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ピケティ、較差

 

 

中日新聞社説2015年10月18日

「ピケティ、その後 週のはじめに考える」

 

あのブームは何だったのでしょうか。格差問題の大著で一躍脚光を浴びたトマ・ピケティ氏のことです。でも欧州の政治舞台では今も引く手あまたです。

 フランスの若き経済学者が記した「21世紀の資本」は、二十カ国の二百年にわたる税務統計を調べ、資本主義は富の集中と偏在を生むことを実証、世界的に進む格差拡大の現状とも符合して大きな反響を呼びました。約七百ページ、六千円近い専門書ながら日本で販売部数十四万部を記録。全国の図書館の蔵書には予約が殺到し、中には三百人以上の順番待ちで「手にするのは二十二世紀になるかも」との冗談が聞かれるほどでした。

 

 株価上昇時に売れる

 

 それがどうでしょう。今年三月以降はメディアで取り上げられることも少なく、パタッと静かになりました。名門の国立大で二年生に聞いても「知りません」と答えが返ってくる。税の専門家の会合では参加者全員が読んでいなかった。すっかり忘れ去られたようなのです。

 

 もともと日本で格差に関する本が売れるのは、ある傾向がみられるといいます。それは不況時ではなくて、株価が上がり富裕層の高額消費が話題になって格差が際立つ時です。

例を挙げると、二〇〇〇年ごろのITバブル時には「不平等社会日本-さよなら総中流」(佐藤俊樹著)、〇二年以降のいざなみ景気の時は「希望格差社会-『負け組』の絶望感が日本を引き裂く」(山田昌弘著)。今回のピケティ本はアベノミクス相場で「持てる者」と「持たざる者」の格差が強く意識された時期です。

 

 逆に株価など資産価格が下がると国民全体が貧しくなったような気分になり、格差への関心が薄らぐ。その繰り返しです。

 

 欧州で反緊縮の旗手

 

 一時の盛り上がりがすっかり影を潜めた日本とは対照的に、欧州では今、ピケティ氏の存在感がますます増しています。英労働党の新党首に決まったコービン氏率いる影の内閣で、ノーベル経済学賞受賞者の米経済学者、スティグリッツ氏とともに経済諮問委員に就任。格差論のオピニオンリーダーといえる二人です。

 

 さらにスペインでは、大衆左派政党ポデモスの経済政策アドバイザーに就任した。十二月に総選挙が行われる同国で、この新興政党は反緊縮を掲げ、一時は支持率トップになりました。ギリシャのチプラス首相が党首を務める急進左派連合と連携してきたが、急進左派連合の低落と軌を一にするように失速気味。その巻き返しの重責を担う格好です。

 

 英、スペインでの新しい仕事に共通するのは「反緊縮」を訴えることです。ギリシャの債務問題に揺れる欧州では、一様に緊縮財政ばやりです。しかし、それはピケティ氏の主張とは相いれない。

 

 ピケティ氏が明らかにしたのは、資本主義下では、お金持ちの資産の増大の方が勤労者の所得の伸びより大きいので、ほっておけば格差は拡大する。また、お金持ちの富は世襲されるといいます。

 

 だから所得再分配や教育機会の平等のための投資が重要になるのですが、緊縮路線はそれらを妨げてしまう。結局は成長も阻害することになるのでピケティ氏は異を唱えるのです。

 

 それにしても日本と欧米のあまりの違いはなぜでしょうか。ピケティ氏の言説が米金融街の「1%対99%」の対立に火を付けたのはよく知られるところです。欧州では特に南欧諸国で若者の失業率が40~50%にもなる。格差はかつてないほど大きいといわれる日本ですが、米国や欧州の格差、富の偏在の方がはるかに大きいのです。

 

 むしろ日本は、一部の富裕層を除き国民の多くが貧しい方向に滑り落ち、格差よりも貧困が深刻化している。ピケティ氏は富裕層を対象に格差問題の「解」を求めたのに対し、日本は貧困や下層の人をどうするかが問われている。そのズレがピケティ・ブームの急落を生んだのかもしれません。

 安倍政権の目指す政策は成長一辺倒で、所得再分配など格差を縮める努力や貧困対策には見るべきものがありません。この国は「富める者がますます富む」というピケティ氏が懸念する資本主義の短所をそのまま体現しています。

 

 判断することが大切

 

 ピケティ氏の主張する国際協調による累進的な資本課税はすぐには実現しそうにありませんが、社会保障の充実など所得再分配政策や教育への投資拡大はやる気があればただちにできるはずです。

 大切なのは、格差を放置したり固定化する社会でいいのか、不平等を黙認するのかを私たち自身が判断することです。ピケティ氏なら「もちろん、それは正しくない」と言うでしょう。

 

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以下は、田中徹二さんの情報からの数字

 

 

上位1%とか上位0.5%という超富裕層の所得を見ると、日本より米国の方が圧倒的シェアを占めています。しかし、上位10%を見るとかなり接近していますので(下記)、格差も拡大しているのではないでしょうか。

 

・上位0.1%:米国(シェア10.25%)、日本(同3.15%)

・上位1%:米国(同21.2%)、日本(同10.45%)

・上位10%:米国(同49.8%)、日本(同41.5%)  

―The World Top Incomes Databaseより 米国は2014年、日本は2010年

 

また、米国の大会社の経営者は桁違いの報酬を得て、1%層(超富裕層)に属していますが、日本でもその傾向が強まりつつあります。ソフトバンクのアローラ氏の報酬総額が165億5600万円

 

■社員と役員の年収格差が大きい」500社 http://toyokeizai.net/articles/-/80184 

■高額役員報酬ランキング」411人の実名公開! http://president.jp/articles/-/16093 

 

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