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強制わいせつ罪が成立するには、被告が性的な意図をもつことが必要か否か

強制わいせつ「性的意図」は不要 最高裁大法廷、約半世紀ぶりに判例変更

2017年11月29日 11時0分

産経新聞

 性的意図なくわいせつ行為を行った場合に強制わいせつ罪が成立するかが争われた事件の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は29日、「性的意図を一律に同罪の成立要件とすることは相当でない」として、性的意図がなくても成立するとの判断を示した。  「必要」としていた昭和45年の最高裁判例を約半世紀ぶりに変更した。被告の男(40)に同罪の成立を認め、懲役3年6月とした2審大阪高裁判決を支持し、被告の上告を棄却。有罪判決が確定する。  15裁判官全員一致の結論。最高裁大法廷が刑事事件の判例を変更するのは、平成15年に横領罪をめぐる判例を変更して以来。性犯罪への社会の意識の変化などを受けた変更だが、性的意図が争点となり「意図なし」とされるケースはまれで、捜査や司法の現場への影響は限定的とみられる。  判決は厳罰化などを盛り込んだ今年6月の刑法改正などに触れ、「被害者の受けた性的被害の有無や内容、程度にこそ目を向けるべきだ」と指摘。「判例は維持しがたい」とした。  被告は27年1月に13歳未満の女児の体を触る様子を撮影したとして、同罪などに問われた。男は「知人から金を借りる条件として、わいせつ行為を撮影したデータを送るよう要求された」と説明。弁護側は性的意図はなく、同罪は成立しないと主張していた。  1審神戸地裁は、昭和45年の最高裁判例は「相当ではない」として同罪の成立を認め、2審も支持した。 ◇ 【用語解説】強制わいせつ罪  13歳以上の人に暴行・脅迫をしてわいせつな行為をした場合、または、13歳未満の人にわいせつな行為をした場合に成立する。法定刑は6月以上10年以下の懲役。最高裁は昭和45年、報復目的で女性の裸の写真を撮影した被告の公判で、同罪の成立には「犯人の性欲を興奮させたり満足させたりする性的意図が必要」と判断していた。

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社説)性犯罪と社会 深刻な被害に向きあう 朝日社説 2017年12月2日05時00分

 かねて疑問の声が寄せられていた判例が見直された。  強制わいせつ罪が成立するには、被告が性的な意図をもつことが必要か否かが争われた裁判で、最高裁大法廷が「不要」とする判断を示した。  仕返しや侮辱の目的で知人の女性を裸にして写真を撮った行為について、同罪の成立を認めなかった1970年の最高裁判決をくつがえすものだ。  妥当な結論といえる。「判例は間違っている」と異を唱えた一審神戸地裁、二審大阪高裁に、最高裁がこたえた形だ。  今回の被告は「金を借りようとした相手から、少女にみだらなことをする様子を撮影するよう求められて応じただけで、金銭目的の行動だった」と主張していた。だが、どんな目的だったにせよ、被害者の性的自由を侵害した事実は重い。

 「意図が不要になれば、治療や介護行為が罪に問われかねない」との意見もあるが、ためにする議論だ。状況を総合的にみれば答えはおのずと導き出されよう。大法廷が「被害の内容や程度にこそ目を向けるべきだ」と述べたのはもっともである。  判例変更の背景に、個人の尊厳を重視し、それを踏みにじる性犯罪に、より厳しい姿勢で臨むべきだとする、多くの国民の思いを読みとることができる。

 強姦(ごうかん)罪の名称を強制性交等罪に変え、刑の下限を懲役3年から5年に引きあげることなどを柱とする改正刑法が7月に施行された。強制わいせつの罪で裁かれてきた行為の一部も、量刑の重い強制性交等罪が適用されることになった。

 性犯罪の被害者の立場で考えることの大切さは社会全体で共有されつつあり、刑罰の見直しとあわせ、心身に傷を負った人の負担を少しでも軽くするための取り組みも進んでいる。  犯行の証拠を迅速・確実に採取し、医師との連携を強める▽事情聴取や裁判の進め方を工夫し、二次被害を抑える▽カウンセリングや緊急避妊にかかる費用の公費負担を進めるなどだ。  一方で、あらゆる相談に対応する「ワンストップ支援センター」がまだ開設されない県があるなど、課題も少なくない。何より「本人にもスキがあったのではないか」「抵抗しようと思えばできたはずだ」などと、被害者をおとしめたり責めたりする言動が一部に根強く残り、苦しみを増幅させている。  性犯罪の深刻さにあらためて思いを寄せ、理解を深め、必要な施策を推進する。大法廷判決を、そんな流れを強く確かなものにするきっかけにしたい。

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