ソウルヨガ

主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

須藤擁護が強くなってきたがおかしいと思う:AKB・総選挙・りりぽん問題―――「AKB総選挙」での結婚宣言と主流秩序 ――その6

これについては主流秩序とのからみですでに何度か言及してきた。 その続き。

NMB48の須藤凜々花(りりぽん)さんが、ジェンダー秩序、主流秩序にすごく乗っている面があるとしてきた。私個人は、労働において雇用主から恋愛などの個人生活を制限・干渉されることには反対だが、総選挙という枠でファンをだまして金儲けの手先になっていながらさらに主流秩序の上昇ということで結婚というものに無批判であることに対して、批判的に言及してきた。

*** だがまともな人権派伊藤弁護士がこれについては私とは異なることを言っているので後で一言触れたい

さて、りりぽん、一部ファンなどが怒っているにもかかわらず、予想どおり、うまくたちまわり、主流秩序を上昇している。  8月30日には卒業公演を行ってもらい、無事に祝福されてグループでの活動を終了すると発表された。そしてメンバーが続々と卒業を残念がるツイッターを更新した。つまり会社(AKB)あげて、そのようにするように持っていかれている。 総選挙の順位発表の時にスピーチで上位のメンバーの何人かが批判したし、「FUCK」の文字で須藤を批判した大島優子などもいたのに、そうした最初に出た一部メンバーからの批判はその後は封殺されている。 まるでジャニーズの言論封じと同じだ。

指原も峰岸も丸坊主や地方飛ばしで処分されたのに、それもまったくない。おかしいじゃないか。

ネットでは「なんで?なんで卒業公演やるの?」「なにが卒業公演だよ」という厳しい声もあるが、それはAKB運営側からは無視されている。

そしてむしろ、ほかのメンバーと違って、りりぽんは卒業後も活躍の場が保証されているという。

CSで放送中の須藤の冠番組「りりぽんのトップ目とったんで!」の公式ツイッターは「りりぽん卒業しても10月以降も番組続けますからね!」とツイート。

また須藤は昨年3月、哲学書「人生を危険にさらせ!」を幻冬舎から発売させてもらったが、その版元であるの見城徹社長は以前から須藤を“推しメン”として猛プッシュしているという。結婚宣言翌日の日刊スポーツ紙上で、「彼女はこのままでは終わらないよ。ここからどうなるのか。まだまだいろんな幕があるでしょう」と取材に答え、今後も支援していく感じを示した。

こんな、幻冬舎・見城に支援されるところも気に食わない。幻冬舎の本は売れると見たら内容が右翼でも何でもいいというような世界観だ。

****** 須藤の今回の行動を恋愛至上主義ということで評価する人もいるようだが、女性で恋愛を一番大事にして生きる(そのためには仕事も責任も二の次)というのはまさに女性ジェンダーの主流秩序の生き方のひとつに過ぎない。

また父親の女性問題が原因で10年以上前に両親が離婚して、温かい家庭にあこがれて若くして結婚に走るというのもよくある話で、何ら主流秩序をよく見極めたうえでの行動ではない。

また、恋愛ジャーナリストのおおしまりえ氏という人が、 「恋愛禁止というルールがあるとはいえ、それはあくまでも暗黙であり、当事者であった元メンバーや現メンバー以外は、批判する資格はありません。それなのに、外野は彼女が『今までのAKBメンバーが守っていたものを壊した』とか『ファンを大事にしていない』と猛烈批判する。その頭ごなしに批判する空気に日本の『個人の幸せより役割を全うすること』を大事にする張り詰めた空気を感じました」 と述べていたが、

外野が批判したらどうしていけないかが不明。暗黙で明示的でないというのが主張なら、そこがポイントではなく、ファンを搾取する仕組みがAKBであり総選挙だという点が抜けている。 「日本の『個人の幸せより役割を全うすること』を大事にする張り詰めた空気」を見て批判する点は、たしかに一理あるが、それならりりぽんは先にAKBをやめるとか、総選挙に出ないとかをすべきだったという話になる。つまり今、私がしているような批判の意味を理解していない点がおおしまさんの見えていない点だ。 f:id:hiroponkun:20170728044554j:plain

