ソウルヨガ

主流秩序、DV,スピシン主義、フェミ、あれこれ

神戸製鋼・日産の不正問題、主流秩序の典型

NHKクローズアップ現代で、神戸製鋼・日産の不正問題が扱われた。 主流秩序に従属するということの実態がよく出ている。

「組織の中で動いているところを、個人的に『これおかしいんじゃないか』と注意する雰囲気はない。」

「指摘する立場じゃない。組織が全然違うし。いい悪いという問題意識もなかった。」

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内部証言で迫る“不正の深層”~神戸製鋼・日産で何が~

日本を代表するメーカーで、いま不祥事が相次いでいる。神戸製鋼所では検査データの改ざんが発覚。取引先は、航空機、自動車メーカーや鉄道会社など、500社以上。取引先のなかには、他社に切り替える動きも出始めている。 一方、日産自動車では完成した車の検査を、資格のない従業員が行っていたことがわかり、一時出荷が停止。日本のモノ作りの信頼を揺るがしかねない事態に陥っている。当事者を徹底取材、不正の深層に迫る。

出演者 遠藤功さん (経営コンサルタント) 下村直人 (NHK記者) 武田真一鎌倉千秋 (キャスター)

内部証言で迫る 神戸製鋼・日産で何が 神戸製鋼所による不正はどこまで広がるのか。

神戸製鋼所 社長 「今回は申し訳ありません。」(10月12日の記者会見) 神戸製鋼所 社長 「申し訳ありませんでした。」(10月13日の記者会見) 神戸製鋼所 社長 「本当に申し訳ありません。」(10月26日の記者会見) 強度などのデータが改ざんされた製品は、航空機や鉄道、自動車など、世界の名だたる企業に販売されていました。アメリカでは訴訟に向けた動きも出ています。 弁護士 「これは重大な事態になる。安全性の問題が判明したら訴訟もありえる。」

現場の実態がほとんど伝わらない中、不正を知る元社員が、初めて証言。 不正を知る元社員 「数値をごまかすのがメイキング。」 不正を知る元社員 「組織の中で動いているところを、個人的に『これ、おかしいんじゃないか』と注意するような雰囲気はない。」 さらに、日産自動車やSUBARUでも不正が発覚。今、日本のものづくりの現場で何が起きているんでしょうか。

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内部証言で迫る “不正の深層” 鎌倉:神戸製鋼所の検査データの改ざんが最初に発覚したのは、先月(10月)の8日。アルミ製品や銅製品の一部について、強度などの検査証明書のデータを改ざんして出荷していたと発表しました。実は、神戸製鋼では、去年(2016年)にも子会社で同様の不正が起きていて、それを受けての社内調査で、今回の不正が判明したのです。当初は、国内4つの工場で起きたと発表していましたが、その後、国内のほかの工場や、海外の工場にも広がり、製品もアルミや銅以外に、鉄鋼など、さまざまな分野に及んでいます。

問題となっているのは、顧客と事前に約束していた品質基準を満たしていないにもかかわらず、データを改ざんして、満たしているように見せかけて販売していたこと。つまり、契約違反を繰り返していたんです。社長は記者会見で「信頼度はゼロに落ちた」と発言しました。 今回の不正の詳しい手口や背景は、まだ明らかになっていません。私たちは現役社員やOBを取材し、実態に迫りました。

神戸製鋼“内部証言” 不正の実態に迫る 不正が発覚した工場の1つ、山口県の長府製造所です。

主力のアルミ製品を、最も古くから製造している場所です。不正発覚を受け、従業員やOBへの取材を重ねてきましたが、ほとんどは取材拒否。話を聞かせてくれた人も、不正については知らないといいます。

元社員 「ここら辺のOBの人達とも会いますけど、皆『びっくりした』と。」 元社員 「(改ざんの)話は聞いたことない。分からん、びっくりした。どっちにしろ『品質保証室』が最終判断しとると思う。」 取材の中で浮かび上がった「品質保証室」という部署。一体どんな役割を担っていたのか。

神戸製鋼は、アルミの強度や加工しやすさなど、顧客の注文に応じて、さまざまな製品を作っています。出荷の直前には、顧客と契約した品質を満たしているかを詳細に検査します。これを行うのが、品質保証室です。 保証室で発行するのが検査証明書。今回、この数値がたびたび改ざんされていたことが明るみに出たのです。

神戸製鋼“内部証言” 不正の手口が明らかに

改ざんはどのように行われていたのか。 品質保証を担当していた元社員が匿名を条件に、取材に応じました。改ざんは、実は40年以上も前から行われていて、現場では、ある隠語で呼ばれていたといいます。

