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誰が朝鮮を「北朝鮮」と「韓国」分けたのか。

誰が朝鮮を「北朝鮮」と「韓国」に分けたのか。

 

ウーマンラッシュアワー村本大輔さんのインタビュー、紹介しておきます。

 

行ったことないヤツが言った「猫投げられる」 ウーマン村本大輔さん

行ったことないヤツが言った「猫投げられる」 ウーマン村本大輔さん:朝日新聞デジタル https://digital.asahi.com/sp/articles/ASQ3T4QTSQ3SPTIL02P.html?iref=sp_ss_date_article 

朝日新聞 聞き手・宮崎亮 2022/3/28 16:30

 

ウーマンラッシュアワー村本大輔さん。大阪市の「隆祥館書店」主催の独演会では、トークがさえ渡った=2022年2月4日、大阪市中央区、宮崎亮撮影

 

 

 お笑いコンビ・ウーマンラッシュアワー村本大輔さん(41)は近々、アメリカへ活動の場を移します。なぜ渡米するのでしょう。その理由を聞くと、これまで漫才のネタにしてきた原発や沖縄、朝鮮学校をめぐる「差別」の問題と深い関係があるようでした。インタビューを、前後編2回に分けてお届けします。

【後編】先輩芸人が「左翼からお金もらってるのか?」 ウーマン村本大輔さん

 

 

《日本初の人権宣言と言われる「水平社宣言」から、ちょうど100年となりました。もともとは「部落差別」の根絶をめざす宣言でしたが、社会のあらゆる人権問題の克服に向けた原点とも言われています》

 ある地域で、僕のライブによく来てくれる女の人がいます。あるお店でその人と一緒にいたんですが、その人は自分は被差別部落の出身だということを話していました。

 結婚している人なんですが、「結婚するときにも『この人は部落の人やから』とか言われた」と言うんです。

 お店の人も「その街を車で走るだけで、猫を投げられたりするらしいですよ」って言ってました。

 僕がそこで「俺、そこに行きたい」と言うと、お店の人は「いや、それはやばいっすよ」って。

 でも僕が「実際に車で走ったんですか?」と聞くと「いや、俺は怖くて走ってない」って。すぐ目の前の街なのに。

 そのとき僕は、そういうやつに限って「怖い」とか言うんやなと思いました。

自分が見たものしゃべりたい

 《猫の話のように、被差別部落についての根も葉もないデマをネット上の書き込みで見かけることがあります。ところで、なぜ村本さんは「そこに行きたい」と言ったのですか》

 行ってみないとわからないから。お店の人が、行ったこともないその地域について色々言っていること自体が、興味深いと思いました。

 「猫投げられる」というのは人から聞いただけの「伝言ゲーム」でしょ。でも僕は、マイクの前では最低限、自分が見たものをしゃべりたい。

 実際に行って猫を投げられなかったら、「『猫を投げられる』と言う人がいる街で、俺は猫を投げられなかったよ」って言える。「俺は」をより強く持ちたいんですよ。

 朝鮮学校の話をするときもそう。朝鮮学校に行ったら「俺は」こうだったよ、と。

 《現地で見聞きしたことを漫才のネタにすることが多い印象です。地元の福井県おおい町には原発があるのに飲食店が早く閉まって街が暗くなる、「電気はどこへいく~!」というネタとか。朝鮮学校を高校の授業料無償化の対象から外していることも取り上げています。朝鮮学校について語り始めたきっかけは》

 広島の通信制高校で教えている日本人の先生がきっかけです。僕の大好きなおっちゃんで、福島県南相馬市の被災地に(炊き出しで)行って、お好み焼きを作っているような人です。

 その通信制高校には朝鮮学校の子も(日本の高校の卒業資格を取るために)通っているんです。その先生は「僕の学校に通ってきている朝鮮学校の子たちが、授業をすごくよく聞いてくれる」と言っていて。それで、先生からその通信制高校の学園祭に来てほしいと言われて、行きました。

 朝鮮学校自体に初めてライブに行ったのは大阪の学校です。最初は(保護者会の)おばさんに無理やり連れていかれた(笑)。

 でもあの人、いつもライブに来てくれる。あの人の言うことだったら聞こうかなと思うわけですよ。ただ学校に呼ぶだけで、ライブにも来なかったり、僕に興味を持ってくれなかったりしたら何も思わないけど。

