ソウルヨガ

主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

慰安婦問題  朝日新聞記事の限界

慰安婦問題では、いまだ日本社会は認識が国際的客観的視点から大きくゆがんでしまっている。

そんな中、朝日新聞が2回にわたって日韓合意がなぜ反発されるのか探る記事を書いた。

●(慰安婦問題と韓国の国民情緒:上)慰安婦合意、反発の背景 2017年6月28日、

●(慰安婦問題と韓国の国民情緒:下)合意推進、財団に葛藤 2017年6月29日

前半記事では少し韓国内部の状況も紹介しているが、和解財団という韓国政府側の人物の取材が多く、運動団体側の主張は不十分で、記事では大事な点が欠けていた。

つまり全体として、少し韓国側から見ようとしたが、なぜあの日韓合意がだめなのか、何が足りないのか、(何を避けているがゆえに安倍政権が喜んで合意したのか)そこが大事なのに、そこへの言及がなくて、ただ「合意には意義があるのに正しく報道されていない」、「韓国内では建前として合意を受け入れにくいんだよねえ」というニュアンスの記事になっている。 これでは反発の背景をちゃんと調べていないといえる。

産経新聞などに比べればましだが、100点満点の20点程度の記事で完全に落第だ。 これでは、韓国・釜山市議会が日本総領事館前の「少女像」を市が保護することを可能にする条例案を全会一致で成立させている状況も理解できないだろう。

*** f:id:hiroponkun:20170630115827p:plain

そして相変わらず、日本政府は反動的な対応をとっている。これで「未来永劫的に解決した」と言えるのか、考えればすぐにわかることだ。

チャンと謝罪しまともになったからこその関係改善=解決なのに、何ら反省していない態度をとっているから日韓合意の建前にも反しているのは日本だ。

慰安婦の人に会って謝罪する気はない、手紙さえ送る気はない。金払ったんだから早く慰安婦像を撤去しろ」という安倍首相。 そこに本質・本音が出ているから韓国は怒っているのだ。

 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が米ワシントン・ポスト紙のインタビューで、慰安婦問題について 「(解決するためには)日本政府がその行為について法的責任を受け入れ、公式に謝罪することだ」と発言した。 また文氏はロイター通信のインタビューで「日本は、慰安婦問題を含む韓国との歴史問題を解決するための十分な努力をしていない」と指摘。 当然の主張だ。 だがこんな当然のことさえ、日本政府は韓国政府に抗議した。

この態度こそ、日韓合意なんて、日本は何も本当には反省も謝罪もしていないよ、何の解決にもなっていないよということを示している。

この状況は以下のようなことと同じだ。

ある人をいじめた子供(加害者)側がいじめられた被害者に「謝罪の手紙とお金」を送ったが、会っての謝罪は断り、陰で友達などにと「別に悪くないと思っている」、「金を少し払ったら黙りやがった」「金が欲しいだけだろ」などと言っているようなものだ。 送られた手紙は大人(加害者の父親と弁護士)が勝手に作って送ったものだったというようなもの。

そこには「この同意書でこれでもう今後は何も言わないという記述がある」「被害者がネットに書いていた意見も消去するように書いてある」ようなもので、加害者にとても都合のいいもので、加害者本人は本当には何も反省していない、父親と弁護士が対処したものだったというようなものだ。

そして問題は被害者の兄が馬鹿で、うまく相手の弁護士の言葉に騙されてお金と合意書を受け取ってサインしてしまったということ。被害者本人や友達はこの合意に納得していないのに、兄が勝手にサインしたので、兄との関係が悪くなっているということ。加害者側弁護士が「『最終的かつ不可逆的解決』を確認している」といっていて、被害者は、「兄が勝手に書いたもので自分は納得していない」と言っている状況。

そして今回、被害者の親が弁護士と相談して、子供当事者の気持ちを聞いて、兄を叱って、勝手に契約を結んだのは間違いだったといっている状況。もう一度被害者の気持ちを中心に、加害者側と話し合いをしていこうとしているのだが、加害者側が「もう契約したし、金払ったし、早くネットの書き込み消せ」と言っている。チャンと被害者に会って謝ってほしいといっても、いやだ、毛頭考えていないといっている状況。

***

本当に慰安婦問題を解決したいなら、問題の本質を理解し、心から正式に日本政府が謝罪し、国家で賠償し、再発防止のために未来に向かってこの問題を記録し教育していくことが必要である。 日韓合意はそこを徹底して避けていた。

慰安婦像を残すことに同意することこそ、反省を示すものだろう。 f:id:hiroponkun:20170630120030p:plain

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