以下の記事はこの学者もインタビューしている記者も、平均に過ぎないと言いつつ、それを差別言辞(頭がいいのは男が多い)とか、組織運営など現実に使うという点で、全くまちがった使い方をしているので、非論理的な典型例、まさにジェンダーを見抜けない例となっています。
「勘違いしないでください」といって、勘違いしているのがこの学者さんです。フェミの基本の素養がないままのこうした言説には困ったものです。
まず、何のために平均を言う必要があるか。これは「黒人は・・・」「ユダヤ人は・・」というようなことを科学的事実に過ぎないというのと同じです。この記事では全く必要性が見えない例にしか使われていません。
東大生は・・だ、長男は・・だ、挙句の果てには血液型A型の人は…、羊座生まれの人は…、生活保護の人は・・・、精神疾患の人は・・・など、統計さえ取ればいろいろいえます。
それが差別や偏見につながったことはいくらでもあります。過去、その手のものがよくあったように。ほかの要因を捨象して統計・関数などからいろいろ決めつける間違いはあります。
過度の一般化、ある場所での事実をほかの分野で拡大適用するまちがいは、認知の間違いの典型です。
頭の良さを何で測るかにもよりますし、「頭の良い人は男に多い」などというのは何の意味もありません。それを言うところにこの学者の間違いがあります。専門バカです。
この学者は、このバカな記者の質問記事に加担し「男はイケイケだけれど、女は慎重」「会社なら投資部門は男性を増やし、将来予測を保守的にみたほうがよさそうな財務部門は、女性を増やせばいい」「女性が多い看護師の世界では男を入れないと、もめる」「日本人にベンチャー企業は難しい」などというまちがった使い方を事実上容認しています。研究成果があまりにお粗末です。さすがです。
「いい加減な噂話で人のことわるく言っちゃいけないんだけど」と前置きして噂話で人の悪口言って盛りあがっている人と同じですね。
この学者さん、『女性だから統計的に見た結論と同じく、男より頭悪い部類』、『女性だから空気読んで』この記事に加担したんですね。(皮肉)
あっ、私は「おとこだから妬み意識が強く」て、「男だから頭悪いのが多いから」愚かな発言をしました。男だから仕方ないですね。「私は男で、セニトロンが多い」から明るく考えられます。
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「脳から考える男女の差 ねたみ強い男性、知能分布も違う」
http://digital.asahi.com/articles/ASH6404QDH63ULZU00Y.html
朝日新聞デジタル 2015年6月8日
■脳科学者・中野信子さんに聞く
――いまの日本の政治や会社では、男性が幅を利かせています。そもそも、男と女の脳に、違いはあるのでしょうか。
「男のほうが背は高く、筋肉量は多い。女のほうが背は低く、肌はきめ細かい。脳も身体の一部ですから当然、差はあります。たとえば脳には左耳の上あたりに『上側頭溝』があり、コミュニケーション能力をつかさどっています。男と女を比べると、女が大きい。お話をしたり、空気を読んだりという気質は、女が高いと言えます」
――私のまわりの男性には、空気を読みそうな人が多いような気がしますが。
「モデル業界の人なら、『私のまわりには背の高い女性ばかりいますが』とおっしゃるかもしれない。しかし、モデルの女性たちは、とても女性全体の身長を代表するのにふさわしいサンプルとは言えないでしょう? 新聞社の男性はマス“コミュニケーション”がなりわいですから、ほかの職業に比べると、空気を読める人が多く偏って存在するのでは。科学研究はなるべく偏らないサンプルを多数取って、比較する。『男性全体と女性全体で比べると平均的にこう違う』と、統計的にデータを評価します」
――上側頭溝の大きさ以外に、男女の脳に違いはありますか。
「知能の分布も男女では違います。知能は普通、真ん中が多くて両端が少ない、釣り鐘型の分布です。女のほうが真ん中に多く集まり、男は釣り鐘の形が幅広くなっています。ひじょうに慎重に言わなければいけませんが、分布の形から言うと、頭の良い人は男に多い、ということになります。こういう研究を、性差を認めたくない人たちはとても批判してきました」
――この分布が正しければ、頭の悪い人も男に多い、ということですね。
「その通りです。言い方次第で男性からも女性からも批判されてしまいます」
――感情に、男女差はありますか。
「カナダの研究者らによると、神経伝達物質のセロトニンの合成能力は、男は女より52%高く、脳内の濃度は高くなりやすい。セロトニンが多いと安心感を覚え、減ると不安になります。将来予測をすると、男よりも女が暗く、厳しくなる傾向があります」
――男はイケイケだけれど、女は慎重ということでしょうか。
「繰り返しますが、統計的にみれば、ということであって、個人をみれば男でも慎重な人がいる。女でも不安感を持たずに挑戦する人がいます。そこは、勘違いしないで下さい」
――注意します……。会社なら投資部門は男性を増やし、将来予測を保守的にみたほうがよさそうな財務部門は、女性を増やせばいいのかもしれませんね。
「組織運営の一つとして、そんな考え方があっていいのかもしれません」
――脳科学的には、リーダーは男と女、どちらがいいですか。
「時代や経済環境でいちがいには言えないです。英科学雑誌ネイチャーに2006年に載った論文によると、ねたみ感情は男のほうが強くなる。外部との争いがなく、組織をまとめるときのリーダーは、男性にあまり向いていないでしょう。『あいつは同期なのになぜ社長なのか』といった感情が生まれると、組織はばらばらになります。男同士では組織内で足の引っ張り合いが起きかねません。性別が異なるほうが、ねたみは少ない。男性と女性を交ぜたほうが、組織内の対立は緩和されるでしょう」
――男同士の対立は、より陰鬱(いんうつ)ということですか。
「もちろん女にもねたみ感情はあります。女性が多い看護師の世界であれば、男性が入った方がうまくいくのではないでしょうか」
――国によって違いますか。
「たんぱく質の遺伝子に注目すると、セロトニンを有効利用しやすい組み合わせを持つ人は、日本人では3%、米国人では32%という研究があります。セロトニンが多いと不安感情が和らぎますので、リスクがあっても怖がらず、挑戦しやすくなります。米国人は日本人の約10倍も挑戦的な人がいると推察できます」
――日米間にある起業率の大きな差も、このセロトニンが要因ですか。
「一つの要因かも知れません。日本は地震や風水害の激甚災害が多く、リスクがある。織田信長のようにリスクを取っていく人は長生きできず、徳川家康のように慎重に行動する人は長生きする、と言えます。一方、北米や南米は移民が多い。リスクを冒して新大陸に移民した人が多く、セロトニンをうまく使える人の比率が高かったのかも知れません」
――日本人にベンチャー企業は難しいということでしょうか。
「難しいでしょう。しかし、日本人は一度生まれた企業を大切に育て、長く生かしていくことには、ひょっとしたら向いているかも知れません」
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なかの・のぶこ 1975年生まれ。東京大学工学部を卒業し、東大医学系研究科で医学博士号取得。フランス国立研究所で研究員。帰国後、2013年から横浜市立大学客員准教授に。著書に「脳はどこまでコントロールできるか?」など。