ソウルヨガ

主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

弁護士シンポ このなんという浅はかさ

 

宮崎強姦ビデオ加害者側弁護士の問題については私のブログでも触れて、拙著でも言及しました。

 

拙著『続 デートDV・ストーカー対策のネクストステージ』の「4-5 弁護士の倫理と性暴力」

および

デートDV/ストーカー蔓延の実態と背景――― ストップ!デートDV 2』の「1-4  ひどい人権意識状況と、その表れとしてのDV・デートDV

 

そこで書いたことをぜひ読んでいただきたいですが、宮崎県弁護士会所属の谷口渉弁護士の態度には私は問題があるという立場です。ところが、最近行われたシンポジウムでは、「問題ない」という結論になったということです。

なんとおろかしいことかとおもいます。

 

エッセンスだけ言っておけば、

この事件で、20代の被害女性が、「被告側弁護士から経営者逮捕後の2014年3月に『犯行の様子を撮ったビデオがある。告訴を取り下げれば処分する』、『法廷でビデオが流されると分かっているのか。流されたくなかったら告訴取り下げをしろ。示談金はゼロ』等と複数回脅された」と証言しました。

被害者は、このビデオを見てどこが無罪になるのかと疑問をもったのですが、

 

全国の刑事弁護に携わる弁護士有志の団体「刑事弁護フォーラム」が「刑事弁護人の役割とは何か」と題して6月2日に開いたシンポで、

 

 パネリストは「不起訴を目指すのが弁護人の最大の目的で、利用するのは当然」「容疑者のために最善を尽くす義務に基づき、反しない」との意見で一致したといいます。ビデオが有罪の証拠とみられる場合でも「相手女性への脅迫にならないよう注意する前提であればよい」「相手女性本人でなく代理人相手であれば『示談してください』と当然言うべきだ」などの意見が出たとのことです。

 

予想通りの浅い話で、法的には確かに明確に犯罪だとはなりませんが、人権と倫理を基準に議論の余地は十分あるのに、そこを深めないのですから、愚かです。

 

谷口弁護士は、「『告訴を取り下げたら(ビデオを)処分するが、どうする』とは言った」と認めています。ただし、「法廷での被害者の不利益が大きいのではないかと考え、選択肢として示した」と脅しではなかったと言い訳しました。しかし本当に被害者の不利益を考えたとは思えません。実際、ビデオが提出されたために、被害者は、法廷での証言のため、ビデオを確認しなければならない状況に追い込まれました。

 

いくら担当した被告擁護の立場に立つとはいえ、弁護士には超えてはならない一線があります。「被告弁護士は、被告の有利になる活動をして当然である」という単純な論理で正当化することはできません。

 

弁護士は、依頼者だというだけで、DV加害者や強姦加害者をただ擁護するだけでいいのでしょうか。宮崎強姦ビデオ加害者側弁護士の問題や「でっち上げDV」の問題でも指摘してきたように、私は、加害者側についた弁護士でも、被害者のことも考え、社会正義、基本的人権の擁護に基づいて活動する義務があると思います。

 

私はこの点を上記拙著で、日弁連の作成した、弁護士の倫理規定をベースに論じています。

 弁護士は、依頼者(クライアント)のために弁護活動をするものですが、「弁護士職務基本規程」では、「弁護士は、良心に従い、依頼者の権利及び正当な利益を実現するように

努める。」(第二十一条)と記しています。つまり、良心に従うことが必要要件であり、かつ、依頼者の「正当な利益」を実現するのであって、正当でない利益のために働くのではありません。

また第一条では「弁護士は、その使命が基本的人権の擁護と社会正義の実現にあることを自覚し、その使命の達成に努める、」とあります。「基本的人権の擁護と社会正義の実現」が使命なのです。

 

DVやレイプがこの社会に多くあることへの責任、犯罪被害者等基本法の精神などを踏まえて、弁護士や裁判官は自分の活動を見直していくべきです。

態度価値を生み出す責任の前にだれもが立っているのです。そのスピリチュアリティ感覚があるかないかです。

 

