ソウルヨガ

主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

『主流秩序と労働―――高賃金、安定の正社員、結婚を目指すような労働運動ではなく』

労働についてまとめたものを電子書籍としてアップしました。

『主流秩序と労働―――高賃金、安定の正社員、結婚を目指すような労働運動ではなく』( 2017年8月発行、電子書籍kindle版、アマゾンで購入可能)

アマゾンで検索すれば見つけられると思います。

https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%BB%E6%B5%81%E7%A7%A9%E5%BA%8F%E3%81%A8%E5%8A%B4%E5%83%8D-%E9%AB%98%E8%B3%83%E9%87%91-%E5%AE%89%E5%AE%9A%E3%81%AE%E6%AD%A3%E7%A4%BE%E5%93%A1-%E7%B5%90%E5%A9%9A%E3%82%92%E7%9B%AE%E6%8C%87%E3%81%99%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AA%E5%8A%B4%E5%83%8D%E9%81%8B%E5%8B%95%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%8F-%E4%BC%8A%E7%94%B0%E5%BA%83%E8%A1%8C-ebook/dp/B074HFD3F6/ref=sr_1_3?ie=UTF8&qid=1501754932&sr=8-3&keywords=%E4%BC%8A%E7%94%B0%E5%BA%83%E8%A1%8C

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内容紹介

本書は、労働について私が過去に書いたものの一部を集めたものである。私はもともと、労働経済・社会政策を学び研究するものだった。大学院生のころは実態を知ろうとしてダイハツの自動車工場で働いたこともある。1990年代にはコミュニティ・ユニオンのなかの、特に非正規労働について、シングル単位論を基礎に、論じたり講演したり、研究会に参加したり、調査に行ったりユニオン活動に参加したりした。

その頃の考えをまとめたものとして、非正規労働の問題を中心にして、1997年に「年功制システム、家族賃金、正社員中心主義を廃止して、シングル単位の労働システム、同一価値労働同一賃金に変えていくことが必要」といった内容の拙著『21世紀労働論――規制緩和へのジェンダ-的対抗』(青木書店1998年)を出版したことがある。

2000年代になって私は徐々に生きるスタンスを変えるようになっていき、通常の労働運動への期待とか、労働問題研究者として存在し続けるということから離れ、2007年からは「ユニオンぼちぼち」に加入して団交や労働相談の経験を積み重ねた。

いま、研究者というより、具体的な各人が労働関係で困ったときに、対処できる力をつけられればいいなと思って、労働者の権利教育をしたり、具体的な相談にのったりしている。それを反映した、労働者の権利を学ぶ本が、伊田広行・橋口昌治・肥下彰男著『<働く>ときの完全装備──15歳から学ぶ労働者の権利』(解放出版社 2010年)である。 これは2016年に法律の改正なども踏まえて大幅に書き替え、書き加えて『新版 <働く>ときの完全装備』として新たに出しなおした。

働くことは権利だし、生きるうえで重要だが、働かないといけないというのも、能力主義であって、広く「働く」ということをとらえ返すことが重要というのが私の立場だ。一言でいえば、「働かない権利」「だらーとそこそこ非正規で働いても、週3日くらいの労働でも生きていけるようにしよう」ということ。ここには脱成長、スロー、ダウンシフト、生活保護の問題やベーシックインカムの議論もかかわるが、それは「貧困問題と主流秩序」という別の本で扱うので本書では割愛する。「LGBTと労働」のテーマも、別の本のほうに収録する。

なお、私の労働へのわかりやすい語りは、「仕事の絵本」シリーズ第5巻『これからのライフスタイル』(絵・後藤範行、大月書店、2007年)でも示している。 新自由主義的な優勝劣敗社会の中で、「勝ち組」をめざすのではなく、「短く働く」ことを大事に、「ワーク・ライフ・バランス」を追求しよう、ダメな仕事はやめて、スローの発想で、少ない消費で楽しく、ちゃんと生きていこう、と提案している。かなり新しい考え方も入れ、なんとか、「エリートでない普通の人」がサバイバルできるようにと、考え方の援助をしようとした、微妙なバランスを追求した本である。 アンペイドワークの再評価、NPO,社会的起業など、新しい働き方も射程に入れ、いい仕事をみつけて、ぼちぼちやっていこう、人生を何度もやりなおしていけばいいじゃない、という精神で書いた。 「絵本」だが、かなり密度濃く、さまざまな情報と思想を詰め込んでいるし、スピシン主義の精神を隠し味にしている。若者に説教するのではなく、ともに苦悩するような大人が増えてほしいなと思って書いた。生き方、働き方を模索するひとに伝わるように思って書いた。それは後の主流秩序論につながっている。 これもぜひ読んでいただきたい。

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本書は、上記以外でこれまで書いてきた労働関係もので皆さんと共有する価値のあるものを再編集したものである。 まず主流秩序論の観点から労働についていえるいくつかのことを書いたブログ記事などを載せた。主流秩序との関係でいえば、大手労働組合などが主流秩序の上位者、加担者になっているということなどを指摘した。 次に2章では、労働者の権利教育の在り方についてまとめたものを載せた。これは今後若者にぜひとも必要な教育なので、多くの人に読んでほしいと思っている。 第3章では、昔<スピ・シン主義>といういいかたで運動と生き方の方向を考えた論考を載せた。従来の労働運動の在り方を超えて、一人一人の生き方を主流秩序とむきあいつつ作っていくようなことが大事ではないかと、提起している。 第4章では、社会システムとしてまともな労働状況になるには、社会民主主義をベースに個人単位型に労働も社会保障も設計することが大事だという話を書いた。 第5章では、政府推進のワークライフバランス論を批判する形で、もっと深いところから私たちの生き方と働き方を変えることが重要ということを書いた。 そして6章では、同一価値労働同一賃金、アンペイドワーク、働きすぎなど様々なテーマを通じてスローな生き方とセットの労働にしよう、つまり主流秩序から離れるような労働の方向性のエッセイを集めた。

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 目次 1 働くべきという主流秩序に抗して・・・・・・・・・・・・・・・・6 2 すべての子どもたちに「労働者の権利」教育を・・・・23 3  労働を<スピ・シン主義>から考え直す・・・・・・・・・・40 4 労働のあり方をめぐる3つのシナリオ―――社民主義に対応したシングル単位型の社会へ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・104 5 主流秩序・反貧困の視点から、お仕着せのワーク・ライフ・バランス論を斬る ・・・113 6 労働について、主流秩序の観点からもっと幅広く考えて選んでいこう・・152 おわりに・・・・・・・176

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ かなり古いものも掲載したが、私が考えて話してきたこと、書いてきたことをあまり知らない人には、今でも新鮮ではないかと思う。日本の政治・政策のレベルでは全くr古びていないので、考え方の基本を形成していくうえで、せめてこの地点を乗り越えて、次を考えてほしいと思う。 AIによって単純労働から解放されるとか言っている人もいるが、あまりに現実を知らないと思う。一部が機械化されたりロボット化されても、今と同じように忙しく働かされる人は存在し続ける。サービス業は変化を続けながら拡大していく。技術によって問題が解決するのではなく、思想と実践と各人の生き方の選択によって未来は変わるのだ。 また慰安婦問題をどうするのかといったこともAIでは何もできない。 なお、ベーシックインカム論とか、非正規労働の各論とか、私がこれまで言及してきたことはほかにも多い、それらについてはまた次の本でまとめていくこととしたい。

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