ソウルヨガ

主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

日本社会のゆがみは自分ではわからない

 

主流秩序というのは、自分たちの社会のおかしさに気づくための道具だ。だが多くの人は自分を相対化できないし、主流秩序の視点を全く持っていない。

その典型が、慰安婦問題だ。昨年末の「日韓最終合意」は、日本のメディアでは大々的にかつ異常に肯定的に取り上げられた。朝日新聞も含め、リベラル系の学者も、皆歓迎した。


しかし、少しでもまともに運動にかかわっている人は、直ぐにこれを批判した。しかしそれは日本社会では全くの少数でまったく無視された。

 

で、どちらが正しかったか。


1か月たって明白になってきた。「冷え切っていた両国関係は一気に改善に向かうのではないかとの当初の期待感は、急速に冷めつつある。」とNHK時論公論」(慰安婦問題 これで最後?)解説委員が認めざるを得ない状況だ。

韓国内では批判が大きくなる一方で、慰安婦少女像の撤去など行われていない。


こうなることは明白だった。
にもかかわらずあまりにゆがんだ視点しかもっていないから、あんな誤報を日本メディアはした。謙虚に事実を見れなくなっている。日本社会のゆがみは、主流秩序の視点や国際的かつ冷静な目をもとうとしない「自分の狭い枠組みにとらわれた人(日本人の視点)」ではわからない。

 

マトモな人なら、国際的な議論を踏まえ、どうして性奴隷と言われるのかとか、日本国内の議論のおかしさが理解できるだろう。だがまともでない人が日本社会ではのさばっている。

 

今回の報道のあやまりで、いかに日本のメディアが正しい認識ができないか、つまり主流秩序に取り込まれているかが如実に示された。いかに日本の普通の人、中間的立場の人、リベラルと言われる人が、右翼の言説に取り込まれているかが如実になった。


だがそれにも気づかず、愚かな人は、「韓国はまた約束を反故にしている」といって韓国批判して留飲を下げるだろう。

戦争へ向かって「ナショナリズム・排外主義的単純思考=相手国が悪い論、日本が正しい論」をいう人が増えるだろう。


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◆以下は、日本社会の常識(主流秩序)にとらわれて、間違いを認めらない報道の一例

 

時論公論 慰安婦問題 これで最後? 2月4日放送
慰安婦問題をめぐる日韓両政府の合意。両政府は「歴史的な合意」と強調するが、世論 の反応は真っ二つに。過去の問題を乗り越えて新しい時代に踏み出すことはできるのか ?
日本と韓国の両政府の慰安婦問題での最終合意から1か月。
冷え切っていた両国関係は一気に改善に向かうのではないかとの当初の期待感は、急速に冷めつつある。
ソウルの日本大使館前には、合意に反対する元慰安婦や若者たちが集まり、抗議活動を続けている。
日本政府は、国連の委員会からの問い合わせに対し「強制連行は確認できなかった」と回答。
韓国国内では反発も広がっている。
解説・出石直解説委員。

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●以下の主張は、日本の批判、安倍政権のメディア支配に言及していないのがおかしいです。少しだけ外交青所のこと言っていますが。

 

2015年12月19日 (土) 午前0:00~
時論公論 「産経新聞前支局長 判決の波紋」
出石 直 解説委員

 

レームダック化が進んでいる」という表現はパク・クネ大統領にとっては心外でしょうし屈辱的と受け止めたのかも知れません。しかし、自分達に都合の悪い記事を書く記者やメディアを懲らしめてやろうという意図があったとしたならば、「言論の自由」という民主主義の根本的な価値をなおざりにしていると批判されても仕方がないでしょう。
韓国は憲法で「言論、出版、学問の自由」を保障しています。しかしこのところ、その根幹を揺るがしかねないような事態が相次いでいます。


ひとつは歴史教科書の国定化の動きです。パク・クネ政権は、中学と高校の歴史の教科書の内容が偏っているとして、2017年度の春学期から現在の検定制度をやめて国が編纂する国定教科書に戻すことを決めました。パク・クネ大統領は「歴史を正しく学ばなければ魂が正常でなくなる」とまで述べています。


