤廃部会のジェンダー平等に関する連続講座の詳しい講演記録と、「在日同胞のジェンダー意識に関するアンケート」の結果報告が載っています。

講座記録が詳しく参考になると思います。

 

若い在日朝鮮人の人たちがこのような元気な活動を行っているのを知っていいなあと思いました。

 

日本では「韓国・北朝鮮」へのバッシングが大きくなってますが、一人一人の人に出会い、ちゃんと向き合うべきです。どこの国にもいい人も悪い人も右翼も左翼も、排外主義の人も反差別の感覚の人もいますが、構造として差別があるときに、それに加担するかどうかは、各個人に問われます。

 

事実を知ること。それが出発点です。

 

「在日本朝鮮人人権協会・性差別撤廃部会」とは、次のようなものです。

「日本の植民地主義への抵抗としての在日朝鮮人自身による家父長制・性差別撤廃のための運動――【在日朝鮮人フェミニズム】――の構築を目指す、在日本朝鮮人人権協会傘下の部会。在日朝鮮人女性たちを中心として、2002年から現在に至るまで、性に関する差別・暴力の問題について学習会などを重ねている。」

 

フェイスブックのページもあります。

 

注文は、「在日本朝鮮人人権協会・性差別撤廃部会」へ

jinken94@yahoo.co.jp

f:id:hiroponkun:20150616001524j:plain

大黒魔季「あなただけ見つめてる」の歌詞からDVを考えるなど面白い学習会の内容が完全テープ起こしで詳しく紹介されています。

それにしてもこの歌、風刺がきいています。

歌詞はhttp://www.utamap.com/showkasi.php?surl=33864

等で読めますよ。

でもDV批判と読まない人もいるんでしょうねえ。

*****

ついでに、

このグループに出会えて、次のような雑誌も知りました。

メジャーではないところで、ちゃんとしたものはあります。

私はあらためて思うのです。有名で多部数売れているからいいというわけではなく、知られていない、そんなに売れていない、でもとてもいいもの、良質なものが、この世にはあると。

 

月刊誌「イオ」  (一例、韓国映画と現代史、マンガの中の在日朝鮮人、など)

在日本朝鮮人人権協会「人権と生活」

(一例、6月号「現代日本の排外主義にどうたちむかうか」特集など)

 

安保法案に反対の著名

 

みなさん

 

日本は、戦後世界一平和な国として知られ、平和主義は国民のアイデンティティーに深く刻み込まれています。 安倍政権が成立を目指す安保法案は、平和憲法を破壊し日本の若者たちを国外の戦地へ送り込むかもしれない「戦争法案」です。

 

自民党内からも反発の声が聞こえてきた今、日本に二度と「戦争をさせない」ため、私たち市民の行動が求められています安倍政権が安全保障関連法案(略:安保法案)を予定通り今国会で強行採決してしまえば、集団的自衛権の行使が容認され、日本の自衛隊は、条件さえ揃えば同盟国の戦争に加担できることになってしまいます。

 

ですが、憲法審議会で参考人憲法学者全員が「違憲」と指摘したことや、市民の高まる批判を受け、自民党内でも安倍内閣の方策を問題視する声が高まっています。

 

今こそ、力を合わせ立ち上がる時です -- 70年もの間貫かれてきた「平和への約束」を守るために、至急署名に賛同しキャンペーンをどんどん広めましょう

1万人の署名が集り次第、Avaazは私たちの声を、安保法案に反対の立場を取る村上誠一郎議員やその他賛否を決めかねている自民党議員の元へ直接届け、来週の国会包囲運動でアピールします: https://secure.avaaz.org/jp/ldp_save_peace_constitution_loc/?bsyWGab&v=60349

 

安保法案が違憲だと指摘した審議会の3名だけではなく、現在225名もの憲法学者が、「安保法案の進め方は極めて危険なやり方だ」と示す署名に賛同しています

審議会のメンバー早稲田大学法学学術院教授の長谷部恭男氏は、「自衛隊の海外での活動は、外国軍隊の武力行使と一体化するおそれも極めて強い」とさえ訴えたのです。

 

例えばもし、このような法案が15年前に成立していれば、日本の自衛隊アフガニスタンイラクの戦地へ送りこまれていたかもしれないのです。 自民党幹部は、現法案は違憲でもなければ、非常に厳しい条件のもとのみ集団的自衛権が行使されるため「戦争法案ではない」と主張しますが、70年間日本の平和を守ってきた憲法国会議員が勝手に変えてしまうことに変わりはありません。

 

なにより、直近の調査によれば市民の6割が今月末に開催予定の国会で安保法案を成立させる必要はないと回答しています安倍政権は安保法案に関して市民の理解と支持を得ているとは言えない中、自民党内にはすでに亀裂が生じています。

賛否を決めかねている自民党議員に、平和憲法を後世に守り抜くため、安倍政権の方策に立ち向かうよう呼びかけましょう -- 至急、ご署名の上キャンペーンを幅広くシェアして下さい:

https://secure.avaaz.org/jp/ldp_save_peace_constitution_loc/?bsyWGab&v=60349

 

昨年、安倍政権集団的自衛権を行使できるよう憲法9条の解釈変更を閣議決定したときも、日本のAvaazコミュニティは立ち上がり、わずか24時間以内で1万以上の署名を集めました。

平和憲法」という財産を巡る戦いはまだ終わっていません -- 今再び、日本の平和主義を守るため共に行動を起こしましょう。

 

希望と決意を込めて ローザ、ルイス、ジョセフ、ディエゴ、オリー、そしてAvaazチーム

 