品質保証に関わった元社員 「『メイキング』=嘘をつく。『メイキングしたらいけん』とよう言いよった。数値をごまかすことは『メイキング』と言う。無いことはない。言葉自体があったから。」

取材を続けると、およそ10年前に、実際に改ざん、いわゆる「メイキング」をしていたという元社員に接触できました。この人物が明かした改ざんの手口です。

“検査をして不合格だと、機械から赤い紙が出てくる。その場合、品質保証室長に相談し、新たに改ざんした数値を入力する。これがメイキング。(取材メモより)”

製品の仕上がりには、わずかなばらつきがあり、一定の割合で、顧客との契約を満たさないものが出てしまいます。作り直すには、時間とコストがかかるため、数値を改ざんすることがあったというのです。 “納期を絶対に守らないといけない。取引先は、神戸製鋼なら納期までに納品してくれると期待している。納期が守られなかったら、神戸製鋼の信頼が揺らいでしまう。(取材メモより)” さらに、不正の根底には、契約を満たしていなくても、安全性に問題はないという考えがあったといいます。

“例えば規格は8%だが、それに対して7.9%だったとする。これを合格として出しても問題ないという判断に当然なっていく。わずか0.1の差。担当者は、安全性は間違いないという判断をして出荷している。” 今回、その詳細な手口が明らかになった、データの改ざん。神戸製鋼の調査では、不正は海外も含め、17の工場で行われていたことが分かっています。

神戸製鋼“内部証言” 不正はなぜ まん延

なぜ、不正の広がりを食い止められなかったのか。 背景に、神戸製鋼が置かれた厳しい状況も見えてきました。数年前まで、栃木県のアルミ工場で働いていた元社員に話を聞くことができました。退職の直前には、生産効率を上げろという現場への圧力が強まっていたといいます。

数年前まで働いていた元社員 「コストダウンの一環でいろいろやって、できれば製品にしたい。出荷しなきゃいけない。費用の面、納期の面、そこのところでどうするか、すごいプレッシャーがあった。」

神戸製鋼は、この10年で5度の最終赤字に陥り、苦しい経営が続いています。こうした中で期待されていたのが、車の軽量化などに伴い、需要が高まっているアルミ部門でした。 取材で入手した最近の工場内の写真です。

至る所に金属の削りかすが散乱。写真を撮影した関係者によると、現場はメンテナンスに手が回らなくなるほどの忙しさだといいます。

現場で働く社員 「最近は忙しい。決められてますから、『月々これだけ生産しなさい』と。それが大変だったら残業とか…。何とか間に合わせる、生産量は。」 「間に合いませんとは?」 現場で働く社員 「言えない、それは。お客さんが離れるから『もうできません』といったら終わり。」

こうした中、品質保証室で行われていた不正。実は、ほかの部署で、改ざんに気づいている社員もいました。しかし、組織は縦割りで、声を上げることはありませんでした。

改ざんに気づいていた元社員 「組織の中で動いているところを、個人的に『これおかしいんじゃないか』と注意する雰囲気はない。」 「指摘は?」 改ざんに気づいていた元社員 「指摘する立場じゃない。組織が全然違うし。いい悪いという問題意識もなかった。」

納期への強いプレッシャー。技術力へのおごり。声を出しづらい企業風土。不正に歯止めがかかることはありませんでした。

神戸製鋼 データ改ざん “不正の深層”は… ゲスト 遠藤功さん(経営コンサルタント

下村直人(NHK記者) 取材に当たった下村記者。

海外の工場にまでデータの改ざんが広がっていたということだが、これは、会社ぐるみの不正だと考えていい?

下村記者:不正は、工場の中の品質保証室を中心とする、限られた人たちで行われていました。しかし、同じような手口による不正が、グループ全体にまん延していたんです。マニュアルなどは今のところ見つかっていないんですけれども、担当者レベルで口頭で引き継がれていったものと見られています。会社側は、経営陣による指示はなかったとしているんですけれども、私たちの取材で、品質保証室や工場長を経験した複数の元役員が、不正を認識していたことが明らかになっています。現在、弁護士で作る社外の調査委員会が調査を進めているんですけれども、経営陣の間でこうした不正の事実が共有されていたのかどうか、焦点になると思います。

規格をわずかに満たしていなくても安全性には問題がないという元社員の声もあったが、なぜ、こうした意識がまん延していた? 下村記者:製造業の現場にもともとあった商習慣、これが背景にあると思います。「トクサイ(特別採用)」と呼ばれる慣行です。製品が契約していた基準に満たない場合に、顧客の了承を得た上で販売するという、いわば「アウトレット」です。これ、合意があれば問題がないんですけれども、神戸製鋼の場合、このトクサイで、このくらいの差であれば、顧客も受け入れてくれるんだといった経験を積み重ねるうちに、基準に対する意識が甘くなっていったんだと思います。その結果、顧客の了承を得ないまま、勝手に改ざん、メイキングという許されない行為にまで発展していったと考えられます。今回、不正が発覚した後も、元役員の中には、安全性には問題がないと考えていて、何が悪いのか分からないという人までいたんです。

経営コンサルタントで、製造業に詳しい遠藤さん。

厳しい納期や経営環境、そして技術へのおごりが背景として浮かび上がってきているが、遠藤さんはどう見る?