また先月には、慰安婦問題についての本を書いたパク・ユハ教授が、元慰安婦の名誉を傷つけたとして起訴されました。検察側は「学問の自由を逸脱している」としていますが、パク・ユハ教授は「客観的な事実に基づいて書いたもので不当な起訴だ」と反論しており、韓国内だけでなく外国からも「学問の自由、表現の自由を侵すものだ」と抗議の声が上がっています。

 

歴史教科書の国定化の動き、そしてパク・ユハ教授の起訴、この2つに共通しているのは「何が正しい歴史なのか」を公権力が決めようとしていることです。歴史の評価や認識は人によって異なってしかるべきなのに、そこに政府や司法が介入して「何が正しい、正しくない」と決めつけようとするのは、果たして健全な民主主義と言えるでしょうか。

フランスに本部を置く非政府組織「国境なき記者団」は、情報源へのアクセスや報道への権力の介入の有無などを基に世界各国の「報道の自由度」のランキングを毎年発表しています。上位にはフィンランドノルウェーといった北欧諸国が並んでいます。韓国は、クロアチア、アフリカのマラウイに次いで180か国中、第60位でした。

この春、日本政府は「外交青書」から「自由、民主主義、基本的人権などの基本的な価値を共有している」というこれまで入っていた一節を削除しました。これについては批判もありますが、昨今の韓国を見ていますと、民主主義の根幹が揺らいでいるのではないか、そんな危うさを感じざるを得ません。

 

権力の側が特定のメディアの取材を拒否したり、会見への出席を拒んだりするのは、何も韓国に限ったことではありません。ちなみに先ほど紹介したランキングでは、日本は韓国よりもさらにひとつ下の61位に位置づけられています。
とかく権力はメディアを都合のよいように利用し、メディアもまた権力に迎合しがちです。今回の裁判は「言論の自由」「メディアの役割」とは何か、そして民主主義とは何かを改めて考えさせる良い機会にもなったように思えます。
(出石 直 解説委員)

 

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●以下はナショナリズム的な視点しかないひどい記事です。


2014年04月23日 (水) 午前0:00~
時論公論 「在米韓国ロビーと慰安婦問題」
出石 直 解説委員


こちらはロサンゼルス郊外のグレンデールにある慰安婦像です。
像の傍らにある碑文には、「旧日本軍によって20万人以上の女性が“性の奴隷”となることを強いられた」と記されています。アメリカではこうした慰安婦像が各地に建てられています。
 
こんばんはニュース解説「時論公論」です。
今、ご覧頂いたような慰安婦像を建てる運動を支えているのが全米に170万人いる韓国系住民です。彼らの運動は徐々にアメリカ社会に浸透し、政界にも支持を広げつつあります。今夜は、アメリカでの慰安婦をめぐる動きについてお伝えします。

これはアメリカの司法省が連邦議会に提出した報告書です。外国の政府や団体のためにロビー活動を行っている「フォーリン・エージェント」=「外国代理人」の活動が詳細に記載されています。
中を見てみますと、23のエージェントが韓国政府などからの依頼を受けてロビー活動を行なっていることがわかります。その報酬として支払われた額は、おととし一年間だけで4400万ドル、45億円あまりにのぼっています。

 

このうちワシントンにあるコンサルタント会社には6億円、ニューヨークのPR会社には4億5千万円が、いずれも韓国大使館から支払われています。

こちらは、こうしたロビー活動費の推移を示したものです。日本は2008年以降、少しずつ減っていますが、韓国はこの5年で2倍に増えています。

この2007年というのは、アメリカで慰安婦問題が注目を集めた年でした。
この年の7月、連邦議会 下院は、慰安婦問題を「20世紀最大規模の人身売買のひとつ」と決めつけ、日本政府に公式な謝罪を求める決議を採択しています。


この決議採択から7年。ことし1月には、外交政策に強い影響力をもつ下院外交委員会のロイス委員長が、グレンデール慰安婦像を訪れ、花束を手向けました。アメリカでは再び慰安婦問題が関心を呼んでいます。
韓国政府や政府系機関によるロビー活動とともに、慰安婦問題で重要な役割を果たしているのが、民間の韓国系アメリカ人の団体です。