ドッジボールの後、ふと……

 《昨年末にテレビで放送された漫才コンテスト「THE MANZAI」でも朝鮮学校について話していましたね》

 今回は朝鮮学校の問題を全くやるつもりなかったんですよ。

 でも、こんなことがありました。

 たまたまある朝鮮学校に呼ばれてライブに行こうと思ったら、直前でその学校側の事情で、できなくなってしまったんです。

 そしたら学校側が「こちらの事情で急にこうなったので、お金を振り込ませてください」と言ってくるんです。

 「ライブやってないのに、それはだめだよ」って答えたんだけど、「いや、それは振り込ませてください」って言うので、振り込んでもらったんですよ。

 その後に、和歌山朝鮮学校でライブをしました。実はそこの先生から何回も「来てください」ってメッセージをもらっていたんですが、知らない人なので返事してなかったんですよ。

 でもそのとき、「せめて和歌山で何かやれば、ライブができなくなった朝鮮学校からもらったお金の分にはなるかな」と思って「行きます」と連絡して。

 和歌山の朝鮮学校は子どもも40人ぐらいしかいないんですけど、本当にみんなウワーッて喜んでくれて。

 でね、そこの先生が僕に言うんです。「ドッジボールやってください」って(笑)。

 全然知らん子どもたちとね、買ったばかりのブランド物の靴をほこりまみれにさせられながら、ドッジボールやらされたんですよ。

 で、「みんなありがとう」と言って家に帰って、1人になったときにね。

 「……朝鮮学校(のネタ)、やるか」って気持ちになっちゃった。そういう、つながりというか。

 あ、これは書いてほしいんだけど、僕のことを「朝鮮学校のヒーロー」とか言ってくれる人がいるけど、それはおかしいと思うわけですよ。

 例えばアメリカで黒人の芸人にね、「何で人種差別のネタばっかりすんの?」って聞いたら、「だって、人種差別がそこにあるからね」って言うわけですよ。

 日本でも朝鮮人への差別があるわけじゃないですか。僕はあるものを「ある」と言ってるだけ。それでヒーローと言われるということは、よっぽどテレビに出てるやつらが、あるものを「ある」って言ってないってことです。だから僕みたいな普通の人間がヒーローに見えてるだけ。おかしいですよ。だいぶズレてる。

「ひな壇」むなしくなった

 《アメリカの話が出ましたが、昨年末の「THE MANZAI」で今年3月中の渡米を宣言しました》

 ビザを取るのにちょっと時間がかかるんで、もう少し先になりそうなんです。

 《そうなんですね。しかし、渡米すること以前に、そもそも2018年ごろからテレビにほぼ出なくなったのはなぜですか》

 (作詞家の)秋元康さんのおかげです。メシに行ったときにジョージ・カーリンという芸人を教えてくれました。ネタの動画を見たら、「とんでもねえ」と思って。

 《ジョージ・カーリンは、アメリカの伝説的な社会派コメディアンで、放送禁止用語を使った芸風でも有名だそうですね。1人で舞台に立ち、人種差別などもタブー視せずに政治や社会を風刺する話芸「スタンダップコメディー」にひかれたと聞きました》

 彼は、時には地球温暖化防止の運動をしてる人のことも、おかしいと思えばボロカスに言います。突っ込む相手を「権力者か、そうでないか」という分け方で決めてはいない。

 コメディーというのは自分が「おかしい」と思うものに突っ込むべきだと。その誠実さを彼に感じたわけですよ。

 そこから、テレビの「ひな壇」(バラエティー番組などで出演者が並んで座る階段状の席)でヤーヤー言ってるのがむなしくなってきて。

 僕の残りわずかな人生をこんなものに使いたくないと思ってテレビをやめたわけですよ。そこから、全国を回って色んな人たちと話をする時間ができた。

 《テレビが村本さんのネタから遠ざかっているわけじゃなくて、村本さんの方から遠ざかった?》

 いや、両方じゃないですか。テレビ局の人と飲みに行くと「オンエアするの大変なんですよ」って言われたりする。テレビ見てる人のニーズと僕のお笑いは違うわけですよ。

 もし、(視聴率の)数字が取れてスポンサーが喜ぶんだったら違うかもしれないけど。

1回ゼロになってアメリカへ

 《改めて聞きますが、何を求めてアメリカへ》

 あの土地がジョージ・カーリンのような芸人を生んだ。アメリカでは黒人の芸人も白人の芸人も差別とかそういう話をあえてバシバシ笑いにすることで、世の中に向けて表現している。

