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アリさんマークの引越社 裁判

 

 

先日、このブログでも紹介したように「アリ地獄」と揶揄される、弁償金が労働者の借金とされる問題で、アリさんマークの引越社各社を相手取り、プレカリアートユニオンの組合員が原告となる集団訴訟が始まるとのことです。

以下、くわしい内容を紹介しておきます。

 

事案:大手引越会社に勤務する営業社員が、組合に加入したことを理由として、追い出し部屋へと配転させられた事案

 

原告:A氏

被告:株式会社引越社関東

原告代理人:弁護士 佐々木亮 新村響子(主任) 深井剛志 大久保修一

     (いずれも旬報法律事務所所属)

 

1 事案の概要

(1)被告は、「アリさんマークの引越社」という名称で引越事業を行っている株式会社である。原告は、平成23年1月4日に被告に正社員として入社した。入社後は、まずは引越車両のドライバーとして勤務を開始し、平成26年6月にはB支店に異動となり、ドライバー業務から営業専任職となった。B支店における原告の営業成績は、全社で上位5位以内の成績を2回修めるなど良好であった。その後、C支店の営業専任職に異動し、平成26年12月の営業成績は全社1位の好成績を修めた。

 

(2)被告においては、引越作業中に荷物を破損すると、作業にあたった従業員がその損害額の全額を負担させられ、給与から「弁済金」名目で天引きされるという運用が行われている。また、車両事故を起こした場合にも、ドライバーが修理代などを弁償させられることになっており、場合によっては数百万円の弁償を求められることもある。

原告も、平成27年1月12日に営業車を運転中に車両事故を起こし、48万円の弁償を求められたことがあるほか、工具を紛失したと言われて工具代を給与から天引きされたことがあった。

また、原告はドライバーとして勤務している際は長時間労働を強いられ、その結果、残業時間は月100時間を超えていたにもかかわらず、残業手当は3万円程度しか支払われず、サービス残業を強いられていた。

 

(3)このような違法な労務管理を問題であるとして、被告を退職した従業員が中心となってプレカリアートユニオン(以下、「ユニオン」という)に加入し、被告に対して弁償金の返還、未払残業代の請求等を行ってきた。

原告も、上記のような問題を見過ごすことができず、ユニオンへ加入し、被告に対して、団体交渉の申し入れを行い、就業規則等の諸規程の提出、未払賃金の支払い、荷物破損・車両事故の弁償金制度の廃止および返還等を求めた。

 

(4)ところが、第1回団体交渉が行われた平成27年4月22日の直後の5月4日に原告が本部に出社すると、上司から「アポイントメント部に(配転が)決まった」と通告された。ちなみに、被告では、従業員を対象にした「入札制度」があり、この結果で配置を決めている。

アポイントメント部とは、主に顧客からの電話での引越の問い合わせ、見積依頼の対応を行う部署であるが、現場作業をしていて事故やケガをしたり、運転免許を剥奪されたりした者が多く配属される部署であった。

この異動により、原告の給与は、直近3ヶ月の平均額30万5893円から、基本給13万9180円、業務手当1万4000円、家族手当3万円の合計18万3180円と、約40%も減額となった。

 

(5)平成27年6月29日、原告が出勤したところ、突然、「これからシュレッダー業務になったから。」と通告され、その日から、原告はシュレッダー業務に従事するよう命じられた。シュレッダー業務とは、被告本部の部屋の奥の廊下に置かれているシュレッダー機械の前に立ち、1日中、シュレッダー機械に廃棄書類を入れ続けるという作業である。シュレッダー機械内の紙くずがいっぱいになると、そのゴミ袋をゴミ置き場に運び、またシュレッダー業務をする、これを延々と繰り返しているのである。

 

2 請求の内容

本件配転命令が業務上の必要性がなく、ユニオンに加入し団体交渉を求めたことに対する報復という不当な目的を有するものである一方、原告に賃金の減額を伴う多大な不利益を貸すものであって、権利の濫用であるとして、

① 原告がアポイントメント部及びシュレッダー係として勤務する義務のないことの確認

② アポイントメント部に配転させられたことを理由とする減額された賃金の差額の支払

を請求。

 

3 今後の予定

ユニオンに加入している、勤務中に荷物を破損し「弁済金」名目で賃金を天引きされた元従業員や、時間外労働割増賃金の支払を受けていない元従業員による、グループ会社を相手とした集団提訴を予定。

 

以上

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誰でも1人から加入できる労働組合

プレカリアートユニオン(担当:書記長 清水直子

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