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首相官邸「暴走」の底流

 

朝日新聞の以下の記事はいいところもあるので、一部紹介しておきます。
閣議決定は、内閣はその決定に拘束されるが、それは自身を拘束するだけで、立法権司法権を必ずしも拘束するわけではない、という指摘、改めて確認しておきましょう。
安倍内閣は、閣議決定でもう最終決定のようにしています。というのは3分の2/過半数を国会で持っているので、今日高裁kつとかで必ず成立させられることと混然一体となっているのです。
しかし内閣で決めたことが、正しいわけではないし、法律でもない。行政も民間も服従しないといけないわけではない。

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私は今まで、邪魔臭いし、論文ではないし、業績として誇りたいのではなく、皆の共有情報と思って、および自分のメモと思って、だめなんだけどブログでは「引用部分」とか「新聞記事」部分をちゃんと明示するとかしませんでした。
今後できれば改善したいと思いますが、できるかなあ。
長すぎるのも悪いので、折りたたみを入れようかなと思います。指摘してくださった方ありがとう。
でもできるかなあ。わすれそう。

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朝日新聞
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12883865.html?rm=150

考論 長谷部×杉田)首相官邸「暴走」の底流
2017年4月9日05時00分

 

 


閣議決定された政府答弁書菅義偉官房長官の発言


 安倍晋三首相の妻、昭恵氏は私人と言い切れるのか。公務員が問い合わせに回答するのは職務ではないのか。先月から相次いで閣議決定された政府答弁書にまつわる疑問。さらに、「首相への侮辱」だとして私人が証人喚問される一方、官僚は文書を廃棄したと開き直る。このような行政権力、とりわけ官邸の「暴走」の底流に何があるのか。長谷部恭男・早稲田大教授(憲法)と杉田敦・法政大教授(政治理論)に語り合ってもらった。(構成・高橋純子)
 
■「昭恵氏は私人」簡単に割り切れぬ 長谷部/「偽証罪で告発」と内閣言及、筋違い 杉田

 

 杉田敦・法政大教授 森友学園問題に関連して、さまざまな閣議決定が出ています。安倍晋三首相夫人の昭恵氏は公人ではなく私人である。夫人付の政府職員が調査・回答した行為は職務ではない。いずれも説得力を欠き、こんな決定を乱発していいのか疑問ですが、そもそも、閣議決定の法的性格とは。


 長谷部恭男・早稲田大教授 新たな閣議決定で上書きされるまで、内閣はその決定に拘束されます。ただそれは自身を拘束するだけで、立法権司法権を必ずしも拘束するわけではない。政府への質問書に対する答弁を決めるには閣議によるしかなく、決定してはいけないとは言いにくい。結局は、中身の問題です。

 杉田 では、首相夫人は私人でしょうか。

 
 長谷部 国政調査権の使い方がいかにも党派的です。米議会や英議会では、国政調査権を党派的に発動しないというのが大原則です。どちらかの党派に有利/不利だから呼ぶ/呼ばないという判断は、少なくとも建前としてはしないことになっている。中長期的な国政上の課題について調べることが目的ですから。


 
 ■教育勅語国民主権と相いれぬ 杉田/教えていい話か、線引きは当然 長谷部

 

 杉田 昭恵氏が国会で証言すれば、白黒がつく可能性もある。安倍首相は「悪魔の証明」は出来ないなどと言いますが、当事者の言い分が食い違うことは、よくあること。どちらが信用できるかを裁判等で判断するのであって、それは悪魔の証明でも何でもない。単なる事実認定です。

 

 

 長谷部 ボールは政権側のコートにある。同じコートに出て打ち返すことは、悪魔でなくてもできます。首相を侮辱した、というわけのわからない理由で私人が証人喚問されている。私人にそこまで要求しておきながら、文書は破棄したので何も言えないと官僚は開き直り、首相夫人は私人だからで済ませています。極めてバランスが悪い。

 

 

 杉田 官僚の文書廃棄については専門家から、違法ではないかとの指摘さえあります。保存期間を定めた公文書管理法の欠陥もありそうですが、仮に違法とまでは言えないとしても、そうした無責任な行政のあり方が許されるものなのか。

 

