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主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

東京新聞 沖縄県の米軍基地は人権問題、差別問題

 

東京新聞のいい記事です。

「結局、日本に民主主義はない。沖縄の基地問題は客観的には差別以外のなにものでもない。政府も、政府の主張に納得する国民も、関われているのは自分たちの姿勢であることを直視すべきだ」

というところは、主流秩序の問題です。

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辺野古は人権問題  翁長知事が国連で言いたかったこと

  先住民差別 続けるのか     「自己決定権ないがしろ」

東京新聞こちら特報部】2015年9月25日

 

沖縄県の米軍基地は人権問題か。答えはイエスである。翁長雄志知事が国連人権理事会で演説し、日米両政府が強引に進める名護市辺野古新基地建設計画について「沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされている」と訴えた。菅義偉官房長官は「人権理事会で米軍基地問題が扱われたことに強い違和感」と批判したが、国連の人権機関は過去に何度も、「先住民族」たる琉球の人々への民族差別に非を打ち鳴らしてきた。国際社会から見れば、日本政府こそ「違和感」の塊ではないのか。 (池田悌一、中山洋子)

 

 

 二十四日午後日本外国特派員協会(東京・有楽町)の会見場は内外の記者ら百人余りで埋まった。会見に臨んだ翁長知事は、自己決定権と人権がないがしろにされている沖縄の現状を重ねて説明した。

 

 「沖縄は百三十六年前までは、人口数十万人の小さな独立国だった。日本に併合され、一生懸命言葉も勉強したが戦争では最も悲惨な目に遭った。戦後、沖縄に自己決定権が何もない中でつくられたのが今の基地。そして今も日本は、沖縄の自己選択権、人権を何も保障しないまま、再び翻弄しようとしている。私たちは琉球王国のように、アジアの懸け橋になりたいと望んでいる」

 

 翁長知事は今月十四日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先とされる辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消す意向を正式表明した。県民の人権を踏みにじる日米安保体制に対抗するには、国際世論を動かすしかない。その舞台に選んだのが、スイスの国連欧州本部で開かれている国連人権理事会だった。

 

 理事会は、加盟国の人権状況を監視し改善を促す重要機関だ。日本の都道府県知事としては初となる二十一日の演説では、各国代表の外交官や非政府組織(NGO)メンバーら二百~三百人を前に、「沖縄の人々の自己決定権がないがしろにされている辺野古の状況を、世界中から関心を持って見てほしい。私はあらゆる手段を使って新基地建設を止める」と宣言した。

 

 翁長知事の演説は海外でどう受け止められたのか。理事会に先立つシンポジウムで国連人権理事会特別報告者のビクトリア・コープス氏は「私はフィリピンの先住民族その土地に元来住む人たちが、その土地の環境についての権利を持っている。沖縄の人たちが自己決定権を取り戻す闘いを支援したい」と共感を示している。

 

 「しかし」というか「やはり」というか、日本政府の反応は冷ややかだ。翁長知事の後に発言したジュネーブ国際機関政府代表部の嘉治美佐子大使は「辺野古移設計画は合法的に進められている」と突き放した。菅官房長官は二十四日午前の記者会見で知事の演説について問われ「各国の人権保護などを主な任務とする理事会で、沖縄の米軍基地をめぐる問題が扱われたことに強い違和感を持っている。知事の主張は国際社会では理解されない」と切り捨てるように言った。

 

 基地問題は人権と切り離して考えるべきなのか。翁長知事は特派員協会の会見で「民主主の在り方としておかしいと、本土の人に気づいてもらわないといけない」と鋭く反論した。

 

国連人権機関 過去に何度も勧告

 

 沖縄の「人権侵害」が国連で取り上げられたのは今回が初めてではない。それどころか、国連の人権機関は日本政府に何度も、「先住民族」としての権利保護を迫っている。

 龍谷大の松島泰勝教授(島しょ経済論)は一九九六年夏に国連人権委員会の部会で、沖縄の先住民性をアピールした。「国連に訴える手法はアイヌ民族から字んだ。この時が恐らく最初で、その後は沖縄のNGOが、毎年のように国連に人を派遣して差別撤廃を訴えている」と振り返る。

 

 その結果、国連自由権規約委員会は二OO八年に沖縄の先住民性を認め、「彼らの土地の権利を保障すべきだ」と勧告。O九年には国連教育科学文化機関(ユネスコ)が沖縄固有の民族世や歴史、文化を認めた。

