ソウルヨガ

主流秩序、DV,スピシン主義、フェミ、あれこれ

2015年5月小金井市、ファン男性が元アイドルに逆恨みで刺傷事件 加筆版

この事件については、すでに一回載せましたが、追加情報が出てきて警察のミスが次々明らかになったので、加筆して、再掲しておきます。

 

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2015年5月、小金井市で、元・地下アイドルで現在大学生(かつシンガー)の冨田真由さん(20歳)がファンの男・岩埼友宏容疑者(27)にライブ会場前で刃物で刺され、意識不明の重体になった。首や胸など全身20か所をめった刺しにされた。男は殺人未遂などの疑いで逮捕された。


岩埼容疑者と被害者はSNSでやり取りをしており、ツイッターには男が被害者に腕時計をプレゼントした事が書かれていたが、被害者が腕時計を返却するとコメントは攻撃的になっていった。送信は1月18日に始まり、冨田さんが送信を受け付けない「ブロック」を設定する4月28日まで、多い時には1日に18回、101日間で計340件に上っており、執拗なストーカー状態になっていた。2月のライブなどの際に「1月ごろ、帰り道で男に待ち伏せされ、電話番号を教えろと何十分間もしつこく付きまとわれた」などとファンに話していた。またライブのあとに冨田さんに岩崎容疑者がつきまとい、周りにいたファンが引き離したこともあった。

 

岩埼容疑者は、SNSなどに、「あなたに見下されたこと一生忘れないから」「君の人生、誰のもの?」「トミーさんは不誠実だねぇ」「『腕時計』を捨てたり、売ったりするくらいなら返して。それは僕の『心』だ」」「愛情なんていとも簡単に憎悪に変わっちゃうけれど、僕は普通にトミーさんのこと好きですよ」「まゆちゃ~ん!!!」「おはよー」「瞳を閉じればあなたが」「誰にでも優しいのは無責任」「お前それでも人間か」「早く『ゴミ』返してね」「差出人不明は失礼」「ほんと、嫌な女」「最高の嫌がらせありがとー」「もっと見下し馬鹿にしてみろよ冨田真由」「ふざけんな、マジで」「スゲー怒っている」、「一部しか返って来てないんで、全部返してください」「早く返せ」「返せ」「投げやりになって 何かをしでかしたいと思った どうせ、のたれ死ぬだけのくそったれの人生 結果なんてどうでも良くて ただ、逆恨みと顕示欲だけのどうしようもない情動」「死にたいんじゃなくて、殺されたい」「劇的を望む」、などの書き込みを繰り返していた。


男は自身のブログで「僕は殺したい」「犯罪します」「ツイッターをブロックされた あははははははははは・・」「あいつしねばいいのにな」「ムカついている」「君の努力を全部無駄にしてやる」などのほかに「死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ・・・」と何百回も「死ねよ」を記述する書き込みもしていた。
また事件当日には「ひとをなんらかの行動に駆り立てるのはたいていの場合、意欲などではなく、羞恥だ」「行ってきます!」と書き込んでもいた。最後の書き込みは駅で待ち伏せしていた時の「まだかなまだかな~」だった。

 

今回の事件に関して、被害者の女性や母親が何回も警察に相談していたし、書き込みは明らかに殺人の危険性があるものであった。被害に遭った富田さんは5月9日に警察署を訪れて、加害者の住所や名前、ツイッターへの執拗で危険な書き込み内容を印刷した紙を署の担当者に渡し、プレゼントを巡ってトラブルになっていること、岩埼容疑者から腕時計とわいせつな本を手渡されたこと、ことし1月ごろからたびたびライブ会場などに現れて電話番号を聞き出そうとしていたことなども相談し、「書き込みをやめさせてほしい」「友達にまで迷惑をかけているから、やめさせてほしい」と訴えていた。

 

しかし、警視庁は、ストーカー規制法ではSNSは対象外だとし、また「直ちに危害を加える内容はない」として、切迫性があると判断せず、当然使うようになっている「危険度を判定するためのチェックシート」を用いなかった。これ自体大問題で大きな判断ミスである。


さらなるミスとして、今回、ストーカー事案などに一元的に対応する同庁の「人身安全関連事案総合対策本部」の専門チームに武蔵野署は連絡をしなかった。連絡していれば、そこで事態の危険性や切迫性が評価されるはずだった。
そもそも今回の事案を「ストーカー相談」として受理せず、「一般相談」として扱うという判断ミスを犯していた。

 

さらに男性加害者(容疑者)に接触さえしておらず、事件直前にも武蔵野署は小金井署に「通報があったら対応してほしい」というのみだった。そのため小金井署は会場に警察官を配置していなかった。これは両方の警察署のミスといえる。

さらに、事件発生時に冨田さんから110番を受けた警視庁通信指令本部が、通報場所の位置情報を確認せず、武蔵野市にある冨田さんの自宅に警察官を向かわせていた。これは警察のミスであるが、ストーカー事案として警戒していなかったことの結果でもある。
 武蔵野署は、緊急時に迅速に対応するため5月20日、冨田さんの携帯電話番号を「110番緊急通報登録システム」に登録はしていた。しかし、110番を受けた時に、携帯電話の位置情報を手動で確認する作業を行わず、緊急通報登録システムの登録内容に基づき名前や武蔵野市にある自宅住所が表示されたため、自宅に警官を派遣してしまった。位置情報を手動で確認する作業をしなかったのは明らかなミスである。


