ソウルヨガ

主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

NHK・クローズアップ現代+「“少女像”問題」のひどさを確認するーーその4(ラスト)

 

●韓国へのHNK特派員(ソウル、池端記者)のことば。 「楽観はできない。選挙があるので、冷静な意見で日本との関係改善を図るのではなく、人気を得るために、日本をたたくポピュリズムに走っている」と解説。慰安婦側の運動は冷静ではない、ポピュリズムの運動と一体だという見方を紹介。韓国の政治家たちがこうした外交問題を政治に利用するのは自制すべきといっている。

 

→これも偏った見方のオンパレードだ。何がポピュリズムかという問題もあるが、このNHK 番組では、「韓国の政治家の動きは、間違った方向で、ただ日本をたたいて人気を得ようとしている」という決めつけがある。

正当な主張をしている人を馬鹿にして、「間違ったことを言っている」というレッテルを貼っていることになる。

 

「韓国の政治家たちがこうした外交問題を政治に利用するのを自制すべき」というなら安倍首相が、北朝鮮のミサイルや中国や韓国との領土問題を利用して政治を行い、選挙していることを批判するのだろうか。外交問題も政治のイシューであることを否定するのか。「安倍首相も橋下も公務員とか、民主党とか、慰安婦とか労働組合を利用したたくだけのポピュリズムだ」というならわかるが、そうは言わないNHKが、平気で、韓国に「ポピュリズム」というレッテルを張っている。このアンバランス。


一方でトランプやプーチンといった問題ある人に、一定の評価をして、そこと仲良くする安倍首相を礼賛しているのはどうなのかという自分への自省がない。

今回のNHK番組は、全く自分たちのかたよりを自覚できていない、主観的なままの思いだけでつっぱしている番組となっている。

 

無意識に「楽観はできない」という表現を使って、日本として、合意を遂行する勢力が大きくなるのがいいことで「楽観的な方向」という言葉を選び、、しかし、それが難しいという見解を言っているので偏っている。そもそも日本がおかしいという視点ならば、韓国の状況を「楽観はできない」とは言わない。

 

今回のNHK番組は、こうした言葉の端々に、中立公平の立場も忘れて、あからさまなナショナリズム的価値観をベースに、外国を断罪するというスタンスになっている。だから、平気で韓国に対して「大衆迎合」とか「冷静になれていない」「人気を得るため」「ポピュリズムに走っている」という言い方をできる。

 

奥園「残念ながら、日韓合意の履行の見通しは明るくない」「選挙があるので、国民の心に響きやすい主張をして人気取りに走る、現大統領と逆のことを言う」「国際合意よりも国民感情を選んでいる」「慰安婦問題が選挙で勝つための材料とされている」と。

 

→ここでも決めつけのオンパレードのことばを繰り出している。奥園氏はメモをみながら作ってきた文章を読むように話していた。打ち合わせどおりの発言をしていたのだろう。
にもかかわらず、ここでも、「残念ながら」という主観的評価を平気で言えるように、日韓合意の履行がよいことで、合意破棄は良くないという立場を前提に語っている。なんと偏った番組だろう。この番組と奥園氏は一体で責任がある。

 

また野党候補とかが、人気取りのためだけにまちがった主張をしているかのようなニュアンスで語っているのも、ゆがんだ認識だ。もともと慰安婦の運動側に属してきていれば、1995年のアジア女性基金のときにも反対しただろうし、ナヌムの家などとも交流していただろうし、今回の日韓合意も反対だろう。政治家などのなかには「何も見識がない中でとにかく人気取りのために『合意破棄』を言っている」というわけではない人もいる。


だが今回のNHK番組は、慰安婦の運動をしている一部の過激な人たちに引っ張られて、「何も見識がない中でとにかく人気取りのために『合意破棄』を言っている」人が多いというように韓国を見ている。バカにしているといえる。

 

そして「国際合意よりも国民感情」というまとめ方には、「まともな人なら国際合意というものを重視するが、馬鹿な人たちは感情的に大事な国際合意を破棄しようとしている」と見下した感覚がある。
国際合意といっても、ひどい政府が勝手に結んだものなら、まともな民主主義社会であれば反対して当然なのに、そういう観点がない。


国際合意を守れというようなのは、どの立場で言っているのかということだ。
強者が弱者に押し付ける「合意」というものは、しばしば平等な合意ではない。合意をまもれ!というのは時には暴力的な支配、抑圧になる。DVではそういうことがよくある。
日本が(この番組が)いま、しているのはそういうことだ。

 


●最後のまとめでNHKアナウンサーがまくしたてた言葉に「この番組の基本姿勢」がよくでていた。彼女は言う
「何よりも、元慰安婦の方の平均年齢が90歳で、今年だけでも7人の方がなくなっている状況。そういう方々にとっては、今回の日韓合意が問題の解決を見届ける最後のチャンスだとも言われている状況。どうしたらこの合意を進めていけるのか」

 

これはひどい纏(まと)め方だ。先に言ったように、年齢の問題があるからこそ急いで本質的な真の解決をしないといけないのに、時間を盾に「ひどい内容でも飲め」というような脅すような対応を肯定している。

しかも、「今回の日韓合意が問題の解決を見届ける最後のチャンス」「どうしたらこの合意を進めていけるのか」というのは非常に偏った政治的な決めつけに基づく発言だ。

これをあたかも、中立的な意見、当然の質問のように平気でさらっといえるのは、「洗脳のための番組作り」だ。一番対立するところのことを、平気で「当然でしょ」と強引に信じ込ませて、間違った結論に導く番組は、けっして公平ではない。恐ろしいプロパガンダ番組だ。


