ソウルヨガ

主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

ロシアのウクライナ侵攻戦争についての覚書(6月7日)

「私は祖国を熱狂的に愛することはできない。なぜならそれはナチスのような国をつくることになるからだ」――ロシアのウクライナ侵攻戦争についての覚書(6月7日)

 

  • 私は軍隊が嫌い。

私はこれまで多くの映画や著作やドキュメント番組などを見て、歴史も学び、軍隊というものを知っている。軍隊自体が嫌いである。

軍隊のドキュメントなどを見て、それが殺し合いの訓練であることを知った。銃やナイフだけでなく、取っ組み合いでもなんでも相手を殺せるかどうか。そのために体力をつけ、武闘の力をつけ、武器を使う訓練をする。さらに軍事的な思想を植え付けられ、上官の命令には従えと言われ、敵か味方かの単純思想を身に着け、そもそも民主主義的でない。軍事法廷自体が、普通の法廷より歪んでいる。

軍隊内でのいじめ、不要なしごきがあることは幾百もの作品で示されてきた。

最近では、韓国ドラマ「DP」(注)がある。見ていない人は必見。

 

軍隊というものには、かならずこういうことが起こりうる。 

水木しげるの戦争漫画での体験談でも二等兵はビンタをうけまくり、不条理ないじめを受ける。

私のような「インテリ」もかっこうのいじめ対象になるだろう。日本軍でも、日常生活の上下関係が変わる軍隊では、軍隊外での鬱憤を軍隊内の下位のもの、二等兵などに向ける。

民主的な軍隊には抗命権があるとされているが、そうした軍隊は少ない。

私は、もし軍隊にいったら最初にいじめられ殺されるであろう。納得できないことには不満を持つし、口答えするからである。命令は絶対とかとおもえず、命令が合理的かどうかを問題にするからである。

映画「プラトーン」でもあったように、うっとうしがられたら後(仲間)から殺されるかもしれない。危ない最前線や偵察に送られ、敵や味方に殺されるであろう。イジメやリンチで殺されるであろう。

 

そういう軍隊が、敵を倒すということで、殺人の武器を持って、個人的になんの憎しみもない、相手の国の人と闘う。相手国の兵士も、徴兵義務や経済的理由で来ざるを得なかったものであり、だまされ、ナショナリズムを植え付けられ、戦争に駆り出された無知な兵士である。そんな、憎くもない相手に、命を懸けてなんで戦う必要があるのか。

そして戦場ではだれもがおかしくなり、略奪もレイプもある。個人では止められない。

私には軍隊も戦争もあり得ない。

 

(注)韓国ドラマ「D.P. -脱走兵追跡官-」は、脱走兵を捕まえる軍離脱逮捕組織(D.P.)の青年が様々なエピソードを持つ彼らを追いながら全く分からなかった現実にぶつかる様子を描いた作品。大人気ウェブトゥーン「D.P犬の日」が原作。全6話。

今、シーズン2が作成中。

  • 8割がどう言おうと自分で考えて行動すべき

朝日新聞2022年6月4日記事「ウクライナ侵攻)抗戦か、停戦か、揺れる市民」で、東部ドネツク州から国内避難して西部リビウに移り住んだイエホル・キリチェクさん(20)が「ロシアに奪われた領土はもちろん、できる限り取り返すべきです。でも、人命がこれ以上失われるのは耐えられません」「ドネツク人民共和国」と呼称する地域に父方の祖父母や親戚が暮らしており、簡単に行き来できなくなった」「そんな毎日が続くのはおかしい。とにかく暴力を止めるべきです」と話している声が紹介された。ロシアが撤退するまで戦うか、停戦か。揺れ動く気持ちを語った。

 

ウクライナ国内の世論調査では8割以上がロシアへの妥協を拒否しているというが、それは1-2割の人は妥協してでも停戦を望むと考えている可能性を示している。多数が正しいわけでもないし、個人の判断は自由なはずだ。その1―2割の人は、多数派によってしたくもない戦争に巻き込まれ命を危険にさらされているということではないのか。男性が国外への移動が制限されているのもおかしい。

 

また約8割が「ロシアへの妥協を拒否」しているというのは、素朴に「粉不条理なことをするロシアが許せない」という思いに加えて、大統領も含め、メディアが、「ロシアは許せない、国を守ろう、ウクライナの文化、人民を団結して守ろう」「命がけで闘っているウクライナ軍の戦士に感謝」と宣伝するから、当然、感情的にゆすぶられ、愛国心がたかまり、ロシアと戦うという士気が高まっているのだろう。

