ソウルヨガ

主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

『「DVと虐待」対策・改善提言2020』という本ができました。

ひさしぶりに書くでー。


昨年から書き続けていた『「DVと虐待」対策・改善提言2020』という本を出しました。アマゾンで購入できます。私が今行っているDV加害者プログラムの内容を含めた、「DVと虐待」を一体のものとして対応すべき改善点を書き込みました。参照していただけ得れば幸いです。 

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伊田広行『「DVと虐待」対策・改善提言2020   ―――野田市小4女児虐待殺人事件を契機にした、DV加害者更生教育の経験からの「DVと虐待」への提言レポート』

2020年3月発行 電子書籍&POD版(ペーパーバック)

306ページ
アマゾンのHPで「伊田広行」で検索していただくと購入できます。
https://www.amazon.co.jp/s?k=%E4%BC%8A%E7%94%B0%E5%BA%83%E8%A1%8C&i=stripbooks&__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&ref=nb_sb_noss
アマゾン内の書籍ページ
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B0863TM91C

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●目次
第1章 野田市事件の流れ
第2章  野田市虐待死事件で明らかになった問題点・不足点と改善点
2-1 関係者の無責任な醜態の数々と今後求められること
2-2 DVを理解していない母親バッシング問題
第3章 提言:加害者への長期更生プログラムの必要性 ――― 一時保護の解除の後のかかわり:加害者更生プログラムの経験から―――
3-1 加害者プログラムの必要性
3-2 加害者プログラムの内容
第4章 まとめ――必要な改善策の再確認及び提言
4-1 虐待対策の見直し
4-2 虐待に対するシステムの再構築
4-3 つねにDVの観点も入れて対処できるような意識の向上
4-4 児童虐待に関する組織・システムを変える――児相、市の子育て部門、警察、学校
4-5 関連の改革――情報共有、施設改革
4-6 責任ある対応――かならず調査する仕組み、結果責任をとらせる処分
4-7 DV対応の欠点の改善
資料  虐待事例、関連犯罪事件
●2018年、東京都目黒区・船戸結愛(ゆあ)ちゃん虐待死事件
付録資料 ――野田市事件の検証、法改正、現状の施策体系や いま進み始めている改革、などの情報
補論1 DVと面会交流――面会交流で子どもを殺した伊丹事件に関連させて
補論2 「受動喫煙」概念から考える「DVと虐待」――「間接虐待」と「受動的虐待加害」
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●内容紹介
本書はDV加害者プログラムの知見を虐待対策に入れ込むべきことを提起した書である。
千葉県野田市・心愛(みあ)さん虐待死事件は「DVと虐待」が絡み合っているにもかかわらず、DV側面に対する意識が低すぎたために起きてしまった事件であった。本書では「DVと虐待が関係しているケース」に対する対応の改善の提言を行う。まず、野田市事件の経緯を再確認し、現状の対応策の何が問題か、どういうことが足りなかったかを簡潔に記していく。メディアなどでの母親バッシングについても批判的に検討し、DV被害者の理解の重要性から見える結論、つまり、心愛さんの母親よりも責任あるものが誰なのかを特定する。そのうえで、筆者がDV加害者更生プログラムを行っている経験やジェンダーの観点を踏まえて、特に今後検討・実施されるべき重要な「DVと虐待」対応についての具体的改善策について提言していく。
虐待の本、DVの本はいろいろあるが、「DVと虐待が絡んでいるケース」を十分に失敗事例から学んで、DV加害者プログラムの視点までいれた提起した本はまだないと思う。
虐待関係者は、がんばっている人はもちろん多いが、DVの観点、特に加害者対策をどうししていったらいいのかがわからない人が多いと思う。
そこで、本書では、今の制度の良い点やうまくいっている点、がんばっている職員の実践に焦点を当てたり確認するのではなく、不十分性・不足点に関して、「このように考えて、このような制度・システムにしていくことがいいのではないか」ということを浮き彫りにしていく記述をした。すでに巷で指摘されている点もあるが、指摘されていない点も多く記述した。
日本社会で一挙にこれを実現するのは、人々の意識や政治(政権)と行政のレベルからして難しい点も多いが、できることから改善していくべきであること(同じような犠牲者を生みださないための緊急課題であること)は間違いないので、特にDV視点の導入、面前DV対策、DV対策自体の消極性の克服、加害者プログラム的なものを児童虐待対応にも導入すべきという点を中心に、現段階の「検証と対策」で欠けている点(避けられている重要な対策)、あるべき状態・意識・制度のポイントを提起した。
大きな枠組みを考える人が少ない中、DV分野の経験、とくに加害者教育プログラムの経験をベースに見えてきた問題やアイデアを指摘することにも意義があると思い記述した。虐待関係だけでなくDV関係の対策改善にも言及している。社会全体でようやく加害者対応の重要性が認識され始め、2020年においてDV加害者プログラムについても進展が見え始めている中、虐待対応の改善にもそれを反映したものが必要である。今後の「DVと虐待」をワンセットとした対応の改善において、および、虐待分野やDV分野の関係者・当事者の方々に、すこしでも本書の指摘が参考になることがあれば幸いである。
なお、目黒・結愛ちゃん事件も同様の問題を抱えているので、かなり詳しく「資料」の項で言及している。また補論で「DVと面会交流」に問題に関した論考も載せている。参照していただきたい。


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