『加害者プログラム実施における「加害者変容後の支援のあり方」について』
『加害者プログラム実施における「加害者変容後の支援のあり方」について』(Kindle版電子書籍 2022年5月、ペーパーバック版書籍2022年6月)
著者 伊田広行 (イダヒロユキ)
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加害者プログラム実施における「加害者変容後の支援のあり方」について | 伊田広行 | 社会学 | Kindleストア | Amazon
ISBN: 9798832171098
出版社名: Independently published
内容
2-3 内閣府の「留意事項」(ガイドライン)の問題点... 12
3 DV の基本認識と実際のパートナー関係の多様性... 27
3-1 家庭内の「諸問題=もめごと」には多様なものがある.. 27
3-2 DVの基本認識とジョンソンの「性行動をとる子供の分類」... 32
3-3 筆者による「パートナー関係における問題言動」の分類... 33
3-4 DV対策・支援の充実を目指しての現実認識... 41
4 多様な関係に臨機応変的にかかわるときに、「忘れてはならない点」. 43
5-4 家族療法とDV支援――システムとしての家族というとらえ方... 83
5-6 被害者も変わることが大事――被害者の変化をもたらす関わり... 100
5-7 多様性が求められる後期支援のあり方 (ここまでの話の再整理)... 124
5-8 実例で考える「従来とは違う支援」―― 相互に問題がある例や面会交流などにかかわる支援例... 139
紹介文
本書は、DV加害者プログラムを通じて見えてきた新しい課題についての著作である。
DVに対する社会の支援として、ようやく加害者プログラムをいれた対応がはじまろうとしている。
今後、行政が加害者プログラムにかかわり始める予定であるので、加害者プログラムで「加害者が変容した後の支援」についても今後整理していく必要がでてくるであろう。本稿は、その一助となるよう、先行的にプログラムを実施してきた経験を踏まえて提起するものである。
加害男性が1年以上プログラムに参加して反省して一定変容した場合でも、夫婦関係の修復が困難な場合が多い。そこで本書では加害者が1年(約50回)以上のプログラムに参加し続けて一定の変容を遂げた後、当該パートナー関係に対してどのような支援を行うことが必要かについて検討した。そこには、家族療法、オープン・ダイアローグ等の知見も付加した。
検討の結果、実際のパートナー関係の多様性に臨機応変的にかかわること、特に加害者プログラムに一定参加した後の支援の仕方について、それを「後期支援」と名付け、家族全体にシステム的観点でかかわることや「前期支援」と対応を変える必要性などを示した。
DV被害者にとって、別れること、別れさせられることだけが利益ではないので、加害者プログラムをいれ、被害者の安全確保及び選択肢を増やすことが重要である。別れて貧困(ワンオペ育児の大変さ含む)が多い現実のなか、被害者にとって総合的に見て最も“まし”な現実的な落とし所をみつけていくためにも、単純な因果関係のみでDVを捉えるのでなく相互循環的に関係性をとらえての後期の支援が求められている。
加害者プログラムを経由させての後期の支援を考えた場合、「パートナー間の問題言動の7段階」の各段階に応じて、時には心理的アプローチ、フェミニスト・アプローチに加えて、家族システム的なアプローチ(それにもとづく、従来フェミニスト系ではタブー視されていた家族療法、カップル・セラピー)も取り入れる必要があると判断した。
具体的には、DVが絶対的に犯罪的悪事であることや過去に犯したことの責任を取ることや被害者中心主義も踏まえつつ、各状況・各関係に応じて、被害者支援の充実のために家族システム的な視点も入れて、今の問題状況の改善策を夫婦双方への支援及び夫婦同席スタイルで一緒に考えていくことは有効であると主張する。
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