岩埼容疑者は、実は約3年前、芸能活動をしている20代の別の女性のブログに、『殺す』などと嫌がらせの書き込みをしていたため、警視庁万世橋署が岩埼容疑者に警告して辞めさせていたが、同署は相談を登録するシステムに彼の名前を入力していなかった。

つまりこの男については、冨田さんの母親の滋賀県での相談、冨田さんの東京での相談、別の女性の事件など、合計3件あったがどれでも名前を入れて記入しなかったため結合されなかった。

警視庁では、こうした被害相談は部署間で情報共有するシステムに登録することになっているが、万世橋署の担当者は女性の名前や相談内容を登録したものの、岩埼容疑者の名前を登録することを失念していた。もし入力していれば、今回相談があったときに岩崎容疑者が前にも同様の行為をしていた危険人物とただちにわかって対応が変わったはずである。この点でも警察のミスがあったといえる。

 

「SNSは対象外だった」という警察の不作為の言い訳は、2014年の有識者検討会などでもはっきりとSNSも対象とすべきと指摘されており、都道府県の条例ではすでにSNSの嫌がらせも対象としていたり、現場ではSNSも含めて積極的に対応するのが当然の段階に至っているので、今回の警視庁の言いぶんには正当性も説得力もまったくない。


以上、何重ものミスが警察にあったことは明らかである。

 

今回、上記の諸ミスをせずにすぐにストーカー事案として登録し、情報を共有し、総合対策をとるべきだった。まず警察は加害者に接触し、注意・警告とともに、加害者相談(加害者プログラム、カウンセリング、治療)につなげて、その後も観察し続けるべきであった。また被害者周辺、ライブ会場周辺をパトロールして警戒・警備すべきであった。

 

拙著『デートDV・ストーカー対策のネクストステージ』で示したように、いくつかの事件ごとに対策は強化されてきたが、特に、長崎県西海市や東京・三鷹市のストーカー事件では、被害者や家族が警察に事前に相談したにもかかわらず、警察は、差し迫った危険性はないと判断し、十分な対応を取っていなかったことから、警察庁は、3年前(2013年)に対策を強化した。


具体的には、ストーカーの被害の相談を受けた場合は、警察署長だけでなく、ストーカー事件を担当する警察本部の専門部署にも報告するようにしたほか、ストーカーの危険度を客観的に判定するチェックシートを作成し、危険性を正確に見極めるようにするなど、相談を受けた時の対応や態勢を強化した。


また、被害者に危害が加えられる危険性や切迫性が極めて高い場合には、被害者を安全な場所に避難させたり身辺を警戒したりするほか、刑事事件として立件が難くても加害者に接触し指導や警告をするとした。


このほか、相談の内容を「相談情報ファイル」という警察のシステムに登録し、加害者がほかの都道府県でストーカーのトラブルを起こしていないか確認できるようにした。

 

だが今回はほとんどなにもなされず、何重ものミスをした。警察はまたまた同じ失敗を繰り返した。警視庁、警察の上層部は、この数年、より積極的な対応をするように号令をかけ続けているが、末端の現場、警官にはまだまだ低い意識の人物がいるということだ。

 

なお 今回の事態を受け警視庁は2016年6月中にも、緊急通報登録システムに登録している電話番号から通報があった場合、自動的に位置情報が表示されるシステムを導入することとした。
ぜひ同じようなミスをしないようになってほしい。

 

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◆関連情報としては、拙著『デートDV・ストーカー対策のネクストステージ』の
「4章-6 ひどいDVケースにおける別れ方・戦い方・逃げ方」「4章-7 スト-カーに対する対応の仕方」などを参照してください。 
ストーカー対処 P109、113、115、p126-131など

以下、その一部

上記のDV加害者との別れ方と重なる点がありますが、スト-カー被害状態の場合の対応の仕方をまとめておきます。DVカップルの別れ話やストーカーでの傷害・殺人事件が相次いでおり、警察は失敗を重ねてきました。そのためようやく近年、警察も対応を充実させてきています。
 ストーカー行為をされたら、まずは警察や男女共同参画センター、被害者支援NPOなどに相談し、対策を練ることが必要です。その時に、図表4-8で示すようなこれまでの経緯を詳しく書いた文書を持って行って「私の安全の確保をお願いします」と明記することが有効でしょう。そのためにも友人や、相談を受けてくれるところで、話をして、被害の全体をまとめる作業はしておいた方がいいでしょう。事前にできなければ、相談先でしてもらいます。
警察庁のホームページには「恋愛感情等のもつれに起因する暴力的事案の特徴」として、「事態が急展開して、殺人などの重大事件に発展するおそれが大きい」「早期の対応が決め手」と指摘し、相談してくださいと書いているので、最寄りの警察に相談することを躊躇する必要はありません。
そしてもし明確に拒否の意思を示していないなら、一度明確に、被害者(および支援者、できれば弁護士名なども記して)から、ストーカー加害者に拒否の意思を示すことが必要です。ストーカーが元パートナーであれば「あなたとはもう完全に別れています。復縁する意思は全くありません。恋愛感情は全くありません」「二度とつきまとい/ストーカーなどの行為をしないでください。今度したら警察や裁判所を使って訴え闘います。」 等とはっきりと拒否の意思を伝え、その後何かがあればすぐに警察に動いてもらうというのが基本です。
付き合ったことがない一方的なストーカーなら「二度とつきまとい/ストーカーなどの行為をしないでください。今度したら警察や裁判所を使って訴え闘います。」とだけいえばいいでしょう。あいまいな態度をとらないことです。
急に警察が来るという前に、ワンクッション、このままでは警察から警告されるよと事前に伝えるようなことが大事だと、NPO「ヒューマニティ」の小早川氏も言っています。