作家でアイドル評論家の中森明夫氏が以下のようにりりぽんを評価するのも、私と意見が異なる。

「間違いなく今年の主役は須藤。僕は評価します」「そもそもAKBとは何かを考えてほしい。既成の概念にとらわれない壮大なアイドルの実験場だったはずなんです。それがCDを買わせて人気投票を行う総選挙も批判の的だったのが9回目を迎えて当たり前の行事になってしまった。そして指原1強にうんざりしていた閉塞感。それを須藤がぶち壊したことで爽快な風が吹いたのです。ドーム球場でやる野球はそれはそれで快適ですが、天候と同じく予定調和ではなく、思い通りにいかないからこそ人生は面白い。賛否両論、激論を喚起した須藤の行為こそが、これぞAKBという痛快な出来事なのです」

この意見は、アイドルとAKBと人生論を混同している。予定調和でないのが面白いというなら、そもそもAKBという最も儲けの仕組みにからめとられたシステムに批判的になるべきだ。AKBを過大評価するのが中森の限界であり間違い。りりぽんは決してAKBの在り方を壊したのでもなければ批判したのでもない。そこが分かっていない。アイドル好きの限界だろう。「爽快な風」なんて吹いていないよ。

実際、主流秩序はゆるがない。そしてなによりジェンダー秩序=結婚秩序を強化した。「爽快な風」なんて吹いていない。

「大きくなった組織の土手っ腹に風穴をあけた」と書いている記事があったが、まったくわかっていない。今回のことで全くAKBシステムは揺るがない、たださらに儲けるために変改していくだけだ。 キャンディーズの卒業公演にむけての盛り上がりのように、そろそろ、AKBも次の仕掛けが考えられているだろう。「AKBの終わり」に向けて大きな仕掛けでまたしばらくブームが作られるだろう。またファンは金をむしり取られるだろう。りりぽんはその一つに過ぎない。商売の道具の一部に過ぎない。

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さて、最後に、最初に言った、「伊藤和子さんの、この件でのコメント」への私の意見を書いておこう。 伊藤さんの多くの記事でいっていることに私はほとんど賛成だ。若いひとにやさしく人権の基本的観点を伝えており、いい活動をされているとおもう。以下のような最近の文章もいいとおもう。 ●「バニラエア問題、声をあげた人へのバッシングはもうやめて。生きづらさを助長していませんか?」 ●刑法で性犯罪の規定が全面改定。性や交際のあり方に影響はあるのか? https://news.yahoo.co.jp/byline/itokazuko/20170723-00073628/ ●「バニラエアだけじゃない。AKB、AV強要、セクハラ。物言う人をバッシングする風潮で私たちが失うもの」

そのうえでの話だが、伊藤さんは 「バニラエアだけじゃない。AKB、AV強要、セクハラ。物言う人をバッシングする風潮で私たちが失うもの」という記事の中で以下のように述べている。 この点だけ、私と意見が異なる。

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https://news.yahoo.co.jp/byline/itokazuko/20170702-00072796/

■ AKB48の恋愛禁止ルール さらに、これが職場のルールとなるとさらに厳しいまなざしが注がれます。 6月17日に沖縄県で開催された「第9回AKB48選抜総選挙」。20位にランクインした須藤凜々花さん(20)が、壇上スピーチで、突然“結婚宣言”をしてしまったことで関係者をはじめ、芸能界は騒然となりました。AKB48の恋愛禁止ルールに反するからです。 なかでも、元メンバーは厳しく非難する動画をアップ、罵倒するメッセージを見せつけるなど、掟破りに対し、制裁と言える行動に出ました。芸能界のなかでも、彼女の行動を非難する言動が続々と登場。 2016年には、裁判所でも、恋愛は幸福追求権として、恋愛禁止ルール違反による違約金請求は認められないという判断が出されていますが、そんな世間の常識や人権感覚等全く通用しないかのようです。

特に、ルールを自ら守って耐えてきたメンバーにはこうした後出しじゃんけんのような態度は許しがたかったのでしょう。 元メンバーはじめ、芸能人の多くが「迷惑をかけた」ことを理由に彼女を批判しました。 唯一、真逆なことを言われたのは、大御所のビートたけしさんくらいでしょうか。 AKBって、20歳過ぎてまで付き合っちゃいけないなんて人権問題じゃないの? 今は17歳以下は淫行だけど、18歳からは付き合っていいんだから。それなのに「彼氏作っちゃダメ」だって、よく国がほっとくよな。それで今度は「結婚する」って言ったら怒られたりしてるけど、ばかばかしい話だよ。 出典:http://news.livedoor.com/article/detail/13257749/ この問題で私は、2013年の峯岸みなみさんの騒動の際に、 AKB48 恋愛禁止の掟って、それこそ人権侵害ではないか。 と投稿していますが、賛否両論あり、 人権とルールは違う、人権は人権、仕事は仕事、ルールには従うべき という若い人の意見があったのをよく覚えています。 しかし、仕事ならどんな人権侵害でも仕方がないのか、いったん締結した契約には従うほかないのか、ということを突き詰めた結果が、ブラック企業、ブラックバイト、そしてAV出演強要被害なのです。 (伊藤さん記事紹介終)

