日韓合意は、安倍政権が米国を使って無理やり日本(右翼政権)に有利な「決着」を韓国に強要したもので、そのために韓国では最初から受け付けられておらず、前政権の汚点となっている。
だから「10億円を返して再交渉を」といった意見が根強い。
なのに日本では、政府の言いなりになるバカなメディア報道のために、国民の大多数は洗脳されて、日韓合意を見直さなくていいという、非対話の意見となっている。
これに関して、前維新の会現民進党(神戸市選出)の井坂信彦衆議院議員が「日韓合意の法的拘束力に関する質問主意書」を提出していた。
彼は右翼的な観点から質問していて愚かと思うが、結果的に大事な質問で、法的拘束力がないことが浮き彫りになるので、これは追及されるべきだが、なんと政府はまともに答えず逃げている。
政府答弁は、日韓合意の法的拘束力については一切答えられないものとなっている。メディアもこの点をちゃんと見ていない。
井坂は憤っているが、日本政府が「確約を得たものと受け止めている」という日韓合意は、見通しが立っていないのが現状であり、それはそもそもこの合意がまともなものでなく、韓国前政権がかってに締結したいいかげんな「合意」であり正式な法的拘束力あるものではないからである。
法的知識のない人によくわからずに判子を押させた契約は無効である。韓国国民、慰安婦当事者、その支援者たち、の大多数が反対するものを米国の力を使って押し付けておいて、何が「最終的かつ不可逆的に解決」だ。弱者に押し付けて契約守れというのはやくざと同じではないか。
******
日韓合意の法的拘束力に関する質問主意書
提出者 井坂信彦
二〇一五年十二月二十八日、日韓外相会談が行われ、両外相による共同記者発表が行われた。この記者発表により、日韓両国間の、いわゆる「慰安婦問題」が「最終的かつ不可逆的に解決」されることが確認された。その中で、「韓国政府は、日本政府が在韓国日本大使館前の少女像に対し、公館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても、可能な対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて、適切に解決されるよう努力する」と慰安婦像についても言及がなされた。
ところが、一年後の二〇一六年十二月三十日、韓国南部・釜山の日本総領事館前に慰安婦像が、市民団体や学生によって設置された。日本政府は、この慰安婦像を「ウィーン条約に規定する領事機関の威厳などを侵害するものと考えている」と指摘して、撤去することを韓国政府に求め、
1)在釜山総領事館職員による釜山市関連行事への参加見合わせ
2)駐韓大使や在釜山総領事の一時帰国
3)日韓通貨スワップ取り決め協議の中断
4)日韓ハイレベル経済協議の延期
を決定した。
二月十七日、岸田文雄外相は、ドイツ西部のボンで韓国のユンビョンセ外相と会談し、「撤去を強く求めた」と報道された(二月十八日付産経新聞)が、いまだに新たな慰安婦問題の解決の進展は見られていない。
日韓間のいわゆる慰安婦問題については、一九六五年の日韓請求権協定にすでに「完全かつ最終的に解決」とされていた。それにも関わらず「慰安婦問題」はこれまで、幾度となく日韓関係を悪化させる問題として繰り返されてきた。
平成二十八年一月十四日提出、井坂信彦提出の質問主意書「日韓外相会談後の日韓外相共同記者発表に関する質問主意書」に対する政府答弁では、慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に解決」されたことについて、「政府としては、韓国政府の明確かつ十分な当該合意に対する確約を得たものと受け止めている」と答弁しているが、これまでの日韓間の取り決めもすべて、確約を得てきたはずである。それにも関わらず、何度も「可逆的」な対立が繰り返されてきた。
慰安婦問題を不可逆的に解決するため、以下の質問をする。
一 日韓外相共同記者発表は両国ともに法的拘束力を持つのか
内閣法制局長官を歴任した小松一郎氏の著書(小松一郎「実践国際法(第二版)」信山社、二〇一五年)によると、「共同記者発表」という日韓合意の形式は、政府の政策意図等を法的な権利義務を設定しない形で対外的に発信することが主な目的とされ、当事者に対する拘束力は政治的・道徳的なものにとどまるという。
二〇一六年一月八日の衆議院予算委員会において、自民党の平沢勝栄議員は「今回の合意を、外相同士の記者会見という形で発表されたわけですけれども、今回の合意というのはどの程度の拘束力を持つものなのか」と質問している。
それに対して岸田外務大臣は、両国の首脳間で確認された合意であること、両国民の前で、そして世界を前にして力強く合意について明言したことを強調して、「大変重たいものである」と述べるのみで、自民党の平沢勝栄議員の「今回の同意というのはどの程度の拘束力を持つものなのか」という問いに一切、答えていない。
そこで改めて、自民党の平沢勝栄議員と同様の問題を問う。二〇一五年十二月二十八日に公表された日韓合意は、どの程度の拘束力を持つものなのか。法的拘束力を持つのか。
二 「国際約束である文書」にすべきだったのではないか
前述の小松一郎氏の著書によれば、外交上作成される文書には、「国際約束である文書」と「国際約束ではない文書」に大別されるという。「国際約束である文書」は、当事者間に国際法上の権利義務を設定するもので、「条約」、「協定」、「憲章」、「交換公文」、「合意された議事録」などの標題を含むものとされている。一方、「国際約束ではない文書」とは、当事者間に国際法上の権利義務を設定しないもので、通常、「共同宣言」、「共同声明」、「共同発表」、「共同コミュニケ」、「共同新聞発表」等の標題が使用され、日韓外相記者発表はまさに「共同記者発表」にあたる。
