自民党はヘイトスピーチを規制しない
以下の記事もまだ表現の自由の理解で不十分です。
自民党はこの法律を成立させないと思います。
信濃毎日新聞 社説 08月27日(木)
ヘイトスピーチを禁止する法案の審議が参院で始まった。在日韓国・朝鮮人などに差
別的な言葉を浴びせかける行為をなくすことを目的に、民主党と社民党が提出した「人
種差別撤廃施策推進法案」である。
「ゴキブリ、うじむし」「朝鮮半島へ帰れ」といった聞くに堪えない暴言だ。国民の
多くは心を痛めている。一日も早く根絶しなければならない。
裁判所も厳しい目を向けている。京都市の朝鮮学校に向けられたスピーチを人種差別
と認定し、高額の賠償を命じる判決が昨年、最高裁で確定している。
人種、肌の色、民族などを理由に差別的な行為や言動をしてはならない、との原則を
法案は掲げている。問題に対処するための基本法との位置付けだ。罰則は盛り込まれて
いない。
政府に対しては、差別防止の基本方針の策定、年次報告の提出などを求めている。自
治体の責務としては人権教育や啓発活動の強化をうたっている。
5月に参院に提出されたものの、野党提案だったこともあって審議入りが遅れていた
。
人権団体の間には法律による規制を求める声が強い。国連の委員会はこれまで何度も
日本政府に対して、禁止・処罰する法律を定めるよう勧告している。
半面、差別を禁ずる法律はもろ刃の剣だ。街宣活動などの規制は表現の自由の制約に
つながる危険をはらむ。運用を誤ると、政府に批判的な発言や報道が狙い撃ちされかね
ない。
現に、この問題を取り上げた昨年の自民党内の会合では、国会周辺の集会やデモをヘ
イトスピーチと同列視して規制する必要性を指摘する発言があった。
仮に法律で禁止することになれば、憲法が一切の留保条件なしに保障している表現の
自由に例外を設けることにもなる。慎重な検討が欠かせない。
言論活動の自由を守りつつ、ヘイトスピーチを社会からなくすにはどうするか。本腰
を入れた審議が要る。人権法や言論法の専門家の意見も聞きたい。
菅義偉官房長官は先日、実態調査を行うよう求める公明党の要望に対し、本年度予算
で対応する考えを示した。管氏は会見では「具体的な件数や問題点をしっかり調べる」
と述べている。
本来ならとっくにやっていなければならないことである。調査に乗り出せばそのこと
自体が問題の理解の促進になるだろう。