ソウルヨガ

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DVについて――「べき論」を批判するアンガ―マネジメントをヒントに

 

ネットには「こうあるべき」という考えにこだわりすぎたらだめですよーという「べき論」を批判するアンガ―マネジメントの話が載っている。
底は浅いし、折衷的だし、かなり表層的なテクニックでしかなく、根本的に人権感覚を育てるという点では弱いが、


しかしわかりやすいし、啓発的で、まあ、入門として一部使えると思う。

それを参考に、私なりに、「考えを変えることで怒りの感情を持たないようにする
という事例をまとめてみた。

 

参考にした記事
DV騒動が泥沼化…夫婦を壊す「べき論」の暴走
夫の暴力に、妻は大掛かりな報復行為で返す
BY 小林 浩志 :日本アンガーマネジメント協会認定ファシリテーター
http://toyokeizai.net/articles/-/123288
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●社会構築理論では、「怒りを伴う攻撃行動は、自らをコントロールできない情緒的爆発でなく、『自らをコントロールできないぐらい不本意な事態なのだ』という意図を相手に理解させ、事態を有利に動かそうとする『対人スキル』である」ととらえている。
つまり、本人にとっては(意識してかせずかはさておき)論理的に先を見越した行動であり、攻撃への罪悪感が希薄。


●DVも、相手を自分の思うように動かす支配、というのが本質であり、そのために怒りとか、暴力的な言動を使っているのであって、「どうしようもない怒りの感情が生まれてしまうから暴力行為をする」のではない。


●DV行為に共通するのは「自分はパートナーより上の立場であることをわからせたい」という感情。


●自分の怒りのもととなる「べき論=コアビリーフ」の特徴(くせ)について把握すことが大事。自分の怒りのくせがわかれば対処もしやすくなり、DVなどのエスカレート行為を回避できる。

 

以下は私の見解


●アンガーマネジメントでは、怒りにつながりやすい「べき論=コアビリーフ」を6タイプに整理しているらしいが、私、伊田は、あまりそれは適切ンタイプ分けではないと思ったので、これを参考にしつつまったく違うものを作ってみた。

私は「DVをもたらすゆがんだ考えの一部としての『べき論=コアビリーフ』」としてとりあえず以下のようなものを考えた(そのほかにもたくさんある)。

アンガーマネジメント記事での「ベキ論」は持ってもいいものだといっているが、私が以下に掲げる「DVをもたらすゆがんだ考えの一部としての『べき論=コアビリーフ』というものは、持っていいというのではなく、考えを変えるべきものだという位置づけである。
加害者プログラムで行っていることと重なるので、以下、開示しておきます。参考にしてくださいね。


DVをもたらすゆがんだ考えの一部としての『べき論=コアビリーフ』
1:「正しいことにこだわってよい」
2:「約束は守らないとだめ」


3:「結婚しているんだから(付き合っているんだから)一緒に行動しないとだめ」
4:「結婚しているんだから(付き合っているんだから)パートナーを第一にすること」


5:「努力を続けることが大事。さぼりはダメ」
6:「自分が軽く扱われることを許してはならない」


7:「パートナーは異性(恋人になりうる人)と仲良くしてはならない。異性の友人はダメ。それは裏切りだ」「嫉妬心、独占欲は正しい感情だ」「束縛してもよい」
8: 「相手に問題があるときには、少しくらい大きな声を出したり、物を投げて怒りの感情を示すのは構わない」


9:「相手のために教えてやる、説教する、教育する、指導するのはいいことだ」
10:「人間関係は勝つか負けるかなので、勝たないといけない」


11:「秘密やウソや前に言っていたことと矛盾することはあってはいけない」
12:「相手が自分の理想通りであってほしいので、それを要求してよい」

 

DVをもたらす『べき論』への対処=考え方を変える


1:「正しいことにこだわってよい」

→ 正しさにこだわらない。正しさは一つではないし、自分が正しいとは限らない。相手を裁く権利はない。「まあいいか」と柔軟に考える。


2:「約束は守らないとだめ」

→ 事情によっては約束が守れないこともあるし、守る必要がないこともある。何か事情があったのだろうと考えて、理由を聞けばいい。


3:「結婚しているんだから(付き合っているんだから)

一緒に行動しないとだめ」→ 一緒に行動しないとだめということはない。それぞれが自己決定して自由に生きるのが基本で、ときどき調整して一緒に楽しく過ごせばいい。


4:「結婚しているんだから(付き合っているんだから)パートナーを第一にすること」

→パートナーを第一にする必要はない。自分の判断で何を優先するかを考えればよい。


5:「努力を続けることが大事。さぼりはダメ」

→ 最上や完璧を目指すことに努力を惜しまないタイプは、相手もそうべきと思って、自分と価値観の合わない人が許せず、暴力的に相手に怒ったり非難してしまう。それは押し付けである。大事なことはいろいろあり、人それぞれなので常に努力するよう相手に求めるのは暴力である。


6:「自分が軽く扱われることを許してはならない」 

→ 自分を尊重することは大事だが、それは時分を人の上において、権力を持つことではない。自分が持ち上げられないと、馬鹿にされたと怒るのではなく、自分と相手は対等な人間であると考え、謙虚に、非権力的にかかわる。


7:「パートナーは異性(恋人になりうる人)と仲良くしてはならない。異性の友人はダメ。それは裏切りだ」「嫉妬心、独占欲は正しい感情だ」「束縛してもよい」

→ パートナーは異性や同性の友人を持ってもいいし、むしろ相手のために活動や人間関係を応援するのがよい。嫉妬心、独占欲は内心で感じるのは仕方ないが、それを出して相手の活動を制限してはならない。


8: 「相手に問題があるときには、少しくらい大きな声を出したり、物を投げて怒りの感情を示すのは構わない」

→ 大きな声を出したり、物を投げて怒りの感情を示すのは暴力であり行ってはならないことである。人はまちがうこともあるし、過ぎたことはもう変えられないので、これからどうするか、何があったのかなどを冷静に話し合っていく。


9:「相手のために教えてやる、説教する、教育する、指導するのはいいことだ」→ 「教えてやる、説教する、教育する、指導する、しつける」のは相手の自由や安全や自信や成長を侵害することが多いので、上から目線でそういう事をせずに対等な学び、相手が自ら学ぶことの支援を心掛ける。


10:「人間関係は勝つか負けるかなので、勝たないといけない」

→人間関係は勝つか負けるかではないので、勝つ必要はない」

 

11:「秘密やウソや前に言っていたことと矛盾することはあってはいけない」

→秘密やウソは、時にはあってもいい。前に言っていたことと矛盾することがあってもいい。白黒の二元論でなく、グレーがあってもいいとおもい、相手を許すことが大事。


12:「相手が自分の理想通りであってほしいので、それを要求してよい」

→相手は自分の理想通りにはならない。相手は相手、自分は自分。自分の理想を押し付けてはならない。