関連情報

国会周辺で安保法案反対デモ、主催者発表で2万5千人参加 (TBS/日本語)

http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2517487.html

「じじい、黙って入られぬ」 山崎拓氏ら安保法案反対(朝日新聞/日本語) http://www.asahi.com/articles/ASH6D5R55H6DUTIL04S.html?iref=comtop_6_01

官房長官 合憲論学者「数ではない」 安保法案 与党、会期延長検討

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015061002000238.html

憲法審査会の参考人質疑が明確化にした安全保障関連法案の問題の焦点(BLOGOS/日本語)

http://blogos.com/article/115458/

 

安保法案、今国会で成立「必要ない」60% 世論調査 (朝日新聞/日本語) http://www.asahi.com/articles/ASH5L4SDKH5LUZPS002.html

毎日新聞調査:安保法案「反対」53% 内閣支持率45%(毎日新聞/日本語) http://mainichi.jp/select/news/20150525k0000m010062000c.html 政府・与党に危機感…安保法案に理解広がらず(読売新聞/日本語)

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150608-OYT1T50007.html 憲法共同センターの公式サイト・呼びかけ(日本語) http://www.kyodo-center.jp/?p=1814


憲法私物化、口先うそつき  それでも安倍は強行する

 

 

安倍政権は法案を強行突破させるでしょう。安倍を支持した人がバカだからです。安倍政権が強行した後,何が起こるかです。大したことは起こらないでしょう。

安倍はいつか退陣に追い込まれますが、その前にこの法案をとおせればいいのです。

今の主流秩序の状況を見れば、暗黒社会へ当面進むでしょう。

その中から異論を唱える主体が出てくるしかありません。まずは自分から。

 

以下の中では次の言葉が特に大事です。

「安倍首相は『あれもしない、これもしない』と答弁するが、それは彼が今、そのつもりであるというだけで明日になって、来年になって彼が考えを変えればそれまでの話であって、歯止めは存在しない」と指摘する。」

 

****

 

 

特集ワイド:これはもはや憲法私物化?

毎日新聞 2015年06月15日 東京夕刊

 「憲法は、国の最高法規」のはず。ところが憲法を軽んじるかのような発言が、安全保障関連法案を巡る国会審議などで安倍晋三内閣の閣僚や自民党幹部から相次いでいる。憲法を政治家の“ご都合主義”で解釈されてしまっていいのか。【小国綾子、小林祥晃

 

 ◇9条2項 陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない

 やはり、この人の怒りは収まっていなかった。憲法学の重鎮、慶応大の小林節名誉教授だ。「憲法軽視発言は、安倍政権が独裁化している証拠です!」と声に力を込める。まず問題にしたのが、5日の自民党役員連絡会で飛び出した高村正彦副総裁の発言。

憲法学者はどうしても9条2項の字面に拘泥するが……」という内容だ。憲法学者3人が4日の衆院憲法審査会で安保法制を「違憲」とする見解を表明したのを受けたもので、審査会では小林氏も参考人として意見を述べた。

 

 いわば売られたケンカ。小林氏はこう反論する。「憲法学者が法律の『字面に拘泥』するのは当然です。言葉にこだわる学者を煩わしいと思うなら、それは政治家の慢心。人治国家と法治国家を、あるいは独裁国家と民主国家を分けるのは、約束を言葉にまとめた法律です。『字面』をないがしろにすれば、その先にあるのは独裁政治です」

 

 小林氏の怒りの火に油を注ぐかのように、さらに高村氏が「学者の言う通りにしていたら、自衛隊日米安全保障条約もない。平和と安全が保たれたか極めて疑わしい」と憲法学者を批判した。小林氏は「事実誤認だ。1950年、自衛隊の前身の警察予備隊ができた当時も『憲法自衛権を認めており、警察予備隊憲法上認められる』という憲法学者はいました」と説明する。

 

 最もとんでもない発言と小林氏が憤るのが、5日の衆院平和安全法制特別委員会での中谷元(げん)防衛相の「現在の憲法をいかにこの法案に適応させていけばいいのかという議論を踏まえて(集団的自衛権行使容認の)閣議決定を行った」という答弁だ。

中谷氏自身、自著「右でも左でもない政治」(2007年)で「これ以上、解釈の幅を広げてしまうと(略)憲法の信頼性が問われる」と記した。13年には雑誌の対談で憲法解釈変更による行使容認はすべきでないと発言していたはずだが−−。

 

 ◇98条1項 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない

 ここで、改めて憲法を確認しよう。憲法98条1項は<この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又(また)は一部は、その効力を有しない>とある。

つまり「法律が憲法に適合するか」と考えるのが当然だ。中谷氏もさすがに10日の同委で「趣旨を正確に伝えられなかった」と発言を撤回した。

 

 小林氏は「立憲主義を何と考えているのか。まさに憲法を軽んじる失言で、語るに落ちたと思いました。『綸言(りんげん)汗のごとし』の格言通り、責任ある者の一旦発した言葉は簡単に取り消したり訂正したりはできない。このような人物が防衛相の要職にあること自体問題です」。中谷氏に「レッドカード」を突きつける。

 

 菅義偉官房長官も問題発言の当事者だ。憲法審査会で憲法学者から「違憲」の見解を示されると「合憲だとする憲法学者はたくさんいる」と発言したのだ。ところが、10日の同委で野党から具体的な名前を問われた際は3人しか列挙できず「数の問題ではない憲法の番人は最高裁であって学者ではない」などと述べた。

 