 

メディアで、町が破壊され、市民が殺され、兵士が殺される映像が流れる。団結して悪い奴らと戦おうと呼びかけられ、仲間が殺され、郷土を追われる人びとをみて、国歌が流れ、死亡した戦士を悼む儀式がなされる。

そりゃ、多くの人は気持ちが高ぶり、戸惑いと憤りと悲しみが怒りに変わるだろう。ナショナリズムが強くなるのは明らかだ。

素朴な人々は、そうなる。

ふつうの生活を取り戻したい、死ぬのは嫌だ、という素朴な思いが今は「ロシアは酷いから力で対抗するしかない」と言われて、とにかく「ウクライナ軍が勝って以前の平和な情生活に戻ってほしい」と思っているのが多くの人々なのだろう。

それが「ロシアに妥協しない」という世論の正体だ。

 

だが、世界の歴史から学んだものは、その素朴な思いの人々が地獄への道を進んでいることをしっている。ウクライナ軍が勝って誰も死なずに、すぐに平和な生活が戻ってくるというようなことはない。

多くの兵士が死ぬ。ウクライナ側だけでなく、ロシア兵も。かれらにも家族や友人がいる。町は破壊され、多くの市民が死ぬ。家族を失う。郷土に戻れない人も多くなる。職を失う。なんのためか意味が分からないまま、時間が流れ、ようやく戦争が終わる。そこには目指した理想状態はなく、もとの生活もなく、ただただ死と破壊、犯罪、壊された生活があるだけ。長引いた戦争によって、そうならなくていい多くの人が、死んだり大けがを負ったり愛する人を失ったりすることになる。

 

だから、ウクライナ軍が闘って勝って平和を取り戻すというようなことにすがらないで、早めに逃げるのが庶民の生き延びる知恵だ。戦争自体・武力対応自体に反対(非協力、不服従)し、妥協してでも交渉して停戦しろと訴え、その後で政治的にも反撃すべきである。

歴史から学んだわたしたちは、国と国、国民と国民が憎しみあって戦うことの愚かさを知っている。ロシアにも北朝鮮にも、中国にも、シリアにも、イスラエルにも、心優しき、平和を望む庶民がいる。たたかう必要などない。相手国を憎んで戦うことにつながるような「自国を愛する気持ち」など必要ない。必要なのは、皆を愛する気持ち(愛地球心)だ。

その人々が連帯して、自分たちの国の政治家の戦争に反対することである。まずは逃げることである。逃げたうえでの非暴力主義での抵抗にこそ希望がある。

 

生き延びて、何とか「幸せに」生きることこそが悪魔(犯罪者たち、武力信奉者)への復讐である。領土を取り戻すまで戦うなど、愚の骨頂である。領土より、命である

。国というような「幻想」「イデオロギー」にとらわれる悪夢から脱出する知性と視野をもつことこそ、平和への道である。国というものに情動的に支配され、ナショナリズム思想に洗脳される状態から脱出する人々が増えてほしい。家族やコミュニティを愛する気持ちを相手国にまで拡張する知性が我々の対案である。

 

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  • レイプがある、だからこそ早く逃げる必要、早く戦争を止める必要

国連で紛争下の性的暴力担当事務総長特別代表を務めるプラミラ・パッテン氏が6月6日、ロシアが侵攻したウクライナで、性的暴力が疑われる事例が124件報告されたと明らかにした。報告されていない犯罪も殺人も膨大にあるだろう。

レイプは許されない犯罪行為である。戦争を止めないとこうなる。ウクライナも、「学校や病院が攻撃された」「民間児が殺された」「子供が殺され、女性がレイプされた」といった非難だけでなく、戦争を止める努力をすべきである。「もっと武器を我々に提供しろ、ロシアを追い詰めろ」というだけの政府でいいのかと思う。

一市民、国民は、政治家に任せず、「戦おう」という政治家の言うことなど聞かず、逃げるべきである。

 

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  • ロシアの兵士も悲惨

ウクライナ東部で、ロシアの戦況が苦しくなる中、ロシア軍の内部で銃撃戦起りそうな状況。 前線に行けと強要する隊長が銃を撃ち、それに対抗などがあった模様。

ロシアの兵士がたくさん死んでいる。大義もなくたたかわされている。

誰のためにもならない戦争。

 

私は主流秩序に加担する責任というものがあると思っているので、ロシア兵をたんなる犠牲者だと擁護する気持ちはない。私は加担者には末端でも、責任を問うべきと思っている。何処の国でも、内部から、どう生きるかを問うべきである。戦争に加担するのかどうか、各人がその問いの前に立たされている。

