菅義偉官房長官が、2015年9月、テレビ番組で、福山雅治さんと吹石一恵さんの結婚について、「この結婚を機に、ママさんたちがいっしょに子供を産みたいという形で国家に貢献してくれればいいなと思っている」と述べた。安倍首相も不妊治療の支援に取り組んでいるとの言い訳も正当化になっていない。
安倍政権は、女性の活躍促進と言いながら実質は古い家庭観・ジェンダーを残したままのものになっており、批判があいついでいる。
3年赤ちゃん抱き放題問題、派遣法改悪、保育所待機児童増加、女性が輝くと言いながら念頭に置いていたのが「結婚して子供がいる女性、介護する女性だけ」だったこと、生まない女性に関してはトイレを快適にする政策だけであったこと、男女共同参画なのに女性の特性を生かすものだけであること、アベノミクスの思想に沿った起業などの女性の応援でしかないこと、など色々な問題があった。
高校の保健教育用の副読本でも、女性の年齢と妊娠のしやすさの関係を示すグラフが、若い時に産むことを過剰に誘導するもので、科学的に間違いであったため8月に訂正したが、9月にまた別の統計がまちがっていたため訂正する始末であった。
データが不適切だったのは、「未婚・既婚を問わず子供をもつことについてどのように考えているか尋ねた調査結果」として棒グラフで示したもの。
「あなたにとって子供とはどのようなものですか」という質問に対し、「生きがい・喜び・希望」(78・9%)と「無償の愛を捧げる対象」(56・4%)の「回答割合が高い」と解説した。
だが、実際は子どもがいる既婚者だけの回答割合だった。未婚者らを含めると、「生きがい」が9・6ポイント下がって69・3%、「無償の愛」が9・1ポイント下がって47・3%になる。
つまり、子どもを持つのが幸せのポイントと思わせるような誘導であった。
研究者らでつくる団体はこのほかにも、副読本では、結婚をして子どもを産む女性の生涯設計だけを例として示し、多様な生き方に配慮していないなど、不適切な箇所を複数指摘している。使用中止・回収を文科省と内閣府に求めている。