ソウルヨガ

主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

君が代斉唱起立で、またまたひどい判決

 

2015年12月、卒業式で国歌を斉唱する際に起立しなかったなどとして減給処分を受けた支援学校の男性教諭が、処分の取り消しなどを求めた裁判で、大阪地方裁判所は「公立学校の教職員に国歌の起立斉唱を義務づけた大阪府の条例は憲法に違反せず、処分が重すぎるとは言えない」として訴えを退けた。

 

「秩序の確保などが求められるから、府の条例は憲法に違反しない」というのだ。

思想・信条の自由を重視せず、「国歌を歌う時に立たなければならない」などというどうでもいいことにこだわって全体主義的に「嫌がる個人に強制」することを良しとしたのである。そして労働者の権利を侵害する処分までしたのである(府条例施行後に処分された教職員は戒告処分54人、減給処分2人)。「君が代を歌う時に起立しない輩は極悪人。だから、そんな先生はどんな処分を受けたって仕方ない」という考え。あまりにおろかしい。裁判といってもこの程度である。

 

なお、裁判と言えば、この国歌国旗強制問題では、裁判所の判決はわかれているが、おおむね、国旗国歌の強制を容認している。


2011年には最高裁で相次いで「君が代斉唱時に起立するよう求める校長の職務命令は憲法19条に違反しない」という趣旨の判決が出された。

 

しかし中には、例えば、不起立で処分されたことを理由に定年後の再雇用を拒否されたのは不当として、東京都立高校の元教職員22人が都に計約2億7400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で2015年、東京地裁(吉田徹裁判長)が、都に計約5370万円の賠償を命じたような判決もある。


2012年1月には、「君が代不起立のみを理由とする停職・減給は重すぎ違法」という最高裁判決がでている。

 

この背景には、2003~06年に懲戒処分を受けた東京の公立学校の教員たちの裁判(①停職処分を受けた2人、②減給処分を受けた1人と戒告の166人、③戒告の2人)で判断が分かれていたことがある。そのためため、最高裁が統一見解を示したのである。


なお、この最高裁判決も、国家斉唱時の起立職務命令は憲法に違反しないと認め、根津公子さんの停職処分を含め教員へのかなりの処分を容認しているという問題がある。

 

国旗・国歌法の制定時に内閣官房長官を務めていた野中広務は「「起立せなんだら処罰する」なんてやり方は権力者のおごり。教職員を処分してまで従わせようというのは、国旗・国歌法の制定に尽力した者として残念です」と述べている
(「争論・君が代起立条例 橋下徹さん・野中広務さん」朝日新聞、2011年6月28日)。

 

なおこれに関する映画として、日の丸君が代強制と闘う3人の教師の映画『私を生きる』がある。