 

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  • 今の状況、アメリカにとってはとてもいい状態。 

自分(米国)は戦争せず、ロシアを弱体化、プラス 軍需産業大儲け、で、アメリカには都合がいい状態。 軍需産業に支えられている産軍複合体の政治家や研究者など皆が利益。

ただしバイデン大統領は、世界戦争は望んでいないし、落としどころを探してはいる。

 

 

落としどころを提起したキシンジャーの提言。それも一つの道なのに、ウクライナ(ゼリンスキー大統領)はまったく受け付けない。きつく非難するだけ。

 

同じことは フランス大統領の言葉(注)に対して示されている。

酷いことをされてきた中で命がけで、ある種崇高な精神で必死に抵抗しているという面はあるだろうが、それは一面であって、もう一面は、やはりマッチョ思想ゆえの面があると思われる。ウクライナの政権は、心底、一人でも命や被害者を助けようとするのではなく、停戦を何としても勝ち取ろうとしているのでなく、ナショナリスト的な勝利を目指していて、そのためには国民の命、けがやレイプ被害、略奪などの犠牲、があってもしかたない、「それは向こうが悪いのだ」、と思って思考停止しているように思う。

人命よりも「政治目標、プライド、イデオロギー」重視の状態になっている。ロシアだけでなく、ウクライナ政府・軍も、マッチョ思考、戦争大好き主義者、ナショナリスト、「軍事解決」至上主義になっている。

 

(注:フランスのマクロン大統領は6月4日掲載の新聞インビューで「ロシアに屈辱を与えない」ことが大事だと呼びかけた、それに対して、ウクライナのドミトロ・クレバ外相は同日、「ロシアに屈辱を与えるなと言うのは、そう呼びかけるフランスをはじめ全ての国に屈辱を与えるだけだ」と反発した。ウクライナ政府は、和平実現のための領土割譲はあり得ないという立場を強調している。

マクロン大統領は「戦いが止まった日には外交を通じて出口が築けるよう、私たちはロシアに屈辱を与えてはならない」、「仲介者になるのがフランスの役割だと確信している」プーチン大統領が自らの「根本的な間違い」から抜け出す道筋を残すのが、何より大事だ、ウクライナ侵攻という「歴史的で根本的な間違いを犯した」せいで、今ではロシアが「孤立」してしまっているとプーチンに伝えた、などと言っている。5月初めにも、ロシアとウクライナの停戦を呼びかけ、西側諸国は「(ロシアに)屈辱を与えたいという誘惑や、報復したいという気持ちに屈してはならない」と強調していた。 【注おわり】

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  • ゼリンスキー大統領のスタンス

ゼリンスキーは、危機の中で強いリーダーシップをとれるというプラス面を持っていると思うが、マイナス面として、非暴力主義などへの思想的深みがなく、フェミニズム的な感覚もないとことがあるようにおもう。

彼は、イスラエルのガザ侵攻を支持しているという。ウクライナの大使館をエルサレムに移転することを決定した。ゼリンスキーは、国連のパレスチナ人の人権に関する委員会から引き揚げているという。つまりアラブへの攻撃をしてきて不当に領土を占領してきたイスラエルについては甘い評価をしているのではないか。ウクライナの領土を奪うロシアを非難しながら、イスラエルには甘い。こうした矛盾は米国でもどこにでもある。

西側諸国の多くはイスラエルの攻撃、アラブ側の抵抗への軍事力による過剰な反撃、領土の拡張などを非難してこなかった。

ウクライナ国家主義グループや右翼や極右の中には、ウクライナの中のLGBTQ攻撃、ロマ人への攻撃など、があり、対ロシアで戦う仲間として、そうした人権侵害をすr極右的な勢力に甘い人がいて、今のウクライナの主流がある。ウクライナ政府の禁書命令、戦時中のナチ協力者を国家英雄としている点などの問題もあったようだ。

意見が分かれる問題は多くあるが、ゼリンスキーを正義の側として美化だけしているのは間違いであろう。私は国内の少数派、反体制派を尊重する民主主義が好ましいと考えている。その点で、中国もウクライナも、ロシアと通じるところがあるのではないか。

 

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これまで指摘した高橋氏など2人に加えて、防衛省防衛研究所 主任研究官 山添博史という人物も出ている。3人目だ。各局、各メディアに出ている。

