ステルスマーケティング
昔、「ゼイリブ」という映画で、実は今地球の人口の半分くらいは宇宙人になっていて、そいつらが権力を握っていて、広告などいたるところに、隠れたメッセージが組み込まれている、でも地球人の皆は其れに気付いていない、というようなことだった。
まさに今の社会を表しているなと思った。
いま、やらせの口コミ投稿「ステルスマーケティング」(ステマ)のようなことが、いっそうすすんでいる。
広告なのに広告と思わせないようなものが前以上に増えているのだ。
新聞や雑誌での、まるで記事のようなページ(ネイティブ広告)。
テレビでも、一つの商品やある企業、あるお店を取り上げる番組がある。それはすごい宣伝になる。
たとえばタレント・芸人たちが、ある店に行ってそこの商品を食べつくしながら、人気順位を当てるなどというような企画では、店の名前だけでなく、そこの商品が名前も味もすごく紹介され、巨大な宣伝番組となる。
当然、かなりの金がその店から出されているであろう。
おなじようなことが、会社訪問みたいな番組でなされている。テレビのぶらぶら散歩みたいな形で、無名のところに飛び込むのはいいが、実は最初からある店や企業と提携していて、番組を作ってそこの商品を宣伝するなら…
だが多くの国民はそうしたものを見て、それを買いたいとおもったり、そこに行きたいとおもったり、その会社や商品に親しみを感じたりしている。。
そもそも、広告/CMというものが、有名人のイメージ力や文章の魔術、映像の錯覚を使って誇大に消費者に良いものと思わせるものだ。
それにマスメディアが加担している。
物事を少しでもまともに考えない人はすぐに「資本主義だから当然だ」という。
しかしそれは何も言ったことにならない。
封建時代に、王政なのだから王様は王様でえらいのだと言っている様なことで、
どうして王様は偉いのかとか、誰が王政を作ったのか、僕は王政にしたいと言ってないぞと思う人には、王政だからこれしかない、といっても説明になってない。
言っているのは現状がそうなっているから、理由など関係ない、と言っているだけだ。
なぜモノが上から下に落ちるのかと聞いても、落ちるようになっているからだと答えるのと同じ。
しかし、ニュートンは、重力というものがあるのだと気づく。そして科学はそれはモノの性質として巨大な星にはその質量に比例して重力があるのであり、他のモノにもそれがあり、ひきつけあう面があるなど、物理学の原理を発見していく。
さて、資本主義はだれが選んだのか。私は選んでいないし造っていない。
資本主義社会でも、単純な原理だけが貫いているわけでなく、贈与もあるし、助け合いも、協力も、共有も、貸与もある。公共というもの、基本的人権、最低限の保障、等がある。資本主義なのに図書館があり、無料の教育もあり、生活保護があり、無料で使える道路がある。そもそも選挙があり、弱者の意見もちゃんと代表が言う権利がある。新聞やテレビは弱者の意見を無料で示すことがある。
だのに、街には広告があふれ、金のあるものの意見や主張したいことがあふれている。テレビや雑誌にも、金のあるものだけが広告として「伝えたいこと」を載せている。
其れに多くの人はいやおうなくさらされる。強制的に目や耳に入れられている。
当たり前ではない。
資本主義だから、で済ませられることではない。
ステマとか、広告と分からないような広告的なものが、私たちを侵食している。
ゼイリブでの「宇宙人が見えるサングラス」が、私の言葉でいうと「主流秩序というサングラス」である。