私は先日、そのひとつであるKACEという民間団体を訪れました。事務所は、マンハッタンから地下鉄とバスを乗り継いで小一時間、韓国系住民が多く暮らす地区の一角にありました。周辺にはハングルの看板を掲げた店舗が数多く立ち並んでいます。

 

ロサンゼルスでの暴動で韓国系住民がターゲットになったことに衝撃を受けた、ある韓国系アメリカ人によって この団体は設立されました。政治に積極的に参画することで韓国系住民の声を政治に反映させ、地位の向上を図ろうというのが目的でした。

選挙案内に韓国語を加えてもらうなどの働きかけを行った結果、2万5000人の韓国系住民が新たに有権者登録を行いました。当初は8%前後に過ぎなかった投票率も60%程度まで上がったと言います。地方レベルを中心に韓国系の議員も誕生するようになりました。

 

慰安婦問題にも意欲的に取り組みました。韓国系住民が通う教会を回って寄付を募るなど徹底した草の根活動を展開。わずか一週間で8000人分の署名を集めて議会に嘆願書を提出しました。ワシントンポストなど影響力のあるメディアに意見広告を載せたり、ユーチューブなど新しいメディアを活用したりして世論に訴えました。 

 

では、なぜ慰安婦問題だったのでしょうか?
慰安婦問題は日本と韓国だけの問題ではない。“人権”や“正義”といったアメリカの普遍的な価値に関わる問題だ」とこの団体の幹部は言います。しかし、韓国系住民の地位向上という本来の目的が、どうして慰安婦問題につながったのか、彼らと話していてもなかなか納得できませんでした。

 

ワシントンで出会った韓国人研究者がヒントを提供してくれました。
慰安婦問題は、韓国系コミュニティーを統合する格好の材料だった。この運動によって韓国系住民はひとつにまとまり、政治的な発言力を強めることができたのだ」というのです。祖国愛の強い韓国系住民をひとつにまとめ、と同時に、「慰安婦問題はアメリカ人の問題でもある」と訴えて、アメリカ社会の関心を呼び起こしていったのです。

こうした活動に韓国政府はどこまで関与しているのでしょうか?


この団体の幹部は「韓国政府や韓国大使館はまったく関わっていない。資金的な援助も一切受けていない」と断言しました。確かに、韓国政府が彼らを動かしているというよりは、
むしろ韓国政府の側が彼らの活動や戦略に学び、後追いしたというのが実態に近いようです。

アメリカで存在感を高める韓国。
その背景にはアメリカ社会の大きな変化があります。


アメリカではアジア系住民が急増しています。このうち韓国系は、かつては最大勢力だった日系を上回り、すでに中国系、フィリピン系などに次ぐ大集団になっています。

多民族国家アメリカは、よくメルティングポットやサラダボウルに例えられますが、このサラダボウルの中身が大きく変わってきているのです。
特に韓国系は1世や1.5世と呼ばれる世代が中心で、祖国への想いが強く、特定の地域に固まって暮らしています。選挙区によっては、韓国系住民の票が当落の行方を左右するところもあります。慰安婦像が建てられたり、日本海の呼称を見直したりする動きが出ているのは、こうした地域です。韓国系住民の「票の力」がアメリカ政治を動かしているのです。
 
もうひとつ無視できないのは、知識人層への浸透です。
アメリカの大学や研究機関などにいる韓国人研究者は8800人と日本人のほぼ2倍。
留学生は7万人、一方、日本人留学生の数は8年連続で減り続けついに2万人を割り込みました。ハーバード大学では293人の韓国人留学生に対して日本人は88人しかいません。彼らの一部は卒業後もアメリカに留まり、大学やシンクタンクなどで働きながらアメリカの政策決定に深く関与していくのです。ここでも日本人の内向き志向はマイナスに作用しています。

 

東アジア情勢に詳しいジョンズ・ホプキンス大学のケント・カルダー所長は、次のように指摘しています。
「アジア系住民の増加はアメリカの政策決定に大きな影響を与えている。残念ながら日本の存在感は、中国や韓国に較べると薄いと言わざるを得ない」
 