 小林氏は「ご都合主義」と怒る。「昨夏、集団的自衛権行使の容認を閣議決定した時、政府は、今回、合憲とする学者として名前を挙げられた3人のうちの一人、西修・駒沢大名誉教授らがメンバーになった安保法制懇で識者の意見を聞いて決定した、と国民に説明しました。

ところが、学者に違憲と指摘されると『憲法の番人は学者ではない』と反論する。都合の良い学者の意見しか聞けない姿勢は問題です」

 

 他の学者はどう受け止めているのか。首都大学東京大学院の木村草太准教授は「圧倒的多数の憲法学者が安保法制を『違憲』と考えている。政府が法案の合憲性に本当に自信があるなら、違憲論者を納得させるぐらい、明確に説明すべきだ」と語る。

 さらに「あいまいで具体性を欠く閣僚答弁に、憲法や法の理念をないがしろにしている姿勢がうかがえます。『法の支配』の理念に反しています」と批判する。

 

 「野党議員が『こういう場合は武力行使するのか』と質問しても、答弁に立った閣僚は『行う』『行わない』と明言せず、武力行使ができる範囲をあいまいにしています。一連の答弁は、安保法制の今後の運用を決定づける重要な解釈であるべきなのに」。国民が一連の答弁を認めてしまうことに潜む危険性も説く。「将来、時の政権がいかようにも法を乱用できる道を開くことになるのです

 

国会議員の定数是正問題でも自民党憲法を軽んじている。最高裁は昨年11月、格差が最大4・77倍だった13年参院選について「違憲状態」と認定。しかし参院選を来年に控えた今もなお、選挙制度改革は進んでいない。「1票の格差」是正を訴え、各地で国政選挙の無効訴訟を起こしている弁護士の伊藤真さんは「官房長官が『憲法の番人は最高裁』というなら、まず1票の格差の問題に真摯(しんし)に取り組むべきです」と主張する。

 

 「都合の良い時だけ最高裁を持ち上げ、都合の悪い時は最高裁の意思を無視する。これでは二枚舌。最高裁判断の軽視は、憲法の軽視と同じ。そして学者、有識者はいわば国民の代表です。自民党が学者らを軽視するのは国民軽視にほかならない

 

 ◇99条 天皇又は摂政及び国務大臣国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ

 なぜ、憲法憲法学者を軽んじる発言がとまらないのか。ジャーナリストの鈴木哲夫さんは「根っこは昨夏の『解釈改憲』。そこでボタンを掛け違えたから、つじつま合わせのために無理な答弁を強いられ、憲法軽視発言につながっている」と説明する。

 「『安倍1強』状態で、党内でまともな議論にならない。数の力にあぐらをかき、安保法制の勉強会一つない。地元で安保法制についてまともに説明できない1、2年生議員も山ほどいる。閣僚らの憲法軽視発言の背景に、自民党の組織のゆるみが見て取れる」と問題を指摘する。

 党幹部の中には「どうせ数で決まる。下手に反対して安倍首相の恨みを買い、9月の総裁選後の新体制人事で干されるより黙っていた方が得」と漏らす者もいるという。国の将来より自分のポストが大事というわけなのか。

もう一度、憲法99条を読んだ。国務大臣国会議員らはこの憲法を尊重し擁護する義務がある、と定めている。自民党憲法を「私物化」するのは許されない。

 

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▽安保関連法案:長谷部と小林両氏、政府・与党を厳しく批判

http://mainichi.jp/m/?LsHjIJ

 

▽安保関連法案:「国民を愚弄」「珍妙な引用」 長谷部・小林両氏の与党批判詳報

http://mainichi.jp/m/?lYOd7z

2015年06月15日

 

憲法と安全保障法制について記者会見する小林節・慶応大名誉教授(右)と長谷部恭男・早稲田大大学院教授=東京都千代田区の日本記者クラブで2015年6月15日午後3時32分、猪飼健史撮影

 

 6月4日の衆院憲法審査会で、自民党が推薦した長谷部恭男・早稲田大大学院教授ら憲法学者3人が集団的自衛権の行使容認を含む安全保障関連法案を「憲法違反」と明言した。その後、自民党幹部からは「憲法学者はどうしても(憲法)9条2項の字面に拘泥する」「学者の言う通りにしていたら、自衛隊日米安全保障条約もない。平和と安全が保たれたか極めて疑わしい」といった発言が飛び出し、安保法案を巡る議論は加熱している。憲法審査会で参考人として意見を述べた長谷部氏と小林節・慶応大名誉教授が15日、日本記者クラブで会見を開いた。「違憲」を主張する両氏は果たして「現実を知らない」学者なのか。その発言の真意に迫った。【石戸諭/デジタル報道センター】

 

 ◇「自民党の政治家は『憲法とは何か』という話に納得してくれない」

 会見は小林氏の「自民党の政治家はいまだに憲法とは何かという話に納得してくれない」という嘆きから始まった。「憲法は主権者が権力担当者、政治家、公務員に課した制約」(小林氏)。これは立憲主義と呼ばれる考え方だ。長谷部氏は「世の中には多様で、衝突しあう価値観がある。それでも公平な形で社会生活を送るための枠組みをつくるという考えだ」と補足する。

 

 「自民党の勉強会に行くと、毎回『どうして憲法は政治家だけを対象にしているのか』という話になり、そのうち『国民が守らなくていいのか』という話になり、『権力者も一般国民も守る』ものだとなり、(国民が政府に)協力するという話が入ってくる。憲法はそんなものではない」。小林氏はそう語気を強めた。

 

