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大阪市 宿日直問題  労基法・最賃法違反問題   その3

 

注意)修正  大阪市 宿日直労働問題 労働時間は月280時間

 

 以下のブログ内容において、労働時間で計算ミスがあったので修正しておきました。

 

前のバージョンを見た人は修正したほうに差し替えておいてください。

 

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修正した確定稿

 

過去2回、本ブログでこの問題を書きましたが、不十分な点や説明不足な点があり正しく理解されていないようでしたので、より詳しく説明を加えたものを載せておきます。
正しい理解が広がることを願っています。


私の知り合いが大阪市の非常勤特別職問題で動いていました。大阪市は特別職に就業規則を作らないといけないのに作っていないとか、事実上無期雇用であったのに、組合の承認なしに機械的に3年で雇いどめし、試験で新規採用する方法に変えるなどいろいろ問題を抱えていました。

その関係で宿直労働者が週30時間労働の規定が一方でありつつ、実際は4人体制でずっと働かないといけないので、これは週30時間労働を大幅に超えており、長時間労働になっているのに賃金が支払われていないではないかと訴えていました。

それに対して、2016年4月25日、労基署の指導に従って大阪市24区すべての宿日直労働者に過去2年間の未払い賃金、合計約1億5千万円ほどが支払われるということになったという報道がなされました。労基署のほうは発表されるとは知らなかったそうで、大阪市が一方的にメディアに発表しHPにも載せました。


訴えたのは約1年半前だったので遅すぎますが、なんとか少しは法律が守られたということです。

報道では、大阪市の説明に沿って以下のようなことが言われました。
●表題「宿直職員の「仮眠時間」賃金未払い1億5千万円」
大阪市は全24区役所の宿直職員の仮眠時間について、一部を労働と見なしていなかったとして、過去2年間の未払い賃金、100人ほどで計約1億5千万円を支払う。
福島区役所職員から相談を受けた西野田労働基準監督署が調査し、2016年3月末に最低賃金法違反などの疑いで同区に是正勧告していた。
●各区役所では、警備や戸籍の届け出に対応するため非常勤の宿直嘱託職員が2人体制で勤務。午前0時~6時の「仮眠時間」のうち、交代で休む2時間45分を賃金の対象にしていなかったが、労基署が「労働から解放されていない」と指摘した。
●労基署の調査では、2人は同時に仮眠し、来客などがあればその都度起床して対応していたことが判明


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こうした報道を受けてネットでは一部に以下のような意見が見られました。
●公務員の呼び出し勤務有りの宿直仮眠手当はぜいたくだ。 公務員の時間外手当は一切無料にするべきだ。
●二人同時に寝ているのがおかしい。交代で休んでいると考えて2時間45分を賃金の対象にしないのが当然。仮眠中に賃金を払うのはおかしい。
●賃金もらうなら寝ずにずっと起きているべき。

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こうした反応の原因は、労働法の基礎知識がない、労働者の権利の観点がないということのほかに、マスメディアの報道の仕方の問題、つまり報道の表題が「仮眠」だけに焦点をあてる書き方が多かったことが影響していると思います。さらには実は大阪市の発表の仕方自体の問題があります。結論から言えばミスリードする発表をしていたのです。
メディアの方を含め、皆が、大阪市の宿直労働、非常勤特別職の問題、断続労働とすることのおかしさを知らないので、こうした状況になっているのだと思います。
それらについて以下、整理していきたいと思います。

 

◆まず、基礎的な知識問題


労働問題、労働時間の基礎を知っているかどうかの問題です。

職場に泊り込んで仮眠時間を含んだ長時間勤務になっているという場合、

仮眠を取っている間の時間は労働時間にカウントされるかどうかのポイントは、まず、指揮命令下にあるかどうかが基準です。

昼休みなどと同じく、その時間帯に直接仕事をしていなくても何らかの仕事が発生する可能性があり、それに備えて待機していなければならない時間は労働時間です。定期的な巡回が必要であったり、急に客が来るとか電話に出ないといけないなどですぐに対応しないといけない状態でそこにいないといけないなら労働時間となります

