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派遣法 付帯決議

 

 

付帯決議でかなり制限をかけたと民主党は言っています。

 

現場ではできるだけ使いますが、使えるかどうかですね。

 

 

派遣ネットの声明文を紹介します。

 

労働者派遣法「改正」法採決に対する声明                                       

2015年9月11日

 

NPO法人 派遣労働ネットワーク(理事長 中野麻美)

 

1. 労働者派遣法「改正」法は、施行日を本年9月30日とするなどの修正を加え、同一労働同一賃金を推進する法案とともに、衆議員本会議で採決されました。

 

労働者派遣法「改正」法は、派遣が禁止されている業務を除き、無期雇用派遣(期間の定めのない労働契約で雇用された労働者を派遣する形態)については期間制限なく受け入れることができるようにし、有期雇用派遣(期間の定めをおいた労働契約で雇用された労働者を派遣する形態)については、一人の派遣労働者を派遣先の同じ部署(課)で受け入れる期間を3年で制限し、あわせて派遣先の事業所では派遣労働者を受け入れ可能期間を3年として過半数組合・過半数代表者からの意見聴取さえあれば3年を超えて派遣を受け入れ続けることができるという大幅な規制緩和を行うものです。

 

2. そもそも労働者派遣法は、労働組合・労働者の強い反対を押し切って1986年に制定されたもので、職業安定法44条の労働者供給事業禁止規定の例外として派遣という働き方を認めました。しかし、この働き方は、商取引(労働者派遣契約)が雇用や労働条件に事実上の影響を及ぼし、労働が競争入札にかけられるなど「買い叩き」をすすめることから、利用は厳しく規制されるべきだとされてきました。

 

労働者派遣法が、派遣労働者の待遇の改善と雇用の安定とともに、派遣先の常用労働者が派遣労働者にとって代わられないようにする「常用代替防止」を旨としてきたのも、そのためです。

そして、派遣先に直接雇用される常用労働者との「競合」が生じないよう、業務と期間の組み合わせによる厳格な利用規制を置いてきました

 

これに対して今回の改正は、「無期雇用派遣」は、常用代替の例外としてフリーに利用できるようにし、「有期雇用派遣」は、これまで原則1年で3年が絶対的上限だった期間制限を「意見聴取」さえあれば長期の派遣受入を可能にするもので、「常用代替防止」の基本趣旨を否定する「正社員ゼロ法案」として手厳しい批判がなされてきたところです

 

国会審議においても、唯一歯止めとなる「意見聴取制度」が過半数組合・過半数代表者の反対を押し切って一方的に受け入れを継続しても許されてしまうことが明らかになるなど、常用代替防止が「絵に描いた餅」でしかないことが明らかになりました。

国会の議論で制度の骨組みに欠陥が明らかになったのであれば、法案修正に向けた議論が尽くされるべきです。

 

3. 政府は、この法案を、派遣事業をすべて許可制にして、派遣労働者スキルアップと雇用の安定(無期雇用化や派遣先の直接雇用化)を促進し、待遇改善をはかるものだと説明しています。

しかし、本当に派遣労働者が求める安定した雇用保障を実現するものかといえば、派遣先の直接雇用化も無期雇用化も、ハードルがいくつもあることが明らかになりました。

 

産業界は、派遣を期間制限なく利用したい意向ですが、労働者の雇用は法制定以来細切化して、3か月の契約が「長期のお仕事」になっています。派遣の長期利用は、短期で使い捨てしてどんどん人を入れ替えられるようにすることによって成り立っています。

 

「改正」法では、派遣先に雇用する努力義務が課せられているだけで、派遣元の雇用安定化措置の適用を受ける労働者の範囲も限られます。そもそも無期雇用派遣でさえ、労働者派遣契約が終了したときには仕事を失うことになりますが、許可条件で「契約終了のみを理由として解雇しない」とされても、賃金など待遇が下がることへの規制はありません。このような雇用を「安定雇用」とは言いません

 

そして、教育訓練や正社員化を促進し、均等待遇を実現するというなら、何より、それを求める派遣労働者が権利の主体となって自らの経済的地位や労働条件の向上のために派遣元・派遣先に働きかけることが必要ですが、これらの義務は公法上の義務であって契約上の義務ではないとされ、交渉にもハードルがあります

国会では、これらの問題が議論され、派遣労働者の雇用安定化に向けた抜本的な対策の必要が明らかにされました。

 

4. 派遣労働ネットワークのアンケート調査(2013年)では、80%が年収300万円に届きません

前月の月収平均は17万4,444円、前年の年収平均額は213万340円で、連合が試算した最低生計費にも及びません。

賃金は、調査を開始した1991年以来ずっと下がっていて、貯金を取り崩したり、保険料の減免を求めたり、家賃などを滞納したりしながら、生計を維持しています。

 

いま子どもの6人に一人が貧困のなかにおかれていますが、この所得では、子どもを育てることはできません。アマルティア・センは、貧困を「潜在能力を実現する権利の剥奪」であると言っていますが、派遣労働者と子どもたちは、人間としての基本的な権利が根底から剥奪されています。

 

低賃金だから、ダブル・トリプル・ワークで、くたくたになっています。病気になっても「患者」になることさえできません。まして、高い所得につながる技能を身に着けるような時間もお金もありません。

 

また、派遣では仕事と生活が「両立できない」という人は8割近くにのぼります。できない理由は、41%が「収入が充分でない」からです。子どもを産んで雇用を失い、雇用を失ったから子どもを保育所に預けられない、預けられないから働けません。買い叩きの究極の形態なのに、仕事と生活を両立させて専門技能を発揮して働けるといって解禁した登録型派遣(有期雇用派遣)の根拠はなくなっています。

 

5. 私たちは、派遣労働者の現状と職場を取り巻く厳しい環境を改善して格差と貧困を解消するために真に必要な法見直しを求めてきました。

本日衆議院本会議で可決された「改正」法には、多くの欠陥と修正すべき事項が多々あり、参議院付帯決議が前代未聞の多数項目にわたっているのもそのためです

労働関係法は、公労使の協力がなければうまく運用できません。まして労働者に不利益を強いる規制緩和には労働者の納得が必要です。多くの疑問や批判が寄せられるなかで、しかも、「準備と周知に相当な時間が必要なことを考えれば、円滑な施行は不可能で、現場は大混乱に陥る。欠陥だらけで、廃案にすべき法案であることは明らかだ」とする反対討論にもかかわらず、多数に頼んで可決させることもまた、憲政史上前代未聞の暴挙というべきです。

 

ここに、改めて強く抗議の意思を表明します。あわせて、政府には、国会審議において明らかになった「改正」法の欠陥や問題点をふまえ、多数の項目にわたって付帯決議がなされていることを深く受け止め、その内容を政省令・指針に盛り込むよう強く要請します。

 

また、NPO派遣労働ネットワークは、引き続き、「改正」法の可決成立を受けて政省令・指針の策定に最大限の努力を払うとともに、今後とも、真の法改正をはじめ、派遣労働者の生活と権利のための取り組みにまい進することを決意し、ここに表明するものです。

以 上

 

連絡先 : NPO法人派遣労働ネットワーク

渋谷区代々木4-29-4 西新宿ミノシマビル2F ☎03(5354)6250

ホームページアドレス http://haken-net.or.jp