日刊ゲンダイが、池田大作氏の昔の文章に絡めて以下の記事を出しています。アーノルド・J・トインビー氏との40時間に及ぶ対談をまとめた本は、私も学会員の友人から借りて一部よみました(拙著『閉塞社会の秘密──主流秩序の囚われ』でも一部紹介しました。p79の注60参照)。
公明党の議員は、まじめな創価学会員をたぶらかさないでほしいと思います。
そこで池田氏がいっていた言葉が引用されています。
〈国防のためだから、国民の税金を軍備の拡充のために注ぐのは当然だという、政府・
権力の言い分は、まやかしにすぎません。それにもまして悪質なのは、国を防衛するた
めといって、青年たちに生命の犠牲を求めるペテン行為です。なぜなら政治権力の多く
は、この“防衛”を口実につくりあげた軍事力によって“侵略”を行い、他国民も自国
民も、ともに苦難のどん底へと叩き込んできたのですから――。本当に“防衛”のため
だった例は、きわめて稀でしかなかったのではないでしょうか〉
〈問題は、あらゆる国が他国からの侵略を前提として自衛権を主張し、武力を強化して
おり、その結果として、現実の国際社会に人類の生存を脅かす戦争の危険が充満してい
ることです〉
〈“世界に貢献”するための“憲法改正”論議なども一部で浮上していますが、私は賛
成できない。平和志向の国家としての国是にかかわるからです〉
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日刊ゲンダイ 2015年9月3日
安保法案を「廃案」に追い込む“怒濤の国民デモ”に公明党がグラつき始めた。「60日ルール」適用前に法案を採決したい自民党とは対照的に、公明党幹部から「全国規模で反対の機運が高まっている。採決に至れば内閣支持率は落ち込み、政権へのダメージは大きい」と不安視する声が漏れだしたのだ。
揺さぶりの“原動力”は、全国各地で「反対運動」が起きている支持母体「創価学会」だ。 12万人が集まった30日の国会デモでも目立った三色旗。8月中旬に創価大の教員らが立ち上げた安保法案に反対するサイトの署名はあっという間に1600件を突破し、今も増え続けている。
とりわけ学会員の間で猛烈な勢いで「拡散」しているのが、池田大作名誉会長の「言葉」だ。
池田名誉会長は1975年、「21世紀への対話」と題した対話本を出版した。歴史学者で、ロンドン大教授などを務めた故アーノルド・J・トインビー氏との40時間に及ぶ対談をまとめた内容だ。創価学会のサイトでも閲覧できる。「軍備と戦争 “平和憲法”と自衛」という章で、池田名誉会長はこう発言していた。
〈国防のためだから、国民の税金を軍備の拡充のために注ぐのは当然だという、政府・権力の言い分は、まやかしにすぎません。それにもまして悪質なのは、国を防衛するためといって、青年たちに生命の犠牲を求めるペテン行為です。なぜなら政治権力の多くは、この“防衛”を口実につくりあげた軍事力によって“侵略”を行い、他国民も自国民も、ともに苦難のどん底へと叩き込んできたのですから――。本当に“防衛”のためだった例は、きわめて稀でしかなかったのではないでしょうか〉 〈問題は、あらゆる国が他国からの侵略を前提として自衛権を主張し、武力を強化しており、その結果として、現実の国際社会に人類の生存を脅かす戦争の危険が充満していることです〉
これに対し、トインビー氏もこう応じていた。 〈もし日本がその現行憲法の第9条を破棄するとしたら――いや、さらによくないことは、破棄せずにこれに違反するとしたら――それは日本にとって破局的ともいうべき失敗になるでしょう。憲法第9条をめぐる日本の政策いかんが、中国に対する日本の意向をはかる尺度となるでしょう。日本の再軍備は、たとえそれが真に自衛を目的とし、侵略を意図するものではないにしても、中国の疑惑と敵意をかきたてることでしょう〉
いやはや、池田名誉会長もトインビー氏も、そろって今の安倍政権のような政治手法こそが「国家の破滅を招く」と言っていたのだ。
さらに池田名誉会長は「池田大作全集2」でもこう断言していた。
〈“世界に貢献”するための“憲法改正”論議なども一部で浮上していますが、私は賛成できない。平和志向の国家としての国是にかかわるからです〉
これが学会の宗旨であれば、安保法案の全力阻止は当然だ。学会執行部は今の状況をどう考えているのか。
「憲法9条の平和主義と専守防衛を踏まえた閣議決定に基づく法案の審議が、現在、進められているものと認識しています。その点の理解が進まず、反対されているのであれば残念です。当会の三色旗などが政治的に利用されるのは遺憾です」(広報室)
池田名誉会長が同じ説明で納得するのか、ご本人に聞きたいものだ。
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