 

これが基本です。「金もらっているならずっと起きているべき」というのは労働法や労働者の運動の歴史を知らない、無知な素人の意見です。

 

ただし、この分野では「監視断続労働」という概念があります。


監視断続労働とは、待機時間中に必要に応じて仕事をしなければならなくても、その頻度が極めて低く、仕事の内容が簡単である場合には、その拘束時間全部を労働時間とはみなさないというものです。

監視断続労働とされれば、例えば、最低賃金法が普通には適用されなくなり、特別低額の時給でよくなるなど、さまざまな問題が生じます。


この監視断続労働を適用するには業務の内容を労働基準監督署に申請して許可を得る事が必要です。今回大阪市はこの申請をしていませんでした(大阪市は過去に出したといっているようですが、証拠・記録がないため、今回2016年3月に申請したようです。許可はまだ出ていません)。

 

またたとえ監視断続労働として労働基準監督署から許可を得ていたとしても、実際の勤務内容にそぐわない内容で申請していないかを調べる必要があります。大阪市の宿日直については後で述べるように監視断続労働として認めるべきではありません。

 

監視断続労働という制度を使って、実際は長時間労働なのに低賃金で労働者を使っているという悪用がよくあります。もし大阪市の宿日直が監視断続労働と認められたら大問題です。


断続労働となると最低賃金が適用されなくなって特別低い時給でよくなるからです。


日直の仕事の「待ち時間」といっても、職場を離れられるわけでも、ゲームをできるわけでも、音楽を聴いたりテレビやネットを見たりできるわけでもない。寝転んでボーとできているわけでもないです。ずっと窓口に座って人が入ってくるのを待つのです。ほとんど拘束されているといえます。

それなのに最低賃金さえももらえなくなるなんておかしすぎます。大阪宿日直全体を断続労働とみなすのは間違いです。深夜の仮眠的時間だけを断続労働とみなすならまだわかりますが、断続労働とみなすというのは、宿日直全体の取り扱いになるので、よほどでないとこれを使ってはなりません

 

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大阪市の宿日直の実態

◆次に、多くの方が知らない大阪市のひどい状況を、今回、ここに書いておきます。
これは、「要綱(就業規則)」及び京都のユニオンの方、労基署の方などがいろいろ教えてくださった内容などをもとにしています。

 

大阪市の区役所宿日直職員の勤務条件については、
● 身分について

大阪市区役所宿日直専門員採用要綱で地方公務員法3条第3項第3号の非常勤嘱託という規定がある以上大阪市嘱託職員要綱に規定される職員(特別職)とされているはずですが、勤務条件が、他の非常勤嘱託(特別職)と全くかけ離れており極めて差別的な勤務条件となっている問題があります。
 
非常勤嘱託職員要綱は、週当たりの勤務時間が30時間を超えない範囲となっていますが、この宿直勤務の現行の勤務時間は、週3日勤務の場合で仮眠時間を除いても週36時間15分、週4日勤務の場合は、週45時間45分となります。つまり宿直の勤務条件は、これだけでも要綱違反です。(仮眠の評価の問題がありますがこれは後述)
しかし実際の労働実態はもっと過酷です。

●人員体制の問題
各区では4人しか宿日直労働者はおらず、一度に2人が仕事に入るので、2日に一回は宿直に入らねばなりません。つまり1月30日としても15回は宿直になるのです。17時半から翌朝9時までの15.5時間の労働時間が15回です。


それに加えて、日直が土日と祝日(正月、お盆、GWなどを含む)があるので、その半分に出ないといけないので、月によりますが月6回ぐらいあると考えられます。9時から17時半の8.5時間が月に6回です。


これで計算すると、(15.5×15回)+(8.5×6回)=283.5時間です。31日の月が多いことや実際の祝日の多さを考えるとこれよりも多くなるときもあるでしょう。
ですから最低、おおよそ毎月280時間以上働いているといるとおもいます。