「最後のチャンス」という言葉を平気で言える、この鈍感な感覚には驚いた。ひどいことをさらっといえる人、気づかない人はもう終わりだ。


奥園「日韓合意が進まないで慰安婦の方がみななくなってしまうのが、当事者不在の最悪のシナリオだ。韓国側に何もかも投げるのではなく、合意を前提にして何ができるのか、日本側も考え、当事者に寄り添うことが大事」

 

→上記のNHKアナウンサーと同じスタンスで、予定どおりの原稿を彼は読み上げた。一応少し日本も努力するように言うが、合意ありきで、全く運動側への共感や理解がない、著しく公平性を欠く意見だ。NHK番組でナショナリスティックな見解を言い続けたのがこの奥園氏だ。こんな偏向番組の作成に対して、彼の関わりかたを見ていると、彼にも大きな責任があると言わざるを得ない。


この番組のプロヂューサー/ディレクター、進行のシナリオを書いたもの、それを演じたもの、皆の責任だが、奥園氏は識者という立場で正しいことを言っているかのふりをして、偏向番組に加担した責任がある。

 

ラストのNHKアナウンサーまとめ「当事者にも多様な声があって、それを置き去りにしない、そして冷静な対応することが求められているということですね」

 

→ハイ、一番言いたいことをディレクターが作った文章の読み上げで、最後に言ってしまいました。これを言いたいがためにつくった番組でした。


しかし、ちょっと考えればわかるが、当事者の多様な声というが、全然多様な声を紹介していない番組でした。片方、しかもとても少数な方だけを取り上げていました。
慰安婦で日韓合意に対して発言した人は一人だけ。
合意反対運動の側の慰安婦は全く登場させず、時間的にほんのすこしを割いて合意反対派の主張を流しただけで、番組全体では圧倒的に、合意容認派の主張ばかり集めたものでした。


しかも運動側は冷静でない、感情的だ、加熱している、人気取りだ、ポピュリズムだと批判を入れ込みました。国際合意を守るべきという上から目線で韓国を断罪していました。

 

この番組を見て、何が「当事者に寄り添う」だと思いました。当事者ということを搾取的に利用していると思いました。

この番組を制作した人は恥を知るべきです。NHKをやめて日本会議にでも就職して番組を作ればいいでしょう。


でも恐ろしいのは、ひどいと感じない人がいるということ及び、多分NHKでもこれはひどいなと思った人がいると思うのですが、そうした声が表に出せない状況になっていることです。
森友学園・愛国小学校建設事件の場合に、なんとなく政治家、首相の影を忖度(そんたく)したように、NHK・ETV・2001年国際戦犯法廷番組の改ざんでも、多くの関係者は口をつぐみ、声をあげた人はNHKを出ざるを得ませんでした。今回もまだ内部からはこの慰安婦問題番組がいかに偏っているかを告発する声は出ていません。

 

そして多分、かなりの人は、この番組のどこがおかしいのかもわからないほどに、右傾化した思想に頭がたやられている状況だと思います。


岩田明子解説委員という安倍お抱えの記者が、重宝な扱いをされてしまうようなNHKで、今回のような場組ができてしまいました。


検証番組はいつできるでしょうか?それは夢でしょうか?

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私は番組とか映画、ドキュメント作品が常に完全中立であるべきとは思っていない。むしろ基本はどんな作品でも偏りはある、それでいいという立場だ。


だが、国営放送が大本営発表になってはいけない。ジャーナリズムは権力のチェックの機能を持つべきで、権力側に寄り添ったゆがんだ番組を作ってはならない。少なくとも対立する見解がある問題の場合、両論を紹介し、民主的な議論が深まるような提供をすべきだと思う。

「政治的に公平であること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」という放送法の趣旨にそうべきだ。


NHKは半分公的なメディアであり、けっして政府のお抱え放送局になってはいけない立場だ。慰安婦問題では是非、慰安婦運動側の見解も紹介すべきだ。今後、そうした番組も流してほしいと思う。そういう思いで、今回、番組のおかしさをメモっておこうと思って、細かく記録しておいた。日本の視聴者の韓国社会と慰安婦の運動への偏見を助長するような番組は許せない。
NHKは、猛省してほしい。

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真に日韓両国の国民の理解を友好的に深めていくには、慰安婦問題が韓国の立場ではどう見えているかも知るべきだ。たとえば、以下の様な慰安婦に関する映画などをテレビ地上波で流していくべきだが、これらを流さないのは、偏っているといえないだろうか。
●『鬼郷』(チョ・ジョンレ監督、2015年韓国)
●「ガイサンシーとその姉妹たち」
慰安婦問題のドキュメンタリー映画『沈黙』
●「日本鬼子 リーベンクイズ」 

参考
2016-11-23
慰安婦問題を正面から扱った映画『鬼郷』
http://hiroponkun.hatenablog.com/entry/2016/11/23/022612

 

http://hiroponkun.hatenablog.com/entry/2016/11/12/024028
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最後に一言。
こうした映画を見ないで、慰安婦の正しい本で勉強もしないで、産経新聞などのゆがんだ右翼的情報でわかっているつもりの人が多いのが日本の現状である。


そういうときには、NHKでは是非、一方的に右翼的な見解を並べて視聴者・世論を誘導するのではなく、中立公平に、反対側の意見も紹介してほしい。


まずは今回のクローズアップ現代+「韓国 過熱する“少女像”問題~初めて語った元慰安婦~」の検証番組を作るべきである。
恥ずべきことがないなら、検証してもいいだろう。
真の勇気、真の愛国心は、真実に向かうことから始まる。