ソウルヨガ

主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

動員と国威発揚型承認と「最後は金目でしょ」

高橋純子氏の発言。紹介。安倍政権下の日本社会のおかしさの一部を指摘している。

f:id:hiroponkun:20171228042936p:plain 朝日新聞高橋純子氏 「安倍政権の気持ち悪さ伝えたい」

日刊ゲンダイ https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/220001/5

2017年12月25日

――コラムがああいう表現になったのには、安倍1強政権だからこそのニーズや必然性があるようにも思います。言葉のすり替え、ごまかしが当たり前の安倍政権をバカ正直に論じてもはぐらかされてしまうというか。

 その通りです。安倍政権の振る舞いや政策を正面から論じても読者はピンとこない。政府もヘッチャラです。なぜなら、向こうは百も承知で「人づくり革命」「1億総活躍」をはじめとする、欺瞞的で、人間を道具扱いするかのごときキャッチフレーズを次々と繰り出してはばからないからです。欺瞞を正面から論破するのは難しい。だから「なんか嫌だ」「どっか気持ち悪い」などといった自分のモヤモヤした感情をなんとか言葉にして読者に伝えないと、権力に対峙したことにならないんじゃないかと思うんです。

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差別や憎悪、妬みといった、人間の醜い感情を巧みに利用した「分断統治」が行われている印象を持ちます。社会が分断化されてしまっているのです。もちろん、首相自身が差別的な言葉を口にすることはありませんよ。でも、いつからか、「反日」「国賊」といった、国によりかかって異質な他者を排除するような言葉が世にあふれかえるようになりました。権力を持っている人たちの振る舞いが暗にそうした空気を社会につくり上げ、メディアの批判も届きにくい状況があるように思います。 ∞∞

例えば、現状に不満を抱えた人たちの承認欲求を逆手に取って「動員」する。それが首相を包むゼリーのようになってしまっているのではないかと。そうした人の承認欲求は別の形で満たしてあげることこそ政治の仕事のはずなのに、人間のルサンチマンをあおって利用するなんて、政治家として絶対にやってはいけないことだと思います

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1億総活躍」もそうですが、もともと軍国主義の歴史を背負った言葉を平気で使うところに、首相の姿勢が垣間見えます。 安倍政権は「1億総活躍社会」のことを「包摂」と説明しています。しかし、私が取材した政治学者は、1億総活躍について「あれは包摂ではなく動員だ」と指摘していました。包摂とは、社会的に弱い立場にある人々を一定の範囲に包み込むこと。動員とは意味が全然違います。

∞∞∞ ――本の中では「最後は金目でしょ」と言った石原元環境相の発言にも噛みついていましたね。

 あの発言こそが安倍政権の本質を表していると思います。カネさえ付ければ、どんな政治手法でもありだと考えているとしか思えないとてつもない言葉ですよ。あらゆることを損得の基軸に落とし込もうとする安倍政治が、私は嫌い、というか、なんか悔しい。だからといって、言葉を強めて批判的な記事を書けば、読者に届くわけでもない。記者として今の政権に対峙するにはどうすればいいのか、非常に悩ましく思ってます。

 (聞き手=本紙・岩瀬耕太郎)

▽たかはし・じゅんこ 1971年福岡県生まれ。93年に朝日新聞社入社。鹿児島支局、西部本社社会部、月刊「論座」編集部(休刊)、オピニオン編集部、論説委員、政治部次長を経て編集委員論説委員を兼任。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ すみ