オバマ大統領がきょう(23日)来日します。アメリカ政府は、慰安婦など歴史認識をめぐる問題については、表向きは中立の立場ですが、アメリカ社会への韓国ロビーの浸透は、けっして無視できる要素ではありません。日本の立場を主張することももちろん必要ですが、果たしてそれだけで足りるでしょうか。

 

今後、日本がどういう対応を取るべきかを考えていくためには、▽韓国系ロビーの活動ぶりや、▽慰安婦問題についてのアメリカでの受け止められ方、さらには▽アメリカ社会の構造的な変化と政策決定に与える影響。
まずはこうした現実を知ることが大切ではないでしょうか。
現地を取材して強く感じました。
(出石 直 解説委員)

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●日本政府の偏った立場にくみする見解


2014年06月21日 (土) 午前0:00~
時論公論 「河野談話の検討結果 ~慰安婦問題は?~」
出石 直 解説委員

こんばんは。ニュース解説、時論公論です。
慰安婦問題への旧日本軍の関与などを認めたいわゆる河野談話について、その作成過程の検討結果が、(20日)公表されました。
なぜ今、河野談話の検討が行われたのか、その結果は、慰安婦問題や今後の日韓関係にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
 
河野談話
河野談話は、1993年(平成5年)の8月に当時の河野洋平官房長官によって発表されました。当時、慰安婦問題が日韓の間の外交問題になっていたことから、日本側が行った調査に基づいてまとめられたものです。
その内容です。

慰安所は、当時の軍当局の要請により設置された」
慰安所の設置、管理、慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した」
「当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた」


談話では、さらに

「多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた」として、「心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる」としています。
この河野談話をめぐっては、「旧日本軍の関与と強制性を日本政府として認め、謝罪と反省を示したもの」と評価する声がある一方、「客観的な事実に基づいておらず、慰安婦問題について誤った認識を生んでいる」という批判もあります。


 
【検討結果】
河野談話が発表されてから21年。今になってその作成過程を検討することになったのは、ことし2月、衆議院予算委員会での石原信雄元官房副長官の証言がきっかけでした。

石原氏は当時、宮沢内閣の官房副長官として河野談話の作成にあたっていた当事者です。
石原氏の証言で浮上した検証のポイントは2つです。

 

ひとつは、談話の発表に先立ってソウルで行われた16人の元慰安婦に対する聞き取り調査の信ぴょう性。
もうひとつは、談話の作成にあたって日韓両政府によるいわゆる「すり合わせ」があったのかどうかという点です。
この2点を中心に、今回、外部の有識者によって行われた検討結果を見ていきます。

 

【聞き取り調査】
まず「聞き取り調査の信ぴょう性」です。
これについて石原氏は「事実関係を確認するための裏づけ調査は行われていない」と証言していました。

今回の検討結果では、
「聞き取り調査は『日本側の誠意を示して欲しい』という韓国側の要請を受けて行われた」
「(調査は)事実究明よりも、それまでの経緯を踏まえた一過程として、日本政府の真相究明に関する真摯な姿勢を示すという位置づけだった」としたうえで、「証言内容の裏づけ調査や他の証言との比較は行われなかった」と結論づけています。


ただその一方で「聞き取り調査が行われる前から、結果はほぼまとまっており、すでに談話の原案が作成されていた」としています。
つまり、聞き取り調査は、いわば儀式=セレモニーに過ぎなかったというのです。

【すり合わせ】
次に第2点目日韓両政府による「すり合わせ」です。

 

検討結果では、「談話の作成過程で表現や文言について、日韓両政府の間で、綿密な議論や、やりとり、調整が行われた」と指摘しています。
一例として、次のようなやりとりが紹介されています。

慰安婦の募集について、韓国政府は「軍の指示を受けた業者」とする案を提示しました。


これに対して日本政府は、募集は軍ではなく、軍の意向を受けた業者が主として行っていたとして、「軍の要望を受けた業者」と提案、さらに韓国側は「軍の指図」という案を求めてきたものの日本側は受け入れず、最終的には「軍の要請を受けた業者」という表現に落ち着きました。