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この部分、つまり、りりぽんの総選挙での結婚宣言についての伊藤さんの意見については、言わんとする面は理解できるが、他の面があるので、今回の結婚宣言についての総合的評価は逆になり、私と見解が違うという話。

主流秩序に関心がある私との差異ともいえるが、結婚するというときのりりぽんのあの「隠れた勝ち誇った感じ」に主流秩序を見るかどうかの感性の差があるとおもう。

以下、伊藤さんの意見のどこに私が異論があるかを書いていこう。

●「裁判所でも、恋愛は幸福追求権として、恋愛禁止ルール違反による違約金請求は認められないという判断が出されている」「AKBって、20歳過ぎてまで付き合っちゃいけないなんて人権問題じゃないの? 」という点については、私も全く賛成で、会社は私的な行為に介入すべきでないと思っている。 ●「いったん締結した契約には従うほかない」というのも間違いで、強制されたとか、じゅうぶん内容を認識できなかったとか、不利益すぎるいった契約は破棄する権利も大事と思う。 ●しかしそのことと、今回の須藤さんの問題をつなげるのは間違い。

●「AKB48の恋愛禁止ルールに反するから須藤さんが、元メンバーや芸能界などからwすごく批判され、擁護したのはビートたけしぐらい」というのは全く間違いで、今や批判は封殺され、上記したように社会の主流はりりぽんを賛美し、擁護し、「AKBの処分」もなく、無事めでたく卒業公演が準備されている状況。伊藤さんの見立の間違い。

大島優子の批判動画も、むしろ『オフィシャルな立場から、この言葉はダメ』ということでたたかれて、大島が活動自粛の方向に追いやられている。しかもあの批判は、内容的にはそれほど攻撃的とは思えず、「厳しく非難する動画をアップ、罵倒するメッセージを見せつけるなど、掟破りに対し、制裁と言える行動」とはいえない。 今まで頑張てきた仲間を思いやるからこその一つの見解の表明に過ぎない。今どきの若者はマンガで「FUCK」「Fuck you」という言葉をよくみているのであまり考えなく軽く使っている。英語圏では表では絶対にだめだが、日本社会の若者では怒りの感情を伝える軽い言葉となっている。 (もちろん、語源からも私は別にこの言葉を擁護するものではない。)

●「「結婚する」って言ったら怒られたりしてるけど、ばかばかしい話だよ。」と伊藤さんは言うが、問題は、須増さんが総選挙というファンに金を使わせる仕組みに参加していたという責任の問題と、結婚するというときの優越感≒主流秩序の強化の問題。この2点が伊藤さんには見えていなかったと思う。 だから「恋愛禁止」がおかしいという話と同じとみてしまった。

主流秩序論と今回のりりぽんの問題のからみは、私の先の記事を参照のこと。同じ説明はここでは省略。

●2017-06-19 「AKB総選挙」での結婚宣言と主流秩序 そのと2,3,4,5 まで同じテーマで書いたもの 2017-06-26 「AKB総選挙」での結婚宣言と主流秩序 ――その5

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伊藤さんが「恋愛禁止問題」と「須藤さんの結婚宣言への批判」が同じとおもって須藤さんを支持するのは、須藤さんのAKBの総選挙・握手会・アイドル商売、ジェンダー秩序への加担性を見落としている、というのが私の意見。

まずは、AKB総選挙を批判すべき。その総選挙にりりぽんが乗っていたことを批判すべき。それによってファンがムダ金を使わされた(搾取された)という問題。残念ながらまだファンから裁判が起こされていないのもダメだなあと思う。

また、「好きになった人といち早く結婚しまーす」という宣言をする得意気な気持の、主流秩序への加担性を批判的に見えるべきと思う。

結婚しますというときの「隠れた勝ち誇った感じ」に主流秩序を見るということ、わかるかなあ

ふー このことでまじめに書いてしまった。笑える。

りりぽんもAKBのファンも芸能界の人も秋元も読まないのに。笑