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安倍内閣と日本会議

 

 

【関連】安倍内閣をウラで操る「日本会議」「神道政治連盟」の目的とは?

http://www.mag2.com/p/money/4237

 

積極的な金融緩和により、株価を2万円台に回復させた第3次安倍内閣。しかしここにきて、安全保障法制での強硬姿勢を背景に内閣支持率の急低下が報じられるなど、投資家にとって気になる動きが出てきました。

 

なぜ安倍内閣は安保法制にこだわるのでしょう?それを理解するには、内閣をウラで操るとも言われる「日本会議」「神道政治連盟」を知る必要がありそうです。ジャーナリストの高野孟氏が詳しく解説します。

 

安倍内閣支持率を下げた「文化芸術懇話会」もう1つの顔

87%が「神道政治連盟国会議員懇談会」メンバー

自民党若手の勉強会「文化芸術懇話会」で、講師の作家=百田尚樹とメンバーの議員らが繰り広げた野卑としか言いようのない暴言の数々が、安倍政権の支持率を少なくとも5%下げるのに貢献した。

 

安倍応援団を自認するこうした人たちが驕り高ぶって、内輪で幼稚なはしゃぎに溺れ、結果的に政権を傷つけるという、政権末期にありがちな有様である。

この文化芸術とはおよそほど遠い勉強会には、2~3回生を中心に37人が参加しており、その特徴は、(1) 内閣官房副長官の加藤勝信自民党総裁特別補佐の萩生田光一の安倍超側近の2人が顧問格というか実質的なリーダーである、(2) 20人(54%)が細田派である、(3) 32人(87%)が「神道政治連盟国会議員懇談会」の会員である――ことにある。

 

文化芸術懇話会の参加者一覧

見るとおり、細田派の20人が目立つほかは、麻生派5人、二階派額賀派が各2人である。 

 

神道政治連盟は、神社本庁が1969年に組織した右翼的な政治団体で、皇室と日本文化の尊重、新憲法制定、靖国神社の国家儀礼確立、道徳・宗教教育の推進、夫婦別姓反対、祝日の国旗掲揚などを議員に働きかけていくことを主な活動としている。現在の会長は長曽我部延昭(愛媛県伊豫豆比古命神社宮司)である。

47都道府県に地方本部を持って、趣旨に賛同する地元の国会議員を応援し選挙の集票にも一定の力を発揮するため、6月現在、衆議院議員220人(亀井静香平沼赳夫を例外としてすべて自民党で、自民党衆院議員の75%を占める)、参議院議員80人(同87%)が「神道政治連盟国会議員懇談会」に参加している。

 

同懇談会の会長は安倍晋三である。神社本庁は参院比例全国区では、山谷えり子拉致問題担当大臣有村治子少子化担当大臣を推しており、この2人が神道政治連盟のアイドル的存在である。

 

さて、文化芸術懇話会の後見役である加藤官房副長官と代表の木原稔=前自民党青年局長のほか主に3回生以上の数名は、「日本会議国会議員懇談会」の会員でもある。

 

日本会議」 宗教色の強い政治運動団体

 

本会議とは、1978年に石田和外=元最高裁長官の呼びかけで発足した「元号法制化実現国民会議」を衣替えして81年に発足した右翼的な学者・文化人・経営者中心の「日本を守る国民会議」が、1974年に生長の家の創始者=谷口雅春新宗教神道系の宗教団体中心の「日本を守る会」と合同して、97年に発足した最も包括的な右翼的政治運動団体である。

 

目指すところは、神道政治連盟とほとんど重なっていて、現在の名誉会長は三好達最高裁長官、会長は田久保忠衛杏林大学名誉教授、副会長は田中恒清=神社本庁総長、安西愛子=声楽家ほか2人。

 

代表委員42人のうち神道系・仏教系・新宗教系など宗教団体代表が16人を占めており、その中には神道政治連盟の長曽我部会長も含まれている。

 

神道政治連盟日本会議は直結している訳ではないが、前者が選挙応援団体というレベルであるのに対し、後者ははっきりとした右翼イデオロギーを掲げた国民運動団体であり、その組織の中枢を握っているのは70年代の民族派学生運動にルーツを持つ右翼団体の「日本青年協議会である。

 

この日本会議の政界とのパイプが「日本会議国会議員懇談会」で、その役員や会員の名簿はウェブ等で公開されていないが、ウィキペディア等によると14年時点で自民党を中心に民主党と次世代の党の数名を含めて289人の国会議員が参加している。

 

文化芸術懇話会代表の木原が地元=熊本で度々講演に招いたりして密接な関係にあるのは、「日本会議熊本支部」理事長での多久善郎で、彼は日本会議の事務局を仕切る右翼団体日本青年協議会の元理事長である。

また、その勉強会で「沖縄の新聞は左翼に乗っ取られている」などと暴言を吐いた長尾敬は「日本青年協議会のメンバーであった」と自ら明かしている。事ほど左様に、神道政治連盟日本会議はクロスオーバーしている。