 

仕事の性質上、完全に昼休みなどを取るのも難しいですし、大阪市の宿日直はそこの規定もあいまいです。そのあたりも考慮して、ここでは毎月280時間の労働時間というようにわかりやすい数字でとらえておきたいと思います。


2日に1回は長時間(夕方から朝までなど)働かないといけません。ということ自体が時間リズムが狂う仕事で大変です。一人が病気になるとか有給休暇をとるとなると、必ずもう一人が入るので、その人は3日連続で長時間勤務となり、休んだ人は代わりに別の日に3日連続で入らないといけません。土日は昼間ずっといないといけないし、又その後夜勤≪宿直≫があります。もし連続で入ると金曜の夕方から土曜夕方までのまで24時間の勤務です(あるいは土曜夕方から日曜夕方)。この24時間勤務が少なくとも毎週1回はあるのです。これが4人体制ということです。


もしこれを監視断続労働だということにして現状のまま認めると、この毎月280時間の労働実態そのままで賃金も今のままとなります。



実際の労働時間 週3日の場合 36時間15分
        週4日の場合 45時間45分
 日直の労働時間 7時間45分(拘束時間 8時間30分)
 宿直の労働時間 午後5時30分~午前9時 、(拘束時間 15時間30分)

 

再度確認しますが、なんとこれが年中です。宿日直ですから正月もクリスマスもお盆も全部年中365日、順番に働くので、泊りの旅行に行くとかができない勤務です。4人体制とはそういうことです。

結論としては、最低2名の増員が必要なのです。京都市は、基本6人体制で、しかも監視断続労働ではないというように認定されました。


ですから今回、大阪市で一部未払い賃金が支払われましたが、まだまだ問題はあるのです。増員が一番大事です。ましてもし監視断続労働だと認めてしまうと、ひどい現状のままとなります。(過去は手続きが不十分だということで、過去二年だけ少し金を払うが、これからは手続きをしたから現状のまま最賃以下でも月280時間労働でも、「合法」と言おうとしている)

 

 

●休暇制度について

上にも書きましたが、現在のような人員体制と賃金の制度であれば、年次有給休暇をはじめとしてその他非常勤嘱託に付与されている休暇制度がほとんど意味をなさないことになります。
夏季休暇は一応、3日とされています。しかし4人体制では安心して取れません。
 
●賃金制度について
  これだけの年中拘束される厳しい長時間労働なのに、非常に低賃金です。現行は、基本給96,600円、日直又は宿直1回につき5,570円という賃金制度です。これだと宿直15回、日直6回として、ずっと拘束されて月に21万円の給料です。
(計算式 96600+(5570×21)=213570円)


そこで、213570円を280時間で割ると 762円になり、完全に最低賃金以下になります。

 

今回、労基署が指摘したのは、この問題です。計算方法もほぼこれに近いもので間違いありません。(正確には、最低、深夜手当を払うことを入れた計算にする必要があります)

もし280時間より少し労働時間が短いとしても、賃金システム上その分、賃金も減るので、最賃を大幅に下回る時給であるのは間違いない状況でした。

 

その他、以下の点でも問題があります


A)深夜勤務手当について
    ・午後10時から午前5時までの間は深夜勤務手当の支給が法定事項である。
労働基準法第37条4項:25%の割増)…今までこれも払われていなかった。24時から仮眠としても22時から24時までは深夜手当はいるがそこも考えられていなかった。


B)特別職の週30時間以上という規定を超えた、超過勤務の手当の支給

これもなされていなかった


C)週40時間以上の場合、25%増しの時間外労働手当

これもなされていなかった


D)仮眠時間に仕事が入った場合の超過勤務についての扱い


E)有給休暇及びそれ以外の休暇の扱い


F)要綱では、勤務日数、休日について所属長が定めるとなっているが、国民の祝日の扱いを含めどのようになっているのか。事実上、祝日も働かなければならないのではないか。…あいまいなまま


