『主流秩序概念を知って見えてきたこと―――学生さんの本NO8』出版
2016年後期の学生さんたちのレポート本の第2弾を2017年6月に出しました。
『主流秩序概念を知って見えてきたこと―――学生さんの本NO8』
5月に出した
『主流秩序概念を知って見えてきたこと―――学生さんの本NO7』
に次ぐものです。
「アマゾン」のHPで「伊田広行」あるいは「主流秩序概念を知って見えてきたこと」で検索してもらえると見つかります。
1ドル程度で入手できます。無料アプリをダウンロードすればPCでもスマホでも読めます。
今後、第3弾、第4弾を出す予定です。
本書の紹介
本書は、2016年度後期のジェンダー論の講義のレポートの第2弾である。
ケース18の親の支配から自立しようとする学生さんの告白は切ないし、応援したいと思う。ケース20の芸大をやめて立命に来た人の悩み、おもしろい。
ケース21の「自分は弱者切り捨て秩序にとらわれている」という人も主流秩序論を批判しているがよく考えていると思う。
ケース23の学生さんも勝ち組になろうとする努力が涙ぐましくて面白い。素直に自分が見栄をはってばかりだったことを見直している。ケース24の人は、これからも主流秩序の上昇を頑張ると宣言する。
ケース25の人は嘘をついても平気だったが、いまようやくその虚しさに気づき始めたという。ケース26のダイエットの切実さの話は壮絶で、本気の告白でぜひ読んでほしい。
ケース27の人も率直にレズビアンである自分の思いを語る。ケース28の人は同窓会で会った高卒の人が主流秩序では下位だが自分より幸せではないかと考え始める。
こうして紹介すると、どれもこれもぜひ読んでほしいと思う。
ほんとに、通常隠されていたものが赤裸々に告白されていて面白い。こんな風に今の日本で生きているこの人は考えてるんだなあ、このように主流秩序が影響しているんだなあとわかる。
主流秩序の囚われの深さを見ていると、これでは、政治家が少しくらい何かを言っても変わらないなとも思う。でも人は学び考えることができるし、変わりうる。この根源的なところから人が自分を見つめることが増えて行けばいいなとおもう。そこに希望があると思っている。
ちゃんと自分を見つめて考えて生きる。日本社会ではそういうのがとても少なくなっている。
いま国会では、ちゃんとした議論も行わず、言葉でごまかして共謀罪という悪法が成立させられようとしている。だがメディアも世間も、中立公平がいいという思いが強くあり、「反権力」みたいなものを偏っていると切り捨てる。
そんな時、メディア関係者・ジャーナリストは、映画「すべての政府は嘘をつく」でその生き方が紹介されたI・F・ストーンのような生き方を思い出すべきだろう。そうした精神は脈々と世界に存在し続けている。
主流秩序論の学びはその一端である。