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「DV加害者の示談には応じる、警察には訴えない」だけが選択肢ではない  弁護士ドットコムの見解に違和感

 

 


弁護士ドットコムに相談コーナーで、橋本智子弁護士がデートDVの相談に対して回答していましたが、その回答に少し違和感がありました。

その相談のサイト
◆髪引き抜かれ、全身にあざ…「デートDV」で示談を求められたら、どう対応すべき?
弁護士ドットコム2016年07月25日10時20分
http://topics.smt.docomo.ne.jp/article/bengoshi/life/bengoshi-topics-304_l?fm=latestnews

 

そこでは、かなりひどい「デートDV」を受けた女性から、交際相手の代理人に示談を求められた場合、どう折り合いをつけるべきか、警察に訴えても無駄なのか、という相談が寄せられていました。

 

相談者が男性と同居をはじめるとすぐに、些細なことで手を出されるようになり、全身はあざだらけで、髪の毛も大量に引き抜かれる、通報を恐れた男性から、外出すら禁止される、食事も満足に取れない状態、この男性が経営する会社で働くために転職先の内定も辞退したが、仕事は無給で、さらに貯金から100万円を恐喝された。収入がないにも関わらず日常の食費も払わされ、美顔器の購入や整形も求められた。

というような状況でした。


しかし加害者代理人の弁護士から「訴えても無駄」「この程度は普通のDV」と言われたとのこと。

 

それに対して、橋本弁護士は、以下のように回答しています。

慰謝料は、100万円も取れれば御の字、それが現実だから、個人的な意見としては、とにもかくにもこういう人からは一刻も早く逃げること、金銭的にも精神的にも痛めつけられるのを食い止めることがいくばくかのお金を得ることよりもなによりも最優先されるべきだ。

刑事の面でもこの種の犯罪の処遇は一般的にとても軽く、逮捕もされず正式な裁判にさえならず、起訴猶予や罰金刑で終わることが多いなどのため、警察・司法に訴えることはお勧めできることではない。「警察沙汰」にしたら、加害者の怒りや報復感情を増大させるので、「触らぬ神に祟りなし」で訴えないのがいい。

そういう趣旨の回答でした。

縁を切ることを優先すべき、専門家のサポートによる傷ついた心の手当をするのがいいというのです。一言でいえば、質問に対しては、示談に応じたらいいというのです。

 

*********


私はこれを読んで、現実の相談を受けている弁護士ならではの経験に基づく現実的な意見なんだろうなと思いました。
このアドバイスが有効な場合も多いと思います。

 

しかし、多くの人が目にする回答なのですから、別の選択肢も提示したほうがいいのではないかと思いました。「離れることを優先して、闘わない方がいい」というアドバイスは、一つの意見ですが、他の選択肢も提示すべきと思うのです。

 

というのは、離れることを優先して、警察にも言わず、加害者の示談に応じるのは、加害者にとても都合のいい道なので、それが嫌な被害者の場合、戦う道もあるということを提示するべきと思うのです。
どちらをとるか、その中間をとるかは当該が決めればいいことです。

 

加害者に、自分が行ったDV を認識させ、謝罪させるという道もあります。罪と認識させる、民事で、あるいは交渉で慰謝料をとる、刑法で訴える、接近禁止命令をとる、相手の親や会社や学校などに伝えていく、ということも出来るならやってもいいのです。

そしてなんといっても、こういう回答で付け加えてほしいのは、加害者にDV加害者更生プログラムに参加させる、ということを要求することもできるのです。加害者にDV加害者更生プログラムに参加させ、そこで学んだことを文書でまとめて手渡すことを求めることもできます。

 

そのやり取りは消耗する面はあると思いますが、屈辱的に黙るよりも闘いたいという人もいるはずです。その時に盾になって被害者を守るのが弁護士なのではないでしょうか。


「交際相手の代理人に示談を求められた場合、どう折り合いをつけるべきか、警察に訴えても無駄なのか、という相談」にたいし、橋本弁護士の回答は、あまりに一面的な意見で、「加害者のやり逃げ」になってしまう、DV風土の温存になるという面があると思います。

被害者が自分が傷つかないように、戦わない道を選んでもいいのですが、そうではない道もある、選んでください、どの道でも支援しますよ、というのがバランスある回答なのではないでしょうか。

 

脅し取られたという100万円も取り返すようにたらきかけていけばいいでしょう。
そして加害者がもし逆恨みとかして来たら、徹底的に戦う体制をまわりが作って被害者を守ることが大事です。そうして、警察・司法などを使って戦うことが有効であることを世間に広めていくことが大事だと思います。