ソウルヨガ

主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

面会交流について ―――実態知らない学者

実態を知らない学者や弁護士―――共同親権、シングル単位、DVを総合的に考えよ

私はDV加害者や被害者に会い、加害者プログラムをおこない、DVについて学んできたので、実態をしらない意見(現実を悪化させる荒唐無稽な意見)には憤りを覚える。

朝日新聞に昨日2017年9月21日に載った大森貴弘常葉大学講師(憲法学)の共同親権についての意見を読んで驚いた。馬鹿な学者(弁護士、政治家等)の典型で実態を知らないにもほどがある。

●掲載された意見

「私の視点)離婚後の子育て 共同親権で親子の関係守れ 大森貴弘

大森氏は、一面的に「子の健全な発達には両親が必要」という側面からだけ論を進めて、驚くことに4月の「伊丹 面会交流で父が子供を殺した事件」についても、ちゃんと面会交流させなかったからだという驚くべき暴論を述べている。

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この事件の概要(イダまとめ)

2017年4月伊丹市、離婚した元夫が面会交流で子どもを殺して自殺

 2017年4月23日、伊丹市で、武田康平(40)が離婚後の面会交流で子ども(娘、4歳)と会った日に、子どもを殺して自分も自殺した。 長女は両親が2016年11月に離婚したあと、母親と一緒に暮らしていたが、父親の求めに応じて、事件までに3回、父と子供は会っていた。月に1回面会するということが正式に決まって、4月の事件当日はその初回だった。 事件当日、まず父親は別居する元妻・娘と面会し、そのあと娘とだけ出かけていた。面会時間が終わっても娘が戻らず、元夫と連絡が取れないため、午後7時半ごろに元妻が伊丹署へ通報した。 警官が元夫の家に言って倒れている二人を発見した。 元妻は、面会交流支援団体の利用をすすめられていたが、遠方であることと費用が掛かることから断っていた。

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当初の報道では、正式に審判で面会交流が決まってからの初回だということだけが流れて、それまで一度も会わせなかったかのような情報も流されたため、親子断絶防止法を推進する立場と思われるこの大森氏は「ちゃんと面会させないから事件が起こった」という趣旨で間違ったことを述べている。

彼の言葉を引用しておこう。

「事件当日まで約3か月間、面会はなく、父と娘は引き離しの状態にあった。父親は娘と会えぬ悲しみから精神科に通院していたという。(殺人事件の)原因は親子断絶による父親の精神状態の悪化にある。面会交流が継続されていれば事件は起きなかったはずで、親子断絶の問題を告発した事件と言える。」(大森)

大森氏が述べているのは、先進国で共同親権を認めていないのは日本だけだ、親子断絶防止法が子供の利益になるから成立させるべきだということ。そして上記のようなことを述べた。 笑えるほど無茶苦茶な主張だ。

まず事件当日までにも父と娘は会っているので、「約3か月間、面会はなく」という大森氏の主張は事実に反している。「会えないから病気になった」という主張も根底がくずれる。

父親は娘と会えぬ悲しみから精神科に通院していた」というが、それは推測が入っている。この元夫は朝日新聞取材によると、「物に当たり、ささいなことで朝まで説教を続けた」という人物だ。つまり程度は不明だがDV的な夫であった。 そのため妻は精神的に追い詰められて昨秋、離婚した。

父親(元夫)が、いつから精神科に通ているかは不明である。離婚前からか、離婚後か。離婚を言われたから精神科に通ったのかもしれない。それなのに、大森氏は「父親は娘と会えぬ悲しみから精神科に通院していた」と決めつけている。自分の主張のために強引な論の運び方だ。

次に「(殺人事件の)原因は親子断絶による父親の精神状態の悪化にある。面会交流が継続されていれば事件は起きなかったはずで、親子断絶の問題を告発した事件と言える。」 という部分は、 学者とおもえない―――いや、実は学者なんてこんな程度の人物が多いがーーーほどの論理の飛躍だ。

伊丹事件から導かれるのは、面会交流のむつかしさ、特に暴力性/DV歴のある父(母)との面会をどう安全に行えばいいのかという課題が投げかけられているということだ。簡単に面会交流すればいいという話ではない。

それなのに、大森氏は強引に、「面会させなかったために父は精神的に病気になって事件を起こした。面会させていれば事件は起きなかった」→「だから親子断絶防止法を成立させろ」というように主張している。

「面会交流が継続されていれば事件は起きなかったはず」などという論にはなんの説得力もない。賛成の拍手が起きるのは、反フェミの立場で親子断絶防止法を作ろうという集会を開催している場所だけだろう。(これ推測。 笑)

