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官製ワーキングプア研究会 の非常勤公務災害の声明 

 


非正規公務員の公務災害補償制度の抜本的な改正を求める声明

 

 12月13日、朝日新聞が「自死の非常勤職員、労災求め遺族提訴『死んだ後も差別』」と報じた。同紙は「北九州市は非常勤の労災について、条例や条例施行規則で、所属長からの報告を受けた担当部門が労災と認めた場合のみ職員本人らに通知する、と定めているが、本人や家族からの認定請求に関する明文規定はない。

同市は朝日新聞の取材に、条例は旧自治省(現・総務省)が1960年代に各自治体に示した「ひな型」に沿って作られたと説明。ひな型は本人や家族からの認定請求を想定した内容になっておらず、Kさんの両親に請求権はないと判断したという。」(当会で実名をイニシャルに変更)と同市への取材内容を解説している。


 私たちは現在、神奈川県で業務中の滑落事故により負傷した臨時職員の公務災害訴訟を支援しているが、県は明らかな公務災害について即時に補償手続をとることをせず、被災の事実関係について正確に申請することをせず、県の内部で根拠が不明確な補償に関する判断を行い、いわば県ぐるみで「公務災害隠し」を行っている。北九州市の事例も神奈川県の事例も、公務災害申請、認定、補償が、制度としても運用としても、非正規公務員当事者本位でないことに起因しておきたものである。

 

 現状、同じ公務公共サービスに関わる公務員が公務上被災した場合、その雇用(任用)の違いにより、公務災害、労働災害、そして今回問題となった条例公務災害に分かれている。その適用関係も分かりにくく、制度設計も不合理で、結果として公務災害隠しや申請の自粛につながっていることは差別以外のなにものでもない。非正規公務員は、雇用、賃金、労働条件など様々な場面で格差を強いられ、それが放置されているが、生命や健康の補償についてまで甚大な格差・差別を強いられていることに、心からの憤りを感じる。

 

北九州市の制度は、職権により公務災害を探知し認定する「職権探知主義」にのみ依拠し、本人及び遺族からの請求を認めないという欠陥を有している。このため、職場の都合で公務災害として取り上げないなど誤った職権行使により「労災隠し」が可能となる余地を残した制度といえる。

 

北九州市だけでなく同様の制度を実施している自治体は、直ちに本人・遺族からの請求に道を開く制度改正をすべきである。

また、公務災害認定の判断を、一方的に使用者に委ねる現行制度にも大きな欠陥がある。

例えば、条例準則にある「公務災害認定委員会」については「意見を聞く」から「判定をする」機関に格上げすることなどによって、この欠陥を克服すべきである。

 

 私どもは「なくそう!官製ワーキングプア大阪集会」実行委員会は、2013年以降これまで4回の集会を開催し、非正規公務員及び公共労働に関わるすべての労働者の雇用、賃金、労働条件の改善、格差の是正に取り組んできたが、今回の北九州事件は、労働者の生命そのものに関わる重大事件と受けとめ、二度とくり返さないことを自治体、そして労働組合、議員へも呼びかけ、総務省及び厚生労働省など関係省庁へも改善を求めていく。
   
2016年12月19日 
     なくそう!官製ワーキングプア大阪集会 実行委員会
 
*なお、本声明はNPO法人官製ワーキングプア研究会が作成、公表したものを元に作成した。