ソウルヨガ

主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

『主流秩序にいかに囚われているか(3)―――学生たちの実態と本音、そして少しの突破』

 

主流秩序にどう囚われているか、どう向き合おうとしているか、学生さんたちの考え、経験がわかるレポートの紹介です。

 

主流秩序論の本・NO8(電子書籍
『主流秩序にいかに囚われているか(3)―――学生たちの実態と本音、そして少しの突破』
2016年6月発行

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はじめに

 

ジェンダー秩序などない、そんなのは従来の古い伝え方で、今はもう差別もない。」
「差別だとか、ジェンダー平等を主張するフェミニストの主張にはぴんと来ない。」
そういう意見がある時代である。


だから主流秩序という装置で伝える。
差別の問題を翻訳する装置が、「主流秩序論」である。主流秩序にとらわれることの生きづらさと捉えて、他人のことでなく自分ごとにする。主流秩序の下位の者への差別は、中位や上位の者の生きづらさと共通の根っこであるとわかるようにする装置。いじめ/いじめられ/傍観者、そうしたことを、全部、自分のこととつなげる装置。その典型が、「痩せる」問題。


また「あるべき家族」も、「しあわせのとらえ方」も射程に入れる。しあわせになるとは主流秩序の上位に行くことなのかという問いは本質的にラジカルだ。


そしてそのうえでの、主流秩序が投げかけるもうひとつの「問い」が「責任」だ。
社会のこと/他人のことなど関係ない、自分ことだけで精一杯という人に、責任についてはどうするのと問う。無関係ではない。無関係のように思えているかもしれないが、無関係ではない。それを引き受ける強さを要求する。


例えば、労働組合に入らないことはどうなのか。自分が、高い消費活動をすることの影響を考える。

 

本書は、『主流秩序にいかに囚われているか―――学生たちの実態と本音、そして少しの突破』(1)(2)の続編であり、主流秩序論の8冊目にあたるものである。本書では学生さんたちのレポートの紹介だけをする。位置づけや意義などについては、上記『主流秩序にいかに囚われているか』(1)に書いたので、そちらを参照していただきたい。


積極的な授業への参加と自分に向き合ったレポートを見ていると、真摯に主流秩序、ジェンダー秩序の問題に向き合う学生さんが多かったと思う。ある程度の予想はあったが、思った以上に今の学生の世代は、主流秩序に圧迫されているんだなと感じた。

大学15コマの授業で、感想や質問が出されそれに対していろいろ応答を行った。反論も含め、正直な皆さんの感想から、私が何を伝えられたかとともに、私が何を伝えきれていないかを知ることができた。そのように思うのか、そうこだわるのか、そう思っているのか。

いろいろわかって面白かった。いろいろな人の苦しみや生きづらさ、がんじがらめさなどが伝わってきた。


学生さんの多様な反応や意見、主流秩序という装置を使っての考察は、他の人にも、今の社会を考えたり、自分がどう生きるかを考えるときに参考になるかと思う。
なお、各レポートの表題は、編者が内容の特徴が分かるように作成したもので、学生さん自身が付けたものではないことを断っておく。

 

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無料アプリを入れれば読めます。価格は1ドルです。 

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目次

ケース28  私は孤立がとても怖い「いい子ちゃん」、明るくて面白いこと言うキャラ作り、背景にスクールカースト、主流秩序に合わせないとブサイクで男っぽいと言われる私と仲良くしてくれる人がいなくなる、息苦しいが抜け出せない、無意識に他者を自分をはかるための道具にし、時には自分より下だと見下して気持ちを安堵させるための道具にしていることを自覚し続けることが大切、安定と評価がほしいと思うことにとらわれると空っぽになってしまう、周りに気を使いすぎ、失敗してもいいように保険をかける自分の殻を破っていきたい、LGBTやガタロさんのような主流秩序の縛りから離脱している人から学ぶ、心に余裕を持ちダメな自分を受け入れ、ありのまま正直に生きたい 4


ケース29  性的マイノリティについて中立のつもりだったが傷つけていたかもと思う、主流秩序にも積極的には加担せず、ただ乗りにも注意し、一定抵抗し理解者となるスタンス、生きる意味とかは分からないが、「歩く傷つけ屋」にならないことを意識していきていきたい 8

 

ケース30 最初主流秩序という言葉を聞いた時はそれでいいと思っていたが、裏側のマイナスを知って意識が変わり主流秩序に抵抗していきたいと思うようになる、学校でのいじめ傍観や排除の経験、ジェンダー的にもイケてるグループにいた、大学になってジェンダー面での様々な主流秩序のおかしさに気づく、「助ける」ではなく「当事者と同じ目線に立つ」ようになりたい、父の癌告知を通じて分かったこと 10

 