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でもまあ、やくざやひどい企業の弁護をする弁護士がいて金儲けしている現実がありますから、日本でも『何の問題もない』という単純なことを言う弁護士がいるのは当然です。弁護士なんてその程度のものです。主流秩序論の観点で見れば司法・裁判所というシステム、裁判官や弁護士というものの主流秩序性というものを見ておくべきです。

 

そしてそれに対抗するスタンスの弁護士や裁判官になる道もあり、そこに責任問題が出てきます。

世界観、立場、思想によって、法律知識はどちらにも使えます。

 

以下そのおろかしいシンポの記事  薄すぎて内容はありません。

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「現場発:盗撮ビデオ示談 宮崎で刑事弁護シンポ 「交渉妥当」で一致 別の弁護士団体は批判 /宮崎」@毎日新聞宮崎版

http://mainichi.jp/area/miyazaki/news/20150607ddlk45040217000c.html

2015年06月07日 地方版

 

 ◇「被害者の尊厳は…」

 

 女性客らへの強姦(ごうかん)罪などに問われた宮崎市のマッサージ店経営の男(45)の弁護士が、告訴取り下げを条件に男が盗撮したビデオの処分を持ちかけた問題を巡り、東京、大阪の弁護士らが2日夜、宮崎市でシンポジウムを開いた。パネリストらは、盗撮ビデオを交渉材料に使うことについて「容疑者・被告のため最善を尽くすのが弁護士の役割だ」などとして妥当との見解を示した。一方、被害者支援に携わる弁護士からは「被害者を犠牲にしても良いという発想はおかしい」と反論の声も聞かれ、弁護姿勢を巡る考え方に大きな差があることを浮き彫りにした。【菅野蘭】

 

 全国の刑事弁護に携わる弁護士有志の団体「刑事弁護フォーラム」が「刑事弁護人の役割とは何か」と題し開いた。司会したフォーラム代表世話人、前田裕司弁護士(県弁護士会)ら、大学教授を含む5人が、容疑者・被告から託された証拠の扱い方や被害者側との交渉のあり方を議論した。

 

 事例の一つとして、強姦事件で無罪を主張する容疑者が行為を盗撮したビデオを、弁護士が無罪の証拠だと判断したケースが検討された。「示談交渉に使うのは弁護士倫理に反するか」との設問に、パネリストは「不起訴を目指すのが弁護人の最大の目的で、利用するのは当然」「容疑者のために最善を尽くす義務に基づき、反しない」との意見で一致した。ビデオが有罪の証拠とみられる場合でも「相手女性への脅迫にならないよう注意する前提であればよい」「相手女性本人でなく代理人相手であれば『示談してください』と当然言うべきだ」などの意見が出された。

 

 会場との質疑では、取材記者から「被告の権利を守る活動と被害者の権利保護は両立できないか」との質問も出された。これに対し、パネリストの坂根真也弁護士(同フォーラム事務局長)は「国家対被告というのが刑事事件の構図で、被害者が結果的にいやな思いをするのは内在する(組み込まれている)ものと捉えるべきだ。被害者の権利は別途、社会的に守る方策を考えなくてはいけない」と答えた。

 

 こうした論議に対し、被害者支援に携わる弁護士からは「一般の人の支持を受けられない考え方だ」と反発する声が聞かれる。

 

 弁護士有志の団体「犯罪被害者支援弁護士フォーラム」(事務局・東京)で活動する上谷さくら弁護士(東京第一弁護士会)は「シンポで出た意見は『被告のためなら、間接的に被害者が犠牲となっても仕方ない』という発想だ」と批判する。

 

 高橋正人・同フォーラム事務局長は「『被害者の尊厳は誰であっても傷つけてはならない』とした犯罪被害者等基本法が制定されて10年がたち、法や国民の意識も大きく変わっている。被告のために戦うのは弁護士の責務だが、だからといって被害者を踏みにじるようでは、逆に国民の信頼を失うのではないか」と話している。

 

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