 

安倍内閣は日本会議内閣?閣僚の8割が所属、6名が要職

 

第3次安倍内閣と神道政治連盟日本会議の蜜月

前述の両組織と安倍内閣の閣僚、官邸の政治家スタッフ、副大臣との関係を調べると、これはなかなかビックリする。

 

閣僚20人のうち公明党の太田国交相を除く19人の全員が神道政治連盟議懇の会員で、15人=約8割が日本会議議懇の会員であるだけでなく、副会長(安倍)、特別顧問・前会長(麻生)、幹事長(下村)、副会長3人(中谷、菅、石破)の6人が要職にある。

 

官邸を取り仕切る政治家出身の副長官と補佐官の5人は、100%が神道政治連盟、2人が日本会議である(但し、日本会議議懇の完全な名簿が入手できなかったので、確認されうる限り)。

 

副大臣では、公明党を除いた6割が神道政治連盟、45%が日本会議である(同上)。日本会議広島のWebサイトが「安倍内閣は『日本会議内閣』といっても過言ではない」と自慢しているのは本当である。

 

第3次安倍内閣と神道政治連盟日本会議の関係

 

※「神道」は神道政治連盟国会議員懇談会、「日本会議」は日本会議国会議員懇談会

 

主な役職など

神道

日本会議

《大臣》

安倍晋三

総理

○会長

○副会長

麻生太郎

副総理・財務

○特別顧問、前会長

高市早苗

総務

上川陽子

法務

×

岸田文雄

外務

下村博文

文科

○幹事長

塩崎恭久

厚労

林芳正

農水

×

宮沢洋一

経産

×

太田昭宏

国交(公)

望月義夫

環境

中谷元

防衛

○副会長

菅義偉

官房長官

○副会長

竹下亘

復興

山谷えり子

拉致

山口俊一

沖縄北方

甘利明

経済再生

有村治子

少子化

石破茂

地方創生

○副会長

遠藤利明

五輪

×

《官邸》

加藤勝信

官房副長官

世耕弘成

×

木村太郎

総理補佐官

礒崎陽輔

×

衛藤晟一

×

副大臣

長島忠美

復興

浜田昌良

〃(公)

赤沢亮正

内閣府

×

×

平将明

×

×

西村康稔

西銘恒三郎

総務

×

×

二之湯智

葉梨康弘

法務

城内実

外務

×

中山泰秀

菅原一秀

財務

×

宮下一郎

×

丹羽秀樹

文科

×

×

藤井基之

×

×

永岡桂子

厚生

×

山本香苗

〃(公)

あべ俊子

農水

×

×

小泉昭男

×

山際大志郎

経産

高木陽介

〃(公)

北川イッセイ

国交

×

×

西村明宏

北村茂男

環境

小里泰弘

×

左藤章

防衛

 

官房長官“お抱え”憲法学者はフロント団体メンバー

 

日本会議はいくつものフロント団体を組織して各分野の運動を繰り広げていて、その1つが「美しい日本の憲法をつくる国民の会/憲法改正を実現する1000万人ネットワーク」である。

共同代表は、桜井よし子と、日本会議の中心幹部である三好達田久保忠衛の3人。

 

代表発起人は39人で、青山繁晴呉善花葛西敬之長谷川三千子百田尚樹舞の海など多彩で、その中には長尾一紘中央大学名誉教授と西修駒沢大学名誉教授も入っている。幹事長は百地章日本大学教授、事務総長は打田文博=神道政治連盟幹事長、事務局長は椛島有三日本会議事務総長である。

 

日本会議神道政治連盟、美しい憲法の会がボテボテに重なり合っていることが分かる。

で、面白いことに、6月10日の衆院特別委員会で民主党辻元清美が菅官房長官に「まったく『違憲じゃない』という著名な憲法学者もいっぱいいる」と言ったが具体的に『いっぱい』名前をあげてください」と攻めて、菅が何とか名前を挙げることが出来たのが、この美しい憲法の会の代表発起人の長尾と西、それに幹事長の百地だった。

文化芸術懇話会が講師に呼んだ百田も「美しい憲法の会」の代表発起人である。お粗末としか言いようがない人材の枯渇で、この政権が余りに狭小なお仲間内で切り盛りされていることが改めて浮き彫りになった。

安倍や菅は、このような右翼偏向も著しい組織や人脈の、一見すると重層的ではあるけれども、実はごく少数の同じような人たちがあちこちで立ち回っているだけの卑小なサークルに取り囲まれていて、そのすぐ向こうに大きく広がる国民世論の動きが見えずに“裸の王様”状態に陥りつつある。安倍の右翼人脈が自家中毒を起こしている。

 

高野孟(たかの はじめ)

 

1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。94年に故・島桂次=元NHK会長と共に(株)ウェブキャスターを設立、日本初のインターネットによる日英両文のオンライン週刊誌『東京万華鏡』を創刊。2002年に早稲田大学客員教授に就任。05年にインターネットニュースサイト《ざ・こもんず》を開設。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。