G)休日に出勤した場合の手当はどうなっているのか。通常は、35%増しの休日労働手当がある。月280時間、一回宿直になると15.5時間ということから、土日には休日労働手当てが払われるべきである。・・・それもなかった


H)人員体制の問題・・・放置されてきた

 

いままで、断続労働でもないのに、とにかく上記の諸点で何もちゃんと整えられたり支払われたりしていなかったのです。

 

●断続労働の許可が下りているかどうかが大きな問題

 

この問題指摘を受けて大阪市は昔に届け出を出したと当初は言っていたようですが、それは事実に反していて、なんの証拠もなかったようです。つまり過去に届け出た記録がない。出されていなかったので、断続労働とはなっていないのです。


また断続的労働とみなされても最賃法に抵触しないように、最賃法7条4項によって「断続的労働に従事する者に対する、最低賃金の減額の特別許可申請」を出さないといけません。大阪市はこれを出していなかったために、上記計算方法によって最賃以下であるとみなされて労基署から是正勧告を出され、せめて最低賃金との差額を払うようにということで過去二年間の未払い賃金が払われることになったということです。


(ちなみに労基署のほうからこれだけ払えと数字が出されたのではなく、今出ている数字は大阪市の概算だけです)



●監視断続労働ではない

仕事の実態としても、区役所の大阪市宿日直の労働は、以下のようにいろいろすることがあるので、本来(監視)断続労働に当てはまらないとみるべきです。

 

大阪市の宿日直は、その勤務中のすべての事務をしないといけません。具体的には(1)来庁者、電話応対、(2)庁舎の管理等、(3)戸籍関係事務の受付、(4)行旅死亡人が発生した場合の措置連絡、(5)火災その他災害の発生時の措置、(6)文書物件などの収受、(7)宿日直日誌の記載、(8)電話等応対簿・電話等対応引き継ぎ簿、(9)閉庁時における証明書交付請求等の受付・交付事務、です。

選挙開票のときなどずっと忙しいとか、期日前投票とか、夜中に葬儀関係の人が待ち時間がないということで手続きに意識的に来ることが多いとか、非常に夜中にやるべきことが多いのが実態です。
そして受付時間は 平日 17時30分~21時、 閉庁日9時~21時となっています。もちろん、通常受付以外のことは24時間いつでも対応しないといけません。



したがって今回労基署が実態を調べて判断したように、夜中12時から朝の6時までの「仮眠時間」と言われていた時間も誰かが来て飛び起きて対応することが多く、ゆっくり寝るという状況ではありませんでした。ですからまず、仮眠時間と言われていたものは労働時間とみなして当然です。


 今後、4人体制を変えたり、仕事の見直しなどをして、一晩あたり、仮眠時間を一定認めることはありうるかもしれませんが、昼間の日直仕事も含めて月280時間全体を断続労働とみなすのは完全に不適切であり間違いです。

 

 

次に、(監視)断続労働とみなされると、超過勤務手当とか休日手当などがなくなるということもあり、又最賃法の通常の最賃額が適用されなくなる(上記の最低賃金の減額が特別許可されて、超低賃金で長時間拘束されることが合法化される)という大問題があります。

 

したがって労働実態からして断続労働と認めるべきではないのです。

京都市ではそこがちゃんと判断されたので、断続労働とは認定されず、6人体制で適切な労働時間と賃金が保障されました大阪市は、4人体制で月280時間労働で賃金月21万円という最賃以下時給での殺人的拘束状態を、「断続労働の許可申請」及び「断続的労働に従事する者に対する、最低賃金の減額の特別許可申請」によって継続しようとしています。

 

つまり、過去2年は、「最低賃金の減額の特別許可申請」などが出ていなかったので仕方ないが、2016年4月からは断続労働と確定して最賃以下で働かせようとしているのです。


