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百田氏発言:「沖縄をばかにしている」

 

 

百田氏発言:「沖縄をばかにしている」 普天間から怒り

毎日新聞 2015年06月26日 21時36分(最終更新 06月27日 00時33分)

 

「百田発言」を受けて、報道陣の取材に応じる沖縄県宜野湾市の佐喜真市長=沖縄県宜野湾市役所で2015年6月26日、佐藤敬一撮影 

 

 「いったい何の勉強か」。沖縄で、各地で怒りが渦巻いている。「沖縄の二つの新聞社をつぶさないといけない」など作家の百田尚樹氏(59)らが言いたい放題だった自民党の若手勉強会。百田氏は安倍晋三首相とも親しいが、これまで何度も発言が問題視されてきた。勉強会の翌26日、ネット上で「冗談」と釈明した。

 

 市街地の真ん中にある米軍普天間飛行場が、市面積の4分の1を占める沖縄県宜野湾市。「百田発言」を受けて、佐喜真淳(さきま・あつし)市長は市議会終了後に報道陣の取材に応じ、「戦争当時に米軍に接収されたのが普天間飛行場の歴史であり、先祖代々の土地に帰りたいという地権者がいる。その市民を『金目当てだ』というような発言は極めて遺憾だ。市民をばかにしているような感じで、失礼だ」とぶぜんとした表情で語った。

 

 同市軍用地等地主会によると、普天間飛行場の地主(3354人)の48.5%(1627人)が年間地料100万円未満で、1000万円以上は2.4%(81人)にすぎない。又吉信一会長は「背景を全く理解しておらず、怒りを超えてあきれている。多くの地主は今でも古里の土地に戻りたいというのが夢であり、発言は屈辱的だ」と憤った。

 

 普天間飛行場の北側に隣接する宜野湾市野嵩(のだけ)1区の自治会長、新城嘉隆(しんじょう・よしたか)さん(48)も、「元々基地の中に土地があり、『帰らなくちゃ』という思いで住んでいるのであり、全く勉強していない」とあきれかえった琉球新報沖縄タイムスの地元2紙を「つぶさないと」という百田氏の発言にも、「それが軍国主義や国のコントロールにつながっていくのでは」と危機感を募らせ、「作家がいう言葉ではない」と続けた。

 

 普天間爆音訴訟団事務局長の高橋年男さん(62)も、住民が住んでいた場所に米軍が滑走路を造り、鉄条網で仕切って外に追いやられた経緯に触れ「歴史を勉強してもらいたい」と苦言を呈した。

 

 「どこかの島が中国に取られれば目を覚ますはず」との発言には、離島から怒りの声が上がる。日本最西端に位置する与那国島の田里千代基(たさと・ちよき)・与那国町議は「ばかにしている」。1月にあった陸上自衛隊の配備を巡る町の住民投票は、賛成が上回ったものの、反対も4割を超えた。反対派の田里さんは「安保法案の議論も与那国が関わると注視してきた。そんな中、国会議員の勉強会で、こんな考え方を勉強しているとは」と批判した。

 

 一方、自民党沖縄県連幹事長の具志孝助県議は「沖縄2紙の基地問題に対する偏向報道に反省を求めるのは同感だ」とした上で、「『つぶせ』という表現は適切ではない。その他にも誤解を招くような発言が公の場であったことは大変遺憾に思う」と述べた。

 

 県外に住む沖縄出身者からも非難の声が上がった。福岡沖縄県人会会長の西表宏さん(64)=福岡市在住=は「元々集落があったところに、銃剣とブルドーザーで住民は追いだされた。明らかに無知で開いた口がふさがらない」。百田氏を招き勉強会を開いた自民党国会議員について「沖縄を知っている人を講師として選ぶべきで何のための勉強会か。安保法案の審議も行われるなかで、火に油を注ぐような発言だ」と語った。【佐藤敬一、下原知広、青木絵美

 

 ◇「冗談で言った」百田氏

 

 百田氏は26日、短文投稿サイト・ツイッターに「沖縄の二つの新聞社はつぶれたらいいのに、という発言は講演で言ったものではない。講演の後の質疑応答の雑談の中で、冗談として言ったものだ」などと投稿した。昨年も東京都知事選の街頭演説で複数の候補を「人間のクズみたいなやつ」と発言し、物議をかもした。

 

 百田氏は安倍首相と親しい。2013年11月のNHK経営委員就任の際、菅義偉官房長官は「(首相が)信頼している方にお願いするのは当然」と述べ、首相主導の人選だったとした(百田氏は今年2月に退任)。

 

 13年刊行の2人の対談集「日本よ、世界の真ん中で咲き誇れ」によると、民主党政権を批判する百田氏の雑誌の論文に野党議員だった安倍氏から「非常に感激した」と電話があり、親しくなったという。同書で首相は「百田さんとは話が合う」、百田氏は「安倍総理の復活は本当に喜ばしい」と記している。【日下部聡】

 

 ◇「まるで大政翼賛会」経済界から批判

 

 自民党の勉強会で報道機関に圧力をかけるような発言が出た問題で、経済界からは批判の声が上がった。

 日本郵政西室泰三社長は26日の記者会見で、メディアに広告を出している立場としての認識を問われ、「メディア規制を考えている人の方が、民主主義の原則から離れている」と指摘。

大手電機の幹部からは「自分の都合の良いことだけを報道しろというのは、まるで(戦前の国民統制組織である)『大政翼賛会』のようだ」との批判まで出た。ある財界関係者は「広告の出稿は消費者へのアピール効果などを慎重に検討し、経営判断で行っている。政治に口出しされるような問題ではない」と説明、「安倍政権はせっかく経済面で成果を上げつつあるのに、こうした問題で足を引っ張られるとしたら残念だ」と困惑した様子で語った。【片平知宏】