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安倍首相の話法

 

安倍首相は議論で質問に答えず、ごまかし逃げていると思います。

しかし政治ですからそうやって時間を稼げばいいので、安倍を応援する側から見れば涙ぐましいほど、集中砲火を受けながら頑張っていると見えると思います。

独りで敵陣で頑張って闘っている感じはあります。

でも同情はできません。

あともう少しだと思ってこの悪法を成立させて歴史に名を残そうと思っているんですから。

 

安倍は自分は正しいと思っているのです。国民も学者も野党も分かっていないと思っているのです。彼から見れば、自分に敵対するのは皆左翼的な敵なのです。自分は正しいので、千人万人の反対があってもひるまずに進むという英雄の気分なんだと思います。私は政治家としてはよくわかるので、安倍はそうするとずっと思っていました。病気になって退場とならない点でも気力で頑張っていると思います。

 

だから安倍を勝たせるメディアや大衆がおろかだなと思ってきたのです。いまでは遅いのです。

むしろ今考えるべきは、もし安倍政権が強引にこの戦争法案を通過させても、そのあとの闘い、一人一人の次の態度が重要ということです。選挙でも教会書でも沖縄でも原発でも。。。いまの国会で成立させないようにできたらそれに越したことはありませんが。

 

[絶対に戦争に巻き込まれない]と言い切るのもいつもの手で、何の根拠もなく言い切ります。法律は危険なもの(そんなことになりうるように書いている)なのに、精神論決意論で「そんなことにはならない」というだけです。

核兵器を持てると書いてある法律」に対して、首相が「この法律が通っても私はぜったいに核兵器を持たせません」といって、「首相の私が言うんだから間違いありません」と胸を張るのと同じです。

 

こんなばかなことを許してはなりません。

ぜひ国会議員さんには、上記の「核兵器の例」をもちだして追いつめてほしいものです。

 以下の記事にあるように、安倍を登場させたメディアは犯罪的です。せめてまったく同じ時間、反対側の政治家に語らせるべきでしょう。

 

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特集ワイド:問題矮小化する「安倍語」 集団的自衛権行使を火事現場にたとえ 「理解進んでいない国民」もこれなら分かる?

毎日新聞 2015年07月30日 東京夕刊

 

自民党のインターネット番組で、安保法制について説明する安倍晋三首相。たとえ話がお好みのようだが「国民はその程度だ、と見下している」(金平さん)との声も=東京・永田町の同党本部で2015年7月6日午後9時15分、代表撮影

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 キミは分かってない、と言われたら、多くの人はイラッとするだろう。参院審議が始まった安全保障関連法案について「国民の理解が進んでいない」と評したのは安倍晋三首相である。最近はニュース番組に登場し、これなら分かるでしょとばかりに、法案がうたう集団的自衛権行使を、近所の火事にたとえ始めた。これで「理解が進む」人がいるのか。またまた「安倍語」を研究する。【吉井理記、堀山明子】

 

 これまでも集団的自衛権の行使を「アソウくんとアベくんが一緒に歩いている。不良がアソウくんに殴りかかる。私もこれを守る。これが今度の法制でできる」(7日、自民党のネット番組)と説明した安倍首相。このたとえが「軽い」と批判されたためか、20日に登場したフジテレビのニュース番組で、今度はご近所の「アメリカ家」「アメリカ家の離れ」と、道路を挟んだ「日本家」を登場させ、こんな説明をした。

 

 「アメリカの家が燃えて、離れに火が燃え移っても日本は何もしない。でも風向きで、離れの火が日本家まで来そうなら日本の消防士は道の上から離れの消火活動ができる」。「離れ」「道」などのたとえが、何を指すのか、よく分からないまま番組は終わってしまった。防衛のプロはどう見るか。

 

 「噴飯ものです。火事と、集団的自衛権や武力の行使を同列に語ることが、信じられません」と首を振るのは第1次安倍政権内閣官房副長官補を務めた元防衛庁官房長、柳沢協二さんだ。

 

 「この法案は海外で武力を行使し、あるいは敵の標的となって撃たれ、テロ攻撃の対象になり得ることを自衛隊にさせる内容で、火事にたとえられるはずがありません。火は時に消防士を危険にさらしますが、日本そのものを燃やそうとの意図は持ちません。でも戦争は違う。武力行使された相手は、必ず自衛隊と日本に反撃するし、それは同時に国民に危害が及ぶ恐れがあることを意味する。なぜそんなリスクを国民や自衛隊が冒さなければならないのか、安倍さんの説明はそこがすっぽり抜け落ちているんです」

 

