アベノミクスの失敗を報道しない大手メディア
日刊ゲンダイが指摘しているように、経済状況は悪いのに、それを報道せず、逆に景気回復しているかのような報道をするマスメディア。
大新聞は速報値を伝えた時は、大きなスペースを使って〈賃上げ広がる〉〈個人消費に追い風〉〈経済好循環へ節目〉と、大々的に報じていたのに、実質賃金がマイナスだったと判明した“確報”はアリバイ的に小さく伝えただけ。
事実上、前の報道が間違っていたのだから謝罪も含めて、報道の仕方を反省すべきだろう。政府のお先棒を担いだ自覚がないのが病的だ。
実質賃金は24か月マイナスで、生活苦しいという人が6割を超えて最悪の状態で増えている。
平均所得以下の世帯は全体の61・2%。子どものいる世帯の37・3%、高齢者世帯の89・9%が平均所得以下。
これだからマスメディアは主流秩序の加担者だというのである。
「生活苦しい」世帯、6割超で過去最高 厚労省調査
蔭西晴子
2015年7月3日09時50分
「生活が苦しい」と感じている世帯が62・4%に上ることが、厚生労働省が2日に公表した2014年の国民生活基礎調査でわかった。前年より2・5ポイントの増加で、上昇したのは3年ぶり。1986年の調査開始から最も高かった。
調査は昨年6~7月に調査表に記入してもらう形式で実施。世帯の状況などに関して約5万9千世帯を対象に約4万7千世帯が回答。生活意識や所得に関しては約9千世帯を対象とし、約7千世帯から回答があった。
調査日時点の生活の状況をどう感じているか尋ねたところ、「大変苦しい」が29・7%(前年比2・0ポイント増)、「やや苦しい」が32・7%(同0・5ポイント増)で、合わせて6割を超えた。「普通」は34・0%で、「ゆとりがある」は「大変」と「やや」を合わせて3・6%だった。
子どものいる世帯で「苦しい」と答えたのは過去2番目に高い67・4%に上り、高齢者世帯は58・8%で過去最高だった。理由は質問していないが、厚労省の担当者は「昨年4月の消費増税も上昇の一つの要因と考えられる」とする。
また、13年の世帯ごとの平均所得(税金と社会保険料の差し引き前)は528万9千円で、前年から8万3千円減った。ピークの1994年(664万2千円)の8割ほどの水準だ。高齢者や非正規社員が増えていることが影響しているとみられるという。
平均所得以下の世帯は全体の61・2%。子どものいる世帯の37・3%、高齢者世帯の89・9%が平均所得以下。公的年金や恩給の受給世帯のうち、所得が年金と恩給だけの世帯は56・7%だった。(蔭西晴子)
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実質賃金「24カ月連続マイナス」 なぜ大手メディアは報じない
日刊ゲンダイ 2015年6月20日
いったい、あのバカ騒ぎは何だったのか。 6月上旬、安倍内閣は「実質賃金が2年ぶりにプラスに転じた」と、4月の「勤労統計調査」(速報値)を発表していたが、一18日、前年同月比0.1%増だった“速報値”を0.1%減に下方修正した“確報”を発表した。 確報では、賃金水準の低いパート労働者のデータが反映され、「名目賃金」が速報の0.9%増から0.7%増にダウンした。結局、労働者の「実質賃金」は、24カ月連続ダウンが続いている。
それにしてもフザケているのは大新聞だ。速報値を伝えた時は、大きなスペースを使って〈賃上げ広がる〉〈個人消費に追い風〉〈経済好循環へ節目〉と、大々的に報じていたのに、実質賃金がマイナスだったと判明した“確報”はアリバイ的に小さく伝えただけだ。 なぜ「実質賃金アップ」という政府に都合のよい発表はうれしそうに伝えたのに、都合の悪い発表は無視するのか。これでは政府の宣伝機関と変わらないではないか。
「確報では下方修正されるだろう」と予告していた経済評論家の斎藤満氏がこう言う。 「速報値が発表された時、たかが0.1%増なのに、なぜ大手メディアが大騒ぎするのか疑問でした。“勤労統計調査”は下方修正されやすいクセがあるからです。下方修正される可能性は、大手メディアだって分かっていたはずです。
深刻なのは、消費税増税による物価上昇の影響が消えた4月も実質賃金がマイナスだったことです。庶民の賃金は、ほとんど上がっていないということです。だから、消費も落ち込んでいる。5月の家計消費は、マイナス5・5%でした。大手メディアは、景気の現状を正直に伝えるべきです」 〈実質賃金2年ぶり上昇〉と大ハシャギした大新聞は、同じスペースを使って、〈実質賃金24カ月連続ダウン〉〈賃上げ広がらず〉〈個人消費に向かい風〉と報じなければおかしい。大手メディアは、誰の味方なのか。
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