 
【強制性】
今回の検討では、当時、最大の焦点だった慰安婦の募集に際しての「強制性」についてのやりとりも明らかにされています。

韓国側は、「一部に強制性があった」という限定的な表現に強い難色を示しました。
しかし日本側は、それまでの調査結果を踏まえて「いわゆる強制連行は確認できない」という認識で韓国側との調整に当たり、「歴史的事実を曲げた結論を出すことはできない」として、最終的には、「総じて本人たちの意思に反して」という表現で決着したとしています。

 

以上、見てきましたように、検討結果は、先の衆議院予算委員会での石原氏の証言をおおむね裏付けるものとなっています。
 
検討チームの座長を務めた但木敬一(ただき・けいいち)元検事総長は次のような見解を示しています。

「日本側は、認められない事実については認めておらず、韓国政府も譲れない点は譲っていない」つまり、表現や文言についてのすり合わせはあったものの、事実関係については、あくまでも調査で明らかになった範囲を逸脱していない、事実関係は曲げていないというのです。

【反応】
検討結果の公表を受けて菅官房長官は「河野談話を見直さない、これを継承するという政府の立場は何ら変わらない」と述べています。河野談話の作成過程や内容について繰り返されてきた議論に一応の決着をつけた形です。

 

しかし、今回の検討結果は、今後の日韓関係という点では心配な材料も提供しています。

これまで公開されていなかった次のようなことも明らかにされているからです。
当時、両国の間ですり合わせが行われていたことについて、「日本側はマスコミに一切出さないようにすべき」と述べ、韓国側もこれを了承していた。さらに韓国政府は、当時、「両国の間の法的な問題は決着済みであり、個人的な賠償や補償は求めないことを確認していた」というのです。

 

韓国外務省はさっそく声明を出して反発しています。
「日本側の要請で、非公式に意見を提示しただけだ」としたうえで、「事実関係をごまかすことで河野談話の信頼性を傷つける結果を招く内容を含んでいる」と今回の検討結果を批判。「日本政府が、真の反省に基づき、責任を認め、一日も早く被害者が納得する解決策を提示することを促す」としています。


 
【まとめ】
河野談話の作成にあたっては決着を急ぎたいという当時の政治状況から、様々な外交的な配慮がなされていたことは否定できないでしょう。当時、すでに終戦から50年近くが経ち、証言者の記憶や集められる資料に限りがあったことを考えれば、事実認定にもおのずと限界があったでしょう。日韓両政府のすり合わせがあったことも、双方が納得いく形でこの問題を早く決着させたいという意志の表れと見ることもできます。当時の外交努力を多とすべきではないでしょうか。
慰安婦の女性達はいずれも高齢になり、生存しているのは50人あまりになっています。


今更、「言った、言わない」を繰り返しても被害者は救われません。
今回の検討結果の公表をひとつのけじめとして、日韓両国は、一方に責任を押し付けるのではなく、両国関係を改善し、被害者が納得できる方策を一緒になって考えるべきではないでしょうか。 
(出石 直 解説委員)

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●2016/01/05
NHK総合時論公論
慰安婦問題をめぐる日韓合意

 

日本と韓国の慰安婦問題は当時の軍の関与の元に行われたとして、日本政府の責任、安倍総理の謝罪、韓国政府が設立する財団に政府予算を拠出する、両政府はこの問題を最終的付加逆的に解決する、国際社会での非難や批判の自制、韓国政府がソウルの日本大使館前に設置された少女像の解決に適切に努力するなどについて合意した。

 

しかし合意内容の解釈や運用次第ではいかようにも取られかねない危うさを孕んでいる。
これまで韓国政府や支援団体は法的責任を認めるよう求め、日本政府は完全かつ最終的に解決済みだと突っぱねてきた。
今回の合意では日本政府が法的責任を認めたのかを巡り日韓両国で受け止め方に齟齬が生じる恐れがある。

 

さらにこれで本当に最終的な解決になったのか。
最終的かつ不可逆的に解決するとする文言の前段には元慰安婦の心の傷を癒やす措置を着実に実行するとの前提条件が付けられている。
村山政権時、アジア女性基金が作られ償い事業が行われたが、韓国側の反発もあり頓挫している。

 

今回は韓国政府が設立する新たな基金でどのような措置が講じられるのか、それを元慰安婦の人たちが受け入れてくれるのかにかかっている。
解説・西川吉郎解説委員長、出石直解説委員。