大森さん、事件の悪用もいい加減にしてほしい。

実態を知らないので、自分が言いたいことを言うために強引に「論」を展開してしている。「AだからB」という場合には実はよく飛躍がある。隠れた前提がある。形式的な「論理的というもの」には疑ってかかることが大事だ。

だがこの問題に気付いている学者は少ない。大森氏は特にそうだ。(これについては拙著『スピリチュアル・シングル宣言』参照。ここでは説明省略)

精神的に病気になった理由も明確ではないし、精神的に病気になっていなくても、面会交流で子供に悪い影響を与える可能性も実態もある。 面会していても父親は病気になるかもしれない。面会していても、事件は起こったかもしれない。大森氏の「面会していれば事件は起きなかったはず」という断定はおかしい。

実際、DV離婚後、面会交流でもめるのは、精神の病気の有無とは関係なく、危険性のある夫に会わせて大丈夫なのかということだ。殺人や傷害事件ももちろん心配だが、そこまででなくても、 子供に怒る、たたくようなことがあって子どもを怖がらせるかもしれないという心配があり、それは当然だろう。

また 「子供の前で妻の悪口を言う」「好きなものを買ってあげたり食べさせたり甘やかし、優しくいい父の役割を演じられるので、子供が混乱する」「お父さんは寂しい、つらい、などと言って子どもを使って同居/復縁に持ち込もうとする」というようなことがあることも、再び子供を使ったDVであるが、面会交流にはその危険性がある。

そうしたことを真摯に受け取めて「どういう面会交流:共同親権にしていけばいいのか」を考えるのではなく、 親子断絶防止法を成立させればこの種の事件が起きないなんて、まったく論理的説得力がないし、無責任でバカな意見だ。

親子断絶防止法の危険性を認識して、ちゃんと安全性を担保しないといけないのに、それが分かっていないので、この学者さんはダメだ。あきれるほど。

DVの実態を、ちゃんと被害者とあって、たくさんDVに関する本も読んで勉強しろと言いたい。加害者プログラムについても学べといいたい。実態を知らないで論だけで得意になる学者や弁護士が多くて困る。

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私の「親子断絶防止法」へのスタンスはこれまで何度ものベてきたが、ここに再度載せておこう。 前提としてシングル単位論の理解が必要で、そこが分かっていない人もおいが、その話は省く。

まず私は北欧の実態を踏まえて、フェミニストでありかつ、共同親権論者である。

私は加害者プログラムの中で、真摯にDVを反省し、子供に会って償っていこう、愛情を正しく示していこうと思う加害者を知っているので、面会交流をすすめることには一定の意味があるとは思っている。

しかし、親子断絶防止法には問題が多く今このままの導入にはマイナスが多すぎる、と思っている。DV被害者支援の側の懸念を払しょくするような担保をつけて、まともな法律にしないといけない。

フェミニズム的な思想の人たちがイデオロギー的に戦いの場として、面会交流や共同親権を悪用すること、議論を踏まえずに強行採決することには絶対に反対。

「DV被害を受けて子供を連れて家から逃げる女性を妨害する側面があること」は絶対に反対。

DV夫から子どもと女性が逃げることは、「拉致、連れ去り、誘拐」ではない

この法律が成立すると被害者が逃げ出そうとしたとき子どもを置いて逃げるしかなくなってしまう.可能性がある。 「それなら逃げない」と判断する母親も多くなる.だろう。それはDV被害者に被害を甘んじて受け続けろというように働く。