 長谷部 違法でなければ何をやってもいいのか。私人であればOKです。人のひんしゅくを買うような行為でも、それは個人の判断です。しかし、公人や公務員は違う。中長期的な社会公共のために行動する、そのために様々な権限や便宜を与えられているのだから、私人と同じように法に触れなければいいということには、なりません。
 


杉田 先日、教育勅語を教材に使うことは否定しないという閣議決定もされました。たしかに親孝行とか友達と仲良くとか、その部分だけを切り取れば、普遍的な道徳と重なります。
ただ、勅語はそういう道徳律を、天皇が臣民に教えるという形になっており、危機の際には「皇運」を助けよと義務づけている。それを朗読させたり、正しいものとして教えたりするのは、日本国憲法に基づく自由民主主義の政治システムや国民主権と相いれません。

ところが文部科学副大臣は、教育基本法に反しない限り朗読は問題ないと国会で答弁し、一部の新聞は、言論の自由や思想信条の自由を盾に、戦前のような考え方を教えるのも信じるのも自由だと主張しています。

 

 

 長谷部 それは間違いです。学校は、街頭やネット上のような一般的な表現の自由が成り立つ場所ではありません。教育の出発点は憲法26条の子どもが学習する権利です。将来、子どもが自分自身で物事を判断できるようになるための材料を提供しないといけないのだから、教えていい話とそうでない話の線引きがあるのは当たり前です。

 


 ■派閥・メディア、弱まるブレーキ 杉田/余裕失いなりふり構わず、危険 長谷部


 杉田 政府に刃向かう者への脅迫的手法という点では、沖縄の件も見過ごせません。反対派への見せしめ的な捜査とも見られることが行われています。また、翁長雄志(おながたけし)知事が辺野古埋め立て承認の撤回方針を表明したことに対して、政権側は一時、翁長知事個人に賠償を求めることもあり得ると言いました。


 長谷部 知事の公権力行使によって国が損害を被ったというなら、国は県を相手に国家賠償訴訟を起こすことになる。しかし国賠法は、知事個人を相手にする制度ではありません。仮に国が勝った場合は、沖縄県が知事個人に求償できますが、それは故意・重過失がある場合だけで、極めて限定されています。

 

 杉田 国に損害賠償を支払ったのは県財産の損失だとして、政権支持派の住民に住民訴訟を起こしてもらうといったことを想定しているのかもしれませんが。
 長谷部 ええ。ずいぶんと迂遠(うえん)な話を持ち出して、翁長知事に嫌がらせをしているのでしょう。

 

 杉田 そうした手法をいとわぬ政権の下で、ついに「共謀罪」が審議入りしました。
 長谷部 犯罪行為をやり終わった人を処罰するのが刑事法の大原則です。刑罰は最も苛烈(かれつ)な国家権力の行使だから、行使は控えめであるべきなのに、277の罪名について、計画段階で処罰できることにする。しかもその理由がはっきりしない。国際組織犯罪防止条約批准のためだと政府は説明していますが、この条約の対象はマフィアです。
すでに日本政府はテロ対策の条約を多く締結しているので、共謀罪をつくらないとテロ対策ができないという理屈もよくわかりません。


 杉田 共謀罪への反対が強い理由のひとつは、特定秘密保護法と同じで、恣意(しい)的に運用される危険性があるからです。特定秘密法には賛成した長谷部さんが、どうして共謀罪には反対なのですか。

 長谷部 確たる理由もなく、法の基本原則を動かすことになるからです。特定秘密法は法の基本原則を動かすものではありません。


 杉田 それにしてもなぜこれほど行政権力、特に官邸が暴走できるのかというと、ブレーキをどんどんはずしてきたからです。党内派閥は弱体化し、内閣法制局は無力化し、メディアも牙を抜かれている。国民への説明責任を果たそうとしない姿を見ると、「絶対的権力は絶対的に腐敗する」(アクトン)という格言を改めて思い起こします。

 

 

長谷部 なりふり構わなくなっているのは、余裕を失っているということでもあります。トランプ米政権は、国際法の根拠も不明なままシリアのアサド政権軍を攻撃しましたが、それも内政が行き詰まって余裕を失っていることのあらわれと言えなくもない。余裕のないまま暴走する。危険すぎます。