 では、このたとえ、日本語のプロにはどう映るのか。

 「そもそも比喩の成立条件を満たしていない。採点する以前の問題です」と両断するのは「日本語のレトリック」などの著書がある比喩表現の専門家、佛教大の瀬戸賢一教授だ。比喩の成立条件とは何か。手元の辞書を引くと「喩(たと)える=ある事柄の内容・性質などを、他の事物に擬して言い表す」(広辞苑第6版)とあるが……。

 

 「比喩の本質は抽象的な言葉を具体化することなんです。『受験戦争』という言葉から分かるように、戦争は具体的な現象・行為なので『たとえられる側』なんです。ですから、集団的自衛権の行使を火事にたとえるのはレトリックとして本末転倒で、実態を矮小(わいしょう)化して危険です」

 

 毎日新聞の世論調査(17、18日)では、安保法案への反対が62%に対し、賛成は27%である。各社の調査も同じ傾向だが、安倍首相は衆院での強行採決後も「参院で丁寧に説明をする」と繰り返し、立ち止まろうとはしない。

 安倍首相は21日のBS日テレの番組に出演した際、自著「新しい国へ」にも記される孟子の言葉「自ら反(かえり)みて縮(なお)くんば千万人といえども吾(われ)ゆかん」を引用し、「しっかり議論をしながら、これはもう間違っていないという確信を得たら実行していこうということ」と、世論が反対しても法案を成立させる意思を鮮明にした。

 

 この孟子の言葉は千人万人の反対があってもひるまずに進むという意味だが、「正しければ」を示す「縮くんば」は、ひとりよがりの正義ではないと、中国思想史が専門の小島毅・東大教授は指摘する。「持論を押し通すのではなく、自分の意見が道理にかなっているかどうかを見つめるという意味です。君主は人徳を磨くべきだという話を、議会で選ばれた首相が自分と異なる意見を無視する論理として引用するのは、本来の趣旨から外れています」と首をかしげるのだ。

 

 本来の意味と異なるといえば、やはり安倍首相がよく引用する孟子の一節「至誠にして動かざる者 未(いま)だ之(こ)れ有らざるなり」も同じだという。小島教授によると「『誠』は、中国の儒学では宇宙の真理・法則に基づく正しい行為と解釈される。だから誰もが納得するという意味です」。しかし、安倍首相が尊敬する長州(現山口県)出身の思想家、吉田松陰らは「誠意を尽くせば必ず相手に通じる」と説き、さらに「政敵に誠意が通じない場合は無視してかまわない、という思想に変えてしまった」(小島教授)。安倍首相の政治手法も、孟子の教えより松陰流の解釈にのっとっていると見る。

 

 もう一つ気になる発言がある。国民の「反対」の声について「日米安保の改定の時も、PKO(国連平和維持活動)の時も批判があった」(20日、フジテレビ)。安保法案もいずれ国民は理解する、という趣旨のようだ。

 

 柳沢さんは「国民が安保改定やPKOに反対したのは、日本が海外で武力行使することに不安を覚えたからです。でも自衛隊は誰も殺さず、あるいは殺されないという実績を重ね、国民の理解を得てきた。安保法案はこれを180度転換し、長年の実績を壊す内容です。次元が違う」。普段は温和な声を、この時ばかりは荒らげるのだ。

 

 ◇舞台を提供したのはメディア

 今のところ、安倍首相の登場した主要メディア(フジテレビ、BS日テレ、ニッポン放送)はいずれも、法案に賛成する新聞社の系列局だ

 TBS執行役員で、報道番組「報道特集」キャスターの金平茂紀さんは「たとえが稚拙とかよりも、安倍さんにそういう舞台を提供することのほうが僕は深刻だと思う」と目を怒らせた。

 

 金平さんが思い出したのは安倍首相の大叔父・佐藤栄作首相。退陣会見で「新聞は嫌いだ。国民に直接話したい」と一人、テレビカメラだけに向かって話し続けた。「テレビは自分や政府の言いたいことを伝える道具としか思っていない。国営放送を宣伝機関に使う独裁国家と同じメディア観で、安倍さんも同じ」

 

 支持率の高い安倍政権にメディアが萎縮している、と言われて久しいが、金平さんは「違う。メディアが安倍政権に自ら隷従しようとしているだけです。安倍さんに、説明にならない説明をさせるために番組を長時間、提供してしまったことが証左です。国民の知る権利に資するメディアの役割を、これらの番組が果たしたか。答えは国民が一番よく分かっているでしょう」。

 「安倍語」の正体をえぐり出せるかどうか。追及する野党だけでなく、メディアも注視されている。