遠藤さん:背景には、やはり神戸製鋼特有の事情があるというふうに思います。神戸製鋼は、創業100年を超える名門企業なんですね。高品質で付加価値の高い製品を作っています。軽いのに強度が高い製品など、神戸製鋼しか作れないような製品も数多くあります。その方向性そのものは戦略として正しいし、日本の製造業の多くは、そこにこだわらなくてはいけないんだというふうに思います。しかし一方で、付加価値が高いということは、製造の難易度も高い。決して簡単には作れないんですね。品質を担保するのは簡単ではありません。さらに、アルミとか鉄鋼という業界は今、とても競争が激しい、厳しい状況にあります。設備投資などに巨額の資金が必要で、その負担が大きいということで、業界の今、再編も進んでいるんです。その中で神戸製鋼は、独立経営維持という方針を貫いています。それはそれで1つの経営判断だというふうに思うんですが、結果的には、現場は相当無理をせざるを得ないような状況になっていったということも考えられると思いますね。

この神戸製鋼が作っていたアルミや鉄などの素材は、飛行機や鉄道から、私たちの身近な家電製品に至るまで、あらゆるところに使われています。製造業全体に大きな波紋が広がっています。

アルミ・銅・鉄の不正 製造業に広がる波紋 リポート:太田朗(NHK大阪) 大阪にある従業員100人のメーカーです。

製造するバネの一部に、神戸製鋼の子会社製の素材を使っています。この会社から出荷されたバネは、最終的に自動車や印刷機など、さまざまな商品に組み込まれています。バネの素材に問題が生じても、商品のどこにそのバネが使われているのか、全てを把握するのは難しいといいます。

三協精器工業 赤松賢介社長 「最終のお客様に月間、何千台か何万台かという形で流通していくと。そうすると、裾野がかなり広がっていくと、もしそれに問題があった場合、回収するのが非常に困難になってくる。」 不正の発覚後、神戸製鋼の子会社から「納めた製品には問題がない」と書かれた紙が送られてきました。しかし、今回の不正についての詳しい説明はなく、不安は拭いきれないといいます。

三協精器工業 赤松賢介社長 「ここまで全社的に各工場で改ざんされておられたのであれば、どのような改ざんをしていたのか、明確に1点1点できる限り、正直に表に出すことがよいのではないかと。」 不正による業界への衝撃はそれだけにとどまっていません。先月下旬、神戸製鋼の子会社の一部の製品について、JIS(日本工業規格)を満たしていないことが分かり、認証を取り消されたのです。製品の安全性などに対する、いわば国のお墨付きを失ったことになります。 問題となった神戸製鋼の子会社から、商品の大半を長年にわたり仕入れてきた商社です。

ユニ金属 髙田憲二社長 「ほとんどが神戸製鋼さん。コベルコ、マテリアル銅管さんです。」 主力商品は、業務用の冷蔵庫や空調に使用される銅のパイプ。問題の発覚前、仕入れた商品には「JIS」と記載されていました。認証を取り消された後、JISの後ろに「準拠」と書き加えられるようになりました。

ユニ金属 髙田憲二社長 「準拠品というふうに言わざるを得ないというのは、なんかちょっとやるせないですね。」

神戸製鋼の子会社からは「JIS規格を満たしていなかったのはごく一部の製品で、この会社に販売した製品には問題がない」と連絡がありました。今、800社に上る出荷先への説明を続けています。

ユニ金属 髙田憲二社長 「素材メーカーさんは、一番川上でいらっしゃるので、しっかりいい商品を作っていただくというのが、そういう責任は重いと思います。」

神戸製鋼 データ改ざん 製品の安全性は 鎌倉:気になる安全性ですが、神戸製鋼は出荷先と共に製品の安全性について確認を急いでおり、出荷先525社のうち、470社は、これまでに一定の安全性が確認されたとしています。新幹線や自動車に使われていた製品の一部は、安全性に問題がないと、JR各社や自動車メーカーが明らかにしています。ただ、残る55社では、まだ調査が続いています。神戸製鋼の製品がどこに使われているのか、たどりきれないケースもあって、すべての製品で安全性を確認するメドはまだ立っていません。 さらに不正は、神戸製鋼だけではありません。日産自動車やSUBARUでも、出荷前の車の安全性を、資格のない従業員が検査する不正が長年続いてきたことが分かりました。

