突然の危機に直面した時、人間は2種類に分かれる
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主流秩序に対抗して生きるために
「リプレイ&デストロイ」第一回
飯塚健・監督・脚本 テレビ版
教師歴20年の高校教師、富田は昨夜の自分のとった態度に自己嫌悪になっている。
夜遅くの地下鉄の駅で中年男性が『体が接触した』とかしないとかで3人の若者に絡まれ財布の56000円をとられ殴られている。それを見た富田は、内心でいろいろ迷う。しかし体はその近くから離れていく。巻き込まれないように。
突然の危機に直面した時、人間は2種類に分かれる。一歩前に前進するか、いっぽ後ろに後ずさるか。
富田はもちろん悩みはした。わずかな正義感と使命感。ぐつぐつと湧くいらだちとむかつき。後よくわからない何かを握り締めて。拳(こぶし)をつくってもみた。
だが振り上げる勇気は絶望的になかった。保身と天秤にかけた結果だった。あげく「男がもし2人だったら」「体格が少しでも貧弱だったら」と「たら・れば」の可能性と言い訳ばかりがよぎった。
「ナイフを隠し持っているかもしれない」という憶測を決定打とした。
こんな自分が父親になる。はたしてその資格があるのだろうか。
一日中、そんなことばかりが頭をよぎった。・・・
この後の展開、おもしろく説得的。
ぼくは主流秩序に対して、どう生きるかの話の一つとしてこの作品を紹介した。
多くの学生さんが共感を示した。
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「きれいごとや精神論語るのは超簡単だけどな、とつぜん降ってきた危機に飛び込めるやつは実際、何人いると思う?」
「暴力が怖くないのか?、見ず知らずのやつのためにはそこまでできない。・・それなのに、なぜ?」
「後悔するより、マシだからだ」
『逃げるんかいっ!』
横山「当たり前だろ。ナイフと拳銃の前では人間できる事なんてないんだよ」
富田先生「話が違うじゃないか」
横山「違くねえよ。飛び込んだ結果逃げるのと、飛び込まずして逃げるのとでは全然違うだろ」「料理も塩一振りで劇的に味が変わるだろ?それと同じで、昨日のトミーと今日のトミーも全然違うんだ。だからこそ、いま、悶々と考えている。必死に再生を願っている。」
富田先生「確かにそうだ。けど。。。」
横山「そうやって、なかったことにできないトミーなら、次はきっと飛び込める」