メディアが防衛省防衛研究所の人物を出しつづけるのはおかしい。 一面的すぎる。

異なる立場の人を出すべきではないか。なぜそうした意見が組織内部から出ないのか。

 ロシアや中国と同じで独裁国家的に情報を一元化し、国民を洗脳、国民の誘導をしている。

 

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  • この言葉を忘れないーー 「祖国を熱狂的に愛することはできない」

 

「私は祖国を熱狂的に愛することはできない。なぜならそれはナチスのような国をつくることになるからだ」(チャップリン

 

「いまこそ闘おう! 世界の解放のために。国と国との壁を取り除き、貪欲、憎悪、不寛容を追放するために、理性ある世界のために闘おう!」

『独裁者』(チャップリン)より

 

「熱狂的に国を愛せない」のは健全だ。オルテガ「大衆の反逆」は教えてくれる。

。熱狂を疑うこと。複雑に人間をとらえること。私は、「私の環境」の産物であって、自分の努力で作った『自分』だけではない。「多数者の専制」(高度大衆社会)のやばさ。・・・・・これらはブルデューやル・ボン『群衆心理』につながる思想。懐疑の精神を常にもって、異論に耳を傾けろ、理性ある少数者であれ、主流秩序に従属するなという思想である。

個人は集まると簡単に群衆になる。群衆は騙されやすい。だから群れないこと、熱狂しないこと、単純化しないこと。 断言するやつ、反復するやつを疑うこと。そもそも指導者やメディアを疑うこと。

皆が言っているとか、メディアとか、熱狂に騙されず、主流秩序を見抜き、自分の頭で冷静に考える個人になるということだろう。

 

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これを歌い続けるような前後の日本の、戦争を反省し、平和を希求する営みを、いま、多くの人は忘れてきている状態。

 

「 生前 この頭を かけがえなく いとおしいものとして 搔抱いた女が きっと居たに違いない」という茨木のり子

その想像力を世界中に、相手国、敵国にも広げられる人が増えますように。

 

 

「木の実 」  茨木のり子

髙い梢に

青い大きな果実が ひとつ

現地の若者は するする登り

手を伸ばそうとして転がり落ちた

木の実と見えたのは 苔むした一個の髑髏(ドクロ)である

ミンダナオ島 26年の歳月

ジャングルのちっぽけな木の枝は

戦死した日本兵のどくろを

はずみで ちょいと引掛けて

それが眼蒿であったか

鼻孔であったかはしらず

若く逞しい1本の木に

ぐんぐん成長していったのだ

生前 この頭を かけがえもなく いとおしいものとして

搔抱いた女が

きっと居たに違いない

小さな顳顬(コメカミ)のひよめきを

じっと視ていたのはどんな母

この髪に指からませて

やさしく引き寄せたのは

どんな女(ヒト)

もし それが

わたしだったら・・・・

絶句し そのまま1年の歳月は流れた

ふたたび草稿を取り出して

嵌めるべき終行 見出せず

さらに幾年かが 逝く

もし それが わたしだったら

に続く1行を

遂に立たせられないまま

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参考

ロシア・ウクライナ戦争について書いたこれまでのブログ記事

 

2022-03-04  命を守るために逃げろ!  ロシア・プーチンによるウクライナへの戦争について

2:

2022-03-11  ウクライナのナショナリストに騙されるな 踊らされるな 命を捨てさせられるな

3:

2022-03-13  いつからあなたは軍の司令部になったのか

4:

2022-03-23  ロシア侵攻に関するスタンスで、いくつかのまともな意見を知った

5:

2022-03-23 1中は2中が怖いからナイフで自衛?--防衛、憲法をめぐる議論について

6:

2022-03-24  ロシアのウクライナ侵攻に関する日本の報道 小倉の意見

7:

2022-03-25  〈国境〉を肯定するか否か

8:

2022-03-31 細谷雄一氏の問題の立て方にゆがみ

9:

2022-04-01  ウクライナもロシアも一つではない

10:

2022-04-01  私の反戦論とジェンダー 

11:

2022-04-06 ウクライナの非武装主義者ユーリ・シェリアジェンコ氏からの情報

12:

2022-04-10「あなたの中の最良のものを」

13:

2022-04-11「憲法9条で日本が守れるのか?」への返答の一つ

14;

 2022-04-27 ロシアのウクライナ侵攻の問題 追記

15;

022-05-06 小泉悠氏の意見を批判する

16;

2022-05-18 白川真澄「ウクライナ戦争にどう向合うべきか」への私の3つの異論点

 

 

 

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