この芝居が戦争の記憶を扱っているというので、見に行った。
当日券で何とか入れた。
たのしく久しぶりに野田芝居を観た。初めての人にはそれ自体が面白いだろうな。セリフは前より分かりやすくゆっくりはっきり担っているように思えた。
俳優たちは良かった。松たか子の叫びは良かった。
で、内容は人間魚雷の愚かさ、戦争の愚かさをちゃんと扱っていた。
僕ならいくら自分がこの戦争には意義があろうと思っていても、あんな脱出もできない魚雷に入り込むのは嫌だ。馬鹿な作戦には馬鹿だというだろう。
小学生のころ、人間魚雷というものがあると知ってその図解とかを見ていたことを思い出す。
だが当時自分がそこに入るのが怖いとは思わなかったように思う。
大人になっていく中でのさまざまな体験から、徐々にそういう閉鎖空間の無自由への恐怖心が心に沁みついていった。
こういうことを計画したり実行させる人たちの、人間の愚かさを思わずにはいられなかった。
この芝居を観た人は皆、安倍政権に反対するのだろうか、と思った。そうあってほしいが多分違うだろう。
でも少しでも心の隅に引っかかるものが残る人が出てくるだろうし、若い人で人間魚雷のこと、特攻のことを知らない人で知る人が出てくるだろう。
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