もし労基署が、断続労働と認定すれば大問題であるとはこういうことなのです。

しかし、こうした労働実態や制度の在り方のことを理解している人が一体どれほどいるでしょうか。


メディアの人もわかっていないので、上述したような大阪市のへんな言い分だけを書いてしまうという間違いを犯したのです。ネットで「宿直手当を払う」「仮眠時間に賃金を払う」という間違った理解があったのもメディアの書き方が不適切だったためです。

 

なお、西野田労働基準監督署は、断続労働の許可の有無について明らかにできないと言っていました。しかし宿日直当該労働者及び職場代表が宿日直の労働条件について意見を述べるためには、この確認が前提であり、これを明らかにできないということであれば、労働基準監督署自身が労働者代表の意見の表明を阻害することになり、明らかに労働基準法違反の行為であるといえると思われます。当該労働者及び職場代表に断続労働の許可や最低賃金の減額の特別許可が出ているかどうかを伝えなかったのはまちがった対応でした。

 

しかし結果的には今回のように、大阪市が過去については違法状態であることを一部認めたことになりました。

まとめますと、大阪市では、宿日直勤務が2人1組の4人体制でおこなわれていますが、これは毎月280時間という、殺人的状況になり、この業務を行うのは人員配置的に無理があること、は明白です。

(通常労働時間160時間、残業時間は毎月80時間でも過労死レベルですので、合計240時間で大問題です。月280時間労働は、過労死状況をはるかに超えています)

 

また勤務時間は、特別職なので週30時間(月約120時間)と要綱で規定されている一方で、実質が常態的に30時間を超えており、超過勤務の手当てがなく、要綱自体に矛盾、違法性があること、も明白です。そこを整えずに放置しているのは怠慢以外の何物でもありません。

 

そもそも「要綱」と「手引き」はありますが就業規則がないこと自体が問題です。大阪市では福島区だけが要綱・手引きをコピーしただけの「偽(にせ) 就業規則」があるだけで、その他の23区では就業規則がない違法状態です。就業規則を労基署に届けていないのです!

 

そして月額の報酬は、最低賃金を下回ることが当然大問題です。
休むことができない過酷な労働であるからこそ、通常以上の高額の賃金を保証するならともかく、最低賃金さえ払っておらず、断続労働と決めつけて770円以下の時給で働かせるなどもってのほかです。

 

こうした問題があったのであり、今回の宿日直の未払い賃金はこの大問題の氷山の一角が明らかになっただけだということです。

今後、4人体制を見直して6人体制にできるか(長時間労働の見直し)、断続労働でないことを明確にして適切な割り増し賃金などを払うか、就業規則を整えるかが重大な課題として残っているのです。

 

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大阪市の発表の「虚偽」問題

報道が正確でなかった問題の背景には、大阪市の説明自体の不適切(一部虚偽隠ぺい)問題があります。
まず大阪市のHPhttp://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/shimin/0000352897.html
には以下のような「説明」が載っています。

大阪市HP内容
平成28年4月25日 18時発表
 大阪市の区役所宿日直専門員の報酬について、平成28年3月25日、西野田労働基準監督署から福島区長に対し、次のとおり、労働基準法及び最低賃金法違反との是正勧告が行われ、本日、同労働基準監督署に対して是正報告を行いましたので、公表します。
 大阪市といたしましては、今回の是正勧告を真摯に踏まえ、このような事態を招いたことにつきまして深く反省し、関係者の皆様に心からお詫び申しあげます。なお、勧告を踏まえた是正措置の内容については次のとおりです。

1 是正勧告の概要
 法条項等:労働基準法第24条、最低賃金法第4条第1項・第2項
 違反事項:貴事業場において宿日直業務を行わせている労働者に対する賃金について、法定の除外事由無く所定支払日である毎月17日に、大阪府最低賃金以上の賃金を支払っていないこと。
(なお、不足額については、過去分を調査の上、遡及して支払うこと。)