 ◇安保法制「違憲」の理由

 安保法制はなぜ「違憲」なのか。「9条の法意は『専守防衛』。9条は侵略戦争を放棄し、交戦権も認めていない。しかし、自衛は認めており、だから腕力の大きな第2警察としての自衛隊がある。他国を防衛するために海外派兵する集団的自衛権国際法上、保持していても、憲法の制約があり行使できない」(小林氏)

 

 「違憲」発言でメディア露出が急増した長谷部氏は「合憲性を基礎づけようとしている論理が破綻している。自衛隊の活動範囲の法的安定性を揺るがしている」とこれまでの主張と同様、厳しく批判する。

憲法9条の下、行使が許されるのは個別的自衛権の行使。すなわち『日本に対する外国からの直接の武力攻撃によって、わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険が切迫している場合』。これが従来の政府の憲法解釈。集団的自衛権行使は典型的な違憲行為だ。憲法9条を改正することなくありえない、と繰り返し政府によって表明されてきた。

 

自国防衛の個別自衛権の行使の論理、他国防衛の集団的自衛権行使の論理は本質を異にする。前者のみ容認されるという論理が、後者容認のための論理にはならない。

安倍首相は『あれもしない、これもしない』と答弁するが、それは彼が今、そのつもりであるというだけで明日になって、来年になって彼が考えを変えればそれまでの話であって、歯止めは存在しない」と指摘する。

 

◇政府・与党の反論 「国民を愚弄」(長谷部氏)「珍妙な引用」(小林氏)

 こうした批判に対し、政府や、高村正彦副総裁ら自民党幹部が持ち出すのは1959年の砂川事件最高裁判決を根拠にした集団的自衛権「合憲」論だ。砂川事件では駐留米軍が憲法9条の「戦力」に該当するか否かが問われた。

 

最高裁判決は該当しないと判断し、1審判決を破棄して差し戻した。安保条約そのものについては憲法判断を避け「内閣や国会の高度の政治的、自由裁量的判断」(統治行為論)とするにとどめている。政府・与党は同判決にある「自国の平和と安全を維持し、存立を全うするために必要な自衛の措置」は集団的自衛権と個別的自衛権を区別していないとし、集団的自衛権は「合憲」としている。

さらに「安全保障政策のような高度に政治的な問題については、国会と内閣に委ねると最高裁は言っている」(高村副総裁)という主張も展開している。

 

 小林氏は統治行為論の専門家。「(統治行為論は)選挙で選ばれた国会議員、選出された内閣、閣僚に一時的に判断を委ねると言っているだけで、最終的に委ねるとは言っていない。最終的には主権者たる国民が決めると言っている。高村副総裁のような解釈は初めて聞いた司法制度は問われたことしか答えられない。砂川判決で問われたのは在日米軍の合憲性であって、日本の集団的自衛権はどこにも問われていない。(政府・与党は最高裁判決を)フルテキスト読んだような引用をしていない。珍妙な引用だ」という。

 

長谷部氏も同調する。「政府が引用する段落は『憲法9条は、わが国がその平和と安全を維持するために他国に安全保障を求めることを、何ら禁ずるものではない』という結論で締めくくられている。その結論を導くために最高裁は日本には自衛権があると指摘するにとどまる。それだけだ」。

 

 長谷部氏はさらに批判を強める。「例えるなら、妻と自動車で出かけようとした際、夫が車のキーを忘れたことに気がつき、妻に『キーを忘れた。取ってきてくれ』と頼んだとします。妻が家の中にあるありとあらゆる鍵をすべて持ってきた時、夫は『僕の言葉通りに何ら区別することなくすべての鍵を持ってきてくれてありがとう』と感謝するだろうか。自民党が言っているのはそれと同じ。国民を愚弄(ぐろう)していると思う。最高裁が判断を示していないからといって『違憲』の法律を作っていいものではない。わらにもすがる思いで砂川判決を持ち出してきたかもしれないが、わらは、しょせんわら」

 

自衛隊は「合憲」

 両氏は「自衛隊そのものが違憲」だとして安保法案に反対しているわけではない。そもそも自衛隊合憲論者だ。

「30歳から大学教員を務めてきたが、そのときから自衛隊合憲説をとってきた。国家には自然権としての自衛権があり、憲法9条は侵略戦争は放棄しているというもの。

自衛隊合憲説は学会でそんなに少なくない。国連による国際安全保障に参加することは否定しない」(小林氏)。長谷部氏の立場はこうだ。「自衛隊は合憲であると考えている。立憲主義と絶対平和主義という9条解釈は両立しないと考えている。絶対平和主義で国民の生命・安全を保障することはできない。絶対平和主義という価値観を憲法に読み込むのは特定の価値観の強制である。そもそも学者の中でも9条で論文を書く人は少ない。その中で自衛隊違憲説の方はいるが、それをもって憲法学者の多くが(自衛隊を)違憲だという結論を導くものではない。

私は安保法制にしても全部が全部、違憲とは思わない。例えば国連平和維持活動(PKO)の武器使用基準拡大は憲法違反とは考えていない」

 

 ◇政府・与党に都合が「いいと『専門家』」「悪いと『素人』」

 「(憲法学者は)現実を知らない。安全保障問題の『素人』だ」という批判に対しても、こう反論する。「英オックスフォード大出版局が刊行した比較憲法の辞典がある。世界の研究者が参加している。憲法による軍事力行使の制限について各国の法制を分析する『戦争権限』の項目は私が執筆している」と長谷部氏。

「仮に私が素人だとしましょう。そうすると、自民党は『素人』を特定秘密保護法という、安全保障に不可欠な歯車というべき法律の参考人に呼んだことになる。明らかな人選ミス。立法過程に重大な問題がある以上、同法を作り直したほうがいいのではないか」

 

