ソウルヨガ

主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

いまだ続く問題  「あさがきた」感想

 

私が1990年ごろからシングル単位論で言っていることの前提たる、差別状況、いまだ続いています。

状況は続いているのに、改善されず、解決策も北欧型社民主義(その中での個人単位型諸制度)にするところまではいかない意見がほとんど。

女性活躍というような程度で、フェミの精神、差別との闘いの面が後退しています。

 

「あさがきた」の女性にも教育を、男と同じく仕事をというのは、初期フェミとして今でも感動的ですが、これは上昇期資本主義の話で、第二次フェミの後に至っては、この発想だけではエリートフェミの限界を乗り越えられません。

 

女性の中にもジェンダー秩序、主流秩序があり、パート労働者や専業主婦やくたくたの女子社員のなかの、エリートになっていくのではないような、能力主義ではないような、つまり、主流秩序の上昇ではないような、自分の解放を目指す段階のフェミがいります。

 

それはイクメンとか言っているようなレベルではない、男性の男性からの解放がいります。それをシングル単位論で言ってきたのですが、壁ドンとか俺様男子が素敵などといっているようでは、ため息です。


でも一部ですが、男性でも女性でも、LGBTでも、ジェンダーフリー、主流秩序フリーな感じのスタイルの人が増えてきているとは思います。
まずは、カップル単位発想や能力主義やDVから離れていくことですね。

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以下の毎日新聞記事「ガラスの天井」 はいいシリーズだと思いました。

ガラスの天井
女性と自立/1 家族に縛られ自活も困難
毎日新聞2015年11月25日 東京朝刊


首都圏で1人暮らしをしていた30代の女性は、フルタイムで働いても1カ月の手取りが20万円以下で家賃が賄いきれず、実家に戻った。「手元のお金を常に把握しないと不安」と家計簿アプリを頻繁にチェックする=吉永磨美撮影


 時代とともに女性のライフスタイルは多様化し、働き続ける女性も増え、シングルライフを謳歌(おうか)する人も出てきた。しかし、女性が自活せざるを得ないとき、男性と比べ、不利な状況にあることにあまり変わりはない。自立の道を選ぶことができない人もいる。女性の自立を阻んでいるのはなんなのだろう。


 朝6時半、洗濯と朝食の準備を済ませ、認知症の祖母(86)の身支度を手伝う。今日もまた、代わり映えのない一日が始まる。
 浅子さん(27)=仮名=が7歳の時に両親は離婚し、2歳下の弟と一緒に父親の実家に引き取られた。中学生になると、食事や弁当を作るのは浅子さんの役割になった。理不尽に感じたことはない。祖母の介護も「育ててもらったのだから」と、どちらかといえばすすんで引き受けた。


 大学を出て教師になりたいという夢があった。だが「女の子なんだから(大学に行く必要はない)」と、父親が学費を出してくれなかった。仕方なく奨学金とバイト代で大学に進み、一般企業に就職したが、セクハラやパワハラで職を転々とするはめになった。家庭と仕事の両立も重くのしかかり、思うようには働けなかった。
 弟は違った。父親が学費の一部を負担して大学を出て教職に就き、同居していた時も、給料は家計に入れなかった。同じように祖母に育てられたはずなのに、介護も一切手伝わない。


 61歳の父親の収入だけを頼りにする生活はギリギリだ。祖母の年金は介護や医療費に消える。職歴が長い父親が仕事に専念し、自分が家庭責任を引き受けた方が合理的だと頭では理解している。
 「でも、なぜ私だけ?」
 結婚、出産、昇進。友人たちが人生の階段を上る様子を知るたび、やりきれない思いでいっぱいになる。結婚すれば何かが変わるだろうか。
 「夏目漱石の『こころ』って知ってますか? 時代に取り残されて死にたくなる。そんな気持ちです」


 ●6割が非正規雇用


 かつて女性の経済的支えとなったのは、結婚までは父親、結婚後は夫だった。だが男女ともに雇用環境が厳しくなり、生涯未婚率が上昇し続ける中で、それは期待できなくなっている。


 一方で、女性は働くことで十分な収入を得て身を立てることも難しい。平均年収はどの年代でも300万円を超えることがほとんどなく、年齢とともに上昇する男性の年収とは対照的だ。働く女性が増えたといっても、その約6割は非正規労働者だ。
 大阪で女性や若者の自立支援を行う一般社団法人「キャリアブリッジ」の白水崇真子顧問は「男女で決定的に違うのはこの点」だと強調する。
 白水さんは2011年から2年間、大阪府豊中市定時制高校で生徒の自立支援に携わり、女子生徒の支援の難しさを痛感した。「生活困窮の家庭では、女の子は家事や弟妹の世話などを子どもの頃から引き受け、バイト代も家に入れる生活を強いられることがある。大人になっても自立できる仕事やロールモデルは少なく、家事や収入を期待する家族の反対もあり、次第に家族や男性にからめ捕られていく。自立した未来を描けるよう、応援してくれる大人がいる『家』が必要なのです」


 対照的に、男子なら就職して自立することを当然と考え、家族もサポートに前向きだったという。


 ●介護、病気、離婚…


 美奈子さん(51)=仮名=も家族に振り回された半生を送ってきた。
 夫の希望に従い、1991年の結婚を機に、マスコミ関連の会社の正社員からアルバイトに切り替えた。月収は激減し、夫からは毎月10万円を渡されたが、家賃や光熱費、食費に消えた。


 同じ年、実家の父親が倒れた。うつ病を患う母親から「仕事をとるか、父親をとるか」と迫られ、仕方なく仕事を辞めた。朝、夫に弁当を作って送り出し、その後は実家で家事の手伝いや父親の看病をする。帰宅して夕食を作り、夫を待つ。その繰り返しだった。


 「落ち着いたらマスコミの世界に戻りたい」。「いつか」を夢想するのが、心の支えだった。まだ20代だった。
 だが想定外の出来事はその後も続いた。夫のうつ病と退職、自身のがん、夫の暴力、そして離婚−−。病気で働くことができなくなり、今は生活保護を受給しながら一人で暮らしている。


 ●職場復帰の夢遠く


 いずれにも共通するのは、家族に自立を阻まれ、家を飛び出し働いて自活することも難しいという点だ。
 横浜市を拠点に2010〜13年行われた若年困窮者支援事業で、相談者742人が抱える問題の種類などを男女別に分析した結果がある。男女で最も差があったのは「家族や地域との関係をめぐる問題」で、男性の25%に対して女性は48%だった。同様の調査結果は他の自治体にもある。


 「子ども、介護、病気などを抱えると、無理なく働ける職場がない。女性だと、40代を超えると書類選考すら通らない」。調査に関わった一般社団法人インクルージョンネットかながわ」の鈴木晶子代表理事は、女性の生きづらさをこう説明したうえで、「生活困難は、ある特定の人たちの生き方の問題ではなく、女性なら誰もが陥る可能性のある落とし穴です」と指摘する。


 「今思えば、結婚や看病で仕事を辞めるべきではなかった。辞めたことで『頼ってもいい人間だ』と家族に思わせてしまった」


 美奈子さんは福祉の手を借りながらではあるものの、ようやく自分の人生を歩けるようになった。だが、夢にみた「いつかマスコミの世界に戻る」日はもう来ない。今、迫りくる自分の老後について不安とあきらめを抱えている。
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 この連載は中川聡子、中村かさね、吉永磨美、田村佳子が担当します。=つづく

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