日産の“検査不正” 現場で何が… 今回NHKは、日産自動車の役員の音声を独自に入手。先月末、社員に対し、不正について説明をしていました。

声:日産自動車 山内康裕CCO 「完成検査というものの法令の重要さ、理解が全くできていなかった。これを40年間か、50年間か、30年間か分からないが、それを見逃していたのは、間違いなくマネジメントの責任。」 本来、完成検査は資格を持つ検査員が行うことになっています。しかし、人手不足の中で、資格のない従業員が検査を行うことが常態化していました。検査を記録する書類には、検査員のはんこを使い回して、検査が適正に行われたように見せかけていたのです。 日産自動車で20年以上検査業務を担当していた社員です。自らは不正に関わったことはないとした上で取材に応じました。会社は、資格のない新入社員や非正規の従業員にも検査をさせて、誰と誰が検査員のはんこを使ったのか、一覧表にまでしていたといいます。

日産自動車 社員 「結構、人の出入りが激しい。それを把握するために、そういう表みたいなものを作って、自分たちなりに管理していた。」 この社員によると、2000年代以降検査員の数は、およそ6割に減少。一方で、生産性向上を要求され、不正に歯止めが効かなくなってしまったといいます。 日産自動車 社員 「人を減らされた、毎年5パーセント生産性を向上しなきゃいけない、そういうオーダーが現場に来て、それに応えるためにはどうしたらいいのか、ということで、“現場なりの創意工夫”をしちゃった。それが、本来であれば、完成検査という、国に委託された業務であるにもかかわらず、その辺を置き去りにした。会社経営側の要請に応えるために一生懸命やってしまった。」

日産・SUBARU “検査不正”問題は

日産自動車は、この不正の発覚で、今期の営業利益が予想より400億円減る見込みだとしています。

下村記者:日産の先月の新車販売台数ですけれども、去年と比べて43%減るなど、影響が出ています。同じような不正が明らかになったSUBARUでも、業績予想の下方修正を迫られました。いったん信頼を失うと、経営のダメージは避けられず、信頼の回復も容易ではないと感じます。

神戸製鋼日産自動車ともに、不正が表面化してきている。これは、何か共通の問題点、体質のようなものがあるのか?

遠藤さん:日本の企業は今、ガバナンスの強化に取り組んでいます。本来、法令順守とか、コンプライアンスという意味なんですが、最近では、攻めのガバナンスという言葉になっているんですね。結果として、やっぱり利益追求、稼ぐ力を高めるということが、相当色濃くなっています。品質の要求水準が高いことに加えて、利益を上げることへのプレッシャーも大きくなっている。さらに、品質を担保する製造現場は、ぎりぎりの人数で回しています。世代交代などもあって、現場の力が相当弱くなっている。利益なき繁忙というのが、現場では起きているんですね。この2社に限らず、品質問題が起こりやすい状況に、全ての製造業があるとも言える状況だと思いますね。

そうした問題を断ち切って、日本の製造業への信頼を取り戻すためには、今、何が必要?

遠藤さん:実は品質問題は、昔からあります。でも、そうした品質問題を日本の製造業は真正面から受け止めて、そして、そこから学習しながら改善するということで強くなってきた、そういう底力があったと思うんですね。それを失ってしまっては、日本の製造業はやっていけないというふうに思います。「品質を作り込む」という言葉があるんですが、品質は現場でしか担保できません。そういう意味で、やっぱり短期的な利益追求だけではなくて、中長期的なサステイナブルな成長を目指すと、そしてその一方で、もう一度、品質とは何かを問いかけて、そして必要な投資を現場に対して行う。こういうことも経営に求められているんではないかなというふうに思います。例えば、改ざんができないようなシステムに投資するとか、新たな仕組みが求められているとも言えると思いますね。

具体的にやっていけることもある? 遠藤さん:そうですね。やっぱり、仕組みとか、新しいシステムを作っていくということも今、大事なんだろうというふうに思います。 その上で、日本の製造業がこれまで培ってきた、根本的な部分ですね。

遠藤さん:もう一度、人づくりというものに立ち返ると。そして、品質の番人、品質の鬼を、もう一度現場に作っていくということが求められているんじゃないかなというふうに思います。

ここ数年、日本の製造業、品質を偽る不正が相次いでいます。競争がどんなに激しくなっても、何とか踏ん張って、品質への高い信頼があってこその日本のものづくりであることを、忘れてほしくないと思います。