 小林氏はこうだ。「学者が『字面に拘泥』するのは当たり前。政治家が拘泥しないときに、『ちょっと待って』と言うためにいる。そうでないと法治主義がなくなる」

 学者の見解をどう受け止めるか。政府・与党の姿勢にも厳しい言葉が続く。「今の与党の政治家は参考人が都合のいいことを言った時は『専門家』、都合が悪い時は『素人』だという」(長谷部氏)。「自民党の政治家には意見が違うと怒り出す人がいる。思う通りにならないと我慢がならないというのはどうなのだろうか」(小林氏)

 長谷部氏は淡々とした口調で自身の考えをこう述べた。「自民党の推薦で(憲法審査会の)参考人となった。国会の参考人と呼ばれたことはあるが、自分がどの政党の推薦かわからないこともある。どの党の推薦か自覚して発言したわけではない。私は自分の発言が周囲にどういう反響をもたらすか気にしない人間。いつも、聞かれたことには私が正しいということを答えるだけ」

批判されるとカッとし、平気で[絶対に大丈夫]と嘘をつく

 

批判されるとカッとし、平気で[絶対に大丈夫]と嘘をつくのはヒトラーとうり二つです。橋下市長と共通しています。

私はこれをDV加害者と同じといいます。

 

ただし、現実のDV加害者の中には誠実に自分のしたことを反省し変わろうとするまともな人もいます。橋下と安倍は「まだ全く反省しておらず、DVをDVと認識せず居直っている加害者」のレベルです。

 

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【どうなっている、首相の「議論の作法」】やじ飛ばす、回りくどい…

06月16日 09時30分

安倍首相:やじ飛ばす、回りくどい…答弁が波紋

毎日新聞 2015年06月01日 23時01分(最終更新 06月01日 23時36分)

 

首相の発言と野党議員の反応

拡大写真

 

06月03日 01時38分 安全保障関連法案を巡る国会審議で、安倍晋三首相の答弁や態度が波紋を広げている。首相は1日、質問議員にやじを飛ばした一件で陳謝したが、求められていないのに答えようとしたり、回りくどく分かりにくい答弁を繰り広げたり、というのは相変わらず。一国のリーダーの「議論の作法」はどうなっているのか。【樋岡徹也、日下部聡】

 

 1日の衆院特別委員会で、民主の寺田学議員が中谷元・防衛相を指名し、安保法制の細部について質問した。すると安倍首相が手を挙げ、答弁しようとした。寺田氏は「中谷大臣に聞いている」と語気を強め、結局、防衛相が答弁した。一連の審議で何度も繰り返されてきた光景だ。

 

 安倍首相はこの日、寺田氏の質疑に先だちやじ問題で陳謝した。

 首相のやじは5月28日午後、民主の辻元清美議員に発せられた。防衛相への質問なのに挙手して立ち上がった首相を、辻元氏は「総理、落ち着いて。どっしりしてください」と制止。議場に笑いが起きた。その15分後。辻元氏の発言が3分あまり続き、3メートルほどの距離で正面に座った首相が叫んだ。

 「早く質問しろよ!」

 野党の反発で騒然とし、審議は中断した。

 

 辻元氏は言う。「橋本さん(龍太郎首相)以降安全保障の質疑はずいぶんやったが、あんな態度の総理は見たことがない。行政が立法府に命令したということで、国会全体が怒らなきゃいけない」

 

 しかも、首相答弁は長い上に抽象的なことが多い。初日の5月27日、維新柿沢未途議員の質問には延々5分半の長広舌を繰り広げた。こんな調子だ。

 

 「……リスクについては新しい後方支援のことについておっしゃっているんだろう。こう思います。これは武力行使とはかかわりのない後方支援の話だと私は今理解しているわけでございます。後方支援と武力行使を混同させない方がいいと思いますが、後方支援について言えば、武力行使ではないわけであります。つまり、一体化しないという理論のもとに我々は今度の法制を行ったので……」

 

 1日の特別委で質問に立った民主の寺田氏は終了後、首相答弁をこう表現した。「一つの引き出しを開けて、その中身を全部出すという感じだよね」

 

 ◇批判に過剰反応する性格も影響か

 安倍首相の答弁をどう見るか。

 政治アナリストの伊藤惇夫氏は、全体として「逃げの答弁だ」と分析する。自衛隊の活動範囲拡大でリスクが高まるかどうかの議論に注目し、「リスクを認めると国民の反発が強まると危惧し、何とか言い抜けようとしている感じだ」と指摘。

 

 やじについては「長年国会を見ているが、首相が口にするなど聞いたことがない。国会で法案審議をお願いする立場で『早く質問しろよ』などと言うのは極めて非常識だ」とあきれる。「野党が非力なこともあり、なめてかかっているのではないか。批判に過剰に反応する性格も影響していると思う」

 

 政治家の発言を分析した著書もある名古屋外国語大の高瀬淳一教授(情報政治学)は、「細かい部分を問う質問に原則論や持論で答えることで、失言を避けようとしているとも見える」と話す。

 自衛官のリスクを明言しないことについては「人の命を危険にさらすな、という議論を避けるには『絶対に大丈夫』『日本全体の安全を高めるため』というレトリック(表現技法)を繰り返すしかない」と指摘する。

これが橋下・維新  維新を支持してはならない

 

維新の中には個別個人的にはましな議員もいますが、大坂組を中心として基本的に新自由主義改憲、排外主義、右翼的な人物が多く、安倍の親衛隊に過ぎません。

その正体は橋下の行った政策、言動、そしてこの間の派遣法改悪加担や憲法改正論議での態度で明らかです。維新を支持した人は、現実を見てください。

 