それでもストーカー行為があるような場合、危険なストーカー加害者とは、被害者が話しても無駄ですから、基本は、警察など第3者を入れて毅然とした警告をすることです。まずは警察から「注意、口頭警告」や「文書警告」をしてもらいます(できるだけ文書警告を出してもらう方が良い)。警告や禁止命令が被害者の居住地だけでなく、加害者の住む地域やつきまとい現場の警察などでも出すことができるようになりましたので、それを積極的に使うことです。
警察から、NPO「ヒューマニティ」のような「加害者が相談できるところ(話を聴いてもらえるところ)」を加害者に紹介してもらうように求めることも一つの手です。
また警察には、加害者に頻繁に接して様子や危険性をチェックし続けてもらうことが大事なので、それを強く求めることです。現実には警察だけではその能力が十分でないので、加害者に接していく「加害者教育」や「加害者治療」やNPO「ヒューマニティ」のようなカウンセリングの機関を養成しそれを利用させることを目指していくべきです。
しかし現状はそこまでいっていないので、とにかく警察に加害者に接し続けてもらうようにすることと、次にのべるように告訴することが大事です。

警察から警告を出すこと、携帯の着信拒否、番号変更などは状況を悪化させるという意見もありますが、連絡を取らないことが基本なので、相談の上、そうした対処をして自分を守ることはした方がいいです。警察なども入れて強い意志を示せば、多くの場合、ストーカー行為は収まります。ただし警察に警告などをしてもらった直後は十分な警戒が必要です。警察や支援者は、被害者に、誰かと常にいるとか帰宅しないように勧めて、安全確保をしっかりやってから文書警告を求める必要があります。危険性が高い場合は、非常に理不尽なことですが、とにかく2-3か月身を隠す(引っ越す)ことを真剣に検討すべきです。仕事や学校のことなどで引っ越しが無理で同じ場所に居続けるなら定期的に自宅を警察に見回ってもらうことを要請します。証拠をとるためにメールなどを残す手もあります。ケースごとに被害者の耐性や危険度なども違うので、相談の上で対処します 。さまざまな嫌がらせに対してどの法律で対処すべきかは、警察などと相談してください。

 注意点としては、ストーカーでも、別れた後(明確に警告した後)は、被害者は加害者に絶対に会わないことです。家族や親戚、職場や学校に協力してもらって、加害者がやってきたらどう対応するかを決めておくことも大事です。
警察に少し相談しても末端警察官では無知なことや熱意が足りないことがあります。その場合、他の人に相談するなどして、諦めないことが大事です。たとえば、改正ストーカー規制法の対象ではありませんが、SNSのメッセージが記載されている内容が、脅迫行為に該当するのであれば脅迫罪で、被害者の名誉を毀損している内容であれば名誉毀損罪で対応できます。
そしてその他、被害者及び被害者の支援者は以下のようなさまざまな対策をとることを検討します。必要なら要望します。

◆図表4-7 ストーカーに対して、被害者がとりうる対応策

以下略


警察からストーカー被害防止の援助を受けたいならば、具体的に要請します。また被害届(告訴)を出して、暴行、傷害、脅迫などで捜査・検挙してもらう手もあります。警告の後少しでも何かあればすぐに逮捕してもらうよう告訴することが大事です。警察以外を使う手としては、配偶者暴力相談支援センターやDV被害者支援のNPOを紹介してもらう、DV法での接近禁止、退去命令、電話などの禁止命令などの保護命令を裁判所に出してもらう(違反すれば検挙)などがあります。
なお、別の人と付き合い始めたり結婚したりしたときは、注意が必要です。違うひとと仲良くなったことで、ストーカーの嫉妬心に火が付き、逆恨みを強める可能性があるからです。パートナーができたから安心というわけではないのです。ですから新しい恋人(結婚)の情報は隠すのがいいでしょう。また、SNSへの書き込みは、ストーカーに自分の情報(住所、活動場所、交友関係等)を教える行為だということも忘れないようにすべきです。自分のSNSに書きこまなくても、友人のSNSにコメントをするだけで情報が伝わります 。様々な情報を知られて悪用されないかということへの目配りもいります 。

4-8  リベンジポルノなどへの対応