 

 国連の人種差別撤廃委員会も一O年に沖縄の基地集中が人権侵害にあたると勧告。昨夏の「最終見解」でも、へイトスピーチ(差別扇動表現)規制などと並び、沖縄の人々の権利保護を勧告している。先住民性を認めない政府の姿勢に対しては「遺憾」の意を表明し、「彼らの権利保護については沖縄の代表者との十分な対話がなされていない」と断じた。

 

 では、沖縄の「先住民性」とは何か。

 松島教授は「まず独立国として存在していた歴史がある」と説く。十五世紀に始まる琉球王国は四百五十年間続き、独自の文化を築いた。江戸末期には琉球は米国などとも独自の修好条約を結んでいる。だが、明治政府は、日本領土との論理で一八七九年に琉球を併合した。

 

 日本政府は沖縄を他県と同じ日本民族で差別はないと主張するものの、国連はこの理屈を一蹴。差別撤廃委による昨夏の勧告では、消滅の危機にある琉球語の保護や、歴史・文化を伝える教育カリキュラムの促進も求めている。

 

 松島教授は「加えて、これまでの国連の議論では自分たちを琉球人と考えるアイデンティティーが何よりも重要視されてきた」とみる。一三年に設立した「琉球民族独立総合研究学会」の共同代表を務め、国際法に基づいた独立を指す松島教授は「自らの土地の使い方を自分たちで決定できないのは明らかに人権侵害」と指弾する。

 

 昨夏の差別撤廃委で「辺野古建設は人権無視」と熱弁を振るった沖縄選出の糸数慶子参院議員も「戦後、米軍の統治下で土地を強制的に奪われたばかりか、車にひかれて殺されても、女性がレイプされても住民の権利は守られなかった。本土復帰後も沖縄の人権は踏みにじられた」と嘆く。翁長知事の国連演説をまともに取り合わない政府には「県民が繰り返し選挙で辺野古基地建設に反対しているのに、民意に反して工事を進めようとしている政府の姿勢は人権侵害の最たるもの」と憤る

 

○政府「違和感」 日本政府こそ「違和感」では?

 

 神戸大の五十嵐正博名誉教授(国際法)は「翁長知事は『自己決定権』という言い方をしたが、民族自決権は、国際社会では最も重要な人権。表現の自由や信教の自由などの大前提となる」と指摘する。

国際人権規約も第一条に「すべての人民は自決の権利を有する」と自決権を掲げている。「むしろ、知事の演説は国際社会では当たり前に支持されるロジック。否定する政府の方が理解しがたい野蛮な主張に聞こえる」

 

 沖縄国際大の前泊博盛教授(政治学)も「いじめられた人に、いじめた側が『いじめじゃない』と言い募るのと同じ。どうみても、聞く耳を持たないのは政府の方だ」とあきれる。

 ヘイトの放置、安全保障関連法の成立強行・・・。すべて同根ではないのか。

 

 「結局、日本に民主主義はない。沖縄の基地問題は客観的には差別以外のなにものでもない。政府も、政府の主張に納得する国民も、関われているのは自分たちの姿勢であることを直視すべきだ」

 

日本外国特派員協会で記者会見する沖縄県の翁長雄志知事=24日、東京・有楽町で

(上)辺野古新基地建設に向けて再開された関連作業=13日

(下)米軍キャンプ・シュワブのゲート前で、辺野古新基地に抗議する市民を強制排除する警察官=21日、いずれも沖縄県名護市

 

 

沖縄県知事の国連演説ポイント)

 

 ・沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされている

 ・自国民の自由、平等、人権、民主主義を守れなお国が.世界の国々とその価値観を共有できるのか

 ・あらゆる手段で(名護市辺野古の)新基地建設を止める覚悟だ

 ・沖縄が自ら望んで土地を提供したものではない

 ・基地に派生する事件・事故や環境問題が生活に大きな影響を与え続けている

 

(((デスクメモ)))

 米軍キャンプ・シュワブ前で二十一日、辺野古新基地建設に反対する人たちが、死者のように横たわる「ダイ・イン」で抗議した。十六日、安保法の地方公聴会が開かれた横浜市のホテル周辺でも、市民らがダイ・インを試みた。いずれも警察に排除されたが、「理はダイ・インにあり」と強調しておきたい。(圭)

 

 

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