 

橋下氏、野党再編に冷や水 維新、分裂の可能性も

原慎一、河口健太郎

2015年6月16日07時55分

 

 維新の党の橋下徹最高顧問(大阪市長)が安倍晋三首相との会談直後の15日、民主党を痛烈に批判した。維新松野頼久代表らは民主を相手にする「野党再編」路線だが、橋下氏の発言で急ブレーキがかかる可能性がある。首相も世論の批判が強い安全保障関連法案などを与党だけで採決し、批判を浴びるのを避けたいのが本音。橋下氏にエールを送って維新との連携を探っている。

 

      政権、安保採決へ連携期待 首相、橋下氏と会食3時間

 

■「宿敵」とは組めない

 橋下氏は住民投票後の5月末の記者会見で「次の人たちにバトンタッチして、やってもらっていかないと。個人商店じゃないわけですからね」と述べ、政界から身を引く考えを示していた。しかし、首相との会談から一夜明け、ツイッターで民主批判を発信した。

 

 「維新の党は民主党とは一線を画すべき」「民主党という政党は日本の国にとってよくない」「維新民主党とは決定的に違う」――。

 

 大阪選出で橋下氏に近い「大阪組」の一人、馬場伸幸国対委員長も、与党の採決に協力する形になった労働者派遣法改正案などを引き合いに、「この進め方は維新らしさを出している。安保法制もそういう対応をすることに大きな変化はない」と述べ、安保関連法案でも安倍政権に協力する可能性に踏み込んだ。

 

 橋下氏の発信について、党内では、代表の松野氏が民主を念頭に野党再編を探る中、「民主党と組むのはダメだという牽制(けんせい)球」(党幹部)との見方がもっぱらだ。

橋下氏は民主を支持する公務員労組と数々の改革を巡って対決。「大阪都構想」では民主大阪府連や連合大阪が反対に回り、結果的に反対多数となった。その「宿敵」と組むわけにはいかない。

 

 維新の大阪組にしても、現職や公認候補で選挙区が埋まっている自民との選挙協力は難しいが、かと言って、これまでさんざん批判してきた連合に頭を下げて選挙をするわけにもいかない。当面は、橋下氏の旗のもとで選挙に臨むしかないという事情もある。

 

■松野氏「民主と合流とは言ってない」と説明

 松野氏ら野党再編派は、こうした橋下氏の動きを警戒する。

 「安倍総理大阪都構想のお礼をするのは構わないが、国会運営や法案でお返しすることは考えないで下さいね」。松野氏は橋下氏と首相の会談直前、橋下氏にこう念押しした。

 

 松野氏は15日、記者団に「集団的自衛権(の行使容認)の閣議決定をしたところに、憲法学者が唱えているように無理があったのではないか、とおっしゃっていた」と橋下氏の発言を紹介し、安保関連法案で政権と接近しようという党内の動きを牽制。江田憲司前代表も15日、「安保法制は派遣法のやり方を踏襲することはない」と明言した。

 

 ただ、橋下氏はツイッターで「内閣における憲法の有権解釈者は内閣総理大臣憲法解釈が時代とともに変遷するのは当然のこと」とも述べている。また、橋下氏と首相の会談をどちらが持ちかけたかでも、江田氏が「安倍官邸の強い要請があった。橋下さんが申し入れた会談ではない」と言えば、菅義偉官房長官は15日の記者会見で「橋下氏があいさつに来たいということだった」。党内の疑心暗鬼は膨らみ続けている。

 

 党内の大阪選出議員を中心に影響を持つ橋下氏が浴びせた野党再編への冷や水。松野氏らが念頭に置く民主との野党再編路線に急ブレーキがかかり、安保関連法案をめぐる与党との修正協議論が台頭すれば、党の分裂につながる可能性もある。

 

 松野氏は橋下氏の民主批判を受け、「僕は、民主党と(維新という)二つの政党が合流すると言ったことは一度もない」と記者団に説明せざるをえなかった。

 橋下氏の民主批判に端を発した維新の動揺に、民主の枝野幸男幹事長は15日「コメントする立場にない」と述べた。その心を民主幹部はこう解説する。「そのうち『大阪組』と松野氏らは離別してすっきりする。松野氏らが最後まで橋下さんに乗っかると思ったら大間違いだ」(藤原慎一、河口健太郎)

 

「日本ぼめ」の快感

 

 

(耕論)「日本ぼめ」の快感 

朝日新聞 2015年6月16日05時00分

http://digital.asahi.com/articles/DA3S11809029.html

 

 かっこいい日本、「クールジャパン」を海外に売り込もう。そんな動きの一方、日本のここがすごいという外国人のほめ言葉がよく伝えられる昨今。少し、熱くほめられすぎてないか?

 

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 ■肯定ばかり、だから安心 武田砂鉄さん(ライター・編集者)  

テレビ番組で、日本のラーメン屋の行列を「美しく冷静に行列に並ぶことができるのは日本人だけ。規律正しい国民だ」と外国人のキャスターにリポートさせていた。併せて流した映像は裕福ではなさそうなインド人がバケツを持って並ぶ姿。そこまでして「日本」をたたえますか。

僕も日本は好きです。しかし、何でもかんでも日本を褒めがちな風潮は気持ち悪い。外と比較し、外を下げて、自分たちを持ち上げる。「日本アゲ」ですね。欧州の先進国でも電車の発車時刻は遅れて当たり前なのに「定刻発車できる日本はすごい」とか。

 