 「俺もあの土の中に入ったら何かしらの栄養を得られるんじゃないかな」と。僕たちってのは野菜と同じですよ。その土によって野菜の大きさも味も変わるわけですよ。

 同じ日本という場所にいて、いつも来てくれる人たちに同じネタやってたら、僕は腐る一方ですよ。

【後編はこちら】先輩芸人が「左翼からお金もらってるのか?」 ウーマン村本大輔さん

 1回ゼロにして、知らない土に入るということは、何か0.1%ぐらい、すごくいい芸人になれそうなにおいがする。そのにおいをたどっていってるんですよ。(聞き手・宮崎亮

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先輩芸人が「左翼からお金もらってるのか?」 ウーマン村本大輔さん:朝日新聞デジタル https://digital.asahi.com/sp/articles/ASQ3T4QYKQ3SPTIL02R.html?iref=sp_ss_date_article 

お笑いコンビ・ウーマンラッシュアワー村本大輔さん(41)のインタビュー後編では、先輩芸人から言われて驚いた「ある言葉」からお話が始まります。

【前編】行ったことないヤツが言った「猫投げられる」 ウーマン村本大輔さん

 《原発や沖縄の基地問題朝鮮学校が高校授業料無償化の対象外になっていることなどをネタにする芸人は珍しいと思いますが》

 面白い話があるんですけど、一度、あるライブで朝鮮学校のネタをやったときに、(日本国籍を持っていない)在日朝鮮人選挙権が与えられていないという話をしたんです。

 ウケたんで、「勝った」とか思っていたら、吉本のある先輩芸人が「選挙権の話やけどな、村本。おまえの話もわかるけども、朝鮮人が選挙権持ったら、国会が朝鮮人に乗っ取られる」と。

 とてつもない思い込みですよね。

 もう一つ。

 これもまた別の吉本の先輩芸人がね、僕にこう聞いてきたわけですよ。

 「村本君、ちょっと来て。村本君って左翼の組織からお金もらってるのか?」って。

 僕は「俺の話に共感してライブにお金払ってくれる人はいますけど、左翼かどうかわからない。左翼が何なのかもよくわからない」と答えました。

 すると、その人は「ネットでそう書かれてる。村本は左翼の手先で、例えば原発反対のやつらから金をもらっている、と」と言う。びっくりしました。テレビとか出てる人ですよ、その先輩。

 

 ああ、人間っていうのはこういう風に、自分が直接調べてもいないことを「そうなんだな」って思い込みたいんだと思いました。

 行ったことのないお店について「まずい」という人がいる。「あの店、人がいっぱいいるけど、実はまずいねん。地元の人間は行かへんねん」って。

 「行ったの?」って聞いたら、行ってないというわけですよ。そういう会話が多すぎる。そことは距離を置いて、自分が見た話だけをしたい。

 

沖縄のおっさんが僕をグッとつかんで…

 《沖縄にもよく足を運んでいるそうですが、基地問題を語るようになったきっかけは》

 普天間基地の辺野古移設に反対の座り込みをする人たちは「金をもらって座り込みしている『プロ市民』だ」と、ネットに書いてあったんです。

 それで、自分の目で確かめようと思ってツイッターにこう書き込んだ。「沖縄で仕事があって夜は暇だから、座り込みをしている人、誰か飲みませんか」

 そしたら「ぜひ来てください」っていう人たちがいて、会うことになった。

 その中に沖縄の芸人がいて。そいつのお母さんが座り込みをしているけど、お父さんはできないと。

 なぜならお父さんは基地関係の仕事をしていて、お母さんが座り込みをしていることも知られてはいけないんだと言うんです。

 これを聞いたときに、座り込みをしている人をひとくくりに「プロ市民」と言ってるネットのやつらは何なんだと。怒りがわき起こってくるわけです。

 

 それで、「思いやり予算って、米軍に思いやり持つんだったら、沖縄に思いやり持て」って漫才を東京でやったら、ウケました。

 でも、最初は沖縄でやることができなかった。沖縄に住んでもない僕が笑いにするっていうのが、自分の中で納得いかなかった。

 しばらくして沖縄の後輩に「どう思う? やらないほうがいいかな」って言ったら「いいから、やってください」と。で、やってみたら、ウワーッと拍手してもらって。

 終わった後に舞台袖のおっさんが追いかけてきて、僕のことをぐっとつかんでね、「ありがとう」って言うわけです。そんなこと言われたことなかったから、「ああ、笑いってこういう力があるんだ」と。

 それがきっかけです。でも、僕はすごい軽薄ですよ。笑いで沖縄を利用している。笑いがほしいから行ってるわけであって。

 

なんでトーマスが怒られる?