中村耕一郎『国際「合意」論序説-法的拘束力を有しない国際「合意」について』(東信堂、二〇〇二年、九八頁)によれば、各国は、法的拘束力を有しない国際「合意」を用いることに様々な利点を見出しているという。ただし、「法的拘束力を有しない国際『合意』が国際政治における有用な『道具』であるので、不遵守によってこれを乗り越える利益が見いだせない限りは、これを使い続けることに相互利益を見出し得る」と述べている。つまり、相手国が「合意」を遵守しない可能性が高い場合には、法的拘束力を有しない国際「合意」は、相互にとって利益のない、意味のない「合意」ということになる。
二〇一七年一月二十日付産経新聞によると、同問題に関する韓国国内の訴訟で韓国政府は、日韓合意のような形の国家間の約束は「相互の信頼に基づく政策遂行上の合意だ」としつつも、「合意は法的拘束力を持つ協定ではない」と説明したとされている。
前述したように、日韓間のいわゆる慰安婦問題については、一九六五年の日韓請求権協定にすでに「完全かつ最終的に解決」とされてきた。それにも関わらず「慰安婦問題」はこれまで、幾度となく日韓関係を悪化させる問題として繰り返されてきた。そして今回の日韓合意においても日本政府が「確約を得た」にも関わらず、またしても問題が解決できない状況が続いている。
専門書に記されているように、法的拘束力を有しない国際「合意」は、相手国が遵守しない可能性が高い場合、相互にとって利益のない、意味のない「合意」ということになる。これまで何度も何度も繰り返されてきた、日韓関係の問題は、法的拘束力のある、「国際約束である文書」にするべきではなかったのか。政府の見解は如何に。
三 今後の可能性について
今後、前回並みの合意内容を「国際約束である文書」として日韓両国で作り直すことを検討するか。政府の見解は如何に。
「定義が定かではない」や「お答えできない」などの答弁ではなく、慰安婦問題の不可逆的な解決を望む国民の強い気持ちを込めた質問であることをご理解いただき、誠実なご答弁をされることを望む。
右質問する。
答弁本文情報
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b193110.htm
平成二十九年三月十七日受領 答弁第一一〇号 内閣総理大臣 安倍晋三 衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員井坂信彦君提出日韓合意の法的拘束力に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員井坂信彦君提出日韓合意の法的拘束力に関する質問に対する答弁書
一及び二について
平成二十七年十二月二十八日の日韓外相会談で確認された慰安婦問題に関する合意(以下「当該合意」という。)については、同会談で岸田外務大臣が尹炳世韓国外交部長官と協議を行い、韓国政府としての当該合意に対する確約を直接取り付けたものであり、また、同長官は、同会談後の共同記者発表の場で、当該合意を日韓両国民の前で、国際社会に対して明言した。さらに、当該合意は、同日の日韓首脳電話会談でも確認された。
したがって、政府としては、韓国政府の明確かつ十分な当該合意に対する確約を得たものと受け止めている。
三について
政府としては、日韓両政府がそれぞれ当該合意を着実に実施することが重要と考えており、引き続き、韓国政府と緊密に連携していく。
日韓合意の法的拘束力に関する再質問主意書
平成二十九年四月十二日提出 質問第二二六号 提出者 井坂信彦
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a193226.htm
日韓合意の法的拘束力に関する再質問主意書
井坂信彦提出の「日韓合意の法的拘束力に関する質問主意書」の問題意識は単純で、平成二十七年十二月二十八日の日韓外相会談で確認された慰安婦問題に関する合意は、日韓両国ともに法的拘束力を有するのかというものであった。
しかし、それに対する政府の答弁は、「確約を得たものと受け止めている」という、日本政府が相手国の政府の認識とは関係なく、一方的に受け止めている独善的な回答となっている。韓国の現状はどうか。当時の朴槿恵政権は崩壊し、現在は、黄教安首相が大統領を代行している。五月九日と言われている大統領選挙の結果を待たずしても、日本政府が「確約を得たものと受け止めている」という日韓合意は、見通しが立っていないのが現状ではないか。
日韓問題で同じ過ちを繰り返さないために、簡潔に以下の通り質問する。日本政府の「確約を得たものと受け止めている」、「国際社会に対して明言した」という従来の答弁は、これまでの質問主意書で何度も用いられた答弁のため、同様の繰り返しを避けた誠実な答弁を求める。
一 平成二十七年十二月二十八日の日韓外相会談で確認された慰安婦問題に関する合意は、日韓両国に法的拘束力を有しているのか。法的拘束力を有していないと理解してよいのか。法的拘束力の有無という事実関係について答弁を求める。
二 前回の答弁書は「合意に法的拘束力は無いが、政府としては、韓国政府の明確かつ十分な当該合意に対する確約を得たものと受け止めている」、「合意に法的拘束力は無いが、政府としては、日韓両政府がそれぞれ当該合意を着実に実施することが重要と考えており、引き続き、韓国政府と緊密に連携していく」という意味の答弁であると理解してよいか。
右質問する。
答弁本文情報
答弁第二二六号 内閣衆質一九三第二二六号 平成二十九年四月二十一日
衆議院議員井坂信彦君提出日韓合意の法的拘束力に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員井坂信彦君提出日韓合意の法的拘束力に関する再質問に対する答弁書
一及び二について
お尋ねについては、先の答弁書(平成二十九年三月十七日内閣衆質一九三第一一〇号)でお答えしたとおりである。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