『戦争に近づく時代の生き方について』
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私が過去に書いた、戦争、暴力、ナショナリズム、責任の取り方、その一例としての慰安婦問題などにかかわる文章を集めてまとめた本を出しました。
『戦争に近づく時代の生き方について―――戦争/ナショナリズム/暴力に対する、非暴力/主流秩序の観点』
増補版・オンデマンド印刷書籍&電子書籍2020年9月
(電子書籍 2016年3月)
アマゾン販売ページ
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紹介
本書は、私が過去に書いた、戦争、暴力、ナショナリズム、責任の取り方、その一例としての慰安婦問題などにかかわる文章を集めてまとめたものである。そして2020年にオンデマンド印刷書籍にするにあたって「慰安婦問題」などについて加筆を行った書籍である。視点は、非暴力主義、〈スピリチュアル・シングル主義〉、「主流秩序」の観点、未来の平和に向けて過去に対しちゃんと謝罪する責任、などである。
第1部は基本の考え方を3章にわけてまとめているが、少し長いので、第2部以下の方が短くて読みやすいと思う。どこから読んでもらってもかまわない。
改めて読み直すと、主流秩序という言葉は使っていなくとも、主流秩序論で言っていることと近いことをすでに述べていると思った。昔からこだわってきたことは、変わっていないなと思う。
安倍政権の下、集団的自衛権を認める解釈改憲、特定秘密保護法・安保法制の強行採決などをして、事実上、憲法をないがしろにして戦争ができる国に突き進んでいる中、どのような意見を持ち、どのように生きるかが各人に問われている。本書は私なりの反戦の論理と思想である。
戦前、知識人の多くは、「戦争反対、平和支持」から戦争支持へ転向した。知識人とはそんなものだ。労働組合も政治家も人権系活動家も多くは戦争に加担していった。理屈はどっちにでもつく。“勢い”に流されるものは多い。
「戦前は十分な情報をもとに合理的判断をしなかったから負けた」というような、一見リベラルな「戦争批判的」な物言いも、では合理的判断で勝てると予想できるなら戦争をしてもいいのかという問いを抱えていない。「今の平和は多くの日本兵の犠牲の上に築かれている」というような美化は、多くの兵隊が愚かにも犬死させられた(餓死や病死も含めて)という事実や戦争に加担し残虐を極めて侵略した加害者責任を隠蔽/忘却している。
日本国家のために死んだものだけを弔うのはおかしい。過ちを繰り返さないために国境を越えて戦争で死んだものを弔おうとおもう。いっけんバラバラなものや異なる意見などの共存・相互の尊敬・多様性が大事である。その意味で、いまこそ戦争肯定論とともに、反戦論があること(平気で戦争反対、戦争に負けてよかったなどを言える雰囲気)が大事であり、多数派でない声などさまざまな声をあげられること、個人がそれを選ぶ勇気が大事である。とともに、特に「朝まで生テレビ」や国会のように声を荒げたり、したり顔で評論するのでなく、“沈黙”的な姿勢(その意味は本書で触れるが、それは主流秩序に従属することではない)を大切にしたいとおもう。
安倍首相と近い考えの人は、「戦争反対・憲法擁護・非武装平和主義」を唱える人たちのことを「現実的でなく単純で古臭い観念の持ち主だ」と馬鹿にしているところがあると思う。私は、戦争に反対するとか憲法を守れという意見がそう馬鹿で単純な意見でないということをわかってほしいと思っている。
本書で、たとえ意見が違っても、こうした戦争反対の意見があるということを知って、否定ではなく異なる意見の者たちの共存の道をともに歩けるようになってほしいと願っている。
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目次
第1部 ナショナリズム批判――〈スピ・シン主義〉の観点からの、私の反戦の論理 7
3-3 「現実主義」ではない、私の選択――逃げる非武装・非暴力主義 52
第2部 暴力と非暴力、責任の取り方、戦争に反対する生き方.... 80
- 1中は2中が怖いからナイフで自衛?--防衛、憲法をめぐる議論について.... 80
- 政権批判する先生はダメなのか.... 83
- 戦争責任を取らない日本人.... 97
- 堺利彦や幸徳秋水の生き方.... 100
- 「国旗・国歌」強制問題.... 102
- 恥ずかしい仕事ぶり 大阪府教育委員会や中原校長.... 108
- 斎藤美奈子さんが根津さんを批判する問題.... 113
- 『はだしのゲン』から学ぶこと.... 120
- 戦争体験、被爆体験を聴く.... 123
- 伊丹万作の視点は主流秩序批判の感覚.... 125
- 『茶色の朝』.... 127
- 適切なレッテルを貼らない問題.... 128
- 靖国神社参拝問題.... 129
- 北朝鮮批判報道・拉致問題・朝鮮学校いじめ.... 132
- ウーマン村本さんの言い分はまとも.... 139
- 戦争の実像と、つくられたイメージ.... 140
- ヘイトスピーチ.... 143
- 朝鮮学校:大阪高校無償化裁判、朝鮮学校側が勝訴.... 145
- 軍隊の訓練だった「銃剣道」が復活.... 147
- 戦争、加藤周一、オリンピック.... 149
- 今のメディア状況と大本営発表との類似.... 150
- 「自衛隊が人殺しの訓練」ということを悪と決めつけるほうがおかしい。産経新聞の、共産党批判記事はひどい.... 157
第1章 従軍慰安婦問題への向かい方に本性が出る.... 160
- 従軍慰安婦問題.... 160
- NHK番組改ざん問題の背後にあるもの―――スピリチュアリティはどこに立ち現れるのか.... 170
- NHK ETV 「女性国際戦犯法廷」番組の改ざん裁判で原告側が勝利.... 175
- 映画『“記憶”と生きる』.... 177
- 慰安婦問題を正面から扱った映画『鬼郷』(クィヒャン).... 184
- 映画 『沈黙』 いまこそ見るべき映画.... 189
- 慰安婦「日韓合意」問題:韓国で検証、日本の倒錯.... 195
- 慰安婦「日韓合意」 日本政府の対応もひどいが「朝日社説」もひどい.... 207
- 少女像・慰安婦像を嫌がる理由がわからない.... 212
- 維新・松井/橋下:慰安婦問題でも極右的な主張.... 214
- NHK・クローズアップ現代+「“少女像”問題」のひどさを確認する 218
- 学者のスタンスはどうあるべきか.... 244
- 徴用工問題でも日本側はおかしな報道ばかり.... 256
- 韓国で進む「歴史歪曲禁止法」の評価.... 262
- イラク人質問題の全体構図.... 266
- 当時の情報や動きを忘れない.... 267
- 自己責任論への批判もあった.... 270
- 人質被害者が、犯罪人扱いされたことと、それへの抵抗の動き 272
- 私が思ったこと.... 276
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