 《原発問題もネタにしています。原発の多い福井県で育ったことは、考え方に影響していますか》

 子どものころは、原発について色んな考え方があるなんて知らなかった。自分の親だって思っていること言わなかったしね。

 全国区のテレビで原発のネタをやった後に地元に帰ったら、街の大人たちが自分の思うことを僕に話してくれるようになった。

 僕は原発のあるおおい町の出身です。高浜町の元助役が(関西電力の幹部に)金品を渡してたってニュースの話を、オカンにしたら、オカンは「あんた、そうは言っても神様って言われてた人なんやで」って。

 そういうときに、あー、立場変われば人間って、あるところでは悪人になり、あるところではヒーローなんやなと。

 アメリカのバイデン政権がね、「IS(過激派組織・イスラム国)の指導者を殺しました」って声高らかに言ってるわけですよ。いや、わかったと。じゃあアルカイダとかISはどうやって生まれたんだ?と。そもそも誰がそれを作ったんだと。

 北朝鮮なんて国は元々はなくて、だれがそれを作らせたんだと。誰がミサイルの実験させてるんだと。

 僕のライブによく来る、北海道の特別支援学級に行ってる子どもがいます。そいつが、僕に言うんですよ。

 「村本さん、なんで『きかんしゃトーマス』が事故をしたら、きかんしゃトーマスが怒られるの? 事故を起こさせたのは運転士さんでしょ」って。僕、これ世界の色んな問題と似てると思う。運転してんのは誰なんだ?と。

 沖縄の普天間基地の移設問題で、反対の人も賛成の人もいる。反対の人はなんで怒ってるんだと。賛成の人もなんで怒ってるんだと。それをさせてるのは、誰なんだと。

 それをみんながちゃんと見ていかないと、ずっと目先の怒りだけで終始するような気がする。

 

 《渡米するにあたり、日本の人たちに向けて》

 言ったらあかんことなんてないぞ、と言いたいね。言って、ぶつかりあえばいい。まだまだこの国の議論は未熟だから。

 あと、在日朝鮮人の人たちにも言いたい。在日朝鮮人という言葉を世界のみんなが認識するような、一個の民族になってほしい。

 黒人の芸人を見てそう思ったんです。

 政治じゃどうにも表現できないことを歌は表現するし、映画は表現するし、コメディーも表現する。

 だから、政治でどうにもできないことを笑いにして、「在日朝鮮人って人たちがいるんだ」っていうことをみんなに知らせる。

 僕がネタにしてるっていうことは、あの人たちのネタを奪ってるっていうことです。アイヌの人も沖縄の人も朝鮮の人も、俺に奪われてるだけじゃだめだよって。

 

僕は差別なんか何も知らない…けど

 でもね、こういうことも思うんです。

 ある日系アメリカ人の友だちが「お父さんお母さんが英語しゃべれないから、子どものときに周りからすごく嫌なことを学校でいっぱい言われた」と言うんです。「いまもそういうことを言われると心の奥がキューッとなる」と。

 それを聞くと、僕は差別なんか何も知らないんだなと思う。

 「女というだけで」「日系人というだけで」差別されてきた人の気持ちはわからない。

 LGBTの気持ちも、在日の気持ちも、沖縄の気持ちも、僕は絶対にわからないと思う。部落の人のこともわからない。

 「おもろいやん、ネタにしたらいいやん」というのは、キューッとなったことがないやつやから言えること。僕はキューッとなったことないから、絶対にわからない。

 絶対にわからないのだけど、僕は笑いのネタにできるポイントはネタにします。「痛み」を感じながら生きている人たちがいっぱいいるんだということを、笑いによって表現したいと思うからです。(聞き手・宮崎亮

 

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