2 事案の概要
 大阪市の各区役所では、市民局が定める区役所宿日直専門員採用要綱等に基づき、非常勤嘱託職員である区役所宿日直専門員を雇用し、区役所の通常の業務時間以外の時間帯(平日17:30 ~翌9:00 及び休日)について、宿日直業務として庁舎管理(施錠、巡視)や文書収受(戸籍の届出受付等)などの業務に従事させ、非常勤の職員の報酬及び費用弁償に関する条例等に基づき報酬を支払っている。

 

 大阪市では、これまで夜間の対応については、宿日直勤務の手引きにより、0:00~6:00の間について仮眠時間を取る(うち30分は巡視)ことを定め、詳細は各区役所において運用し、宿日直専門員は1勤務2人体制であるため、仮眠時間中の巡視や戸籍の届出等への対応は交替で対応しているものとして、巡視や届出対応をしていない職員は、実際に仮眠を取っている時間は労働から解放されており、賃金の支払対象とはならない時間と評価して、労働時間1時間あたりの報酬額は大阪府最低賃金額を上回っていたことから、最低賃金額の減額適用の特例許可の手続は必要ないものと考えてきた。

 

 しかし、今回、労働基準監督署の調査により、福島区役所では、仮眠時間中は宿直室を施錠・消灯し、宿日直専門員は2人同時に仮眠しており、夜間に届出等の来客があった場合は、インターホンによる呼び出しを受けて、いずれかの宿日直専門員がその都度起きて対応していることが判明し、必ずしも2人が明確な交替体制で対応しておらず、そのため完全には労働から解放されておらず、勤務条件通知書にも明記されていないと労働基準監督署が判断し、最低賃金法違反の疑いがあることが指摘された。

3 是正措置の内容
 上記の是正勧告を受けて次の是正措置を行います。(なお、今回の勧告は福島区に対するものですが、区役所宿日直専門員は大阪市24区役所全てにおいて同一の制度により同様の勤務を行っているものであるため、全区について同様の措置を行います。)
 (1)過去分の対応について
    ・労働基準法上、未払賃金請求権は2年であることから、過去2年分(平成26年4月1日~平成28年3月31日)の勤務に係る賃金について、基本賃金及び深夜割増賃金を当時の大阪府最低賃金額をもとに算出し、既に支払っている賃金額との差額について遡及して支払う。
   ○今回の遡及支払に伴う支出見込額
      福島区   賃金 約850万円(※現時点の試算)
      24区全体  賃金 約1億5,000万円(※現時点の試算)
        (このほか、社会保険料等(本市負担分)が別途必要となる見込み。)
   ○支払の時期
      支払内容が確定次第、速やかに支払を行う。
 (2)平成28年度以降の対応について
    各区役所において最低賃金法第7条による最低賃金の減額特例許可手続きを行う。
       福島区   平成28年3月22日に申請を終え、許可を受ける予定。
       24区全体 平成28年4月14 日までに申請を終え、許可を受ける予定。

大阪市HP引用終わり)

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今までの私野説明を読んでいただいた方にはよくわかるかと思いますが、この大阪市発表には問題点がいろいろあります。

労基署がいっているのは、断続労働者に対する最低賃金の減額特例許可手続きがなされていない中で、ひと月の総労働時間(約280時間)に対して支払われた賃金が約21万円ほどであるので、時給が最低賃金を大幅に下回るということだけです。(本当は断続労働ではないのに、深夜割増しか考えていないようで、それも問題)

ですから上記大阪市の言い分が仮眠時間の評価が中心的・本質的問題であるかのように言っている点がおかしいのです。もし仮に大阪市の言うように仮眠時間のうち2人なので半分は仮眠が取れるとして2時間45分、約3時間分の労働時間を引いたとしても、月237時間ほどの労働時間となり、過労死的な長時間労働であることに変わりはありません。しかも労基署も認めるように仮眠時間と言われていたところも労働時間とみなすべき状況なので、仮眠時間ということで労働時間から引くのは間違いです。

 

