ソウルヨガ

主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

法律に携わっている人の感覚

 

最高裁元判事の以下の記事がある。


山浦・元最高裁判事は、ましな方だし、こういう人が増えてほしいと思う。


同時に、そのあまりの悠長な、深く今の司法の状況、政治の状況を考えないでその枠で留まっている人の限界を強く感じる。この程度で生きているんだなと思う。法律の世界って駄目だなと思う。

 

最高裁というもの自体への批判性のなさは、以下のことばによくでている。
「4年4カ月の最高裁判事生活で書いた反対意見は、この2件のほかは1件のみ。「チーム全員が全力で考え、なるべく一つの結論を導きたい」と考えてきたからだ。」

 

そして各人の生き方を主流秩序、政治的状況での立場で深く問うというレベルでないから
「裁判官仲間に「我々は人生論ではなく、憲法論をやっているんですよ」と諭されたが、「憲法論に人生観が表れるのは当たり前のこと」と思う。」
というような入り口レベルのははしでおわる。


「人生論ではなく、憲法論をやっている」というような人と仲良くやってこれているということの、自分の主流秩序での位置を見直していないと思う。まあだからこそ、最高裁判事という出世コースを歩めたのだろう。まともな人なら最高裁判事にはなれない。(と、せめて自分でいうぐらいの人にならねばと思うが)


私が、拙著『閉塞社会の秘密──主流秩序の囚われ』で「瀬木比呂志が自著の『絶望の裁判所』で裁判所・裁判官の実態を告発したにも関わらず、33年間、その批判した体制の中で安定した生活を手に入れたことは矛盾している」という趣旨のことを書いたことはそこにつながる。

 

妻には頭が上がらないといって、性分業の上に仕事人間だった自分を深くは省みないそのあまさにも、「何も考えていない人」を感じた。

 

というのが私の感想だが、まあ、いろんな人がいて、その分野で少しでも「まし」にやっていってほしいので、法曹の分野でも、もっとだめな人よりはこうした「まし」な人が増えてほしいとは思います。まあそうじゃないとそこでずっとやってられないだろうから。


で、もちろん、一部だが、法律の世界で奮闘しているまともな弁護士等がいることも私はしっている(その人たちは決して最高裁判事には、なれない。金儲けも出来ない)。深く穴を掘れば地中でつながれる。

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人生観問われた夫婦別姓 「容認」の山浦・元最高裁判事」
http://digital.asahi.com/articles/ASJCP7FLSJCPUTIL04D.html
朝日新聞デジタル 2016年11月24日05時06分

 

 夫婦別姓を認めない民法の規定を「合憲」とした昨年12月の最高裁大法廷判決で、反対意見を述べた山浦善樹・最高裁判事(70)が今夏、定年退官した。国の損害賠償責任にまで踏み込んだのは、15人の裁判官の中で1人だけだった。判断の裏にどんな思いがあったのか。法服を脱ぎ、弁護士の仕事を再開した山浦氏に思いを聞いた。

 

 判決があった昨年12月16日。裁判長が判決を読み上げた瞬間、失望の表情を浮かべる原告や弁護団に法壇の上から声をかけたい衝動にかられた。「ここまでよく頑張ってきましたね。国を相手に闘って、家庭でも職場でもつらい思いをしたでしょう。あなたは多くの人を勇気づけましたよ」

 

 多数意見は、家族が同じ姓を使う利点を強調し、「形式的な不平等はない」と判断した。15人のうち10人が賛成し、すべて男性だった。一方、「違憲」とする意見を述べたのは女性3人を含む5人。中でも山浦氏は、「国が長期にわたって立法措置を怠ったために、精神的苦痛を被った」として国の損害賠償責任も認めた。

 

 昨年春ごろ、大法廷で審理が始まった時には、心は「別姓容認」に決まっていた。「戦後70年たって、ようやく日本でも男女の問題が最高裁で論じられることになった。ここで譲れば、自分の人生は何だったのかが問われることになる」