1998年から3年半、「ここがヘンだよ日本人」という番組がありました。世界から見ると日本人はこんなにおかしく見えるよと、それを面白がり、笑いのめす度量があった。今なら「自虐的だ」と叱られるのでしょうか。「世界の日本人ジョーク集」が売れたのは約10年前。自分たちを笑う余裕がありました。

書店の店頭で目立つ、日本を褒める本は三本柱です。ただただ称賛する本、中国や韓国をけなす本、「昔の日本人と比べ今はだらしない」と叱る説教調の本。嫌中・嫌韓本はヘイトスピーチの社会問題化などで失速気味。

その分を「褒め本」が埋めています。

 

 三本柱の購読層は重なり、中心となるのはいずれも50代以上の男女。中韓への鬱憤(うっぷん)を日本アゲで埋める構図です。ひと昔前までは「日本の方が上」と余裕で感じていられた状況が、中韓の経済規模拡大で変わった。日本褒めは、プライドが崩れた中高年を優しく慰め、安心材料を提供しているともいえます。

 

 安心の作り方も粗雑です。ある本は「日本を褒める」本文の多くが、ネットに投稿された外国人の日本を称賛する書き込み。一面的なところがウケる。物事には否定的な見方も肯定的な見方もあるはずなのに肯定以外は切り捨てる。それを繰り返し「日本はやっぱり素晴らしい」「まだ大丈夫だ」と安心する。

 

現状を精緻(せいち)に分析し、解決策をあれこれ探る難しい本よりも、風邪薬の効能書きの「熱が出たらこの薬」みたいに、「不安になったら日本アゲを読め」という図式が出来上がっているのでしょう。

もう一つ気になるのは、行列や定刻発車という個別事例がいきなり「日本という国」「日本人」という「大きめの主語」に昇華してしまうこと。理解に苦しみます。行列に整然と並ぶ姿が、なぜ「日本人はすごい」に直結するのか。

 

「せっかく褒められて気持ちよくなっているのに、気の利かない野郎だ」と思われようとも、その都度立ち止まってぐずぐずと考え続ける以外にないと思う。さもないと、いつしか「大きめの主語」に取り込まれ、翻弄(ほんろう)されてしまいます。(聞き手・畑川剛毅)

 

たけださてつ 82年生まれ。出版社勤務を経て昨年独立。「紋切型社会 言葉で固まる現代を解きほぐす」を今年4月に出版。

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■自己愛保つために自賛 春日武彦さん(精神科医

       

自己愛のない人間はいません。その表れ方は、自己肯定、思い上がり、独りよがり、といろいろ。自信を抱くことで生きる意欲を高める自己肯定は、人が真っ当に生きるための支えになります。

一方、自画自賛や自己陶酔などは独りよがりと言えます。

日本の長所を自賛する現象が目立つとすれば、多くの日本人の自己愛が傷つき、危機にさらされているからです。 

個人の自己愛が危機に瀕(ひん)したとき、それぞれの人がとる対応は二通りあります。ひとつは「自分はこれだけのもの。とやかく言うな」と虚勢を張ること。居直りにも近い態度で、積極対応といえる。

もうひとつは消極対応。表面的には沈黙を装いながら、内心では誇大した自己像を思い描き、守るのです。極端な例は引きこもりですが、それ以上自己を傷つけないように心の内に逃げ込むわけです。

もともと日本人はこの二通りのやり方を絶妙にブレンドしてきました。

自己肯定感をそれなりに持ちながらも、自虐的な日本人論を面白がったり、辛口の外国人が言いたい放題の「ここがヘンだよ日本人」なんて番組を苦笑しながら楽しんだりしてきました。

それが、最近は変わり、積極と消極、二通りの対応が個人の中でブレンドされることなく、いわば並立する形で表れてきたような気がします。

自画自賛の現象は、消極対応の発展型なのです。「無人販売所が成り立つ日本はすごい」「町工場の技術がすばらしい」。こういう話題は、どこの国の人だってあえて否定や反対しませんよね。そうした話題について紹介して、内輪だけで盛りあがっている。

これ以上自分たちが傷つかないように、自分たち自身を慰める側面が強いのでしょう。

一方で、積極対応については、とかく強気な態度や言葉遣いが持てはやされる風潮に表れています。分かりやすい例は排外主義的なヘイトスピーチネトウヨの言葉です。「自分が正しい」と言い切るのは、安心感を得るのに手っ取り早い方法ですから。

 なぜ二通りの対応がブレンドされることなく、分かれて表れるようになったか。ネット環境の発達とともに、単純で平板な思考法が一般的になったことが大きいでしょう。屈折、含羞(がんしゅう)など「ひねり」の面白さも分かりにくい社会になり、身もふたもない正論やクレーマー的な理屈が横行するようになってしまった。 

そうした思考法は、社会での勝ち組、負け組といった単純素朴な対立構造こそがリアルだと感じる感性ともつながっています。

自己愛が揺るがない人間なんていません。どのように折り合いをつけて自己愛を保つか、そこに品性や志が反映します。最近の安直な自画自賛現象はそれらが欠けた結果なのです。(聞き手・村上研志)

 

 かすがたけひこ 51年生まれ。日本医科大卒。東京都松沢病院部長などをへて、成仁病院顧問。著書に「自己愛な人たち」「『キモさ』の解剖室」   *

 

 

映画「ヘイトスピーチ」劇場公開

 

 大阪芸術大学河南町)芸術学部映像学科の学生2人が、ヘイトスピーチ(差別的憎悪表現)を題材にしたドキュメンタリー映画「ヘイトスピーチ」を卒業制作した。同世代の若者が、この問題を考えるきっかけになればと願っている。

 