つまり、反省していないDV加害者に有利な法律になる側面が強い。

この法律案の、離婚を抑制しようとしている面には反対。 実態が破たんしているなら、シングル単位で離婚は決定できるようにすべき(破たん主義)。

離婚がよくない、単親家庭が子供によくないというのも有害な偏見 。

「子どもの立場、人権」を考えるからこそ、DV環境から離すことが大事。

加害者父親が子ども を連れて逃げるというようなケースは少ないので、この法律を急いで通す必要はない。

私は、北欧社会がそうであるように、人権感覚がすすみ男女平等がすすみシングル単位的に考えれば共同親権を導入すべきと考える

暴力的でない「普通のまともな親」なら離婚後も当然子供を愛し続け、養育の責任を負うべきだから。 子どもにとってもどちらのお茶とも会える権利が保障されるべきだから。

DV加害者の場合、DV 加害者が真摯に反省して、償う行動の一部として、子供に会って謝罪し、子供の心に愛情を与えていくのはあるべき姿。

しかしそんな親は、実態は少数。

DVを反省せずに相手が悪いと思っていて、敵対的になっているような加害者が、面会交流や共同親権を得たら、子供や被害者にマイナスの影響が及ぶ。

この法律によって、養育費が安くなるとか、なんでも相手に許可をもらわないといけないとか、加害者が被害者を邪魔するような面、嫌がらせしやすくなる面がありうる。

子どもの自己決定の自由が制限される面もある。 「会わせないと罰則」というようなのはもってのほか 。 「嫌がらせ、さらなるDV、敵対のための手段」になってはダメ。

養育費を支払っていない親は約8割といわれており、これがおかしい。 まずは北欧のようにパーソナルナンバーで夫の居場所や収入を補足して絶対に養育費を払わせる仕組みにすること(国による養育費建て替え制度の確立)

私は、離婚は避けられないと思うので、離婚後も親が憎みあわず、仲良く交流し、拡大家族になるのが理想の方向と思う。私が共同親権を言うのはむしろ、皆がそのように、離婚してもまともな親として子どもにかかわるのが当然だから。

しかしそれは理想の方向で、北欧や西欧の一部ではだいぶ進んでいるが、日本では現状はそれができない親が多い。

面会交流には、養育費の支払いと(DV加害歴がある場合は)加害者プログラム参加を前提とすべき

そして子供の意思を優先して尊重すること(子供が自己決定力を持てる一定年齢になれば、子供に会う/会わないことを決める権利がある) 面会において第3者の監視があること、(面会交流支援団体の利用)

相手の親を悪く言わない等「面会交流のルールを守れる」ようにすべき(=離婚カップルへの教育の義務づけ) 「まともな親になる教育プログラムの受講義務化」されない中では面会交流も共同親権も現実的にはまずい結果をもたらす。

以上

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◆実態を知らない学者/弁護士という話の関連で

私はDV被害者側の弁護士も、加害者側の弁護士も、それぞれ、被害者と加害者の両方にあうべきだと拙著で展開しているが、まだこの意味を考えようともしなヒトばかりでこまったものだと思っている。 また「相互DV」という概念もちゃんと受け止めて考えようとしない人がほとんどなのでこまったものとおもう。

これについては、 拙著『デートDV・ストーカー対策のネクストステージ』 『デートDV/ストーカー蔓延の実態と背景』 『続 デートDV・ストーカー対策のネクストステージ』 「デートDVと恋愛」 を参照のこと。

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●朝日記事に欠けているところ

なお、朝日新聞が今日、以下の記事を掲載したが(ネットでは一部だけ)、加害者プログラム参加と養育費の支払いを面会交流の前提条件にするということを指摘していない点で、取材不足である。

朝日新聞記事 「元夫と4歳の娘、面会交流初日に無理心中 謝り続けた母」 石田貴子 朝日2017年9月21日21時38分

 兵庫県伊丹市で今年4月、離婚後に離れて暮らす親子が会う「面会交流」の最中に、4歳の女児が亡くなった。父親が無理心中を図ったとみられている。面会交流を求める親も増えている一方、裁判に発展するケースもある。安心して会えるようにと支援する動きが広がっている。  マンションの一室で松本侑莉(ゆうり)ちゃん(4)と父親(40)が死亡しているのが見つかったのは4月23日。月1回と決めた面会交流の初日だった。首をつった父親の下に、首を絞められたとみられる侑莉ちゃんが倒れていた。  物に当たり、ささいなことで朝まで説教を続けたという父親。精神的に追い詰められた母親(39)は昨秋、離婚して一人娘を引き取った。面会交流は養育費をめぐる審判の場で月1回と合意した。母親は顔を合わせないようにするため、父親の実家に侑莉ちゃんを預け、その後、父親が遊びに連れ出すことになった。  事件が起きた日、父親と侑莉ちゃんは買い物や映画に行った後、もともと3人で暮らしていたマンションへ向かった。防犯カメラには侑莉ちゃんのうれしそうな姿が映っていた。ところが、夕方、約束の時間になっても父親と連絡がつかない。警察に届け出て事件が発覚した。  それまでも求めに応じ、3回面会していたが、問題はなかった。「元夫には嫌な思いをしたが、侑莉はパパが好き。子どもの気持ちが一番だと思っていた」  離婚後、父親は会社を休み、通院していたとみられる。「もし事件前に知っていたらもう少し様子をみたと思う」。元気に「行ってきます」と言って出かけていった我が子。変わり果てた姿に謝り続けた。「ごめん、ごめん、ごめん。助けてあげられんくてごめん」  どうすればよかったのか。母親は今も悩み続けている。 記事は続きあり

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