井上芳雄主演朗読『夜と霧』をみれた。
瞑想の様な、座禅のような、スピリチュアルな二時間だった。
「夜と霧」を“読み直す”時間だった。
アウシュビッツ収容所にいるような感覚にときどきなった。
静謐な二時間だつた。
目を舞台にではなく、その上の暗闇に持っていくことで、下方がすこしあかるい、飛行機で、日が沈む夕焼けから、夜に入っていくときの、その上空の、宇宙に繋がる漆黒の空間を見ているような、そんな感覚に漂うことができた。
態度価値、思うだけで本質的につかめるパートナーへの愛、絶望的状況を乗りきるための言葉、人生の意味、苦悩と犠牲の意味、惨めな生き方と誇り高き生き方、ガス室のなかで祈ることができる人というもの、人生において悲しみや苦しみも生きることそのものであり、人生に「然り」という感覚、
それらをあらためて“感じ”た。
今回、どんな舞台なのかなにも知らずにただ「夜と霧」をどう舞台にするのかという、興味と関心と直感で、急きょ観に行った。
結果、いい時間をもてて正解だつたのだが、
どうも来てある人のかなり多くが主演の井上芳雄さん目当てらしいことが、公演後の握手会にならぶ熱気でわかつた。
井上芳雄さんの朗読はうまかったから違和感も不満もなかったが、まあ朗読だから作品のじゃまにならないできはえという意味てよかったという程度だつた。
私にとって、井上芳雄にはなんのおもいいれもないから。
むしろ、先日の「明石家電視台」のショージと中川家の「酔うた!」の表現力の方に驚嘆をかんじた。同じことをいってもあそこまでおもろするのはさすがであった。
なお、池田 香代子 の翻訳を使っていたようだが、あれっと思うところがいくつかあった。
私が知っている訳の方がわかりやすく本質をついていると思った。