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2023年入管法改悪問題――「日本人中心主義」という主流秩序の現れ

  • 2023年入管法改悪問題――「日本人中心主義」という主流秩序の現れ

大学の講義のレジメの一部、にゅかん問題に触れたので、ここにアップしておきます

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2023年、入管法改悪が自民党政権によって強行されている。改正案の根拠が怪しく、日本の難民認定率はゼロに近く、審査する側(難民認定制度)に大きな問題があることも明らかになった[1]

 難民認定されなかった外国人の不服申し立てを審理する「難民審査参与員」の審査件数を巡り、斎藤健法相は、参与員1人が「1年6カ月で500件の対面審査は可能」と言ったが、直ぐに言い間違いだったというお粗末な状況。難民審査参与員は、入管庁が難民ではないと認定した外国人が不服を申し立てた際、3人1組で審査する役割。法務省から委託された識者らが務め、NPO出身の柳瀬氏は05年の制度発足時から務めている。

問題なのは、ひとりに異常に集中しており(参与員の柳瀬房子氏が1年半で500人の対面審査をし、2022年1年間で1231件の審査に当たったとされている)、正しく公平に審査がされていないことが明るみになったのである。対面審査について「一般論で考えれば、月に最大10件、年間で100件程度だ」とされており、具体的にちゃんとやった人では年間30-40人程度であった。

つまり実態は、柳瀬氏は大量の審査でいい加減に対応して難民申請(異議申し立て)を全部却下しているという事であり、ちゃんと調べず、難民かどうかを正しく認定できていないのが日本の状況なのである。柳瀬氏の21年の勤務日数は34日で、一日あたり平均40件を審査した計算になる。22年は32日で、1日に同38件を審査したことになる。異常な数字で、審査のいい加減さを表している。

そういうなか、難民申請3回で本国に強制送還などおかしい。入管庁は柳瀬房子・難民審査参与員の「難民を認定したいと思っているのにほとんどみつけることができない」と発言を難民申請が乱用されていることの根拠として法改正の必要性を説明している。その柳瀬参与員の状況が全くいい加減で、その発言には信ぴょう性がなかったのである。難民を見つける気などなく、異議申し立ての制度が機能していないのである。

法改正の前提認識である「難民でもないのに、制度を悪用して日本に長く滞在している」などというのは、実態を反映していないのである。日本の難民認定率は1%未満(21年)で、10〜60%台のG7の他国と比べて格段に低い。3回以上の難民申請者は送還停止の対象から外し、強制退去に応じない人への厳罰化を盛り込むのは、一層難民を排除する人権意識の低い独善的な国になっていくことになる。

 

政府が法改正が必要な根拠として引用する「難民を探して認定したいと思っているのにほとんどみつけることができない」という難民審査参与員の発言について、参考人阿部浩明治学院大教授は「ほとんどいないということは全くない」と疑念を呈した。阿部氏は自らも参与員だった経験から「10年間で約500件を審査し、40件弱について難民と認めるべきだと意見した。(参与員の間で)国際基準を踏まえた難民認定の手法が共有されていないため、難民を難民として認定できない」と述べた。

 参考人質疑後に記者会見した阿部氏は、難民認定申請時に弁護士など代理人の立ち会いが認められていないことについて「出入国在留管理庁は真に庇護(ひご)されるべき人を庇護していない。難民認定制度の根本的な見直しが必要だ」と語った。 

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入管法については、連人権理事会の移民の人権に関する特別報告者、宗教と信条の自由に関する特別報告者、恣意(しい)的拘禁作業部会が「国際人権基準を満たしていない」として、抜本的な見直しを求める共同書簡を日本政府に送った。だが日本政府は「法的拘束力はない」と無視している。だが、書簡は法的拘束力を持った国際人権条約に基づいて、国連が示した解釈なので、日本政府の姿勢は異常である。勧告や書簡を無視する対応は、人権を侵害し続ける国と同じである。

改正法案の国際人権法違反について、前回の国会提出時と変わっていないと指摘した。収容期限の上限がなく、子どもの収容も禁止されず、収容を巡って裁判所などの司法審査が欠如したままである点も問題視。3回以上、難民申請した人らの強制送還を可能とする規定についても、「迫害を受ける危険のある国へ送還してはならない」とする難民保護の基本「ノン・ルフールマン原則」を損なうとの見解を示した。

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入管法改正がおかしいので、「再考しろ」と研究者400人超が声明を発表した。声明は、在留資格がなければ、難民申請者でも入管施設に収容する日本の「全件収容主義」を批判。入管庁の判断のみで、無期限に収容できる仕組みはG7では異例で、収容を「最後の手段」とみなす国際人権法に照らして問題だとした。

西欧では難民の保護は義務であり、誇りであり、国際貢献だと認識されている。だが日本は、外国人を労働者なら受け入れるが、移民・難民は受け入れないスタンスで、短期で帰国させる政策を取ってきており、苦しむ人を助けず、利用だけして日本には暮らさせないという身勝手なスタンスをとっているのである。G7が自由、民主主義、人権などの基本的価値を共有するメンバーだというのは、デタラメである。

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反対運動の様子を知ろう・・・・中国で白紙運動をした人が捕まるのがおかしいように、日本でも外国人を人間扱いしない状況がある。全国で反対運動、国会でも盛り上がっている。第改悪法案を許さないという動き。G7では「法の支配」「人権・民主主義の側が団結してロシアと戦う」といいながら、日本国内では国際法も無視し、外国人の人権を蹂躙している。難民条約を守れ!入管法改悪を阻止しようという声で、7000人のデモおこなわれた。渋谷ハチ公前集会の様子。動画配信ぜひ見てください。野党も、チャンとまともな対案を出しています。

https://www.youtube.com/watch?v=DLeg3Gw6SJc 

 

外国人排除の問題と家父長制・ジェンダー差別がつながっているという指摘もあります。矛盾のしわ寄せがマイノリティ女性にいきやすいということです。DVされたり性産業に利用されたりしながら、身分が不安定に置かれている。移民・難民がジェンダー平等と対立するかのように極右が持っていこうとするときに、どういう立場をとるのかという問題。国に強制送還されたら逮捕されたり殺されかねないという中に、LGBTQ当事者で弾圧されるということもある。裁判も通さず長期無期限に入管の主観で収容できる異常な人権蹂躙状況。

この動画等反対運動の動画を見て、こういう社会活動をしている人がいるということを知ってください。それをしらずに大人になって社会人になって、何も知らないままの40歳、50歳にならないでほしいです。出来ればこういう運動の現場に行き、学習し、社会を良くしていく活動に参加してほしいです。

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6月6日の強行採決を絶対に許さないということで、そのために前日の5日(月)午後6時半から国会正門前で大集会

 

 

[1] 「審査役111人いるのに1人に集中、全体の25%を担当 難民審査で入管庁公表 柳瀬房子参与員が昨年1231件」(東京新聞、2023年5月25日)、「国連特別報告者の指摘をまた無視するの? 「入管難民法改正案は国際人権基準を満たさず」に日本政府が反発」(東京新聞、2023年4月25日)などを参考にしている。