ソウルヨガ

主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

『サンドラの週末』

 

 

『サンドラの週末』をみた。『パレードにようこそ』と同じく、とてもいい映画。

(A+)

 

鬱の状況がリアル。そのしんどい状況で、病気を理由に解雇される中、闘う彼女の強さ、支える夫、そして生き方が問われる各人。

主流秩序に対してどう対峙するかを問う、すんばらしい映画だ。

 

文化の違いもあるが、とても、すがすがしい。個人が自立している。良人も仲間も各家庭肉時に付き添わない。各人が相手の言葉を聴き、また語る。

日本では逃げるだろう。

 

この映画の素晴らしさを感じながら、闘う自立した主体がほとんどなくなっている日本社会のダメさをまたもや感じた。

 

クソみたいなやつはどこにでもいるが、それと戦うか、逃げるかだ。

闘うところから、自分の生き方への満足・納得が生まれる。

こんな主流秩序、クソ社会での生き方を示す、態度価値を浮かび上がらせる、いい映画だ。

 

拙著『閉塞社会の秘密──主流秩序の囚われ』のp182「自分が闘うというプロセスに自分の回復を見る視点」で、これに関することを書きました。

 

なお下のHP上の文章「プライドを捨てて懇願できるだろうか」という文章は、全く間違った映画の理解だ。一体どこにプライドを捨てているようなところがあったというのか。これを書いた人はバカじゃないかと思う。何を見ていたのだろうか。

彼女は頭を下げることも暴れることも恨むこともなく、勇気をもって向き合っていた。

じぶんの雇用を守るという正当性を主張すること、相手のボーナスを削ってでもそれをもとめることに悩むことはあったが、それと、プライドを捨てることは全く違う。むしろプライドを捨てるなら闘わずに逃げるだろう。諦めるだろう。

鬱でしんどいのに、自分のプライド・誇りのために戦ったのだ。

だから闘った後は、あの境地に至ったのだ。

 

権利のために戦う勇気をどうして「ぷらいどを捨てる」などと言えるのだろう。

このあらすじを承認した上司を含め、もう日本人多くは、スピリチュアルなものが全く見えない馬鹿になっている。

ヨーロッパでこの映画が賞賛された意味を理解できなくなっているのだろう。

 

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HP情報

2度のパルムドール大賞含む、カンヌ国際映画祭で史上初の5作品連続主要賞6賞の受賞を誇るダルデンヌ兄弟マリオン・コティヤールを主演に迎え描き出したのは等身大のひとりの女性の物語。これまで、自分の想いを口にすることなく、黙々と突き進む主人公を描き続けてきたダルデンヌ兄弟が、「想いを声に出さなければ誰にも届かない」シチュエーションの中、自分の存在価値を何度も疑いながらも自身を見つけ出す女性を主人公に据えた。 この作品でマリオン・コティヤールはサンドラの弱さと強さ、繊細さ、心の機微を渾身の演技で魅せ、世界中がその演技を高く評価し数多くの主演女優賞を受賞、アカデミー賞®主演女優賞にノミネートされた。 研ぎ澄まされた演出で常に新しい世界を提示するダルデンヌ兄弟と華やかさを封印し確かな演技力を遺憾なく発揮したマリオン・コティヤール。この最強の組み合わせから“人の強さを信じる”感動の物語が誕生した。

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体調不良から休職をしていたが、ようやく復職できることになった矢先の金曜日に、上司から解雇を言い渡されたサンドラ。解雇を免れる方法は、16人の同僚のうち過半数が自らのボーナスを諦めること。ボーナスをとるか、サンドラをとるか、月曜日の投票に向け、サンドラは家族に支えられながら、週末の二日間、同僚たちを説得に回る。 どのような言葉で人の心は動くのか、人生と善意は天秤に掛けられるのか、サンドラは仕事を続けられるのか……先が見えないサスペンスに満ちた展開に目が離せず、月曜日の投票の瞬間は見る者までもが緊張をしてしまう。自分ならばプライドを捨てて懇願できるだろうか、選択を迫られたならば自分ならばどちらを選ぶのか――誰もが主人公たちとともに思案する。そして、迎える光溢れるエンディング。常に不安げだったサンドラが微笑むとき、我々も安堵せずにいられない。

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サンドラを支える夫、マニュを演じるのは『ロゼッタ』『少年と自転車』などダルデンヌ兄弟作品に欠かせない俳優、ファブリツィオ・ロンジォーネ。サンドラが諦めかけるたびにやさしくたしなめ勇気を与える。また、そのほかにもダルデンヌ監督作品常連のオリヴィエ・グルメ、モルガン・マリンヌらが出演しているのも見逃せない。 『サンドラの週末』は各賞の外国語映画賞、主演女優賞を総ナメにしたほか、シドニー映画祭グランプリをはじめ、6作品連続カンヌ国際映画祭コンペティションへ異例の出品を果たし、各メディアでダルデンヌ兄弟作品のかつてない強度とマリオンの熱演に惜しみない賞賛が贈られた。

エンディングを含め映画音楽を一切排し、使用されるのはカーラジオから流れるヴァン・モリソンの「Gloria」やペトゥラ・クラークの「La Nuit N'en Finit Plus」などのみ。主人公が知りえる情報のみを共有し、サンドラの心の動きに寄り添って一体となり、試練を乗り越えようとする。本作で描かれる人と人の絆、人間の強さ。すべてが心を揺さぶるこの物語に誰もが感嘆するだろう。