また大阪市は断続労働の届けを今回出したので、今後は断続労働として扱うことを自明の前提のように記述しています。それが一番問題です。断続労働でないなら、時間外手当、休日手当など、深夜手当以外にも言及して計算すべきですし、いまの「就業規則」も大幅に書き換えないといけません。今の全く不十分で違法状態の就業規則を全く変えずに、断続労働許可を得ればすべて現状のままで行けるとみているのが大阪市の最大の間違いです。(しかも23区は就業規則さえない。もうムチャクチャ)

 

大阪市はそもそも監視断続労働の届け出を出していなかったのですから、過去の計算方法において、断続労働の考えで計算するのがおかしいのです。過去についても、上記の計算方法で最賃との差額だけというのでは間違いです。時間外手当、休日手当、深夜手当、休憩時間規定、有給休暇その他、通常の労基法に沿って適切に未払い賃金や労働時間を計算すべきです。就業規則がないことを含め、労働実態が最賃法違反だけでなく労基法違反があるとみなすべきです。

とにかく、労基署が今後、もし大阪市の宿日直労働を監視断続労働としたら大問題です。忘れてはならないのは、月280時間のうち、昼間の仕事を含めほとんど(200時間以上)が仮眠などまったく取れずに起きていていろいろしないといけない全く通常の労働だということです。ボーとしていてもOKで、ゲームができるとか、テレビが見れるとか寝ていられる、そして暇でたまにすることがあるというような仕事ではないのです。

 

断続労働と認めてしまうことはとても悪い労働条件を「合法」にしてしまうことなので、絶対に安易に断続労働とは認めてはなりません。



ぜひ、この点を意識して今後のうごきに注目してくださいもし断続労働の許可が出されたら、それは労基署がこの月280時間の労働状況を容認することになるのです。政府・安倍政権はワークライフバランスのある生活にするよう(過労死撲滅をめざす)に言っていますが、行政自らが過労死を容認する(月280時間労働)ということになります。しかも最賃以下で働かせるというおまけ付きで。

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以上に絡むので、今回の大阪市の問題の経緯を一部を紹介しておきます。

 

まず、大阪市の公務分野の非正規/臨職の長期雇用の実態は、地公法のどの類型でも説明できないものであり、3年間だけ雇うような任用制度は、もともと地公法には予定されおらず、地公法3条3項3号の特別職というものが非常に乱用されてきた問題がありました。

その有期雇用や労働条件の話し合いをする中で、2013年に、福島区就業規則を作成、届出をすることを労働者側が求めました。

 

労働基準法第89条・90条・92条
(1)常時10人以上の労働者を使用している事業場では、就業規則を作成し、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者の意見書を添えて、所轄労働基準監督署長に届け出ければなりません。


2014年7月に、福島区でようやく「就業規則」的なものが出されましたが、それは従来の要綱や手引きをコピーしただけで何ら就業規則の体裁になっていないものでした

 

そして2014年夏福島区の非常勤の一つである宿直勤務の方の長時間労働、残業代未払い賃金があるとの情報提供が労基署に対してなされ、宿直勤務の方から福島区役所における宿日直勤務者の労働状態及び就業規則内容が労働基準法違反の疑いがあるため、速やかに調査及び改善指導を行うようにという「労働基準法違反の申告」がありました。


それに対してなかなか動かなかったので、西野田労基署、大阪労働局などに、どうなっているのかと苦情を労働者側が言いに行ったりした中で、1年半以上たってようやく、労基署が動いたということです。

 

また2013年から大阪市の非常勤特別職に、就業規則がないという違法問題を指摘してきましたが、福島区で従来の要綱をコピーしただけのものが出ただけで、残り23区ではいまだに就業規則ができていません

 

こうした背景があっての今回の「大阪市の宿直の未払い賃金問題」でした。
ですから宿直の仮眠に賃金を払うかどうかの問題だけではないのです。4人体制の長時間労働の問題であり、労基法違反の賃金状況であり、特別職というものの乱用(低賃金で3年だけの有期雇用、使い捨て)の問題があるのです。

新聞の記事の書き方にもこの点で「仮眠」だけを問題にしている点で勉強不足が出ていました。当局発表だけで書いているということです。

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