ソウルヨガ

主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

人の痛み・人権問題への感性   ひろゆき氏に対する北原さんの適切な指摘

人の痛み・人権問題への感性・・・ 主流秩序にどういうスタンスをとるかの一例・・・  大学で学ぶ「知」ということの姿勢にもかかわる

北原さんのたましいが伝わる一文。

 

沖縄の基地反対に暴言を吐き続けてきた 

座り込みの背景にある歴史を知り「わたしたち」の国を変えるべき〈dot.〉

2022年 10/12(水) 16:00配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/a1f563a374fd962a31923599e962cfc90b42eff7

 

作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は、沖縄の基地問題について。 【写真】北原みのりさんはこちら。

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「わたしたち」は、沖縄への暴言を吐き続けてきた。

 2011年11月、当時の田中聡・沖縄防衛局長が、「これから犯す前に『犯しますよ』と言いますか」という趣旨の発言を、記者たちとの非公式懇談の場でした。普天間の代替基地建設に関する話題の中での言葉だった。

 2013年1月、沖縄県内の全41市町村の首長らがオスプレイに抗議するデモを東京・日比谷でした際には、「売国奴」「日本から出てけ」と、沿道から汚い声をあびせ続けた集団がいた。

 2014年1月、辺野古への基地建設が争点になった名護市長選挙について問われた自民党幹事長(当時)の石破茂氏は、「基地の場所は政府が決める」と言い切った。

キャンプ・シュワブ前に座り込む市民と、強制排除する県警機動隊(沖縄タイムス提供)

 

 2016年10月、抗議運動に加わる芥川賞作家の目取真俊さんによって、大阪府警の機動隊員が「どこつかんどんじゃ、ぼけ、土人が」と言った場面が撮影され、報じられたが、当時の松井一郎大阪府知事ツイッターに「命令に従い職務を遂行していたのがわかりました。出張ご苦労様」と記した。

また、当時の安倍政権は「土人」発言を「差別と断定できない」と述べた大臣の訂正や謝罪は不要とする答弁書閣議決定した。

 

 2017年1月には、TOKYO MXの番組「ニュース女子」が、「機動隊が暴力を振るわれている」「(基地反対派は)日当をもらっている」などとデマを流した。さらに沖縄の運動に深く関わる辛淑玉さんを名指しで攻撃した(今年6月、東京高裁は辛淑玉さんへの名誉毀損を認め、制作会社のDHCテレビジョンに550万円の支払いと謝罪文の掲載を命じた)。

 

 挙げればきりがない暴言を、「わたしたち」は繰り返し吐いてきた。沖縄の選挙結果が示した「辺野古新基地反対」の声をねじ伏せ、沖縄戦の遺骨が混じっているかもしれない土砂を、ジュゴンが泳ぐ珊瑚の海に投げ入れてきた。沖縄の選挙に一喜一憂するリベラルな「わたしたち」も、自分の暮らす地域では、非自民党議員を推す力はなかった。「わたしたち」は、沖縄の海を愛ではするが、「わたしたち」の国を変えることはできなかった。

 

『沖縄という窓』という本が今年、岩波書店から出版された。雑誌「世界」で2008年から、3人の書き手が沖縄から沖縄と日本を語り続けてきた、貴重な「定点観測」の一冊だ。

著者の一人、山城紀子さんは、1974年に沖縄タイムスに入社し、ジャーナリストとして女性たちに道を切り開いた。性暴力問題を発信し続けてきた。1981年生まれの親川志奈子さんは、琉球民族独立総合研究学会の共同代表であり、研究者として大学で教え、放課後児童クラブの運営もしている活動する思想家だ。松元剛さんは、琉球新報で記者として沖縄を見つめてきた。  世代も専門も違う3人が、月に1度、沖縄に立ちこの社会を記し続けた14年間の記録は、沖縄から見た日本の記録でもある。

沖縄の歴史を知ろうとせず、戦争を忘れた日本人が沖縄をどのように見つめ、どのように踏みにじってきたのか。加害の歴史は根深く、加害者は底抜けに鈍くいられることで、加害者であり続ける。それは、「沖縄に寄り添おう」と本土から訪れるヤマトンチュにも言えることだ。

親川志奈子さんはこう記す。

「『沖縄の運動に寄り添い』沖縄人を動かすのではなく、日本人という立場で踏ん張り、日本人としてやるべきことを実行していってほしい」

 

 200万人超もフォロワーがいて、毎日のようにネット上でその名が流れてくるひろゆきという人の基地反対をする人々に対する暴言が、波紋を広げている。何十年に及ぶ基地被害に抗議する人々が放つ「ヤンキーゴーホーム」という声を録音し、“得意げに”「平和活動家はヘイトスピーチをしている」という人々の姿が本書には記録されているが、ひろゆき氏がやったのは、まさにそのようなことだろう。

「座り込みの定義」にこだわり、座り込みの背景にある歴史を敢えて見ない。表層を切り取り、差別の構造を理解せずに、冷笑する。幼い理屈を恥じずひけらかし、無知を剥き出しにすることで日本は底抜けに壊れていくのだと危機を覚える。

  まずは知ることでしか、始まらない。すでにこの社会には、沖縄を生きる人々が積み重ねてきた言葉、その闘いの歴史が十分にある。座り込みをしてきた人々が見つめてきた景色を、「わたしたち」は真剣に想像すべきだ。それが本当の知というものなのだと思う。

親川志奈子さんの言葉をここに紹介したい。

「私たちは日本語を覚え、日本の方を向き続けてきました。でも、沖縄が日本を変えることはできない。日本を変えるのは日本人であるべきです」

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