 制作したのは、岩手県宮古市出身の佐々木航弥さん(22)と、愛媛県西条市出身の平木篤さん(22)。

 

 佐々木さんは昨年3月、テレビ番組で目にし、ヘイトスピーチの存在を初めて知った。「なぜ、知らなかったんだろう」。ショックだった。友人の平木さんに提案して卒業制作の題材に決め、関連本を集めて読みこんだ。

 

この映画が6月20日からシアターセブンで上映される。

 

遅いメディア  しかも無力

 

昨年の集団的自衛の閣議決定がおかしいが、それを許してきたのは誰なのか。そのあとも安倍政権を支持している人は今の議論でどう思うのか。そこがないから無力。

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違憲」の安保法制―廃案で出直すしかない

2015年6月16日(火)付

 

 国会で審議されている法案の正当性がここまで揺らぐのは、異常な事態だ。

 安倍内閣が提出した安全保障関連法の一括改正案と「国際平和支援法案」は、憲法違反の疑いが極めて濃い。

 その最終判断をするのは最高裁だとしても、憲法学者からの警鐘や、「この国会で成立させる必要はない」との国民の声を無視して審議を続けることは、「法治への反逆」というべき行為である。

 維新の党が対案を出すというが、与党との修正協議で正されるレベルの話ではない。いったん廃案とし、安保政策の議論は一からやり直すしかない。

 

■説明つかぬ合憲性

 そもそもの間違いの始まりは集団的自衛権の行使を認めた昨年7月1日の安倍内閣の閣議決定である。

 内閣が行使容認の根拠としたのは、集団的自衛権憲法との関係を整理した1972年の政府見解だ。この見解は、59年の砂川事件最高裁判決の一部を取り込み、次のような構成をとっている。

 

 ①わが国の存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを9条は禁じていない。

 

 ②しかし、その措置は必要最小限の範囲にとどまるべきだ。

 ③従って、他国に加えられた武力攻撃を阻止する集団的自衛権の行使は許されない。

 歴代内閣はこの考え方をもとに次のように説明してきた。

 日本は国際法上は集団的自衛権を持っているが、憲法上は集団的自衛権を行使できない。行使できるようにするためには、憲法の改正が必要だ――。

 ところが閣議決定は、①と②はそのままに、③の結論だけを必要最小限の集団的自衛権は行使できると改めた。

 

 前提となる理屈は同じなのに結論だけを百八十度ひっくり返す。政府はその理由を「安全保障環境の根本的な変容」と説明するが、環境が変われば黒を白にしてよいというのだろうか。この根本的な矛盾を、政府は説明できていない。

 入り口でのボタンの掛け違いが、まっとうな安全保障の議論を妨げている。

 

■安保政策が不安定に

 この閣議決定をもとに法案を成立させるのは、違憲の疑いをうやむやにして、立法府がお墨付きを与えるということだ。

 その結果として可能になるのが、これまでとは次元の異なる自衛隊の活動である。

 限定的とはいいながら、米国など他国への攻撃に自衛隊が反撃できるようになる。政府の判断次第で世界中で他国軍を後方支援できるようになる。弾薬を補給し、戦闘機に給油する。これらは軍事的には戦闘と表裏一体の兵站(へいたん)にほかならない。

 

 9条のもと、私たちが平和国家のあるべき姿として受け入れてきた「専守防衛自衛隊」にここまでさせるのである。

 リスクが高まらないわけがない。世界が日本に持っていたイメージも一変する。

 その是非を、国民はまだ問われてはいない。昨年の衆院選は、間違いなくアベノミクスが争点だった。このとき安倍氏に政権を委ねた有権者の中に、こんなことまで任せたと言う人はどれだけいるのか。

 

 首相が国民の安全を守るために必要だというのなら、9条改正を提起し、96条の手続きに従って、最後は国民投票で承認を得なければならない。

 目的がどんなに正しいとしても、この手続きを回避することは立憲主義に明らかに反する。

 

 数を頼みに国会を通しても、国民の理解と合意を得ていない「使えない法律」ができて、混乱を招くだけだ。

 将来、イラク戦争のような「間違った戦争」に米国から兵站の支援を求められた時、政府はどう対応するのか。

 

 住民への給水などかつて自衛隊が実施した復興支援とは訳が違う。派遣すれば国民は反発し、違憲訴訟も提起されるに違いない。断れば、日米同盟にヒビが入る。かえって安全保障体制は不安定になる。

 

 憲法学者から「違憲」との指摘を受けた後の対応を見ると、政権の憲法軽視は明らかだ。

 砂川事件最高裁がとった「統治行為論」を盾に、「決めるのは我々だ」と言い募るのは、政治家の「責任」というより「おごり」だ。

憲法の後ろ盾は国民

 先の衆院憲法審査会で、小林節慶大名誉教授がこんな警告を発している。

 「憲法は最高権力を縛るから、最高法という名で神棚に載ってしまう。逆に言えば後ろ盾は何もない。ただの紙切れになってしまう。だから、権力者が開き直った時にはどうするかという問題に常に直面する」

 

 権力者が開き直り、憲法をないがしろにしようとしているいまこそ、一人ひとりの主権者が憲法の後ろ盾となって、声を上げ続けるしかない。

 「憲法を勝手に変えるな」

 

 

米軍基地は沖縄でなくてもよい

 

 

もし「軍事的な抑止力ということで日本のどこかに軍事基地がいる」としても、べつに沖縄でなくてもよいのが軍事的な事実。九州のどこかでよい。

 

先日NHKで沖縄戦のドキュメントもしていたが、おきなわを犠牲にし続けることに何の正当性もない。

 

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