 

憲法24条は「2人の選択」に寛容

 審理の間、頭に何度も浮かんだのは、小学生のころに歌った守屋浩の「二十四条知ってるかい」だ。

 なんてったって お父さん 僕はあの娘が好きなんだ(中略) 結婚てのは両性の 合意によって決まるのさ お父さんたら 知らないの 憲法二十四条を

 

 「戦前と違って、戦後の僕らの時代の結婚は、どんな問題も二人だけで決めていくんだ、と思ったもんですよ。憲法は、結婚する二人の希望で、同姓でも別姓でも、自由に選べる寛容な心を持っている。『別姓を認めないこと』を求めているとは考えられない」

 

 終戦の1年後、長野県の山間の町に長男として生まれた。父は出稼ぎ。母は女工。食べるのに必死で、両親とも留守がちだった家庭で、祖母は妹たちに「お兄さんの勉強中にテレビをつけてはダメ」「お兄さんが寝ている時は頭の上を歩いてはダメ」と教え込んだ。

 

 学生時代、ガールフレンドに触発されてボーボワールの「第二の性」を読み、「人は女に生まれない、女になるのだ」との一文にがくぜんとした。男女の差は社会の意識や教育が植え付けたもの――。

 

 結婚後、司法試験受験中には家計を支え、3人の子を育てながら地域で活動してきた妻に「法律以外は全部かなわない」と脱帽した。その妻が会合などで「山浦令夫人」と呼ばれるのに違和感を持った。

 

■家族観、裁判所がもっと議論していい

 

 「夫婦同姓」の規定と同時に審理された女性の「再婚禁止期間」についても、「背景には、根深い男性優位の既成概念がある」と指摘し、制度自体を違憲とする少数意見を書いた。4年4カ月の最高裁判事生活で書いた反対意見は、この2件のほかは1件のみ。「チーム全員が全力で考え、なるべく一つの結論を導きたい」と考えてきたからだ。

 

 だからこそ、「15人が、自分の価値観に避けられない偏りがあることに向き合い、どんな家族を憲法が望んでいるのかを突き詰めて議論してもよかったのではないか」という悔いが残る。のちに裁判官仲間に「我々は人生論ではなく、憲法論をやっているんですよ」と諭されたが、「憲法論に人生観が表れるのは当たり前のこと」と思う。

 

 「我々はどんな社会を望むのか。憲法の価値を高めるため、立法の議論を期待するだけでなく、裁判所も、もっと考えてもいいのではないでしょうか」(市川美亜子)

 

 〈昨年12月の最高裁大法廷判決〉 「夫婦は婚姻の際に定めるところに従い、夫または妻の氏を称する」と定めた民法750条が、法の下の平等を定めた憲法14条や、結婚での両性の平等を定めた憲法24条などに違反するか。最高裁大法廷は初めて判断を示し、「家族の呼称を一つに定めるのは合理的だ」として合憲と結論づけた。女性3人全員を含む5人(岡部、桜井、鬼丸、木内、山浦の各裁判官)は違憲とした。

 

 一方、女性に離婚後6カ月間の再婚禁止期間を設けた民法733条の規定についても同時に審理。妊娠していた場合に子の父親の推定が重なる「100日を超える部分」は違憲としたが、禁止期間を設けることは「子の身分の安定」などを理由に合憲とした。禁止期間を違憲としたのは2人(鬼丸、山浦の両裁判官)のみだった。

 

 

 他方で大法廷は、選択的夫婦別姓について「合理性がないと断ずるものではない」と指摘。「国会で論ぜられ、判断されるべきだ」と国会での議論を促した。

 だが、その後も議論は進んでいない。民進など野党4党は今年5月、選択的夫婦別姓の導入を盛り込んだ民法改正案を衆院に提出したが、継続審議に。最高裁違憲とした「再婚禁止期間の短縮」だけを実現する与党案が可決され、6月1日に成立した。

 

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