ソウルヨガ

主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

AV出演者は「労働者」なのか?

 

AV出演強制問題関係でこの間議論が活発になっています。
NHK「クローズアップ現代」でも取り上げられました。


これが、出演者の人権・セックス関係のワーカーの人権が守られることとともに、金を払えば性の商品はいくらでも買える、といったジェンダー秩序の見直しにつながればいいなと思います。

 

これに関連して、元AV女優で作家の川奈まり子さんが、アダルトビデオ(AV)の出演者を支援し、業界の健全化を図るための団体「表現者ネットワーク(AVAN)」を㋆11日に発足させました。

 

いいことも言っているし、実際に機能すれば現実的な前進(改善)と思う面もありますが、批判をかわす隠れ蓑に利用される危険もあるのでその実態を見ていく必要があるかと思います。


例えば、以下のやり取りでの「労働者ではない」という言い方で、事実上、労基法や派遣法という使える法律の制約から離れてしまうのは危険です。

川奈氏は、以下のように語っています。

 

 

************以下記事の紹介

「AV出演強要  合法的出演の環境整備を」
毎日新聞2016年7月11日 19時53分(最終更新 7月15日 13時25分)

http://mainichi.jp/articles/20160712/k00/00m/040/031000c

 

AV出演者は「労働者」なのでしょうか?

 

川奈さん  「労働者」ではありません。労働基準法では「雇用主に時間を拘束される」「雇用主に指揮監督権がある」「諾否の自由が制限される」というような条件で、労働者性の有無を見極めます。AV出演者に労働者性がある場合、「出演しろ」と言われたら諾否の自由がないとか、プロダクションやメーカーの人間に「脱げ」と言われて脱ぐとか、「やれ」と言われたことをやるということになりかねない。そうすると、ものすごく人権が毀損(きそん)されてしまう。

そういうわけで、やはりAV出演者は「表現者」でなければならないと思うんですね。自立した表現者が自由意思で出演するという状況でしか、絶対にAV出演は許されてはならない。私自身がそうやって活動してきたので、もしそうじゃない人がいたら、どんなにかつらいだろうと思うんですね。
 AV出演者が完全に自立したアーティストであり、自由意思で表現活動を行っている場合、職業安定法や労働者派遣法違反による摘発対象にはなりません。一方で、「表現者」として立つと労働関係法で守られなくなってしまう部分があるので、団体で保険に入るなどしてカバーしたいと思っています。

 

**********記事の、引用終

 

プロ野球選手や映画俳優なども労働組合を作ることで権利が守られる面があります。労働者と規定することが今の法律体系上有利で、そこから離れると規制するものがほとんどなくなるからです。

とすると、AV出演者は「労働者」ではないというのは危険で、川奈さんの夫がAV監督の溜池ゴロー氏ということと合わせてかんがえると、このようにいいきってしまうところにうさんくささを感じました。

 

簡単に言っておけば、労働者性を認めたらかといって何でも言うことを聞く奴隷のようになるわけではありません。ですから上記の言い方―――「出演しろ」と言われたら諾否の自由がない、脱げ、と言われたら拒否できない―――にはミスリードがあります。労働者だからこそ、労働時間や賃金などについての法律の制約を受けるし、社会保険、労働保険にも入れます。指揮命令のもとに入るからといっても契約以外のことをさせられるわけではないし、人間として扱わないようなことはダメです。たとえば、労働者と認めても、パワハラやセクハラはダメ、契約の仕事以外をさせてはダメということです。


ですから川奈さんが、単なる無知とか誤解で上記のように言っておられるならいいのですが、AV監督の溜池ゴローさんとか誰か業界の人に入れ智慧されて、AV業界を守るためにAV出演者の権利を制限しようという意図で言っているとしたら批判されるべきと思いました。

 

これから後の話し合いなどで、労働者であるということを認めるような、柔軟な姿勢を見せられるならばいいと思いますが、「この点で絶対に譲らない」という硬直した対応を取られるなら、「表現者ネットワーク(AVAN)」というものは眉唾物と言えるかもなと思います。

 

いずれにせよ、現実を少しでも改善する動きについては、偏見なく話し合って進めていくことには賛成です。