ケース31  小学校から受験、ダイエット、学校によって主流秩序は異なるがそれぞれに合わせてきた、小学生・中学生の時はいつ序列が下がるかと不安、自分よりも下の人たちに対する侮蔑じみた幸福感、ジェンダー秩序も普通にあった環境、母親自身が学歴第一の環境で育つ、子供は自分の分身、長いものに巻かれる処世術もあり得るが「やらぬ善よりもやる偽善が世の中を変える」のではないか、主流秩序への態度は従属か抵抗かの二択ではない、弁護士志望の自分にも主流秩序の影響、自らの幸福の指標を持ちたい 16

 

ケース32  コミュニケーション能力が高くないので勉強で頑張る、ドランクドラゴン鈴木さんの言う通り、背景に小学生のころに仲のいいグループの人たちから急に無視をされるという経験、自分のしたいことが何なのかわからない、周囲に合わせて生きるカメレオンのような自分、将来就いてみたい職業があるが自信はないし人にも語らず諦めている 20

 

ケース33  高2で学力の壁にぶつかり体調を壊し落ちこぼれる、しかし良い学校よい就職の夢を捨てられない、一方で「変」と思われても好きなヴィジュアル系バンドのファッション追及などの面もある、主流秩序に適応しないなら蔑まれるのは仕方ないが、自分はユニークな自分らしさを承認してほしいタイプ、自分独特の存在を認知してほしい 23

 

ケース34  一般的に上位なこととされることは必ずしも万人にとって「正解」ではないと思うが、自分も主流秩序にとらわれている面がある、「自分は自分」ということを忘れて人と比べて落ち込むことがあるので比較するのは嫌い、自分というものを見つめて流されずに生きていきたい、主流秩序の下位に位置する者は努力不足もあるし、支援者のコミュ能力不足といったほかの要因もあると思う 27

 

ケース35 就活をみていて主流秩序をとても感じる、父は金儲けが嫌いで哲学をする変な人、姉は主流秩序への適応が苦手な人だが両親はそれを見守る、自分はそれは甘いと思っていた、自分がだめと悩んで高校中退までになった、だがコミュ下手で醜いあるインディーズバンドをかっこいいと思えて元気づけられた、大学で入った音楽サークルは音楽の知識が多いことが主流秩序、音楽を楽しむ余裕がなくなり知識の多い先輩に評価されることが基準になって自分を見失う、その後肩の力が抜けて再び楽しめるようになる、イケてる自慢から離れ、消費やアニマルライツのことも考えるスロー生活になる 31

 

ケース36  世間体・親に負けて親が薦める進学高校やネームバリューある大学に行った、高校では多数派が少数派の帰宅部を馬鹿にした、多くの人は主流秩序にとらわれていることにも気づかない、大学に入って皆が同じことをするということへの疑問が膨らむ、迷わない・安心・楽ちん・利便性が主流秩序を作っている、自分らしく生きたいがそのためにも主流秩序で成功することが現実的と思う、主流秩序の上位にいたいが、常に主流秩序への加担性も意識し、その権力を弱者にふりおろすのではなく、自分と違う生き方を選んだ人たちを尊重し、誰かが助けを求めたときに同じ目線で会話をする人間になりたい 35

 

ケース37  絵にかいたような主流秩序にのってきたこれまでの生活、主流秩序の上位にいけるように人一倍努力した、大学で主流秩序論を学んで考えが変わり始める、主流秩序には沿わない形をとりたい、いろいろ矛盾もあるしすぐには変われないが学歴にとらわれている自分を変える努力、主流秩序から離れるイメージを与えてくれたガタロさん 40

 

ケース38  看護専門学校に進学したかったが世間に合わせて大学に、しかし学部は法学部に固執しまわりに抵抗した、「女の子だから賢くなくていい」といったジェンダーに直面、「女は家庭に入る」は当たり前だと思っていた、主流秩序にとらわれていることに気づき衝撃、「皆がしていることだしちょっとくらいいいよね。」というような一人の行動が主流秩序を形成する、主流秩序のおかしさや間違いに気づいてしまうと今までのように受け入れることはできない、教員になって主流秩序に囚われない教育をしたい、流されずに自分自身の価値観で生きる、私の生きる意味は世の中で必要とされること 44

 

ケース39  人殺しがダメというのも主流秩序だから主流秩序が悪いとは言えない、私は身体的にも精神的にも女性だが変わっているといわれてきてジェンダーについて考えてきたし主流秩序にとらわれないようにしてきた、顔認識も独特なので美の秩序にとらわれないタイプ、母からのジェンダーにフラストレーション、自由な学校と不自由な学校の両方を経験、好きにやってきたが途中から周りに合わせるのが日本社会と分かってくる、ジェンダーの面でも多面的な私、私は主流秩序にとらわれず好きに生きていくタイプ、本当に自分がしたいことは何なのかを理解することが大切 51

 

ケース40  いやなのに塾・受験、皆が中学受験する環境、学歴による報酬差は当然、ジェンダー秩序は変えていくべき、会社の不正を告発した人は周りへの影響(迷惑)を考えているのか、自分は自分のやりたいことだけやってこれまで築いてきた小さい成果の積み重ねを捨てる勇気がない、人生の目標としての「自分が本当にやりたいこと」「生きる意味」など考えてこなかった 58

終わりに 64